デキナイ私たちの秘密な関係

美並ナナ

文字の大きさ
17 / 33

16. Side航 〜前進〜

しおりを挟む
「航さん、ちょっと相談したいことがあるんですけど、時間もらえませんか?」

神崎が突然家にやって来た日から約1週間が経った頃、朝一に俺のデスクにやって来た中津が少し声を潜めてそう言った。

その様子から人に聞かれたくない話なのだろうと察して俺は頷く。

すでに会議室を押さえているというので、課内での朝礼を終えると、俺たちは会議室へと移動した。

4人用の狭めの会議室で椅子に腰を下ろし、中津と向かい合う。

相談は2つあって……と中津は話を切り出し始めた。

「まず1つ目なんですけど、実はついに妻が懐妊しまして安定期に入りました。来年には僕も父親になることになりました!」

「へぇ、そうなんだ。おめでとう!」

以前降谷さんも交えて飲みに行った時に中津が妊活中だと溢していたのを知っているので、待ち望んだ瞬間だというのが分かる。

親しくしている後輩の喜ばしい報告に俺も笑顔になっていた。

「ありがとうございます! それでもしかすると今後育休を取らせてもらうかもしれません。まだ少し先の話ではありますが、報告しておこうかと思いまして」

うちの会社は福利厚生が割と盤石で、男性の育児休業も認められていた。

多くはないが実際に過去にも取得した社員はいると聞いている。

愛妻家の中津らしい申し出に、俺はすぐさま受け入れ、詳しい時期や期間などは後日また擦り合わせることとなった。

「そして2つ目の件なんですけど……実は気になっていることがあってですね……」

次の話に移った中津は、今度は一転表情を曇らせ浮かない顔になる。

神崎さんのことなんですけど、と切り出した中津の言葉を耳にし、嫌な予感を感じながら俺は先を促した。

「ここ最近様子がおかしい気がするんですよ。一見普通なんですけど、なにかにうっすら怯えている感じっていうんですかね。やたら社用携帯を気にしている感じもして」

それには俺も中津と同じことを感じていた。

あの突然家に来たことも含めてなんだかおかしいとは感じていたのだ。

「それでですね、実は神崎さんに引き継ぎをしている顧客の中で、1箇所だけ不自然なところがあるんです。倉林美容外科クリニックなんですけど、一度一緒に訪問して以来、全く僕に連絡が入らなくなったんですよ」

「確かに少し不自然かもな。普通は引き継ぎは1回で終わらず、何度か一緒に訪問して信頼関係築いていくもんだしね」

「ですよね。担当が正式に変わった後ですら元の営業担当に電話をかけてくる方も多いですから。でも、その倉林院長からはそれ以来パタっと連絡が来なくなったんですよ。まぁそんなこともあるかなぁと最近までは思ってたんですけどね」

「ということは、何かおかしいと思うことが?」

だんだん不穏な空気が漂ってきた話に、俺は眉をひそめて中津を見た。

中津は肯定するように軽く頷き、さらに話を続ける。

「はい。ちょうど昨日、倉林美容外科クリニックと同業者の他の顧客を訪問した時に倉林院長の良からぬ噂を耳にしまして。あまり表沙汰になっていないそうなんですが、院長のセクハラが酷いらしくてスタッフがよく辞めるそうなんですよ。中には訴えている元スタッフもいるらしいです」

「セクハラか……」

「ええ。しかもそのスタッフに共通しているのが胸の大きい女性らしくて。それを聞いてもしかして神崎さんも目をつけられたんじゃないか……と嫌な予感がした次第なんです。航さん、どう思います?」

問われて脳裏に浮かんだのは、以前に社内の休憩スペースで男性社員からセクハラを受けていた神崎の姿だ。

よくあることなんでと目を伏せていた表情を鮮明に思い出す。

「あり得そうな話だと思う。一度神崎に聞いてみた方がいいな。事実だったら担当を変えた方がいいだろうし」

「ですね。僕が知る限りだと院長はとても感じの良い方なんでまさかとは思うものの、同業者の方からの話なんで簡単に切り捨てるわけにもいかずだったので、航さんに相談させてもらって良かったです」

「神崎には折を見て俺から聞いてみるから、中津はとりあえず静観でよろしく」

「分かりました。よろしくお願いします」

それで話は終わり、中津とともに執務室に戻った俺は、自分のデスクから神崎の様子をチラリと盗み見る。

パソコンに向かって真剣な眼差しで作業に集中しているようだった。

ふいに声を掛けられた中津に対して笑顔で応対していて、その様子からはおかしさは感じられない。

なんとなくホッと胸を撫で下ろしたのだが、それも束の間だった。

デスクの上に置いてあった社用携帯のバイブ音が鳴り出した瞬間、神崎の顔色が変わる。

硬く強張った顔つきになり、素早くスマホを手に取ると、その場を立ち上がってどこかへ消えて行く。

明らかに様子がおかしいのを目の当たりにし、俺は咄嗟に後を追うことにした。

神崎は周囲をキョロキョロと見渡すと、空室になっていた会議室へと飛び込み扉を閉めた。

その会議室に近寄ってみれば、ハッキリは分からないが中からは話し声がぼんやり聞こえてくる。

俺はノックをして断りを入れることなくドアを開け、会議室の中へと足を踏み入れた。

驚いたように目を丸くする神崎に構わず、そのまま彼女の方へ近寄り、スマホを取り上げてスピーカーフォンに切り替えた。

社用携帯に掛かってきた電話、つまり仕事の電話なわけで、上司である俺に聞かれて困ることがあるはずがない。

だが、聞こえてきたのは耳を疑うような男の台詞だった。

「神崎さんに暴行を受けたせいでね、僕は怪我をしてしまったんだよ。この1週間近く不便してて、ほとほと困ってるんだ。責任取って、手取り足取りサポートしてくるよね? ああ、もちろん仕事のサポートじゃないよ。君のそのいやらしい体で奉仕してくれればいいから」

 ……は? 体で奉仕? なんだこれは?

それが仕事の話ではないことは明白だ。

そしてこれがさっき中津が報告してくれた例の顧客なのだろうとピンと来た。

いつからこんなことになっているのか定かではないが、なんで自分に相談してくれなかったのかと悔しくなる。

上司として、そして身近にいた男として、どちらの意味においてもだ。

だが、今はこの男に応対するのが先だと判断した俺は自分が神崎の上司であることを名乗り、動揺する相手に一つずつ問いかける。

やはりこの男は美容外科クリニックの院長だったようだ。

それが分かると、会話を録音した等のハッタリを織り交ぜて追い詰め、最終的に神崎に二度と連絡して来ないことを約束させた。

話している最中、本当に相手に腹が立ち、電話を切った後も苛々する感情が支配していたため、一旦口をつぐんだ。

神崎も何も言わず、その場には静寂が訪れる。

ようやく自分の感情が少し落ち着いてきたところで神崎の方を向くと、彼女は眉を下げ困ったような顔をして少し潤んだ瞳で俺を見た。

神崎が何か口を開こうとしていたのは分かったが、なかば衝動的にそのまま彼女を抱きすくめてしまった。

ここが会社だということは意識のどこかにあったが、今はどうでもいいと思った。

「なんで俺に言わなかった?」

小さな体を腕の中で囲いながら、俺はこの話を知ってからずっと気になっていたことを口にした。

責めるつもりはなかったが、ただ頼られなかったことが悔しくて、悲しかったのだ。

神崎は少し言いづらそうにしながら、ポツリポツリと言葉を漏らすようにこれまでの経緯を打ち明けてくれた。

やはり家に来たあの日、神崎は酷い目に遭っていたのだ。

男物の香水の匂いが染みつくくらい近い距離でセクハラをされたのは想像に難くない。

隙を見て逃げたという神崎がその後俺の家に来たのなら、少しは頼ってもらえていたのだろうか。

でも結局その時にも話してもらえなかったわけで、その事実が悲しく感じる。

そんなに頼りなかったかと思わず本音をポロリと漏らしてしまった。

すると神崎は「まさか!」と激しく否定し、ボソボソと囁くような声で言わなかった理由を話し出した。

「……言えなかったんです。せっかく任せてもらえている仕事ですし、頑張って自分でなんとか対処したいなって。速水さんに迷惑もかけたくなかったですし」

それを聞いて、なんて神崎らしいと思ってしまい、思わず気の抜けたため息が漏れた。

神崎はたまにとても変な方向に結論を持っていき突拍子もない行動をする気がする。

セックスしたくないからと言って勃たない俺にこの関係を持ち掛けてきたのもその一つだろう。

今回も迷惑とか考えずに素直に頼ってくれればいいのに、自分で頑張るという結論を導き出し行動してしまったようだ。

見た目の印象以上に気が強く、思い立ったら突き進むところがあると思う。

 ……だから目が離せないんだろうけど。

なんとなく頭を撫でてしまい、それでもやっぱり頼って欲しかったと吐露すれば、そんな俺の様子に神崎は目を見開く。

「……違います! 頼ってます! むしろめちゃくちゃ頼りまくってます!」

そして慌てたように声を上げた。

さらに勢い良く、こちらを見上げて必死な様子で言い募る。

「その、正直ちょっと憂鬱で電話がかかってくるたびに辛いなって思う時もありました。それに先日もがっつり触られて、すごく不快でした。でも、そんな時にいつも心の支えになったのは速水さんです! 速水さんの存在に救われました! だからすっごく頼りにしてます! それこそ居なくなったら嫌だし、頼りすぎててこのままじゃ自分がダメになりそうで……!」

神崎らしい、取り繕うことなく思ったことをそのまま口にしているような言葉だった。

だからこそ、それを耳にした俺は思わず動きを止めて固まってしまった。

 ……ダメだ、可愛すぎる。居なくなったら嫌だとかこんな表情で言われたら堪らない。

ただでさえ、つい最近神崎を異性として好きだと認識したばかりなのだ。

その相手にこんなふうに自分の存在を求められたら嬉しくないわけがない。

もうここが会社だということはすっかり頭の片隅に追いやられ、気づけば俺は神崎の唇を塞いでいた。

3ヶ月近くイチャイチャするだけの関係を結んできたが、唇へのキスは初めてだった。

俺を迎え入れるように小さく開けた神崎の口の中に舌を割入れ、どんどんキスは深く絡まるものになっていく。

彼女の頬に手をあてがい、決して離さないというように何度も唇を求めた。

うっすら開けた瞳からは神崎のとろけたような表情が目に入り、触れた頬や唇、体からは彼女の柔らかさを感じる。

そんなキスを交わしていたその時だ。

驚いたことに、突然俺のある部分がわずかに反応したのを感じた。

この3年もの間、女性に対して一切反応せず沈黙を守っていたアソコがだ。

 ……神崎に対してもこれまで反応してなかったのに。キスがきっかけか? いや、彼女を女性として好きだと自覚したからか?

いずれにしても心因的な原因だったため、それが自分の中で溶きほぐされたのだろう。

もしかするとこの前最初の原因だった亜佐美と会ってわだかまりがなくなっていたのも良かったのかもしれない。

おそらくそれら複合的な要素が重なり、EDが改善したのではないかと思う。

思わぬ出来事に頭の中が少し冷静になってきたそのタイミングで、俺の耳は会議室の外の声を拾った。

瞬時に「そうだ、ここは会社だった」と思い出した俺は、理性を取り戻して神崎から体を離す。

「いきなりごめん」

「あ、いえ」

「さっきの美容外科クリニックの件はもう俺が預かるから神崎はもし電話がかかってきても無視していい。まだしつこく言い寄られるようだったら教えてほしい」

「はい、分かりました」

「とりあえず仕事に戻ろうか」

そう告げたのと同時に、会議室のドアがノックされる音が鳴り響いた。

ビクッと一瞬体を震わせた神崎だったが、次の瞬間には何事もなかったように平然とした態度を取り繕っていた。

お互い何食わぬ顔をしてドアを開け、次に会議室を予約していた人達に部屋を明け渡した。

そのまま執務室に戻り、それぞれデスクで仕事を再開する。

さっきのあのキスは夢だったんじゃないかと思うくらい、俺たちはスッと上司と部下に戻り、いつもの日常が繰り広げられていた。

 ……もう都合の良いだけのあの関係は終わらせよう。幸いにも自分の抱えていた問題も解決したことだし、前に進む機会だ。ちゃんと彼女として神崎を大切にしたい。

そう決意を固める俺だったが、一方で気掛かりなこともあった。

果たしてあれほど彼氏はいらないとハッキリ言っていた神崎はそれを受け入れてくれるだろうか――ということである。

一抹の不安を感じながらも、近いうちにちゃんとしようと心に誓ったのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

クールな経営者は不器用に溺愛する 〜ツンデレ社長とWワーク女子〜

瀬崎由美
恋愛
OLとネットカフェ店員とのダブルワークをする荒川咲良は、ブース清掃中に忘れ物のUSBメモリを見つけ、すぐに利用客を調べて連絡を入れる。持ち主は常連客の高坂柊人。それを届けることで、彼が近くの会社の経営者で、彼の専門が経営コンサルタントだということを知る。なにかお礼がしたいと申し出る高坂に対し、咲良はお礼の代わりにと母親の弁当屋が赤字経営で苦しんでいることを相談。彼の的確な診断と遠慮のない物言いに、頑なだった母がようやく店を畳む決心をしてくれてホッとする咲良。感情表現の乏しい不器用な高坂だけれど、とても信頼できる人だと次第に惹かれていく。

花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~

美凪ましろ
恋愛
「――狂いそうなくらいに、きみが好きだ」  三途の花と揶揄される私、川瀬花子。にこりともしないことで有名で、仲のいい同期もいない。  せっかくIT系大手企業に入って頑張って三ヶ月もの研修に耐えたのに配属されたのはテスターのいる下流の部署。  プライドが傷つきながらも懸命に働いて三年目。通勤途中に倒れかけたところを同期の御曹司・神宮寺恋生に救われ――。  恋に、仕事に奮闘し、セレブとの愛に溺れる、現代版シンデレラストーリー。

甘く残酷な支配に溺れて~上司と部下の秘密な関係~

雛瀬智美
恋愛
入社した会社の直属の上司は、甘く危険な香りを放ち私を誘惑する。 魅惑的で刺激的な彼から一歩逃げても、 すぐに追いつめられてしまう。 出逢った時から、墜ちるのは決まっていたのかもしれない。 大蛇(バジリスク)の猛毒で追いつめる腹黒上司と純真なOLのラブストーリー。 シリアス、少しコメディ。 三島優香(みしまゆうか) 24歳。 過去のトラウマを引きずっていて 恋愛することが怖くなっていた矢先、 課長にぐいぐい追いつめられ、 交際することになる。 香住慧一(かすみけいいち) 33歳。優香の所属する課の課長。 女性よけとして紛い物(フェイク)の指輪を 嵌めている。 眼鏡をかけた優男風の美形(イケメン)。 狙った獲物はゆっくり追いつめて 手に入れたい倒錯的な策略家。腹黒ドS。 三島朔(みしまさく) 30歳。 優香の兄で溺愛している。 慧一と初対面の時、一目でやばさに気づき 交際には反対の立場を取る。 慧一を蛇(バジリスク)と称し忌み嫌う。 生真面目なシスコンでいつも優香を心配している。

19時、駅前~俺様上司の振り回しラブ!?~

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
【19時、駅前。片桐】 その日、机の上に貼られていた付箋に戸惑った。 片桐っていうのは隣の課の俺様課長、片桐課長のことでいいんだと思う。 でも私と片桐課長には、同じ営業部にいるってこと以外、なにも接点がない。 なのに、この呼び出しは一体、なんですか……? 笹岡花重 24歳、食品卸会社営業部勤務。 真面目で頑張り屋さん。 嫌と言えない性格。 あとは平凡な女子。 × 片桐樹馬 29歳、食品卸会社勤務。 3課課長兼部長代理 高身長・高学歴・高収入と昔の三高を満たす男。 もちろん、仕事できる。 ただし、俺様。 俺様片桐課長に振り回され、私はどうなっちゃうの……!?

甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・

希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!? 『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』 小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。 ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。 しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。 彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!? 過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。 *導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。 <表紙イラスト> 男女:わかめサロンパス様 背景:アート宇都宮様

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

続・最後の男

深冬 芽以
恋愛
 彩と智也が付き合い始めて一年。  二人は忙しいながらも時間をやりくりしながら、遠距離恋愛を続けていた。    結婚を意識しつつも、札幌に変えるまでは現状維持と考える智也。  自分の存在が、智也の将来の枷になっているのではと不安になる彩。  順調に見える二人の関係に、少しずつ亀裂が入り始める。  智也は彩の『最後の男』になれるのか。  彩は智也の『最後の女』になれるのか。

処理中です...