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番外編 三毛猫を愛する者たちへ 第2章

第3話

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「よかろう、修行をさせようでないか」

 師匠とスモモの大喧嘩の上で決まった。

 それはいいけど、俺が賛成したことではないんだよな。



「では、どんな武器を使うのじゃ?」

「どんなって‥‥?」

 スモモに買わされた剣しか持っていない。



「この剣でよいか?」

「‥‥多分‥‥」

 今、俺の手にある剣はただの剣にしか思えないんだが。



「よかろう‥‥、ならば訓練して強くなるのじゃ。

わしは、年齢により衰えてきとる」

 年老いているようには見えないんだが。

「稽古の後は、占い師にお主の運命を占ってもらうとよい。

もしかしたら、知らぬ間に三毛猫刈り隊のボスと出くわしてるかもしれん」

「占いができるなら、それでボスを見つければいいじゃないですか?」

「占いはヒントをくれるものであって、答えを導くものではない。それに怪しいと思われる人物が複数いてな」

「どなたですか?」

「軽扉かると、柊菊、ミッケ、マッケ、グレーボーイ、グレーキッズの誰からしいぞ?」

 柊菊も入ってるんだ‥‥。

 もし、柊菊が三毛猫刈り隊のボスなら、俺はボスの元彼となる。関係者だろ?



「菊が黒幕なわけないよ」とスモモ。

「占いの限りは候補にのっている」

「そんな占い、デタラメだ」

「あの占い師は、占いを一回も外したことがない、とな。

この中に一人だけ黒幕がいる、ということになる。

三毛猫刈り隊に、三毛猫の支配を命じているボスがな」

「三毛猫刈り隊にボスが誰なのか聞けばいいんじゃない?」

「答えてくれるわけないじゃろうが」



 その占いが正しいのかもわからないけど、名前をあげられた人が黒幕のボスと怪しまれているのだろう。

 

「悪い話ばかりではないぞ?

三毛猫の神、三毛猫を転送させた神も、この中に一人か一匹だけ混じっとるらしいぞ?」

「三毛猫の神が?」

「そうじゃ。オスを三毛猫ワールドへ、メスを人間世界へ転送させた三毛猫を守護する神もいる。わしたちが姿を見ることがない神様もな」

「だけど、こんな三毛猫刈りが始まっても、何故神は動かないの?」

「わしにもわからん。多分、何かしろにより神の働きができないんじゃろう‥‥」



 神様って本当にいるのか?

 いるのなら、三毛猫ワールドに限定しないで人間世界にもいてほしいよ。



「グレーキッズやグレーボーイの正体については、占いでは判別しにくい。まずどこまでか本当かもわからんし。



グレーボーイに至っては転送の力もある。



三毛猫刈り隊と戦うことはあるし、敵対視しておる。



出身地もわからなければ、出自もわからない。



子供なりに低い身長はしとるが、顔まではわからん。

髪型、瞳の色まてもが隠されている。

かなり情報を限定されとる。



だが、正体を明かすことよりも、三毛猫刈り隊のボスの正体が気になる。

中には、グレーキッズかグレーキッズのどちらかが、黒幕なのではと怪しむ者も少なくなかった」



 師匠は「長話はここまでにして、修行だ」と修行を始めることとなった。



 謎があまりにも多すぎる。

 三毛猫たちはどうしたのか、

何故三毛猫の守護となる神様が動かないのか、

グレーボーイやグレーキッズの正体は何なのか、

三毛猫刈り隊のボスが誰なのか、

その占い師は誰なのか(後で聞けば、三毛猫ワールドでは有名で評判な占い師らしい)、

そして名前をあげられた6人の中で転送の力を持つのは、グレーボーイとミッケだけらしい。



 これは、同じ正体不明のグレーキッズより、グレーボーイが怪しまれるぞ?

 もしかしたら、グレーボーイが黒幕で、ミッケが三毛猫ワールドの神なのでは?

 そうゆう仮説が立てられた。

 その方が辻褄が合うだろうから。
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