役立たずの俺は異世界で「取得」と呼ばれるスキルで成り上がります

雪塚 ゆず

文字の大きさ
65 / 104
第四章 魔法使いと大会

番外編 勇者司の苦痛(ツカサ視点)

しおりを挟む
「ーツカサ様。この大魔法使い大会で確か…伝説の装備、「賢者の杖」が優勝商品にされているみたいですね」
「え?そーなの?」

突然ディリーに伝えられ、振り返る。
…ここか。
コロシアムのような形をしたような会場は魔力に満ち溢れているのが分かる。勇者の力として目覚めた「察知」の能力が働いているのだろう。

「で、その商品ゲット出来ないんじゃない?だってもう大会始まってるよ?」
「ご安心を。…我々の味方がその大会に潜り込んでいるので、必ず手に入れるでしょう」
「ふぅん…でも、杖なんて俺使えねーよ。だって、勇者…だし」
「…本来は、勇者の相棒が身につけるものですから」
「………」

ディリーは俺の顔色をうかがう。
…分かってるよ。言いたい事は。
拓也を追って消えたりしないか。
はたまた、もうそのことがもれているのではないか…ってね。
残念だが、もう分かってる。
拓也は、王宮から放り出されたみたいだ。
俺は王宮のメイドが囁いていた噂話を聞いたのだ。

「じゃあ、大会鑑賞でもしよーぜ」
「そうですね…」

と、

ドカアァァァァンッ!!

「!?」
「な、何だっ!?」

突然爆発音が響いた。
見れば、会場の壁が崩れ去っていた。

「ヒィィイイイッ!!」
「ギャアアアアッ!!」

悲鳴が飛び交い、観客達が会場から飛び出して来た。

「一体何が起こったのです!?」

ディリーが逃げ出した観客の一人を捕まえて聞いた。

「ひ…あ、あ、」
「何が、起こったので!?」
「て、天使…」
「え?」
「天使が…壁を…爆破した!ヒィィッ!!」

それだけを言い残し、ディリーを振り払い逃げていってしまった。

「…天使………?」
「………」
『何々~?大変な事になってるわね~?』
「リリーシュ!」

久しぶりに語りかけてきたリリーシュに俺は動揺する。
リリーシュの声は、いつものおどけた感じだ。

『うう~ん。まさか、アリスが天使を創るなんてことないだろうしね』
「アリス!?誰だ!?」
『私の娘よ~。今は創造神やってるわ~』
「創造神…」
『ええ~』

のほほんとした調子はいつもとは変わらない。
それが、酷く恐ろしく感じた。

『天使って創造神のサポーターとして生み出されるものなのよ~。そもそも神様に出来ないことをやってもらうの。…下界に降りてきたって事は…天罰でも降ろすつもりなのかしらぁ?』
「そ、そんな…」

考え込むかのように唸るリリーシュに急いで語りかけた。

「天罰って何だよ!?」
『…人間が、禁忌を犯したとか』
「は!?」
『つまりぃ…神の怒りに触れた者は皆殺し、みたいなぁ?』
「なっ…!」
『ほら、アレ見てよ』

リリーシュが「アレ、アレ」と言うのでさっきの爆発で壁に空いた穴を見ると…
ツインテールの女の子が、血を吐き出して倒れていた。
その近くで竜と共に立ち向かうピンク髪の少年。
向き合っているのは…

「…!?」

赤いマントを羽織った金髪緑眼の…天使。
真っ白な羽を携えて、ニヤリと凶悪な笑みを浮かべるソレ。

「…あ」

途端に、気持ち悪い物が体の中で暴れ出した。
気持ち悪い…苦しい。

「うっ…ぐ」
「ツカサ様っ!?」

ヤバい…頭が、痛い!!

『ちょっと…しっかりしてよ。ツカサ。…ツカサ?』

その声を最後に、俺は意識を失った。
しおりを挟む
感想 117

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……

karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜

ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。 アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった 騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。 今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。 しかし、この賭けは罠であった。 アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。 賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。 アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。 小説家になろうにも投稿しています。 なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

処理中です...