ジャック&ミーナ ―魔法科学部研究科―

浅山いちる

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再会⑦

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 ジャック達の前方には森から来た、サギのような鳥型モンスターが群れをなしていた。

「ミーナ! 頼む!」
「えぇ!」

 ミーナは既に灰色の薬を飲んで、ジャックと双剣に触れていた。

 二人よりも、頭三つ分高く飛ぶその敵達を倒すため、ミーナは魔法で、円柱の足場を無数に生み出していく。
 その足場と身体強化の魔法を使って、ジャックはあちらこちらに素早く飛び回り、鳥達を落としていく。双剣を振る彼は、剣の時もよりも圧倒的にスピードを増し、通り過ぎるだけで、敵は斬り刻まれていくほどだった。

 そのままペースを乱すことなく、群れのリーダーである、一回り大きい茶色の鳥へとジャックは辿り着いた。

 敵は、ジャックが近くに来るまで滞空していた。そして、遠くから相手動きを観測し、彼が避けようのない瞬間――彼の足が足場から離れる瞬間をずっと狙っていた。
 やがて寸の間を捉えた敵は、下から掬い上げるように、矢尻のような鋭利な嘴を彼に向け、攻撃を仕掛けた。

 その攻撃は、完全にジャックの腹を貫くコースだった。······普通ならば。

 彼の動きは慣性を無視し、空中で一瞬止まると、僅かに後ろに下がったのだ。

 モンスターの攻撃は虚しくも、宙を舞う。

 そして、そこに生まれた一瞬の隙を見逃さなかったジャックは、下から上がってくる鳥の首元を、腕をクロスさせてスパンッと跳ねた。同時に、空中に居た彼は、後方——近くの足場へと、引っ張られるように戻っていく。

 ジャックは後ろを見て手を上げる。
 
「サンキュー! ミーナ!」
「いいから前見て! まだいるわ!」

 しかし、黒い実に誘惑されているとはいえ、リーダーをやられた鳥の群れはもはや、戦意を喪失し始めていた。
 次第に、十数ほど残っていた鳥達は、一羽、また一羽と森へ引き返していく。自分達の中で一番強いものがやられたのだ。モンスターとはいえ、目の前の敵を超えられないと判断しても仕方がなかった。

 それを見たジャックは足場を跳び移り、見据えた顔をする彼女の元へと戻っていった。

「逃がしちゃったな」

 武器を収めていたジャックは、しまったなぁ······、というように頭を掻いていた。だが彼女のほうは、特にその事を気にしていなかった。

「十分よ。元々、好戦的なモンスターじゃないもの。きっともう来ることはないわ」

 それを聞いてジャックは「そっか」と、軽く息をつく。

「とはいえ······次はアレね」

 ジャックが戦っている最中から遠くには、異形な木——植物型のモンスターが土煙を上げて、彼らに向かってきていた。

「まだいけるかしら? 無理なら私がやるけど?」
「いいよ、任せとけって」

 ジャックはポケットに手を入れると、取り出した赤い薬をポイッと口へ放り込む。

「ただ、お前ほど火力はないからな。危なくなったら頼むわ」

 そう言うとジャックは単身、モンスターの群れへと向かっていった。



 今度は地形を平地にして戦っていた。

 森の一部に化けていた木々はツタを伸ばして、ジャックを捕らえようとする。
 だが彼は、伸びてくるツタを潜り抜けては切り落とし、その本体へ近づくと、武器を持つ左手を伸ばし、敵に触れるか触れないかの距離で魔法を放つ。

 そして、樹木はあっという間に燃えた。

 ジャックは同じことを周りの敵に対し、繰り返し行っていく。
 わざわざ近くで魔法を使うと言うのは一見、無駄にも見える行動だが、これは、魔力の少ない彼が炎で使う消費を抑えるための、訓練中ミーナと思いついた戦法であった。

 瞬く間に増えていく焼け跡の数。

 今回は身体強化の魔法を使っていないため、時折、ジャックの死角から迫るモンスターや、対応しきれないモンスターが複数いたが、それらは、突如現れた土壁が進行を遮り、彼への攻撃を防いでいた。

 特に目を合わせるでもなく、声を掛けるでもなく、二人は息の合った連携を見せていた。

 そんな、剣と魔法を持ったジャックと、それをサポートするミーナが、西から迫る大群を片付けるのはもはや、時間だけの問題であった。
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