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番外編 三毛猫魔法使いさくら先生

第20話

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 満たされたいあたし。
 ここで、あたしは、悪者にでもなって、みなちゃまから注目されてもいいかなと思い始めました。

 名前は、蛇黒女《じゃこくじょ》。
 手下には、蛇黒神がいて、あたしはそれを具現化できる神と言ってもいい、女王様と言ってもいい存在になるのです。
 ヒカリちゃまも、元はあたしの恋人にしたい存在だったのです。

 思い出したくなかったけれど、ヒカリちゃまの優しさに惹かれて、
「あたしと付き合ってくれませんか?」
 と告白したけど、振られてしまったのです。

「なぜなのですか?」
「俺には弟がいるんだ」
「弟・・・・?」

 あたしは、ここで弟のヤミーちゃまに嫉妬を感じたけれど、あたしは自分の感情でさえもごまかすようになってい たのです。
 みなちゃまのリーダーで、みなちゃまのいい人で、みなちゃまの頼れるお姉ちゃまになりたいのです。

「うん。弟は今は、俺がいないとだめなくらい、手がかかるんだ。
だから、デートとかする時間とかないかも」
「それなら、あたしも一緒に面倒を見るのです」
「ごめん。それに、両親からも、彼女は大人になってから作りなさいって言われてて、何せ、うちの両親は高校生で俺たちを産んで育てて苦労したいで、自分の子供に同じ苦労をしてほしくないという思いもあるからさ」
「そうなのですか・・・」

 納得してなかったのです。
 こんなことも受け入れられないあたしは、根っからの子供みたいなのです。
 両親も、弟も、ヒカリちゃまのまわりにいる人間、いなくなればいいみたいなことを思ってしまったのです。
 大人になりきれないあたしがここにいたのです。

 そういえば、咲良ちゃん、さくらさん、櫻君で集まった時に誰をリーダーにするかという話になった時も、
 最初はさくらさんが年長者ということでリーダーにしようという話がでたのに、
「そんなのいやなのです。あたしがリーダーでいたいのです」
 駄々をこねて、やっとリーダーにしてもらえたのです。

 そこで、「櫻君は副リーダーに相応しいと思うにゃ」
「おいらがですか?」
「そうにゃ」

 そこは、あたしも賛成だったのです。
「あたしも、櫻君は副リーダーに相応しいと思うのです。
あたしの次に年長者となるのですから」
「ありがとうですぞ。遠慮なく、副リーダーにさせてもらいますぞ」
「桜、リーダーおめでとうでござる。
櫻君、副リーダー、おめでとうでござる」

 メンバーの呼び名で考えている時も、
 櫻君と咲良ちゃんはすぐ決まったのに、あたし、さくらさん、サクラ様の呼び名はすごく揉めたのです。
 あたしは、桜様とも、桜さんとも呼ばれたかったのです。
 一番、呼ばれたいのは、桜様なので、そこは譲れなかったのです。
 そこで、さくらさんが決まった時に、
 桜か桜様のどちらかが候補として残ったのです。
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