役立たずの俺は異世界で「取得」と呼ばれるスキルで成り上がります

雪塚 ゆず

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第六章 拓也、旅路を行く

第七十二話 観光

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「へえ…色々あるなー」

宿を出て、観光を楽しむことにしたが…外は、お祭りなのか…お面をした人が多かった。
しかも…猫のお面が出揃っている。

「これは、何ですか?」

売っている猫のお面を片手に、店員のお姉さんに聞いてみる。

「ああ!この街に観光に来た方ですね!」

ぽん、と手をついて猫のお面を取り出して説明を始める。

「今はこのフルール街でお祭り中なんですよ!この街には言い伝えがありましてね…昔、魔族にこの街が溢れた事があったんですけど、神聖な精霊がこの街を守ってくれたらしいのです。その時に助けてくれたのが「ケット・シー」という精霊です。この「ケット・シー」をかたどって作られたお面を被って街のお祭りの日に「ケット・シー」への感謝を夜の儀式で伝えるのです」
「へえ…「ケット・シー」か」

そういえば、確かにお面はただの猫のお面には見えなかった。
毛の模様の中に魂のような模様が見えた。

「どうです?お客様も一ついかが?」
「うん。貰うよ。いくら?」
「銅貨3枚です!」

銅貨3枚ーーー日本では300円を支払い、「ケット・シー」のお面を貰う。

「あ、ちなみになんですが…夜の儀式で出席なさる場合は必ず「ケット・シー」のお面をつけてくださいね!儀式中にそのお面を決して外してはいけませんよ…?」
「分かった。ありがとう!」

親切な店員さんに感謝を告げ、その場を後にした。

「さてさて、何か食べる物は…と」
「あーっ!「黒き英雄」っ!」

突然指を差され何事かと思ってみたが…ソフィアだった。

「何っ!?「黒き英雄」っ!?」
「あんたっ!顔よく見せて…って本当だっ!!」

人に群がられた。
…ギュウギュウギュウギュウ。

「せっかく「黒き英雄」がこの街に来てくれたんだ!ソフィー!あんたちゃんとギルドに勧誘したんだろうね!?」

近くにいたおばちゃんがソフィアに話しかけた。
「ソフィー」というのはあだ名だろうか。

「もっちろん!…でも、断られちゃった!」

テヘッと自らの頭を小突いてみせるソフィア。

「旦那ーー、んな固いこと言わずにぃーー」

…何故かおじさんがスリスリと手をこすりながら俺に向かって来た。
「旦那」て…俺か。

「あの、何でこんなに誘うんです?」
「そりゃあ…このフルールの街を代表するのはギルド「ケット・シェルター」だからですよ!このギルド、結構有名なんですよ?知りません?」
「ごめん、知らない」

しゅん…とされたが知らないもんは知らないのだ。
…いや、ごめん。
ギルドの事情は知り得ないもので。

「じゃあっ、夜の儀式には参加してくださいよっ!?」
「そうだ!是非とも!」
「わ…分かりました」
「「ケット・シー」のお面は忘れないでくださいよ?」
「それで…夜の儀式っていうのは」
「山から「ケット・シー」様が降りてきてくださって、去年頂いたお守りをお返しして、新たなお守りをもらうのですよ!今日だけですよ?「ケット・シー」様にお目にかかれるのは!」

運がいいですね!と背中をバシッと叩かれた。
お守り…
お守りで、ネックレスと村の事を思い出した。
皆、元気でやってるかな…
そんな事に思いを巡らせていて、まだ気づかなかったのがいけなかったのかもしれない…
街の人が俺をギルドに引きずり込もうとしているのには、気づくのは大分先だった。
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