取り巻き令嬢Fの婚活

キマイラ

文字の大きさ
14 / 19

14

しおりを挟む
 二週間なんのトラブルもなく馬車に揺られてやってきましたフォーテスキュー領。長かった。ここまで長かった。もう王都に戻りたくないくらい遠かった。

「ここまで来たらあとちょっとですよ! といってもここから家まで二時間かかるんですけどね」

「あと少し、だな」

 辻馬車を拾って四年と数か月ぶりの我が家へとたどり着いた。

「我が家へようこそフランシスさん」



+++++



「まあフェリシア、随分大人っぽくなって!」

「お母様! お久しぶりです! お父様も!」

「おいおい、私はついでかい?」

「お父様、お母様、紹介します。フランシスさんです」

「フランシス・アンダーソンと申します。お嬢様とお付き合いさせていただいております」

「随分年が離れているようだね」

「色々あったのです」

「ぜひその色々を聞いてみたいものだ」

「お父様と恋バナをするのはちょっと……」

「あら、じゃあお母様に聞かせてくれる?」

「まあお母様なら……。実は学園に入学してからというもののある方の取り巻きをしていたのですがようやく目が覚めまして。取り巻きをやめて一人でいるところを仲間外れにされているのかと心配してくださったのが始まりです」

「まあ、それでどうなったの?」

「そこからちょっとずつ仲良くなって今に至ります」

 さすがの私も既成事実もろもろのやり取りを両親に伝える勇気はない。そんな蛮勇持ち合わせてない。

 お母様はこの説明でまあそうなの、と納得してくれたのだが問題はお父様である。ちょっと年が離れすぎてるんじゃないかなどとブツブツ言っている。

「いい人がいたらふん縛ってでも領地に連れて帰れとのことでしたからフランシスさんを連れて来ましたがなにか問題でも?」

 にっこりと笑顔で言い切ればお父様も黙った。それから四人で会話をしてお父様もフランシスさんを選んだことに納得してくれたようだった。

 両親とフランシスさんの顔合わせは上手くいったと思う。お父様は最初フランシスさんの年齢に引っかかっていたみたいだけど、最終的にすぐにでも領地に来てほしいと言うくらいには気に入ってもらえた。それから正式に婚約したからミッションコンプリート。あとは私が学園を卒業したら結婚するだけ。やりきった……。これにて婚活終了! おめでとう!

 今後の流れとしては来年の夏休みに一度帰省してドレスの採寸。冬休みは帰省できないから卒業後に試着してそれから細かいところを直してもらって三か月後には挙式の予定だ。取り巻き仲間は招待したら来てくれるだろうか。さすがに片道二週間かかるし断られるかしら。あとある意味でアレックス様のおかげだから招待した方がいいのだろうか。などと考えている私は今猛烈に浮かれている。

「はっ……!」

 婚活終了じゃない! まだ結婚までフランシスさんに振られないっていう大事なミッションがあるじゃないの! でも振られないようにするってどうすれば……? 色仕掛け、はもうしているようなものだし(私に色気があるかは置いておいて)、胃袋は掴みつつあると信じたい。もしかして、できること、ない……? なら今の路線を継続すればいいの? でもマンネリは避けたい。飽きられないようにしたいのだ。

 というわけでお母様に相談したんだけど既成事実つくっちゃえば? と言われて終わった。それはもう試しているんですとも言えずに黙り込んだ。だいたい卒業するまで最後まではしないって明言されているし……。これ以上のいかがわしい行為ってなに……? 自分から責めればいいの……?

「そうだ……」

 私たちの行ういかがわしい行為は私が気持ちよくなっておしまいなのだ。フランシスさんにも気持ちよくなってもらえばいいのでは? フランシスさんもそういう気分になっていることは間違いないのだ。固くなってたし。別に最後までしなくても手とか口とかでよくなってもらえばいいのだ。考えれば考えるほどいい案な気がしてくる。でも一つ問題がある。前世の記憶があるから御令嬢にしては耳年増なわけだがフランシスさんはそんなことは知らない。引かれないだろうか? 

 ……全部教えてもらう体で行えばよいのでは? 我ながら妙案だと思った。王都に戻ったら試してみよう。その前に夏休みの課題と戦わないといけないけど。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

コワモテ軍人な旦那様は彼女にゾッコンなのです~新婚若奥様はいきなり大ピンチ~

二階堂まや♡電書「騎士団長との~」発売中
恋愛
政治家の令嬢イリーナは社交界の《白薔薇》と称される程の美貌を持ち、不自由無く華やかな生活を送っていた。 彼女は王立陸軍大尉ディートハルトに一目惚れするものの、国内で政治家と軍人は長年対立していた。加えて軍人は質実剛健を良しとしており、彼女の趣味嗜好とはまるで正反対であった。 そのためイリーナは華やかな生活を手放すことを決め、ディートハルトと無事に夫婦として結ばれる。 幸せな結婚生活を謳歌していたものの、ある日彼女は兄と弟から夜会に参加して欲しいと頼まれる。 そして夜会終了後、ディートハルトに華美な装いをしているところを見られてしまって……?

婚約者は無神経な転生悪役令嬢に夢中のようです

宝月 蓮
恋愛
乙女ゲームのモブに転生したマーヤ。目の前にいる婚約者はそのゲームの攻略対象だった。しかし婚約者は悪役令嬢に救われたようで、マーヤそっちのけで悪役令嬢に夢中。おまけに攻略対象達に囲まれている悪役令嬢も転生者で、何だか無神経発言ばかりで少しモヤモヤしていしまうマーヤ。そんな中、マーヤはゲームには関係ない隣国の公爵令息と仲良くなり……!? 小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。

贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる

マチバリ
恋愛
 貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。  数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。 書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。

お買い上げありがとうございます旦那様

キマイラ
恋愛
借金のかたに嫁いだ私。だというのに旦那様は「すまないアデライン、君を愛することはない。いや、正確には恐らく私は君を愛することができない。許してくれ」などと言ってきた。 乙女ゲームのヒロインの姉に転生した女の結婚のお話。 「王太子殿下に魅了をかけてしまいました。大至急助けてください」にチラッと出てきたアデラインが主人公です。単体で読めます。

【完結】初恋の彼に 身代わりの妻に選ばれました

ユユ
恋愛
婚姻4年。夫が他界した。 夫は婚約前から病弱だった。 王妃様は、愛する息子である第三王子の婚約者に 私を指名した。 本当は私にはお慕いする人がいた。 だけど平凡な子爵家の令嬢の私にとって 彼は高嶺の花。 しかも王家からの打診を断る自由などなかった。 実家に戻ると、高嶺の花の彼の妻にと縁談が…。 * 作り話です。 * 完結保証つき。 * R18

普通のOLは猛獣使いにはなれない

ピロ子
恋愛
恋人と親友に裏切られ自棄酒中のOL有季子は、バーで偶然出会った猛獣(みたいな男)と意気投合して酔った勢いで彼と一夜を共にしてしまう。 あの日の事は“一夜の過ち”だと思えるようになった頃、自宅へ不法侵入してきた猛獣と再会し、過ちで終われない関係となっていく。 普通のOLとマフィアな男の、体から始まる関係。

真面目な王子様と私の話

谷絵 ちぐり
恋愛
 婚約者として王子と顔合わせをした時に自分が小説の世界に転生したと気づいたエレーナ。  小説の中での自分の役どころは、婚約解消されてしまう台詞がたった一言の令嬢だった。  真面目で堅物と評される王子に小説通り婚約解消されることを信じて可もなく不可もなくな関係をエレーナは築こうとするが…。 ※Rシーンはあっさりです。 ※別サイトにも掲載しています。

敵将を捕虜にしたら夫になって、気づけば家族までできていました

蜂蜜あやね
恋愛
戦場で幾度も刃を交えてきた二人―― “赤い鷲”の女将軍イサナと、 “青狼”と恐れられたザンザの将軍ソウガ。 最後の戦いで、ソウガはイサナの軍に捕らえられる。 死を覚悟したその瞬間―― イサナは思わず、矢面に立っていた。 「その者は殺させない。命は……私が引き受けます」 理由などなかった。 ただ、目の前の男を失いたくなかった。 その報告を受けた皇帝エンジュは、 静かに、しかし飄々とした口調で告げる。 「庇いたいというのなら――夫として下げ渡そう」 「ただし、子を成すこと。それが条件だ」 敵国の将を“夫”として迎えるという前代未聞の処置。 拒否権はない。 こうしてソウガは、捕虜でありながら 《イサナの夫》としてアマツキ邸に下げ渡される。 武でも策でも互角に戦ってきた男が、 今は同じ屋根の下にいる。 捕虜として――そして夫として。 反発から始まった奇妙な同居生活。 だが、戦場では知り得なかった互いの素顔と静かな温度が、 じわじわと二人の距離を変えていく

処理中です...