あの鐘がなる前に

夏川彩香

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5 中学卒業!!theドロケイ

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「再開するよ」
春樹が再開のボタンを押すと修学旅行の懐かしい笑顔は段々と薄くなった。
その代わりに、中学の卒業式の写真が現れた。
その写真は、卒業式が終わった後に公園で遊んだ時に撮ったものだ。
この写真は、今見ても苦笑いしてしまう。


「この制服を着るのも今日が最後なんだよねー」
「ねぇー、寂しいね。」
夏希と沙奈がしみじみしている。
「そ~うか?どうせ高校も6人一緒だし」
勇太が空を見上げながら普通に言う。
「ほんとっ!あんたってデリカシーないわよね」
李美香は、勇太を睨みながらいった。
「はぁ?どーうゆうことだよ!」
「だから彼女の1人もできないのよ」
「俺だって高校ではモテて彼女の1人や2人ぐらい!」
いつも通りの2人の争いだ。
「彼女が2人いたら二股じゃね?」
准が突っ込むと、沙奈が「そうだ!そうだ!」と勇太に向かっていう。
「まぁ、初めはモテるんじゃない?中学でもそうだったし」
春樹が上の空で言う。
「だろー!」
「でも、2ヵ月ぐらいですぐにモテなくなるだろ」
「そーだね!勇太だし。」
夏希も春樹に乗った。
「勇太だしとかなんだし!」
「まぁまぁ、仲良くしてよ」
李美香がため息をつきながら言った。
「おめーが、もとだろ!」
「勇太、うらるさい。」
4人がぴゃりと、言う。
「このあと公園でパァーと打ち上しよ!」
「公園かよ」
「いいんじゃね!高校生になったら公園なんて行けないし」
「じゃあ、いこ!」
「いこいこー!」
「・・・」
「いくぞー!」
張り切る、勇太のあとにみんなが続く。
「沙奈!!」
春樹は1番後を歩いていた沙奈にだけ聞こえる声で沙奈を呼び
紗奈のセーラー服の袖を掴む。
沙奈「わっ!どうしたの」
春樹「ちょっとまって!」
4人は思い出話に花を咲かしていて春樹と沙奈には気づかない。
「・・・これ」
春樹は、制服の第2ボタンを沙奈に渡した。
「こんな俺だけど、・・俺と・・・付き合って・・・ほしい」
沙奈は驚い顔をして、
「え!あっ、えーーと。え?あっ、よろしくお願いします・・・ですかね?」
「・・・うん、多分」
それか、ふたりして吹き出した。
「じゃぁ!行きますか!」
「いきますかね!」
そして、2人は4人の元へかけだした。

公園に着いてから、夏希と勇太は大はしゃぎだった。
「でー?なにすんの?まさか、来ただけで終わりとか無いよね?」
李美香があきらながら言った。
「はい!ドロケイ!」
「ダルマさんがころんだ!」
夏希と勇太の声がかぶった。
「いや、なぜダルマさん?」
李美香が小馬鹿にしたようにつぶやいた。
「勇太の顔がダルマだもんな」
春樹が真顔でいう。
「はっ?その真顔やめろ!キモメガネ!
それに、俺の顔はスマートで整ってるかおですー!」
「あっ、ダルマバカにした。たたられるぞ!」
准まで参戦してきた。
「あーもう!ドロケイで決定ね!」
夏希がそう言い切り、勇太の意見はあっさり流された。
「じゃぁ、勇太!警察よろしくね!」
夏希はそう言って走り去っていた。
「は?ちょっ!夏希ー!あーー!なんでみんな勝手に逃げるんだよ!俺警察!?
はぁ?全員たいほしてやるからな!」
 勇太は燃えていた。

「あいつ馬鹿だよなぁー」
「独り言で燃えてる」
夏希と准が植木の陰で、偶然一緒になった。小学生の頃からよく、この植木の陰に隠れていた。
「ねぇ、准。」
「ん?」
「春樹と沙奈、いい感じだったよね?」
「あー、たしかにな」
「それでさ、思ったんだけど。春樹の第二ボタンがなくなってるんだよ。」
「へーー、沙奈にあげたのかもな」
「へーー、じゃないでしょ!なんでそんなきょうみなさげなの!?」
「だって、2人が付き合おうと付き合わなかろうと2人のかってだろ?」
「そーだけど。」
夏希がなんだか、悔しそうに言う。
ガサガサ。
准と夏希は突然の足音にビクッとし、黙りこくる。
「たしか、准とか夏希はこのへんによく隠れてなよな。」
勇太のこえだった。
その時、夏希が大きく揺れて体が葉にあたりガサッと音がなった。
夏希を睨むと、夏希の足元に緑の毛虫がいた。
「ん?物音が・・・」
うわぁー、絶体絶命。
准は、咄嗟に「みゃあーーー。」と、猫の鳴きまねをした。
「ん?なんだ。猫か。」
まじか。
准は、勇太が離れてからつぶやいた。
「あいつほんとに馬鹿なんだな」
「そんなことより!毛虫どうにかして!」
夏希は、半泣き状態でいった。
「いや、俺も触りたくないし。」
と言いつつ、そのへんの小枝で毛虫を遠くに飛ばす。
「ほらよっ!」
その後の、小枝を植木の方に投げた。
そしたら、夏希の腕に蜘蛛が落ちてきた。
准が、やべーと思った時には遅くて夏希は無言の叫びを上げていた。
てんぱった夏希は、足元の根に足を引っ掛けた。
夏希の体か准の方へ倒れる。
その勢いで准も背中から倒れ込む。
いったぁー、と思ってから夏希との顔の近さにびっくりした。
てか、これってーーーーーーーーーーーーーーーキスしてる?
夏希の唇が、自分の唇に重なっている。ような気がする。准は、なんかの間違えなんじゃないかと思った。
 それから、夏希がバッと起き上がりその勢いで立ち上がった。
「あっ、夏希。ごめ・・・」
夏希の顔を見ると、惚けた顔していた。
准と目が合うと、なんだか泣きそうな顔になり・・・
バチンっ!
准の頬に夏希の平手が飛んできた。
「ってーー」
「・・・」
そこに、勇太が「あー、やっぱりいたんじゃねえか!はい!逮捕ーー」と、やってきた。
 
牢屋になったジャングルジムの中には春樹が既に捕まっていて、近づくとニヤと笑って片手を軽く上げた。
「おふたりさんがこんなに早くつまるなんてめずら・・・」
春樹は、2人の漂わせる雰囲気に途中で口を閉じた。
夏希は、ジャングルジムの端で陰気な雰囲気を出している。
「おい、お前らなんかあったの?」
「・・・キスした?」
はぁーーーー!?春樹の驚きの声が公園に響いた。
准は、しかなた無く理由を説明した。
「あー、うん。ノーカウントでしょ。」
「えっ!そうか?」
「うん、だって事故だろ。ノーカウント。」
春樹は、そう言ってから、夏希もお前に平手食らわしてるし、謝れば終わるだろ。どこか、空を見上げながら言った。
「なつきーー!准が言いたいことあるって!」
夏希は、静かに振り返った。
「あっ、の、さっきのはノーカウントだろ!ぜってーー、ノーカウント。セーフ」
「・・・そう?」
「ああ、ノーカウント。ノーカウント」
夏希の表情が少し和らいだ時に、沙奈が牢屋に入ってきた。
「あーもう!勇太に捕まるなんて私の足も衰えたものよ!」
沙奈は、ものすごく悔しそうにジャングルジムを拳でバンバン叩く。
「なぁ、春樹。沙奈も、結構凶暴女だよな」
准がこっそっと言うと、春樹は苦笑いするだけだった。
「ねぇ、准。聞こえてるんだけど」
「ひぇー、怖い怖い」
そんな、やり取りをしているとジャングルジムの前をものすごいスピードで李美香と勇太が通り抜けていった。
「あんたなんに、捕まってなるものですか!おーほっほっほっ」
「のれーー!泥棒&年齢偽証&結婚詐欺&暴行罪の罪だーーー!まてーー!」
変な事を叫びながら、走り回る2人をポカーンと4人は見ていた。
「李美香て足早かったわね。そういえば」
「魔女とアホ?」
「ぶはっ!魔女とアホとかウケるー!ていうか、魔女と卵?あははは」
「おい、夏希は勇太をどんな目で見てんだよ。魔女とか言ってる、夏希と准は後で李美香に殺されるぞ。」

それから、10分後ぐらいしても2人の追いかけっこは終わらない。
「おーい、二人ともー。終わりにして、最後に記念写真とろうよー!卒業の!」
沙奈が2人に呼びかけると2人は、息を切らしながら近寄ってきた。
「あー、疲れたぁー」
「あー!畜生!あと少しで全員逮捕だったのに!」
「おーほっほっほっ。まだまだね」
まだ、言い合ってる2人に春樹があきれながら、写真とるから早くジャングルジムに登って?と言う。
春樹が3脚にカメラをセットして、素早く沙奈の隣に言った。
「あと10秒ぐらい」
「はぁーい。」
その時夏希の方に、ミノムシがおちてきた。
「ぎゃーーーー!」
それを振り払ったら、勇太の頭の上にミノムシが飛んだ。
「わぁっ!!」
勇太がバランスを崩して、准に捕まる。
「ちょっ!危なっ!」
一緒にバランスを崩した准は、李美香に捕まろうとしたら、李美香がさっとよけた。

パシャッ


「この写真て、ほんとに瞬間的な写真よね?」
沙奈が苦笑いしながら、言った。
「確かにな、ジャングルジムの下でたってる春樹と沙奈だけだ平穏な笑顔だよな。」
准も、苦笑いするしかない。
「上の4人は、大惨事だよな。」
「てか、こらほんとに使うの?」
李美香が春樹に使うと春樹はもちろんという顔をしてから言った。
「バッチリな写真より、かっこ悪い写真の方が俺達らしいだろ?」
「まぁーな。」
たしかに、そのとおりだ。
「てか、中学生なんて懐かしいすぎるわのね。」
「あー、遠いわっ!歳をとったわよね。」
李美香がしみじみいう。
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