TEIZI(パラレルワールドの旅) 全9作

當宮秀樹

文字の大きさ
3 / 9

3「KY・TEIZI」

しおりを挟む
3「KY・TEIZI」

「帰れ!・帰れ!・帰れ!・帰れ!・帰れ!」

コンサート会場は突如、帰れコールに包まれた。

ステージから「う~~るせんだ~~つぅの!帰りたがったらおめえらが帰れや!
俺は俺の歌を聞きてぇ客がいるから歌うそんだけ・・・
なんか文句あっか!このやろう・・・」

「ば~~か。おめぇが帰れ!・・馬鹿野郎が!
おめぇは誰だ・・・?」客席からの罵声がつづく。

「誰だ!今、馬鹿野郎と云ったのは?どいつだ~
出てこいコラ?」

ステージと客席は大荒れ。

ステージ横では本日のメインミュージシャンのリョウが見守っていた。

スタッフから、ところであいつ誰だ?関係者は誰も解らない。
そのうちスタッフが気ぜわしく動き始めた。

「あいつ、もしかして部外者じゃねえのか?」誰かが叫んだ。

「マジで?」

「ウソでしょ・・・」

「オイ!誰か引きずり下ろせ!」チーフリーダー久慈の声だ。

ステージにスタッフの4人が出て、その男を羽交い締めにし退場させた。

会場は笑いの渦に包まれた。

会場から「あいつ誰?・・・馬鹿だけどおもしれェ」

「はははは・・」会場は笑いでどよめいていた。


楽屋では「あんた、いったい誰?誰かの関係者?
警察に通報するよ」

「俺、ミュージシャンのTEIZIだけど・・・」

「えっ???」

「TEIZI」彼は満面の笑みで答えた。

スタッフは「解った。で、今日は何?」

「何って・・おめぇ、一曲歌おうかと思ってステージに上がっただけだんべ」

「一曲歌う???で誰が許可したの?」

「許可っておめぇ・・・??必要なの?」

「当たり前だ」

TEIZIは辺りを指さして「そっだらこと何処に書いてあるんだ?オイ」

「じゃあ聞くけど、ステージに勝手に上がって良いって
何処に書いてありますか?」


「書いてねえけんども、客が暇そうだったから、ここらでオラが一曲、
歌ってやんべかと思って・・・そしたらおめえ、帰れ帰れって人っ
この歌を聞く前に言うもんだから、礼儀を教えてやろうと思ってつい・・・
なっ、オラ悪くねっぺ・・・?」

「悪いです」

「あ~~んら、おめっ!礼儀、教えることのどこが悪いってんだ?」

「あんたねぇ、時と場所があるでしょ。
あんたは勝手に他人の家に入ってきて、
礼儀が悪いとどやしつけてるだけなの」

「う~ん、なるほど。おめぇは頭良いな。
さては、おめぇ大学出が?」

「で、どうなんです?」

「オラが悪かった。どんもすみませんでした」スタッフに深々と頭を下げた。

「あっ、解ってくれれば、それで良いですけど・・」

スタッフはTEIZIのあっけない返答に拍子抜けした。

「じゃあ、今日のところは大目に見ますから、おとなしく帰って下さい」

「はい!失礼しました」いさぎよい返事だった。

TEIZIは楽屋を後にした。

リョウのコンサートは無事終わりアンコールの拍手が始まった。


リョウが渇いた喉を潤し、ギターをもって再びステージに向かおうとした時だった。
会場で歓声が上がっていた。

一瞬リョウは戸惑った・・・なに?何にが起こったのか解らなかった。

ステージ上ではギターを持った、あのTEIZIが立っていた。

「さっきは、どうもごめんなさい。皆さんが暇そうにしてたから、僕が、歌ッこさ一曲歌おうと思いまして、
そしたらあんな事になりまひた。どうもすみまへんでした・・・」

客席から「おう、素直に謝ったから許す。にしても、
おめぇ・・なんでギター持ってんだ?」

観客はどっと笑った。

ステージ袖では「あいつ、まだいたのか!とっととつまみ出せ~」

リョウが云った「チョット待って。一曲、聞いてみない?客も喜んでるし、僕も興味あるんだ・・・」

「僕、TEIZIって云います。王貞治の貞治と書いてTEIZIと読みます。青森から来ました。
チョット訛ってます」

「だいぶ訛ってんぞ」客が言った。

「すんません、歌います」

「曲は、オラのオリズナル曲でねぶたの星」

客席はまた沸いた。

歌は最悪だった。

そのうち客席から「おめぇ青森に帰れ!キャラは面白いけど歌は辞めたほうがいい」

「いや、心はある。顔は悪いけど」

客席は歌を聞くというより、野次合戦に変わっていった。

TEIZIの歌が終わると同時に、会場にはリョウのアンコール曲のイントロが流れた。
客は大盛り上がりで会場は揺れていた。

興奮の中、コンサートは無事終わった。

リョウが楽屋に戻る途中の通路にあのTEIZIが立っていた。

リョウは笑顔で通り過ぎた。

TEIZIはまたスタッフに呼ばれた。

スタッフが「あなた今度はなに?」

「いや、謝りたいと思って・・・」

「なんでギター持って行くの?」

「あっ、はい・・・いえ」

「で?TEIZIさんは何が言いたいのですか?」

「いえ、帰ります・・・」

「今度は無いと思うけど、あったらその時は本当に警察呼びますから。
じゃあ、そう言うことで・・・さようなら!」

TEIZIは会場を後にし駅へと向かった。

そして、そのまま青森行きの新幹線に乗り帰って行った。

新幹線の中で「どうしたもんかなあぁ~~なんで解ってくんねぇかな~や。」

あくまでも自分は最高のミュージシャンだと思っていた。


「帰れ!・帰れ!・・帰れ!」

コンサート会場は帰れコールに包まれた。

ステージからは「う~るせんだ~つぅの!帰りたかったらおめえらが帰れ!」

どこかで見たことのある場面だった。

「俺はリョウからも前フリ頼まれて歌ったことあるんだぞ・・・
だからこうして・・・&$%$(’%」

例のTEIZIだった。そして警備員に強制退去された。

「あんた困りますよ~~。何なんですか?
あんたは誰・・・?」スタッフの強い口調。

「TEIZIだよ・・・」

「TEIZI?・・で、なんなの?」

「いや、客が暇そうだから・・その・・・」

「暇そうだからどうしたの?」

「歌を・・・その・・一曲・・・僕が」

「一曲どうしたの?」スタッフの語気は荒かった。

「挨拶代わりに・・」

「なんで、あんたが挨拶するの?ここは、アヤカのステージなの。みんなこれから興奮する為に、
嵐の前の静けさをあえて作ってるの。エネルギーを充電してるの・・・わかる?」

「会場のみんなは、一曲目から弾けるために、今はエネルギーを充電してるとこなのね。
それを、あんたがたった今、台無しにしてしまったの。どうしてくれるんだ!・・・警察呼ぶか・・」

「僕、みんなに謝ってきます」

「どうやって?」

「いえ、ステージに立って・・・・」

「お・ま・え・は馬鹿か?おい、誰か警察呼べや。コイツは俺らではどうにもならねえ。
思考回路がブッ飛んでるぞあとは警察に任せようぜ」

「あの~う、チョット待って下さい」アヤカ本人だった。

スタッフが「アヤカさん、こいつは・・・」

「いえ、すぐ終わります。ごめんなさい」

アヤカ.は振り返ってTEIZIに視線をむけた。

「TEIZIさん・・・と云いましたね。私の歌、聞いたことあります?」

テイジはアヤカに視線を向けて云った「???あんた誰?」

スタッフが「コイツ、やっぱ、つまみ出せオイ!」

アヤカは微笑み淡々とした口調で「私がそのアヤカと申します」

「えっ?お姉さんがか・・・?僕、ファースト・メッセージのアルバム持ってます。なんか、
アルバムの写真と実物では全然違うはんで解りまへんでした。
アルバムはやっぱり綺麗に修正するんだな~や」

「どっちが綺麗ですか?」

「アルバムだな」即答だった。

スタッフが「おい、やっぱ警察呼べ・・・」

TEIZIは言った「メモリーや、はぎの月は確かに良いけど・・・
オラ個人的には時を返してと日常の物語が好きだな」

「どういうとこが好きなの?」

「日常の物語は静かなメロディーでいて、しっかりとしたアヤカらしいアレンジがオラは好きだ。
時を返しては歌詞が好きだ。特に2番目の歌詞の始まりは良いな~あのアルバムは良く出来てると思ったよ」

「君ね、いい加減にその生意気な・・・」

その時、アヤカはスタッフを制した。

「ちゃんとアルバム聞いてくれてるんですね、ありがとうございます。
皆さん、今日は大目に見てあげて下さい。本当に私のアルバム、
聞いてくれてるみたいで、アヤカ嬉しいんです。
どうか私に免じて何とぞお許し下さい」

「アヤカさんのお気持ちは解りました。でも、コイツは・・・解りました・・
アヤカさんがそう言うなら・・
但し、今度、なにかしでかしたら即刻警察呼びますからね・・・」

TEIZIが「アヤカさん、よかったね」

スタッフは「あんたね・・・まっ、いいかこのまま帰って下さい」

「僕、チケット買って青森から東京さ来たんですけど・・・
客席から見させて下さい・・・ほらプレミア席だんべ・・・なぁ」

スタッフは係員に「席にお連れして」

アヤカがステージに立った時、プレミア席にTEIZIの姿を確認した。
歓声の中でもひときわTEIZIの大きな声援がアヤカの耳に残った。

コンサートは何事もなく終了した。

TEIZIは会場を後にし東京駅へと向かい、そのまま青森行きの新幹線に乗って帰って行った。

新幹線の中で「どうしたもんかなあぁ~~なんでみんな解ってくんねぇかな~
まだオラを理解するのには少し
時代が早かったようだな・・・?」
 

 ある土曜日の夜、井の頭公園の野外ステージに
あのTEIZIがギターを抱えて座っていた。

TEIZIの廻りにはビールの空き缶が散乱していた。

そこに中年の男が近寄ってきた。

「よう、兄さんなんか歌ってくんネエかな?」

「おい、じじい。他人にものを頼む態度がいい年こいて
解らねえようだな~~や」

「なんじゃいおめぇ・・・偉そうに。青森で相手にされねえもんだから東京に出て来たか?」

「えっ・・・?おめぇさん、オラのこと知ってるだか?」

「いや、おめぇの事なんか知らねえ、その訛りは青森しかいねえべ。バーカ」

「おめぇさん、洞察力あんな。見上げたもんだ。
きっと名のあるお方か?」

「そういう問題じゃあねえ、その訛り聞けば誰でも
青森だって解るってぇの・・・」

「いや、てぇしたもんだ!おめぇ様、なになさってる
お方だ?」

「そんなこといいから。なんか歌うのか?
歌わねぇのか?どっちなんだ?めんどくせえ」

「解ったよ。歌うけどリクエストなんかあるけ?」

「ビバリの愛凛々でもやってくれよ」

「じじぃ、・・・ちゃんとさんを付けろや・・・
ビバリさんと呼べ!ビバリ先生とか言い方あるべ」

「おめぇビバリ好きなんだか?」

「いや!そうでもねぇけど。どうしてだ?」

「いんや、面倒くせからいい・・・」

「解った。じゃあ『川の流れたように』歌います」

「おめぇ!一曲歌うまで長げぇよ・・・」

「すらず、すらず歩いてきた、細く長いこの道~」

男性は「まったく、人の話し聞いてねえし・・・」

「青森兄さん、もういい・・・」

「どうしたんだ?これからだべ???」

「兄さんと、この歌の意見が合わねぇようだな。
まっ、そういう事もあるさ。次、歌おうや」

「・・・そっか?なに聞きてぇだ?」

「そしたら、最近の歌いこうか?アヤカなんてどうだ?」

「あぁ、つい最近彼女と会ったよ。彼女、僕を気に入ったみたいでさ、
スタッフに僕のこと紹介してたよ。
さすがの僕も少し照れたけどね・・・」

「兄さん、急に標準語になったけど・・・どうかしたか?」

「そんなことないよ」

「めんどくせぇ・・・いいから歌えや」

「じゃぁリクエストに応えて。アヤカのアルバム・ファーストメッセージから
『はぎの月』聞いて下さい・・・」

「ずっと一緒にいた   二人で歩いた一本道・・・」

TEIZIが歌い終わった時には爺さんの姿は
消えていた。

「みんな、アヤカの曲の良さが解らねんだな・・・」


 翌日も朝早くから井の頭公園でギターを抱えて
池を眺めていた。池の向こうに知った顔があった。

おっ、昨日の爺さんだ。

「お~~い爺さん」大きな声で叫んだ。

爺さんは知らん顔して足早に去ろうとしていた。
明らかに避けているとしか思えない足取り。

TEIZIは執拗に追いかけて爺さんの前にでた。

「爺さん、おはよう!」満面の笑みを浮かべていた。

「おう、昨日の君か?ワシは用事があるんで。
それじゃあな・・・」

「昨日、急にいなくなってどうした?」

「腹が痛くなってのう、折角歌ってるのに水を差すようで悪いと思ったで黙って帰った」

「そっか。心配したぞ。んで、もう大丈夫か?」

「いや、まだ少し病むけど昨日よりは良くなったよ」

「昨日の続き、歌おうか?」

「いや、そそそれにはおよばん。ワシは急ぐんで、
それじゃ。兄さんがんばれよ・・・」

老人は去っていった。


なんだよ、ひとが折角、青森から歌っこさ歌いに来たのに・・・
聞いたのは途中で腹痛くて帰った爺いだけか・・・

また、誰かのコンサートに飛び入りすっぺかな・・・。

吉幾二にすっぺか?

百昌夫か?ドリカムもいいな・・・

なんかワクワクするな・・・・

  E N D
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」

歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。 「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは 泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析 能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り 続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。 婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...