上 下
102 / 113
番外編 三毛猫を愛する者たちへ 第3章

第8話

しおりを挟む
 俺は叶羽と付き合いたい。叶羽が好きだとわかったから。だけど、叶羽には彼氏が既にいる。

 叶羽‥‥。いつか、俺の彼女になってくれるかな?

 

 叶羽には自分からメールを送ることにしている。

 叶羽からのメールはある。



 叶羽

 恋を二回も経験している。初恋は間扉、二回目は今付き合っている彼氏。

 メールと電話ができるような携帯は持っている。

 幼い頃の記憶はあんまりない。

 彼氏はひとつ年上の先輩。出会いはクラブ活動。

 彼氏とのデートは家デートが多いらしい。



 そうだ、叶羽が彼氏と別れるまで待とう。

 そしたら、本当に彼氏と別れる日が来たので、俺から告白して叶羽と付き合うことにした。

 初めての彼女は、初。

 二番目にできた彼女は、叶羽。

 中学生は付き合っては別れることを繰り返す時期だから、別れないようにどれだけ大切にするかだ。



 家デートもした。

 だけど、叶羽とは喧嘩が絶えなかった。

 叶羽はわがままで気が強くて、向こう見ずだった。

 そんな叶羽の性格に嫌気がさして、結局別れた。

 もう、恋なんかするものか。



 学校では「他校の生徒の元カノ」と噂が絶えない。

 噂好きの女子たちから「何で別れたの?」としつこく聞かれた。

 他校のことなんか何故気にする?

 そして、叶羽からの復縁メールは何回も来る。

 こんなやつ、付き合うんじゃなかった。



 母の勤めていた会社が倒産したという話が出た。

 学校でも当然噂になった。

 母は無職のため、父のところに行くかという話が出たが‥‥。

「コナユキ、俺はそんなところ逃げ出したいよ」

「だけど、行き場は三毛猫ワールドしかないわ?」

「三毛猫ワールドでもいい。俺が逃げられる場所ならば」

 



 俺は三毛猫ワールドに転送されることになった。

 コナユキも一緒だ。

「グレーボーイとかグレーキッズがいるかな?」

「いるけど、会えないわよ?」

「どうして?」

「グレーボーイとかグレーキッズはこの時間では会うことなんてできないわよ」

「理由を知りたいんだって」

「グレーボーイグレーキッズが今を生きていると思う?

いつの時代の人かわかる?」

「いつって‥‥?」

「まだ、グレーボーイとグレーキッズの正体にきずいてないのね」

「きずいてないなんて言われても‥‥」

 そうだ、一年前に姿を現したグレーボーイとグレーキッズ。

 仮面のせいで顔がわからなかった。



「コナユキはきずいちゃったの。あの事件をきっかけに」

「あの事件って‥‥?」

「愛珠、颯、間扉の事件よ。

間扉が生きているかどうか確認もしたし、颯の行方も知ってる。

愛珠がその後、どうしたのかも‥‥」

「グレーボーイとグレーキッズの正体は?」

「君がきずくまで言わないことにしておくわ。

あの事件で正体にきずかないなら尚更ね」

「まさか‥‥。

グレーボーイやグレーキッズはあの三人の中にいるってことか」

「ヒントがなければわからないようね。

ヒントはいくつかでているし、間扉の体を見れば一発でわかるくらい。

だけど、確信は持てなかった。

颯とよくメールをしててね、颯のメールにはヒントが含まれていたし、刑務所で愛珠の話を聞いたりもしたわ。

愛珠が何者かもわかってしまったのよ」

「答えくらい教えてくれてもいいのでは?」

「教えない。軽扉には謎解きが必要よ。

愛珠は颯を狙うわりには、何故か命を奪っていない。

奪えなかったのよ」

「奪えなかったって?」

「颯は守らなきゃいけないのよ。

だとしても、愛珠は納得をしない。

憎き颯を不幸にするには、間扉を狙うしかなくなった」

「とにかく、颯、愛珠、間扉の中にグレーボーイとグレーキッズの正体があるってことでいいんだよね?」



「逆よ。グレーキッズとグレーボーイの正体に間扉を除いて、きずいてしまったのよ」

「きずいたから、何なんだ?」

「きずいたから、生かされた」

「逆じゃないの?きずいたら生かされるわけないよね?」

「きずいたから回避できた」

「もういいや。こんなこと続けても答えは出ない」

「わかったわよ。

なら、グレーボーイとグレーキッズの正体を言うわよ。

二人の正体は‥‥」
しおりを挟む

処理中です...