光の庭

久世 かやの

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「~中章~」

「~中章~」 10

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「…ギブアップでも、何でもいいや…」

花倉は肩の荷を下ろしたように、楽になった。

″でも賭けを途中でやめると、一体どうなるんだろう…星川さんの望んだシナリオが、始まるのだろうか…?″ 

花倉は、この時すでに38になっていた… 





聞こえてくる音は水辺に打ち寄せる水音と、風が桜の花びらを舞い上げる音だけだった…

桜並木の道に人の姿はなく、大きな扉の前にたどり着くと、番人の男性が一人立っていた。

仮面を付けているのは、決まりなのだろうか… 

「こんにちは…心の準備はよろしいですか?」

白い仮面に白いローブ姿の番人が、優しく声をかけてきた。 

「今日は、よろしくお願いします…」

男が番人に軽く頭を下げると、勝手の分からない女も、つられて頭を下げた。 

「見送り人がいないというのも、いいですね…」

番人の顔は仮面で分からないのに、微笑んでいるように見えた。 

「ええ…静かなのが好きなので…」

男が慣れた感じで、番人に受け答えをしている…
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