役立たずの俺は異世界で「取得」と呼ばれるスキルで成り上がります

雪塚 ゆず

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第七章 天使との関わり

第九十話 アモネス

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「タクヤ…っ、久しぶりっ!」
「うおっ」

ガバッとナナカが細い腕を広げて俺に抱きついてきた。
…何だ?
今日はやけにスキンシップ多めだな。
と。

「……心配、したんだからっ」
「?ナナカ…?」
「う…へぐ、うああああん」
「ちょ…ええええええっ!?」

なんとナナカが泣き出した!
いや、俺、何かしたっ!?
涙腺崩壊!?
ツンツンのナナカが!?

「…………安心しておられるんですよ」
「リチャードさん」

リチャードさん、とはナナカのお世話係であり俺が一番始めに会った村人である。
真面目そうな顔つきは複雑に歪んでいた。

「今まで、ずっと村長としての重みに耐えてきたのです。無理のないことですよ」
「………そっか」
「う、へぐっ、うっ」

らしくないな、と思いながらも泣きじゃくるナナカの頭にポンと手を置いてみる。

「まあ、その、なんだ…頑張ったな」
「うっ、うんっ」

それをきっかけにナナカは涙を拭いていつもの自信あり気な顔に戻った。
俺は司とディリーのほうに振り返る。

「さて、と。おい司。村案内するっ…てどうしたんだ?ディリー」

見てみれば、ディリーが目を見開き硬直している。
目線を追うと、そこにはーーーナナカがいた。

「お、おい、ディリー。どうした?」

司が聞くと、ディリーはポツリとうわごとのようにつぶやいた。

「………モネス」
「え?」
「アモネス…………?」
「アモネスって…」

もしかして。

「ナナカの事か?」
「え…?ち、違う。私はアモネスじゃない。私は、ナナカ・ルルベリーナだ」
「………やっぱり、覚えてないのねアモネス」

途端、ディリーが顔をくしゃっと歪めて走り去っていってしまった。

「お、おい!ディリー!」

慌てたように司がディリーを呼んだが、あいつが止まる事はなかった。
ただ猛然と走り抜けていくその姿を呆然とみんなが見つめた。
と。

「………ナナカ」
「アギトおじい様!?か、体は大丈夫なんですか…?」
「はい、今のところは大丈夫でございますナナカ様」

長老様であるナナカの祖父、アギト様とそのお世話係のリューリャさんが出てきた。
その表情には何故か暗い影がかかっている。

「…すまないナナカ」
「え?」

アギト様が、重い口を開いた。

「お主に黙っていたこと、今話そう……」

























司視点

俺はあの後急いでディリーを追いかけていた。
あいつのあんな顔を見るのは初めてだった。
何か意味があるに違いない。
…目の前に風になびく青髪が飛び込んできた。

「ディリー!」
「…っ、ツカサ様」
「泣いてるのか」

ディリーは涙をポロポロと流しながらうつむいていた。
酷く悲しそうだった。

「あの子、知ってるのか?ディリー」
「……はい。知っています。本人は忘れているようですが…」

ディリーはぐっと唇を噛みしめた。

「なあ、誰なんだ?あの子」
「…あの子はナナカと名乗っていましたね。しかし、本当の名前はアモネス。…私の妹です」


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