73 / 83
再会⑦
しおりを挟む
ジャック達の前方には森から来た、サギのような鳥型モンスターが群れをなしていた。
「ミーナ! 頼む!」
「えぇ!」
ミーナは既に灰色の薬を飲んで、ジャックと双剣に触れていた。
二人よりも、頭三つ分高く飛ぶその敵達を倒すため、ミーナは魔法で、円柱の足場を無数に生み出していく。
その足場と身体強化の魔法を使って、ジャックはあちらこちらに素早く飛び回り、鳥達を落としていく。双剣を振る彼は、剣の時もよりも圧倒的にスピードを増し、通り過ぎるだけで、敵は斬り刻まれていくほどだった。
そのままペースを乱すことなく、群れのリーダーである、一回り大きい茶色の鳥へとジャックは辿り着いた。
敵は、ジャックが近くに来るまで滞空していた。そして、遠くから相手動きを観測し、彼が避けようのない瞬間――彼の足が足場から離れる瞬間をずっと狙っていた。
やがて寸の間を捉えた敵は、下から掬い上げるように、矢尻のような鋭利な嘴を彼に向け、攻撃を仕掛けた。
その攻撃は、完全にジャックの腹を貫くコースだった。······普通ならば。
彼の動きは慣性を無視し、空中で一瞬止まると、僅かに後ろに下がったのだ。
モンスターの攻撃は虚しくも、宙を舞う。
そして、そこに生まれた一瞬の隙を見逃さなかったジャックは、下から上がってくる鳥の首元を、腕をクロスさせてスパンッと跳ねた。同時に、空中に居た彼は、後方——近くの足場へと、引っ張られるように戻っていく。
ジャックは後ろを見て手を上げる。
「サンキュー! ミーナ!」
「いいから前見て! まだいるわ!」
しかし、黒い実に誘惑されているとはいえ、リーダーをやられた鳥の群れはもはや、戦意を喪失し始めていた。
次第に、十数ほど残っていた鳥達は、一羽、また一羽と森へ引き返していく。自分達の中で一番強いものがやられたのだ。モンスターとはいえ、目の前の敵を超えられないと判断しても仕方がなかった。
それを見たジャックは足場を跳び移り、見据えた顔をする彼女の元へと戻っていった。
「逃がしちゃったな」
武器を収めていたジャックは、しまったなぁ······、というように頭を掻いていた。だが彼女のほうは、特にその事を気にしていなかった。
「十分よ。元々、好戦的なモンスターじゃないもの。きっともう来ることはないわ」
それを聞いてジャックは「そっか」と、軽く息をつく。
「とはいえ······次はアレね」
ジャックが戦っている最中から遠くには、異形な木——植物型のモンスターが土煙を上げて、彼らに向かってきていた。
「まだいけるかしら? 無理なら私がやるけど?」
「いいよ、任せとけって」
ジャックはポケットに手を入れると、取り出した赤い薬をポイッと口へ放り込む。
「ただ、お前ほど火力はないからな。危なくなったら頼むわ」
そう言うとジャックは単身、モンスターの群れへと向かっていった。
今度は地形を平地にして戦っていた。
森の一部に化けていた木々はツタを伸ばして、ジャックを捕らえようとする。
だが彼は、伸びてくるツタを潜り抜けては切り落とし、その本体へ近づくと、武器を持つ左手を伸ばし、敵に触れるか触れないかの距離で魔法を放つ。
そして、樹木はあっという間に燃えた。
ジャックは同じことを周りの敵に対し、繰り返し行っていく。
わざわざ近くで魔法を使うと言うのは一見、無駄にも見える行動だが、これは、魔力の少ない彼が炎で使う消費を抑えるための、訓練中ミーナと思いついた戦法であった。
瞬く間に増えていく焼け跡の数。
今回は身体強化の魔法を使っていないため、時折、ジャックの死角から迫るモンスターや、対応しきれないモンスターが複数いたが、それらは、突如現れた土壁が進行を遮り、彼への攻撃を防いでいた。
特に目を合わせるでもなく、声を掛けるでもなく、二人は息の合った連携を見せていた。
そんな、剣と魔法を持ったジャックと、それをサポートするミーナが、西から迫る大群を片付けるのはもはや、時間だけの問題であった。
「ミーナ! 頼む!」
「えぇ!」
ミーナは既に灰色の薬を飲んで、ジャックと双剣に触れていた。
二人よりも、頭三つ分高く飛ぶその敵達を倒すため、ミーナは魔法で、円柱の足場を無数に生み出していく。
その足場と身体強化の魔法を使って、ジャックはあちらこちらに素早く飛び回り、鳥達を落としていく。双剣を振る彼は、剣の時もよりも圧倒的にスピードを増し、通り過ぎるだけで、敵は斬り刻まれていくほどだった。
そのままペースを乱すことなく、群れのリーダーである、一回り大きい茶色の鳥へとジャックは辿り着いた。
敵は、ジャックが近くに来るまで滞空していた。そして、遠くから相手動きを観測し、彼が避けようのない瞬間――彼の足が足場から離れる瞬間をずっと狙っていた。
やがて寸の間を捉えた敵は、下から掬い上げるように、矢尻のような鋭利な嘴を彼に向け、攻撃を仕掛けた。
その攻撃は、完全にジャックの腹を貫くコースだった。······普通ならば。
彼の動きは慣性を無視し、空中で一瞬止まると、僅かに後ろに下がったのだ。
モンスターの攻撃は虚しくも、宙を舞う。
そして、そこに生まれた一瞬の隙を見逃さなかったジャックは、下から上がってくる鳥の首元を、腕をクロスさせてスパンッと跳ねた。同時に、空中に居た彼は、後方——近くの足場へと、引っ張られるように戻っていく。
ジャックは後ろを見て手を上げる。
「サンキュー! ミーナ!」
「いいから前見て! まだいるわ!」
しかし、黒い実に誘惑されているとはいえ、リーダーをやられた鳥の群れはもはや、戦意を喪失し始めていた。
次第に、十数ほど残っていた鳥達は、一羽、また一羽と森へ引き返していく。自分達の中で一番強いものがやられたのだ。モンスターとはいえ、目の前の敵を超えられないと判断しても仕方がなかった。
それを見たジャックは足場を跳び移り、見据えた顔をする彼女の元へと戻っていった。
「逃がしちゃったな」
武器を収めていたジャックは、しまったなぁ······、というように頭を掻いていた。だが彼女のほうは、特にその事を気にしていなかった。
「十分よ。元々、好戦的なモンスターじゃないもの。きっともう来ることはないわ」
それを聞いてジャックは「そっか」と、軽く息をつく。
「とはいえ······次はアレね」
ジャックが戦っている最中から遠くには、異形な木——植物型のモンスターが土煙を上げて、彼らに向かってきていた。
「まだいけるかしら? 無理なら私がやるけど?」
「いいよ、任せとけって」
ジャックはポケットに手を入れると、取り出した赤い薬をポイッと口へ放り込む。
「ただ、お前ほど火力はないからな。危なくなったら頼むわ」
そう言うとジャックは単身、モンスターの群れへと向かっていった。
今度は地形を平地にして戦っていた。
森の一部に化けていた木々はツタを伸ばして、ジャックを捕らえようとする。
だが彼は、伸びてくるツタを潜り抜けては切り落とし、その本体へ近づくと、武器を持つ左手を伸ばし、敵に触れるか触れないかの距離で魔法を放つ。
そして、樹木はあっという間に燃えた。
ジャックは同じことを周りの敵に対し、繰り返し行っていく。
わざわざ近くで魔法を使うと言うのは一見、無駄にも見える行動だが、これは、魔力の少ない彼が炎で使う消費を抑えるための、訓練中ミーナと思いついた戦法であった。
瞬く間に増えていく焼け跡の数。
今回は身体強化の魔法を使っていないため、時折、ジャックの死角から迫るモンスターや、対応しきれないモンスターが複数いたが、それらは、突如現れた土壁が進行を遮り、彼への攻撃を防いでいた。
特に目を合わせるでもなく、声を掛けるでもなく、二人は息の合った連携を見せていた。
そんな、剣と魔法を持ったジャックと、それをサポートするミーナが、西から迫る大群を片付けるのはもはや、時間だけの問題であった。
0
あなたにおすすめの小説
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中
桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。
やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。
「助けなんていらないわよ?」
は?
しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。
「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。
彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。
【完結】国外追放の王女様と辺境開拓。王女様は落ちぶれた国王様から国を買うそうです。異世界転移したらキモデブ!?激ヤセからハーレム生活!
花咲一樹
ファンタジー
【錬聖スキルで美少女達と辺境開拓国造り。地面を掘ったら凄い物が出てきたよ!国外追放された王女様は、落ちぶれた国王様゛から国を買うそうです】
《異世界転移.キモデブ.激ヤセ.モテモテハーレムからの辺境建国物語》
天野川冬馬は、階段から落ちて異世界の若者と魂の交換転移をしてしまった。冬馬が目覚めると、そこは異世界の学院。そしてキモデブの体になっていた。
キモデブことリオン(冬馬)は婚活の神様の天啓で三人の美少女が婚約者になった。
一方、キモデブの婚約者となった王女ルミアーナ。国王である兄から婚約破棄を言い渡されるが、それを断り国外追放となってしまう。
キモデブのリオン、国外追放王女のルミアーナ、義妹のシルフィ、無双少女のクスノハの四人に、神様から降ったクエストは辺境の森の開拓だった。
辺境の森でのんびりとスローライフと思いきや、ルミアーナには大きな野望があった。
辺境の森の小さな家から始まる秘密国家。
国王の悪政により借金まみれで、沈みかけている母国。
リオンとルミアーナは母国を救う事が出来るのか。
※激しいバトルは有りませんので、ご注意下さい
カクヨムにてフォローワー2500人越えの人気作
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。
無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです
竹桜
ファンタジー
無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。
だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。
その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる