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第1章

第10話

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「こいつ、ただの馬鹿じゃん」

 あぶきが、叫んだ。

「馬鹿?

あぶき君、誰かに馬鹿にされてるの?」

「そんなこと、言ってないから。

いいかい、いじめられたら、君ならどうする?

恨むし、憎いだろう?」


「いじめられたら、占いと肉?」

「違う、違う。

恨みと、憎しみ」

「じゃあ、いじめられたら、占いとみんなで、肉を食べればいいのか?」

「何で、そんな発想になったの?」

 ここで、お姫さま抱っこされているブリースモが、クスリと笑った。

 プレジデントなんか、お腹を抱えて笑っていた。

 何がおかしいんだろう?


「こんな人、初めて出会ったわ」

「あたくしもよ」

「この馬鹿!

世界を平和にする気か?」

「世界が平和になることが、いけないことなの?」

「そうだよ。

平和な世界に、いじめがあるから、平和なんか必要ない。

だから、いじめっ子には消えてもらう必要があるのだよ」

「平和になったら、いじめなんてなくなる。

平和じゃないから、起こるとか?

話し合って、友達になれば解決できるから、いじめ殺しなんか必要ないって」

「はあ、馬鹿らしくなる。

人を憎んで、行動している自分が、なんて馬鹿らしいんだろうか?

いじめ殺しという、いじめっ子に攻撃するやり方が、正しいこととして通してきた。

今更、そんなやり方を変えることはできない」

「できる。

人は、なんでもやり直せるから、あぶき君もやり直せばいいんだから、大丈夫。

みんなで、いじめをなくしていこうとすればいいんだから、何度でも赤ちゃんの状態になれればいい」

「ほんと、馬鹿だな」


 こうして、世界が真っ白になった。

 ここで、緑髪の少女が現れた。
 僕と同じ腰まで長い緑髪で、名前はライハイト。
 俺のいとこだ。

「クリア、おめでとうなのです」

「ありがとう」

 ライハイトは、一人称が「あたし」で、なのです口調で話す。

「心配だったのですよ。

君なんかが、黒船あぶきや、昭島朱莉を改心させられるのかって」

「できた」

「これは、結果なのです。

とにかく、やり方はめちゃくちゃだったけど、君は闇に染まった人たちの、笑顔と幸せを取り戻せたのです。

これで、クリアなのです。

現実世界というか、人間世界に戻ってきてもいいですよ」

「待ってよ、これ、面白かったし、続きとかないの?」

「遊びではないのですよ。

君は学生なのですから、ちゃんと勉強しないといけないのです」

「ライハイトも、学生なのでは?」

「あたしは、いいのです。

ライハイツは、このままこの世界にいたら、勉強が遅れてしまうのです」

 こうして、僕は現実世界に戻っていった。
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