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番外編 三毛猫を愛する者たちへ 第2章

第12話

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「コナユキ‥‥」

 グレーキッズの正体は、柊コナユキだった。

 チューリップの娘であり、菊ときえの姉。



「重扉、記憶が混同しているかもしないから、この正しき記憶を」

 

 俺は、4歳の頃。

 1歳の菊と、2歳のきえ、4歳のコナユキ。

 4歳の軽扉、4歳の間扉、4歳の叶羽。

「コナユキ、また会うことがあったら俺たち結婚しようね」

「うん」

 この時、タンポポ、チューリップもいた。

 

「コナユキ、不思議な力があるの」

「どんな力?」

「異世界に行ったりとかもできるの。

コナユキの異世界出身じいちゃんと人間世界のばあちゃんが結婚して、人間世界で生活するようになったの。

だから、コナユキは異世界とのクォーターなのよ。

父さんは、異世界とのハーフなの」

「ふうん」

「だけど、チューリップの祖父母、コナユキのひいおじいちゃんとひいおばあちゃんは逆で、ひいおばあちゃんが異世界出身で、ひいおじいちゃんが人間世界なの」

 当時の俺は、そんな話に興味がなかった。



 俺は4歳で人間世界に迷いこんだ。

「パパ、ママ、どこ?」

 異世界での王子様だったけど、異世界に帰れなくなって、人間世界にずっといた。



 思い出した。

 俺は、人間世界の住人じゃない。



「思い出したよ、コナユキ」

「許せないわ」



「チューリップを転生させるしかないわよ」

「うん」

「転生なんかするもんですか」



 コナユキの不思議な力によって、チューリップは赤子になった。

「終わったのか?」と間扉。

「転生して、いい子になってくれればいいけど」

 



 俺とコナユキは18歳で結婚した。

 きえは16歳で軽扉と結婚したらしい。

 菊はスモモと別れた後に、15歳で間扉と結婚した。

 三人とも婿養子。





 それから10年後。

 俺とコナユキの間には、8歳のパンと、7歳のナンと、5歳のメンという娘三人ができていた。



 きえと軽扉には、6歳の娘と、4歳の娘と、3歳の娘がいる。



 菊と間扉には、2歳の娘と、1歳の娘と、0歳の娘がいる。



 タンポポは36歳。



 柊姉妹の49歳祖母は、13歳の曾孫四人を抱えている。

 曾孫も、子供ができたから、幼い玄孫の育児でヘトヘトらしい。



 転生したチューリップの生まれ変わり、花は現在は10歳。

 現在、彼氏もいなければ子供もいない。



 8歳のパンはおっとり、素直、泣き虫、おとなしい。

 髪は短髪。

 一人称「私」で、中性口調で話す。



 7歳のナンは気が強く、自己中心的、負けず嫌い、努力家。

 一人称は「私」で、女性口調で話す。



 コナユキが「どうして姉妹で生活がこんなに違うのかしら?」

 コナユキは常にメンを抱えている。



 俺は花に、「子供は20歳過ぎるまで望むんじゃないぞ」

「うん。花、いい娘だからしない」

 チューリップの来世とは思えない。

 

 コナユキは三毛猫ワールドのお妃様。

 俺は、王様。

 パンは第一王女。

 ナンは第二王女。

 メンは第三王女。

 

 コナユキは、花が20歳までチューリップの記憶を思い出さないよう術をかけたらいが、20過ぎたらどうなることやら。

 だけど、花が20過ぎる頃には、パンは18になるし、ナンは17歳になる。メンは15歳になる。

 君たちなら、きっと何とかしてくれると思うぞ。



「王様、娘が20歳になる前に子供を作っていたら、どうするのよ?」

「その時はその時だ」



 さあ、また10年後どうなることやら。

 花が覚醒しなくてはいいけど。

 コナユキの術も、限界があるらしいからな。
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