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今季一番の冷え込みだと今朝ニュースで報じられていた2月半ばのある日。
私は朝から百合さんと会議室に籠って、ひたすらキャンペーン当選品の発送作業を行っていた。
当選者へ送るために、当選品をパッキングして、宛名書きをしているのだ。
本来この作業は外注しているのだが、手配ミスが発覚してスケジュールの関係上、自分達で手作業することになったのだ。
当選人数が1,500名と結構な人数なので、手作業となると、なかなか骨の折れる仕事だった。
「なんかこうやってひたすら手を動かしてると無心になれますね~!」
「本当だね。たまにはこういう仕事も息抜きになるしいいよね」
百合さんと私は手の動きは止めずに、作業をしながら雑談に興じる。
私にとってはたとえ骨の折れる仕事でも、推しと会議室に籠っての作業なので、なかなか贅沢な時間だった。
「あ、そうだ。そういえばちょうどこの前、蒼太から聞いたんだけど、由美ちゃんと蒼太って飲み友達になったんだってね。蒼太、由美ちゃんに迷惑かけてない?大丈夫?」
突然、百合さんの口から蒼太くんの名前が飛び出して少しびっくりした。
私と蒼太くんが一緒に飲むようになって数ヶ月経つが、今まで百合さんからそれについて何も触れられたことがなかったのだ。
私も百合さんに話していなかった。
どうやら蒼太くんも話題にしていなかったようで、最近になって百合さんは伝え聞いた様子だった。
「そうなんですよー!実はコラボの打合せの前に偶然会って。その時は百合さんの弟さんだとは知らなかったんですけどね。その後、なんか飲み友達になっちゃいました!全然迷惑とかはないですよー!百合さんの神々しさについて語り合ってます!!」
私はニッコリと笑って答えた。
百合さんは神々しさというワードに反応してか、どう返すべきか困ってちょっと曖昧な微笑みを浮かべている。
「蒼太くんの話を聞いてると、蒼太くんと百合さんって本当に仲良んだなって思いましたよ!」
「蒼太が変なこと話してなければいいけど。そうだ、せっかくだし、今度3人でゴハンでも行かない?ちょうど蒼太から近々お誘いがあったから、由美ちゃんもぜひ一緒に」
「え、いいんですか!?姉弟水入らずのゴハンなんじゃないんですか??」
「そんなことないよ。由美ちゃんが来てくれると楽しいと思うから私も嬉しいし」
そんなふうに推しに言っていただけたのなら、断るという選択肢は私にはない。
こうして、後日百合さんと蒼太くんと私という3人で食事に行くことになった。
3人での食事は、それからすぐ日程が決まり、翌週の金曜の夜になった。
お店は蒼太くんが予約してくれたらしい。
私と百合さんは仕事を終えると一緒に会社を出て直接お店へと向かった。
「今日のお店はパスタが美味しいらしいよ。蒼太が予約してくれるお店はいつもハズレがないから、由美ちゃんも期待していてね」
「はい!楽しみです!」
百合さんから向けられる麗しい微笑みに、私は元気よく答える。
お店は駅から近いオフィスビルの中に入っているところで、迷うことなく到着することができた。
オシャレな大人の男女が集いそうなお店で、いかにも女性が好みそうな雰囲気だった。
(こういうお店を知ってるのは、以前に女性と来たからなのかな?蒼太くんはモテるもんね)
ふとそんなことを思い、なんだか胸がぎゅっと締め付けられる。
こんな苦しい感覚は初めてで、私の身体がおかしくなってしまったのかと不安になった。
この前の美術館の時から、私の身体はなにかいつもと違って変なのだ。
お店の入り口で予約名を告げると、すぐに店員さんにテーブルへと案内される。
蒼太くんはすでに席に着いて私たちを待っていたようだった。
「姉ちゃん、由美ちゃん!お疲れ!」
「蒼太、早かったんだね。待たせちゃった?」
「いや、俺もさっき着いたとこだよ」
姉弟は、いつもの通りといった感じで会話を始める。
百合さんも蒼太くんも、コラボの打合せの時は私情は一切挟まずにビジネスライクに接しているので、こうしてフランクに話す2人を見るのは初めてだった。
「おふたりが姉弟の感じで話してるのを見るのが初めてなんで、すごく新鮮です!」
「確かに仕事の時は姉ちゃんが完全に割り切って取引先の人として接してくるから、俺もそれに合わせてるしね」
あれは蒼太くんが百合さんに合わせていたらしい。
姉思いの蒼太くんらしい発言だった。
「仕事なんだし当たり前でしょ?」
「百合さんは亮祐常務と仕事で接する時もそんな感じですもんね!私は公私混同しない百合さんすごく良いと思います!!」
そんなところも百合さんが素敵である所以なのだ。
私は尊敬の念を込めた眼差しで百合さんを見つめた。
「はいはい、由美ちゃんの話は長くなりそうだから、先に注文しない?これがおすすめらしいよ」
蒼太くんは私の推し賛辞が始まりそうなのを察して、手元のメニューを広げて話を切り替えた。
ちなみに、百合さんのことを崇めているのは隠してないしご本人にも堂々と伝えているが、「推し」と思っていることはご本人には秘密だ。
百合さんの性格からして困惑されそうだから、蒼太くんにも秘密にして欲しいと伝えてあった。
私たちは蒼太くんのおすすめに従って、店員さんに料理とお酒を注文すると、また会話に興じる。
「さっきは私と蒼太が姉弟として話してるのが新鮮って由美ちゃんは言ってたけど、由美ちゃんと蒼太が友達として話してるのも初めて見るから新鮮だね」
百合さんはさっきの話題を挙げつつ、私と蒼太くんを見比べるように交互に視線を向けた。
なんの邪推もない単純な興味が宿った眼差しだった。
「年も近いし、百合さんっていう共通の知り合いがいるから話しやすいんですよ~!」
「本当に姉ちゃんの話ばっかりだよ」
「ちょっと、蒼太、変なこと由美ちゃんに話してないよね?」
「変なことって?例えば?」
「‥‥‥もう!」
蒼太くんはニヤニヤとした笑みを浮かべ、百合さんをからかっている。
それに対して百合さんは言葉に窮して、不満を訴えるように蒼太くんを軽く睨んでいる。
(なにこれ!こんな2人見たことない!ジャレてるみたい!!可愛いっ!!)
2人の意外なやりとりに私は大興奮だ。
「ごめん、ごめん。別に変なことなんて言ってないよ。ね、由美ちゃん?」
「もちろんですよー!百合さんの素敵さを語り合ってるだけですから!」
「‥‥それならいいけど」
百合さんを見る蒼太くんの眼差しが本当に優しくて、お姉さんを大切にしていることがその視線だけでとても伝わってくる。
食事をしている最中も、飲み物がなくなりそうだったら声をかけたり、寒そうだったら自分の上着を貸したり、蒼太くんは百合さんの様子を見て察して世話を焼いていた。
(こういうところを見たら、そりゃ彼女はシスコンって思うだろうな~)
過去に彼女を百合さんと会わせたことがあると話していたことを思い出した。
彼女に百合さんと会ってもらえば安心するのでは?と私が聞いた時にそう言っていたのだ。
確かあの時も会ってもらって以降、余計に話題にすると嫌がられると言ってたけど、実際に2人を見てその理由が何か分かった気がする。
なのに、不思議なのはそんな彼女たちの反応とは相反して、私はなぜか胸がキュンとしているのだ。
こんなに姉を大切にしている姉思いなところが素敵だなと感じてしまっている。
(え、私今、蒼太くんのこと素敵だと思った!?あの優しい眼差しにキュンときてる!?うそでしょーー!?)
一体全体、私は本当にどうしてしまったのだ。
胸が苦しくなったり、キュンとしたり、ドキドキしたり、ここ最近ものすごく心臓が忙しい。
ーーその人のことを考えるとドキドキしたり、胸がギューってしたり、一緒にいると嬉しかったり、キュンとしたりしない?
そこでふと年始に利々香に言われたことを思い出す。
あの時、利々香は恋をするとどうなるかを語っていた。
しかし、この言葉はまるで予言のようではないだろうか。
なぜなら今の私の状態にぴったりなのだ。
(え、え、え、えええーーー!!つまり、これが恋ってことなの!?うそでしょ!?)
私の頭の中は突然のことに大パニックだ。
しかも恋してるかもしれない相手と、その姉であり私の推しが目の前にいるのだ。
こんなに私が取り乱してるなんて決してバレるわけにはいかない。
私は人知れずそっと息を吐くと、平常心を保つために気合を入れ直した。
そんな私の状態なんて想像もしていないであろう百合さんは、かわらずニコニコ微笑みながら私と蒼太くんに話を振ってくる。
「2人の年齢は1コ違いだっけ?そういえば、もうすぐ蒼太の誕生日だよね」
「あ、そっか。確かにそうだね」
どうやら蒼太くんは3月生まれのようだ。
そこで百合さんは私の誕生日についても思い出したようだ。
「あれ?確か3月って由美ちゃんも誕生日じゃなかったっけ?」
「そ、そうです!覚えていてくださったなんて嬉しいですー!!」
「由美ちゃんも3月なの?ちなみに3月の何日?」
「に、21日だよー!」
平常心を保っている私だけど、やっぱり若干声が上擦ってしまっていた。
私から誕生日の日付を聞いた蒼太くんは、びっくりしたように目を丸くしている。
「マジで!?俺も21日なんだけど!まさか誕生日が一緒なんて驚きだなぁ」
「すごい偶然だね。せっかくなんだから2人でお祝いすればどう?蒼太、彼女いないんでしょ?」
「それいいね。由美ちゃん予定なかったら一緒にケーキでも食べようよ。もちろんお酒も」
「い、いいアイディアだねー!」
なんと誕生日が同じ日だったことが発覚し、百合さんの口添えもあって、怒涛の速さで誕生日を一緒に祝うことが決まってしまった。
私の心臓はこれでもか!というくらいバクバクと脈打ち始める。
(こんな状態で、私は誕生日に蒼太くんと2人で心臓は持つんだろうか‥‥??)
そんな心配が私の頭をよぎったのだったーー。
私は朝から百合さんと会議室に籠って、ひたすらキャンペーン当選品の発送作業を行っていた。
当選者へ送るために、当選品をパッキングして、宛名書きをしているのだ。
本来この作業は外注しているのだが、手配ミスが発覚してスケジュールの関係上、自分達で手作業することになったのだ。
当選人数が1,500名と結構な人数なので、手作業となると、なかなか骨の折れる仕事だった。
「なんかこうやってひたすら手を動かしてると無心になれますね~!」
「本当だね。たまにはこういう仕事も息抜きになるしいいよね」
百合さんと私は手の動きは止めずに、作業をしながら雑談に興じる。
私にとってはたとえ骨の折れる仕事でも、推しと会議室に籠っての作業なので、なかなか贅沢な時間だった。
「あ、そうだ。そういえばちょうどこの前、蒼太から聞いたんだけど、由美ちゃんと蒼太って飲み友達になったんだってね。蒼太、由美ちゃんに迷惑かけてない?大丈夫?」
突然、百合さんの口から蒼太くんの名前が飛び出して少しびっくりした。
私と蒼太くんが一緒に飲むようになって数ヶ月経つが、今まで百合さんからそれについて何も触れられたことがなかったのだ。
私も百合さんに話していなかった。
どうやら蒼太くんも話題にしていなかったようで、最近になって百合さんは伝え聞いた様子だった。
「そうなんですよー!実はコラボの打合せの前に偶然会って。その時は百合さんの弟さんだとは知らなかったんですけどね。その後、なんか飲み友達になっちゃいました!全然迷惑とかはないですよー!百合さんの神々しさについて語り合ってます!!」
私はニッコリと笑って答えた。
百合さんは神々しさというワードに反応してか、どう返すべきか困ってちょっと曖昧な微笑みを浮かべている。
「蒼太くんの話を聞いてると、蒼太くんと百合さんって本当に仲良んだなって思いましたよ!」
「蒼太が変なこと話してなければいいけど。そうだ、せっかくだし、今度3人でゴハンでも行かない?ちょうど蒼太から近々お誘いがあったから、由美ちゃんもぜひ一緒に」
「え、いいんですか!?姉弟水入らずのゴハンなんじゃないんですか??」
「そんなことないよ。由美ちゃんが来てくれると楽しいと思うから私も嬉しいし」
そんなふうに推しに言っていただけたのなら、断るという選択肢は私にはない。
こうして、後日百合さんと蒼太くんと私という3人で食事に行くことになった。
3人での食事は、それからすぐ日程が決まり、翌週の金曜の夜になった。
お店は蒼太くんが予約してくれたらしい。
私と百合さんは仕事を終えると一緒に会社を出て直接お店へと向かった。
「今日のお店はパスタが美味しいらしいよ。蒼太が予約してくれるお店はいつもハズレがないから、由美ちゃんも期待していてね」
「はい!楽しみです!」
百合さんから向けられる麗しい微笑みに、私は元気よく答える。
お店は駅から近いオフィスビルの中に入っているところで、迷うことなく到着することができた。
オシャレな大人の男女が集いそうなお店で、いかにも女性が好みそうな雰囲気だった。
(こういうお店を知ってるのは、以前に女性と来たからなのかな?蒼太くんはモテるもんね)
ふとそんなことを思い、なんだか胸がぎゅっと締め付けられる。
こんな苦しい感覚は初めてで、私の身体がおかしくなってしまったのかと不安になった。
この前の美術館の時から、私の身体はなにかいつもと違って変なのだ。
お店の入り口で予約名を告げると、すぐに店員さんにテーブルへと案内される。
蒼太くんはすでに席に着いて私たちを待っていたようだった。
「姉ちゃん、由美ちゃん!お疲れ!」
「蒼太、早かったんだね。待たせちゃった?」
「いや、俺もさっき着いたとこだよ」
姉弟は、いつもの通りといった感じで会話を始める。
百合さんも蒼太くんも、コラボの打合せの時は私情は一切挟まずにビジネスライクに接しているので、こうしてフランクに話す2人を見るのは初めてだった。
「おふたりが姉弟の感じで話してるのを見るのが初めてなんで、すごく新鮮です!」
「確かに仕事の時は姉ちゃんが完全に割り切って取引先の人として接してくるから、俺もそれに合わせてるしね」
あれは蒼太くんが百合さんに合わせていたらしい。
姉思いの蒼太くんらしい発言だった。
「仕事なんだし当たり前でしょ?」
「百合さんは亮祐常務と仕事で接する時もそんな感じですもんね!私は公私混同しない百合さんすごく良いと思います!!」
そんなところも百合さんが素敵である所以なのだ。
私は尊敬の念を込めた眼差しで百合さんを見つめた。
「はいはい、由美ちゃんの話は長くなりそうだから、先に注文しない?これがおすすめらしいよ」
蒼太くんは私の推し賛辞が始まりそうなのを察して、手元のメニューを広げて話を切り替えた。
ちなみに、百合さんのことを崇めているのは隠してないしご本人にも堂々と伝えているが、「推し」と思っていることはご本人には秘密だ。
百合さんの性格からして困惑されそうだから、蒼太くんにも秘密にして欲しいと伝えてあった。
私たちは蒼太くんのおすすめに従って、店員さんに料理とお酒を注文すると、また会話に興じる。
「さっきは私と蒼太が姉弟として話してるのが新鮮って由美ちゃんは言ってたけど、由美ちゃんと蒼太が友達として話してるのも初めて見るから新鮮だね」
百合さんはさっきの話題を挙げつつ、私と蒼太くんを見比べるように交互に視線を向けた。
なんの邪推もない単純な興味が宿った眼差しだった。
「年も近いし、百合さんっていう共通の知り合いがいるから話しやすいんですよ~!」
「本当に姉ちゃんの話ばっかりだよ」
「ちょっと、蒼太、変なこと由美ちゃんに話してないよね?」
「変なことって?例えば?」
「‥‥‥もう!」
蒼太くんはニヤニヤとした笑みを浮かべ、百合さんをからかっている。
それに対して百合さんは言葉に窮して、不満を訴えるように蒼太くんを軽く睨んでいる。
(なにこれ!こんな2人見たことない!ジャレてるみたい!!可愛いっ!!)
2人の意外なやりとりに私は大興奮だ。
「ごめん、ごめん。別に変なことなんて言ってないよ。ね、由美ちゃん?」
「もちろんですよー!百合さんの素敵さを語り合ってるだけですから!」
「‥‥それならいいけど」
百合さんを見る蒼太くんの眼差しが本当に優しくて、お姉さんを大切にしていることがその視線だけでとても伝わってくる。
食事をしている最中も、飲み物がなくなりそうだったら声をかけたり、寒そうだったら自分の上着を貸したり、蒼太くんは百合さんの様子を見て察して世話を焼いていた。
(こういうところを見たら、そりゃ彼女はシスコンって思うだろうな~)
過去に彼女を百合さんと会わせたことがあると話していたことを思い出した。
彼女に百合さんと会ってもらえば安心するのでは?と私が聞いた時にそう言っていたのだ。
確かあの時も会ってもらって以降、余計に話題にすると嫌がられると言ってたけど、実際に2人を見てその理由が何か分かった気がする。
なのに、不思議なのはそんな彼女たちの反応とは相反して、私はなぜか胸がキュンとしているのだ。
こんなに姉を大切にしている姉思いなところが素敵だなと感じてしまっている。
(え、私今、蒼太くんのこと素敵だと思った!?あの優しい眼差しにキュンときてる!?うそでしょーー!?)
一体全体、私は本当にどうしてしまったのだ。
胸が苦しくなったり、キュンとしたり、ドキドキしたり、ここ最近ものすごく心臓が忙しい。
ーーその人のことを考えるとドキドキしたり、胸がギューってしたり、一緒にいると嬉しかったり、キュンとしたりしない?
そこでふと年始に利々香に言われたことを思い出す。
あの時、利々香は恋をするとどうなるかを語っていた。
しかし、この言葉はまるで予言のようではないだろうか。
なぜなら今の私の状態にぴったりなのだ。
(え、え、え、えええーーー!!つまり、これが恋ってことなの!?うそでしょ!?)
私の頭の中は突然のことに大パニックだ。
しかも恋してるかもしれない相手と、その姉であり私の推しが目の前にいるのだ。
こんなに私が取り乱してるなんて決してバレるわけにはいかない。
私は人知れずそっと息を吐くと、平常心を保つために気合を入れ直した。
そんな私の状態なんて想像もしていないであろう百合さんは、かわらずニコニコ微笑みながら私と蒼太くんに話を振ってくる。
「2人の年齢は1コ違いだっけ?そういえば、もうすぐ蒼太の誕生日だよね」
「あ、そっか。確かにそうだね」
どうやら蒼太くんは3月生まれのようだ。
そこで百合さんは私の誕生日についても思い出したようだ。
「あれ?確か3月って由美ちゃんも誕生日じゃなかったっけ?」
「そ、そうです!覚えていてくださったなんて嬉しいですー!!」
「由美ちゃんも3月なの?ちなみに3月の何日?」
「に、21日だよー!」
平常心を保っている私だけど、やっぱり若干声が上擦ってしまっていた。
私から誕生日の日付を聞いた蒼太くんは、びっくりしたように目を丸くしている。
「マジで!?俺も21日なんだけど!まさか誕生日が一緒なんて驚きだなぁ」
「すごい偶然だね。せっかくなんだから2人でお祝いすればどう?蒼太、彼女いないんでしょ?」
「それいいね。由美ちゃん予定なかったら一緒にケーキでも食べようよ。もちろんお酒も」
「い、いいアイディアだねー!」
なんと誕生日が同じ日だったことが発覚し、百合さんの口添えもあって、怒涛の速さで誕生日を一緒に祝うことが決まってしまった。
私の心臓はこれでもか!というくらいバクバクと脈打ち始める。
(こんな状態で、私は誕生日に蒼太くんと2人で心臓は持つんだろうか‥‥??)
そんな心配が私の頭をよぎったのだったーー。
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