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4「禅僧・定慈」
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4「禅僧・定慈」
禅宗の僧侶定慈。彼は30歳になり思うところがあり全国行脚の旅に出た。
それから20年、雲水をしながら日本全国を托鉢して歩いた。
普通の職業僧侶と違い、定慈の宗派は禅宗であったが、行く先々で要望があればどんな
宗派のお経もあげられる宗派に囚われない僧侶だった。
彼が好きな言葉はずばり「雲水」流れる雲と水のごとし。
だから、彼は自鉢という木の器と網代笠にワラジのみで全国を行脚した。
京都を出てから20年という歳月を掛け、北は稚内。
南は沖縄の波照間まで日本一周ひとりで托鉢した。
そして今、20年ぶりに京都へ戻って来たのであった。
宇治にある報国寺の山門前に定慈は立っていた。
この山門を出たのが20年前・・・懐かしさがこみ
上げてきた。
「拙僧のことなど覚えてる僧はいないだろうなぁ・・・20年は長い・・・」
寺務所に声を掛けた「ごめんください」
「はい!いらっしゃいませ」定慈を見た僧侶は
合掌をした。
「拙僧は20年前、この寺から行脚の旅に出た定慈と申します。
当時は栄源僧正に師事しておりました。
その頃すでにご70歳過ぎの高齢で、今はもうおられないと存じますが、
その栄源僧正ご存じの方はおられませんでしょうか?」
「はい、お待ち下さい」
ほどなくして僧は戻ってきた。
「栄善という僧がおります。20数年前から当寺におります。今、こちらに来ますので
お掛けになってお待ち下さい」
引戸が開き栄善と思われる老僧がやってきた。
「お疲れ様です。拙僧が栄善です」
定慈に見覚えはなかった。
「拙僧は定慈と申します。栄源僧正に師事しておりましたが思うところがあり、
20年前、全国行脚の旅に出てただいま戻りました」
「はあ??・・・20年前、栄源僧正ですか・・・?
拙僧は25年前から在籍してますが・・・
そのようなお名前の僧侶に記憶にありませんが・・・」
「待って下さい。100年前ならいざ知らず、たかだか20年。私はともかく
僧正の記憶も無いとは信じられません。もう一度よく思い出して下さいませんか?」
「それは良いですけど、本当に報国寺で間違いないですか?」
「報国寺・・・?ここ報国寺って云うの・・・?」
「ハイ、禅宗別格本山報国寺ですけど・・・」
「応国寺では??」
「応国寺さんは隣の小さいお寺でしょ?
・・・あっ!思い出した。そういえば、20年位い前にお布施を持ち逃げした僧侶がいて、
それっきり帰ってこなかったと・・・あっ、名前が確か・・・てい??何とか??
それってもしかして御坊では・・・?」
「拙僧の勘違いでした・・・失礼致しました!」
定慈は報国寺から逃げ出すように出て行った。
あっ、思い出した。20年前、応国寺のお布施を勝手に持出し、すき焼き食って
見つかり咎められ、その後、托鉢に出てそのまま旅に出たんだった・・・
どうしようか??とりあえず応国寺を覗いてみよ。
あっ、こっちだ・・・この寺だ。思い出した。定慈は山門を入った。
本堂の前に僧侶がいたので声を掛けた。
「あのう・・失礼します」
「ハイ」僧侶が振り返えり
定慈の顔をジッとみつめた。
「・・・お帰り。確か貴僧は定慈・・・だったね?」
「はい、定慈でございますご無沙汰しておりました。 義道さま」
「ほう・・ワシの名前を覚えておったか。
ところでお布施を返しに来たのかな?」
「いえ、まだでございます」
「・・・では、なにをしに?」
「近くに来たものですから、懐かしくて思い立ち寄りました」
「そうか、茶でも飲むか?」
「はい、頂きます」
「では、入りなさい」
二人は釈迦如来の座像に線香をあげ茶室に入った。
「貴僧がこの寺を出て何年になるかのう?」
「はい、20年になります」
「その20年、どうしておったのじゃ?」
「全国托鉢行脚の旅をしておりました」
「20年もか?」
「はい、20年ずっとです」
「で、何か解ったかのう?」
「今だ、解らないことだらけです」
「何が知りたいのじゃ?」
「何を知りたいのかも解らないのです」
「困ったもんじゃの・・何故、歩くのじゃ?」
「雲水ですから」
「しからば、雲水ってなんじゃ?」
「行く雲,流れる水のごとく」
「定慈を見ていると、雲水が雲水のごとく雲水を楽しんでるようにも見えるがのう」
「私が雲水を楽しんでる・・・ですか?」
「そう、雲が雲水を楽しんでるようだ。禅僧の目的はなんじゃ?」
「座禅を組んで悟りを開くことです」
「そうか・・・悟りを開くために座るのか・・・
では、禅を組まぬ人間は悟りは遠くにある。ということか・・・」
「・・・・いいえ、そういうわけでは・・・」
「では、なにゆえに座る?」
「只、只、座る・・・只管打坐」
「座ってどうする?」
「草になり・山になり・雲になり、空になります」
「空になって、そこになにがある?」
「何もありません」
老僧は煙管に葉を詰め一服し「貴僧定慈は20年ひたすら行脚する。何処か間違っておるか?」
「いいえ・・・なにも・・・」
「ところが大きく違うんじゃ。今の定慈には解るまいのう」
「何処が違うのですか?」
「まっ、慌てなさんな。ゆっくり考えなさい。
それが解ったらどうするかもう一度考えなさい。
解るまでここにいて構わんよ・・・その代わり
作務はきっちり頼む・・・」
「義道さま、宜しくお願いいたします」
定慈は入山後、来る日も来る日も頭の中が雲水でいっぱいだった。
若い修行僧の慈雲が義道に「義道様、あの定慈さんは毎日毎日口癖のように
『雲水・雲水』って唱えてますけど如何なる修行なんですか?」
「定慈は自分の20年間を見つめ直してるんじゃ」
「20年ですか?」
「そう20年じゃ。だが、ただの20年とちがうぞ。
その20年が今後の20年にもなりうるし、過去の20年にもなりうる。そういう20年なんじゃ」
定慈が応国寺に来てから1年が過ぎた。もう誰も定慈の噂をする者はいない。
与えられた仕事はきっちりとこなし、修行も熱心に励んでいた。
そんなある日、空を眺めていた定慈はこんな事を思った。
雲・風の吹くまま
水、高きから低きへ
流れのままに・・・雲水か
・・・そっか!そうだったのか!なんだ!
自分は目的が間違っていたのか。
この20年間、目的が悟りから遠いところを歩いていた。
雲水は雲水であってはいけないのだ。
よし、寺を出よう。
「義道様、長らくお世話になりました。
また、旅に出ます」
「そっか、なにか得るものがあったようだな。
また何時でも帰ってきなさい」
「はい、今度の旅は短いと思います。帰った時には世話になります」
旅立ちの日が来た。
「これは、この一年間の労賃とワシからの餞別じゃ。
お疲れ様。21年前、寺が定慈に貸した千円はこの中から返してもらった。
これで、貸し借り無し。大手を振って何時でも帰ってきなされ・・・」
定慈は深々と頭を下げ、山門を出ていった。
定慈51歳の春。
END
禅宗の僧侶定慈。彼は30歳になり思うところがあり全国行脚の旅に出た。
それから20年、雲水をしながら日本全国を托鉢して歩いた。
普通の職業僧侶と違い、定慈の宗派は禅宗であったが、行く先々で要望があればどんな
宗派のお経もあげられる宗派に囚われない僧侶だった。
彼が好きな言葉はずばり「雲水」流れる雲と水のごとし。
だから、彼は自鉢という木の器と網代笠にワラジのみで全国を行脚した。
京都を出てから20年という歳月を掛け、北は稚内。
南は沖縄の波照間まで日本一周ひとりで托鉢した。
そして今、20年ぶりに京都へ戻って来たのであった。
宇治にある報国寺の山門前に定慈は立っていた。
この山門を出たのが20年前・・・懐かしさがこみ
上げてきた。
「拙僧のことなど覚えてる僧はいないだろうなぁ・・・20年は長い・・・」
寺務所に声を掛けた「ごめんください」
「はい!いらっしゃいませ」定慈を見た僧侶は
合掌をした。
「拙僧は20年前、この寺から行脚の旅に出た定慈と申します。
当時は栄源僧正に師事しておりました。
その頃すでにご70歳過ぎの高齢で、今はもうおられないと存じますが、
その栄源僧正ご存じの方はおられませんでしょうか?」
「はい、お待ち下さい」
ほどなくして僧は戻ってきた。
「栄善という僧がおります。20数年前から当寺におります。今、こちらに来ますので
お掛けになってお待ち下さい」
引戸が開き栄善と思われる老僧がやってきた。
「お疲れ様です。拙僧が栄善です」
定慈に見覚えはなかった。
「拙僧は定慈と申します。栄源僧正に師事しておりましたが思うところがあり、
20年前、全国行脚の旅に出てただいま戻りました」
「はあ??・・・20年前、栄源僧正ですか・・・?
拙僧は25年前から在籍してますが・・・
そのようなお名前の僧侶に記憶にありませんが・・・」
「待って下さい。100年前ならいざ知らず、たかだか20年。私はともかく
僧正の記憶も無いとは信じられません。もう一度よく思い出して下さいませんか?」
「それは良いですけど、本当に報国寺で間違いないですか?」
「報国寺・・・?ここ報国寺って云うの・・・?」
「ハイ、禅宗別格本山報国寺ですけど・・・」
「応国寺では??」
「応国寺さんは隣の小さいお寺でしょ?
・・・あっ!思い出した。そういえば、20年位い前にお布施を持ち逃げした僧侶がいて、
それっきり帰ってこなかったと・・・あっ、名前が確か・・・てい??何とか??
それってもしかして御坊では・・・?」
「拙僧の勘違いでした・・・失礼致しました!」
定慈は報国寺から逃げ出すように出て行った。
あっ、思い出した。20年前、応国寺のお布施を勝手に持出し、すき焼き食って
見つかり咎められ、その後、托鉢に出てそのまま旅に出たんだった・・・
どうしようか??とりあえず応国寺を覗いてみよ。
あっ、こっちだ・・・この寺だ。思い出した。定慈は山門を入った。
本堂の前に僧侶がいたので声を掛けた。
「あのう・・失礼します」
「ハイ」僧侶が振り返えり
定慈の顔をジッとみつめた。
「・・・お帰り。確か貴僧は定慈・・・だったね?」
「はい、定慈でございますご無沙汰しておりました。 義道さま」
「ほう・・ワシの名前を覚えておったか。
ところでお布施を返しに来たのかな?」
「いえ、まだでございます」
「・・・では、なにをしに?」
「近くに来たものですから、懐かしくて思い立ち寄りました」
「そうか、茶でも飲むか?」
「はい、頂きます」
「では、入りなさい」
二人は釈迦如来の座像に線香をあげ茶室に入った。
「貴僧がこの寺を出て何年になるかのう?」
「はい、20年になります」
「その20年、どうしておったのじゃ?」
「全国托鉢行脚の旅をしておりました」
「20年もか?」
「はい、20年ずっとです」
「で、何か解ったかのう?」
「今だ、解らないことだらけです」
「何が知りたいのじゃ?」
「何を知りたいのかも解らないのです」
「困ったもんじゃの・・何故、歩くのじゃ?」
「雲水ですから」
「しからば、雲水ってなんじゃ?」
「行く雲,流れる水のごとく」
「定慈を見ていると、雲水が雲水のごとく雲水を楽しんでるようにも見えるがのう」
「私が雲水を楽しんでる・・・ですか?」
「そう、雲が雲水を楽しんでるようだ。禅僧の目的はなんじゃ?」
「座禅を組んで悟りを開くことです」
「そうか・・・悟りを開くために座るのか・・・
では、禅を組まぬ人間は悟りは遠くにある。ということか・・・」
「・・・・いいえ、そういうわけでは・・・」
「では、なにゆえに座る?」
「只、只、座る・・・只管打坐」
「座ってどうする?」
「草になり・山になり・雲になり、空になります」
「空になって、そこになにがある?」
「何もありません」
老僧は煙管に葉を詰め一服し「貴僧定慈は20年ひたすら行脚する。何処か間違っておるか?」
「いいえ・・・なにも・・・」
「ところが大きく違うんじゃ。今の定慈には解るまいのう」
「何処が違うのですか?」
「まっ、慌てなさんな。ゆっくり考えなさい。
それが解ったらどうするかもう一度考えなさい。
解るまでここにいて構わんよ・・・その代わり
作務はきっちり頼む・・・」
「義道さま、宜しくお願いいたします」
定慈は入山後、来る日も来る日も頭の中が雲水でいっぱいだった。
若い修行僧の慈雲が義道に「義道様、あの定慈さんは毎日毎日口癖のように
『雲水・雲水』って唱えてますけど如何なる修行なんですか?」
「定慈は自分の20年間を見つめ直してるんじゃ」
「20年ですか?」
「そう20年じゃ。だが、ただの20年とちがうぞ。
その20年が今後の20年にもなりうるし、過去の20年にもなりうる。そういう20年なんじゃ」
定慈が応国寺に来てから1年が過ぎた。もう誰も定慈の噂をする者はいない。
与えられた仕事はきっちりとこなし、修行も熱心に励んでいた。
そんなある日、空を眺めていた定慈はこんな事を思った。
雲・風の吹くまま
水、高きから低きへ
流れのままに・・・雲水か
・・・そっか!そうだったのか!なんだ!
自分は目的が間違っていたのか。
この20年間、目的が悟りから遠いところを歩いていた。
雲水は雲水であってはいけないのだ。
よし、寺を出よう。
「義道様、長らくお世話になりました。
また、旅に出ます」
「そっか、なにか得るものがあったようだな。
また何時でも帰ってきなさい」
「はい、今度の旅は短いと思います。帰った時には世話になります」
旅立ちの日が来た。
「これは、この一年間の労賃とワシからの餞別じゃ。
お疲れ様。21年前、寺が定慈に貸した千円はこの中から返してもらった。
これで、貸し借り無し。大手を振って何時でも帰ってきなされ・・・」
定慈は深々と頭を下げ、山門を出ていった。
定慈51歳の春。
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