上 下
43 / 113
番外編 これだけ愛しても

第3話

しおりを挟む
 かねこちゃんの話によると、都内の私立学校に通っていたから、転校しなくても大丈夫とのこと。
 だけど、ここからだと家から学校まで距離がありそうで、通うとなると大変そう。電車で三時間弱もかかるみたい。
 住所が変更したことも、学校に提出しなくてはならなくもなる。

 本当かどうかわからないけど、異世界で武術の学校に通っているとも言いだした。
 かねこちゃんはまだ子供だから、空想の話とかもしたくなるから、子供の夢とかは否定しないで、聞いてあげること にした。
 だけど、喋る猫もいるくらいだから、それが嘘と断言できない要素を作っている。

「ボク、異世界に行っているんだ」
「そうなんだ」
「異世界でね、修行しているの、東斗《とうと》と西斗《せいと》っていうのがあるんだ」
「そっか」
 話半分にしか聞いていなかった。
 
 かねこちゃんは本屋とか好きで、よく本屋に連れていってあげたこともあった。
 本屋では異世界転生の本とか、異世転移の本とかをかねこちゃんに買うこともあった。かねこちゃんは小説を読むことが好きで、よく買っては読ませていた。
 かねこちゃんは、空想好きなのかなと思っていた。だけど、どうしてだか気になってくる。
 ホラーとか恋愛というジャンルも好きで、よく小説の内容も話しては、聞かせてくれた。

 結局は私立の学校に、オンラインで授業を行い、夏休み、春休み、冬休みの長期休みの時だけ、寮に泊まっての授業を受けることになった。
 学校の先生から、「中学の進学は私立にしたいか、公立の中学にしたいなら、実家の方がいいか、今、住んでいる方がいいか、お子さん本人や実家の家族ともよく話し合うように」という話が出たので、まずはかねこちゃんに中学の進学はどうするのか聞いてみることにした。
「中学の進学は私立にしたいの?それとも、公立にしたいの?」
「まだ、遠い話だから考えていない」
 かねこちゃんの実家に電話してみても、「好きにすれば」という返事しか返ってこなかった。
 あまり、かねこちゃんのことを真剣に考えているかんじがしなかった。
 再婚するお母さんはまだしも、確か、お父さんの方はかねこちゃんの実子にあたるはずだけど、まるで興味もないかんじだった。

 中学の学校案内パンフレットをいくつかもらったけれど、かねこちゃんに見せても、「この制服、かわいいな」というばかりで、どの学校がいいかはあまり深く考えていなさそうだった。
 学校の雰囲気、授業体制、それに中学になると学費も高くなるそう。
しおりを挟む

処理中です...