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1年 1学期
第7話 透明人間の料理 - invisible cooking -
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レクリエーション合宿前の朝はなかなかバタバタしていた。
「まもる、荷物全部持った?しおりは絶対忘れたらダメよ。それから念のためレインコート入れとくね。それに、」
「母さんそんなに荷物いらないよ。一泊二日だし大丈夫だって」
「あ、それからおみあげ買ってきてね。おじいちゃんちの分も」
「分かってるって。行ってきます」
俺よりもワクワクしている母に見送られながら俺は家を出た。
学校の前にはすでにバスが止まっており、みんなもうすでに集まっていた。
「みんなおはよー」
「おはよう、蔭野君。ところでその大荷物は?」
キムが俺のパンパンのカバンを指差す。
「あーこれは母さんがあれもこれも持ってけって」
「それに比べてキムは荷物少ないね」
今度はしんちゃんがキムの旅行には小さいカバンを指差す。
「遊ぶものなどは極力持ってこないようにしているからな。」
「へー、トランプとかみんなでしないの?」
「そんな時間があったらしおりを見てるよ。それより、高宮の姿が見当たらないが。」
「確かに遅いな。まぁそのうち来るだろ」
結局高宮はバスの出発ギリギリに来た。どうやら学校に来るまでにお菓子やら何やらを買ったようで袋を両手にいっぱい持っていた。
「そんなに買ってどうするんだよ。バスに乗ってるのせいぜい3時間だぞ」
「みんなで食べれば無くなるって。蔭野も食べるだろ?」
「まぁな、でも着いたらすぐ昼飯だぞ」
「大丈夫だって。俺だってガキじゃないしさ」
お菓子をてんこ盛り買ってくる時点でガキじゃないのかと思いつつ、後ろを振り返るとキムが熱心にしおりを読んでいた。
「しおりは家でもう読んで来たんじゃないのか?手元ばっかり見てると酔うぞ」
「それでも一応確認はしておかないと」
「キムは昔から慎重すぎるよ」
「後で後悔したくないだけだよ」
少しすると乗り物酔いになっていた。キムではなく高宮が。どうやらはしゃぎすぎたらしい。そんな気分の悪い高宮を連れてバスは目的地に着いた。
「うぇー、気持ち悪い。頭がグルグルする」
「だから言ったのに。昼飯食えるのか?」
「少し休んだら?向こうの方で風当たってきなよ」
さすが班長の若田さん。よく気が回る。それとは反対に高宮は完全にお荷物だな。中嶋もバスが着くとすぐにどっか行ったし。
結局、BBQの準備は若田さん、相沢さん、佐々木さん、俺の4人ですることになった。若田さんは淡々と火をつけ飯ごう炊さんの準備をしている。相沢さんと佐々木さんは野菜を切っていたが、佐々木さんの手つきがおかしい。
「あの、かなちゃん(佐々木)大丈夫?なんか玉ねぎすごい前衛的な形になってるけど」
「大丈夫だよー。家でもこんな感じだし」
佐々木さん飯まずなのか。完璧そうに見えても苦手なことあるんだな。俺は肉を取り出していた手を止めて2人に駆け寄った。
「あの、佐々木さん俺代わるよ。若田さん手伝ってきて」
「え?いや、いいよ」
「かなちゃん、代わってもらったほうがいいよ」
相沢さんに言われ佐々木さんは渋々火の方へ向かった。俺は前衛的な玉ねぎを小さく切り分け、他の野菜も食べやすいサイズに切る。
「蔭野君手慣れてるね」
「いや、親の手伝いしてるだけだよ」
(引きこもっている間にやることないなら家のことを手伝えと母さんに言われて、中学卒業の頃に家事が一通りできるようになっただけなんだけどな)
そんな俺の手慣れた様子を羨ましそうに佐々木さんが見ている。そして、そんな佐々木さんに見られている俺を高宮が羨ましそうに見ている。やれやれ、メンドーだな。
そうこうしてるうちに昼食の準備ができたが、中嶋はまだ戻っていなかった。
「高宮、お前中嶋見てないか?」
「バス降りてすぐはこの辺にいたけどしばらく見てないな」
班のメンバーで周辺を探してみたが、見つからなかった。若田さんが谷内先生に電話したけど、誰かと通話中なのか繋がらない。
「なぁ蔭野は中嶋の番号知らないのか」
「知らないな、友達とかじゃないからな。それよりもう先食べた方がいいだろ。後片付けもあるしさ」
結局俺たちが食べ終わっても中嶋は姿を見せなかった。
「まもる、荷物全部持った?しおりは絶対忘れたらダメよ。それから念のためレインコート入れとくね。それに、」
「母さんそんなに荷物いらないよ。一泊二日だし大丈夫だって」
「あ、それからおみあげ買ってきてね。おじいちゃんちの分も」
「分かってるって。行ってきます」
俺よりもワクワクしている母に見送られながら俺は家を出た。
学校の前にはすでにバスが止まっており、みんなもうすでに集まっていた。
「みんなおはよー」
「おはよう、蔭野君。ところでその大荷物は?」
キムが俺のパンパンのカバンを指差す。
「あーこれは母さんがあれもこれも持ってけって」
「それに比べてキムは荷物少ないね」
今度はしんちゃんがキムの旅行には小さいカバンを指差す。
「遊ぶものなどは極力持ってこないようにしているからな。」
「へー、トランプとかみんなでしないの?」
「そんな時間があったらしおりを見てるよ。それより、高宮の姿が見当たらないが。」
「確かに遅いな。まぁそのうち来るだろ」
結局高宮はバスの出発ギリギリに来た。どうやら学校に来るまでにお菓子やら何やらを買ったようで袋を両手にいっぱい持っていた。
「そんなに買ってどうするんだよ。バスに乗ってるのせいぜい3時間だぞ」
「みんなで食べれば無くなるって。蔭野も食べるだろ?」
「まぁな、でも着いたらすぐ昼飯だぞ」
「大丈夫だって。俺だってガキじゃないしさ」
お菓子をてんこ盛り買ってくる時点でガキじゃないのかと思いつつ、後ろを振り返るとキムが熱心にしおりを読んでいた。
「しおりは家でもう読んで来たんじゃないのか?手元ばっかり見てると酔うぞ」
「それでも一応確認はしておかないと」
「キムは昔から慎重すぎるよ」
「後で後悔したくないだけだよ」
少しすると乗り物酔いになっていた。キムではなく高宮が。どうやらはしゃぎすぎたらしい。そんな気分の悪い高宮を連れてバスは目的地に着いた。
「うぇー、気持ち悪い。頭がグルグルする」
「だから言ったのに。昼飯食えるのか?」
「少し休んだら?向こうの方で風当たってきなよ」
さすが班長の若田さん。よく気が回る。それとは反対に高宮は完全にお荷物だな。中嶋もバスが着くとすぐにどっか行ったし。
結局、BBQの準備は若田さん、相沢さん、佐々木さん、俺の4人ですることになった。若田さんは淡々と火をつけ飯ごう炊さんの準備をしている。相沢さんと佐々木さんは野菜を切っていたが、佐々木さんの手つきがおかしい。
「あの、かなちゃん(佐々木)大丈夫?なんか玉ねぎすごい前衛的な形になってるけど」
「大丈夫だよー。家でもこんな感じだし」
佐々木さん飯まずなのか。完璧そうに見えても苦手なことあるんだな。俺は肉を取り出していた手を止めて2人に駆け寄った。
「あの、佐々木さん俺代わるよ。若田さん手伝ってきて」
「え?いや、いいよ」
「かなちゃん、代わってもらったほうがいいよ」
相沢さんに言われ佐々木さんは渋々火の方へ向かった。俺は前衛的な玉ねぎを小さく切り分け、他の野菜も食べやすいサイズに切る。
「蔭野君手慣れてるね」
「いや、親の手伝いしてるだけだよ」
(引きこもっている間にやることないなら家のことを手伝えと母さんに言われて、中学卒業の頃に家事が一通りできるようになっただけなんだけどな)
そんな俺の手慣れた様子を羨ましそうに佐々木さんが見ている。そして、そんな佐々木さんに見られている俺を高宮が羨ましそうに見ている。やれやれ、メンドーだな。
そうこうしてるうちに昼食の準備ができたが、中嶋はまだ戻っていなかった。
「高宮、お前中嶋見てないか?」
「バス降りてすぐはこの辺にいたけどしばらく見てないな」
班のメンバーで周辺を探してみたが、見つからなかった。若田さんが谷内先生に電話したけど、誰かと通話中なのか繋がらない。
「なぁ蔭野は中嶋の番号知らないのか」
「知らないな、友達とかじゃないからな。それよりもう先食べた方がいいだろ。後片付けもあるしさ」
結局俺たちが食べ終わっても中嶋は姿を見せなかった。
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