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番外編 年下上司と天然OL

第1話

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私は、河口《かわぐち》美菜《みな》。
この会社に勤めて、多分長いけど、出世とかしてなくて、できなくて、
上司が年下になっているの。

私は、かなりのドジで、仕事もミスばかり、多くて、この仕事が向いていないのかなと落ち込むことさえあった。
書類仕事も、ケアレスミスが多く、疲れている時なんて、文字の打ち間違えが多くて、
しかも、お局様には、入社した時から目をつけられているし、
眠くても、コーヒー飲んで頑張ったつもりなのに、それでも眠くなる。
後は、私の早口のせいで、説明がうまく伝わらないとかある。
早口を直すのは、難しい。

何で、私はこの仕事を始めたのかなと思うことさえある。
まわりの友達は次々結婚していき、私だけ取り残された。
そろそろ、私も結婚をなんて考えていた。
結婚したいけど、できない。彼氏なんていない。
年上の上司は、課長とか、もっと上に上がっていく。私は完全なる落ちこぼれだった。
落ちこぼれが、会社を辞めないのは、転職が難しいし、10年は同じところで勤めた方がいいと聞いた。
あっと言う間に、ここで働いて10年になるけれど、仕事ができるようにはならなかった。
エリートにもなっていない。ただ、勤続年数が長いだけだった。
新卒で入社して、転職は一回もしたことはない。
「何で、10年も同じ会社に勤めたの?」と後輩社員から聞かれることはあるけれど、「気がついたら、10年立っていた」としか答えられなかった。

私も、今年で29歳かあ。誕生日が来ていないから、今は28歳だけど。
会社のお局様はまだいる。お局様は勤続年数20年で、今年で42歳くらいかな。子供はいないし、独身だけど、まだ男は諦めていないみたい。
私は、もうとっくに男を諦めている。昔は、寿退社を夢見ていたけれど、今は諦めでしかない。
こんなおばさん、誰も相手にしないだろう。
大学は親の事情で、行かせてもらえず、仕方なく、高卒で働くことになった。
肩書だけならベテランだけど、何も実績を残せていない。

上司は、みんな年下。
一番若い上司は、25歳だったかな。
この上司はと年下と思えないほど、背が高くて、私の身長が低いだけかな?
たくましくて、しっかりしていた。

「おい、今日も眠いのか」
「はい、眠いです」

そうだ、私は実家にいる、子供部屋を持っているおばさんだ。
そして、猫二匹と、うさぎ一匹がいる。
ペットの存在が、私の唯一の癒しだった。
メスの三毛猫一匹、オスの黒猫一匹、オスのうさぎのネザーランドドワーフが一匹。
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