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番外編 三毛猫魔法使いさくら先生

第12話

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 僕は、エリザベスお嬢様の孫のヤミー。
 日本人とのハーフ。
 双子の兄に、ヒカリがいる。
 従妹にサクラがいる。

 小学一年生にて、狙われている。
 何なのかわからないものに。

 何故なのかは、僕の方が知りたいくらいだった。
 いつも、怪しい黒い影に追われていて、逃げるのに必死で、隠れていたりもした。
 熟睡すらもできなかった。

 そこで、また謎の複数の黒い影が現れた。
 僕は行く当てもないけれど、逃げた。
 交番なんていいかもしれないけれど、お巡りさんなんて役立たずだ。
 黒い影が見えないとか言われた。

 双子の兄は、ヒカリ兄ちゃんは、黒い影に吸い込まれたというのに。
 誰も僕の言うことなんて、信じてくれない。
 誰も僕のことなんて、助けてくれない。
 大人なんて、信用できない。

 結局、ヒカリ兄ちゃんの件も、黒い影に吸いこまれたなんて言っても信じてくれないし、
 警察も最初は誘拐を疑って捜査してくれても、数か月立てば、未解決事件として片づけられる。

「そこまでなのです、蛇黒神」
女の子の声が聞こえたかと思うと、炎が飛んで、黒い影がひとつ消えた。

「誰?」

 目の前には、三毛猫一匹と、
 赤いハートのステッキを持った女の子一人と、
 それよりも小さ木の枝のような弓と、チューリップのような矢を持った女の子一人と、
 銀の剣を持った男の子一人と、
 ピンクのロンパースを着た赤ちゃんが三毛猫の上に乗っていた。

「あたちは、三毛猫魔法使いさくら先生なのにゃ」
「猫が喋った」

「あたしは、炎の魔法使い、佐倉桜なのです」
 と、茶髪の背中まで長いロングヘア―には、毛先だけ髪が白い女の子。
 見た目は大体、6,7歳ぐらいだった。
 多分、僕と同い年くらいだと思う。
 白いチェックのワンピースに、白の三毛猫のワンポイントがある膝上のはレースのニーハイハイソックスに、白のパンプスの後ろには白い大きなリボンがあった。
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