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番外編 第1章

第11話

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「厄介なのか厄介じゃないのかわからなくなったな」

 父さんが腕を組ながら考え込んでいそうだった。

「まさかあんな表にたって堂々としているなんて思わなかった」
 父さんが言うもんだから俺が「誰も納得しないやり方ですよね?」

「ああ。政治家も黙ってないしな」
「なら、俺たちが動くまでのことではなかったということですね?」姉貴に対する皮肉も込めた。

 だけど姉貴は何も表情を変えてないものだから俺はリアクションに困るよ。

「しばらく様子を見るとしよう。
家もないことだし、お前らここで泊まっとけ」
「家にいる母さんたちは‥‥?」
「ほっとけ。 いじめ殺しがいる様子だと救急車も呼びづらいし、巻き込まれる可能性もある。
いじめ殺しは匂いに弱いから遺体は放置すれば臭くなる。
そうやっていじめ殺しが寿命を迎えているんだが、黒船あぶきはそこまで思考が回ってない」

「そして私たちは苗字を変えて学校を転校するの?」と姉貴が言うと
「いや、苗字は変えれても高校は義務教育じゃないから転校はできねえ」と父さんにきっぱり言われてしまっている。

 高校でも転校はできるけど、ここはあえて、何も言わないでおこう。

「ただ、住所が変わったことにはできるがな」

 こうして俺と姉貴は親権が母親から父親へと移り、苗字が彩崎から芸神になった。

 正式に言うと戻ったということだが俺は苗字が変わってしまった気がして学校に行きづらくなった。

 だけど元々通信制の高校なので中退はせずに、
 5日間登校型の全日制コースからほとんど学校に通わなくても良いという通信制コースに変えてもらった。
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