続・不思議な黒石(二風谷の妖精) 全13作

當宮秀樹

文字の大きさ
9 / 14

8「ミルキーの別れ」

しおりを挟む
8「ミルキーの別れ」

  ミルキーがシリパの会を訪れてから約一年が過ぎた。
シリパの会でもすっかり人気者でミルキー目当てに来る会員もいるが、ただ普通に
好奇心だけではミルキーは見えないので自分の波動を上げる必要があった。 

最初の切掛けはミルキーへの好奇心であっても、そのうち自分の固定概念が
邪魔になっていることに気付き始め、会のプロセスに沿って実行するようになり
意識が変わる者も多くいた。

会員のひとりが「ミルキーさんって結婚とかしないの?」 

「私はシャーマンだからしなくてもいいダニ。 でも、今後は解らない……」  

「好きな人いないの?」  

「旭川のコタンにひとりいるダニ…… ダニ。 

私達の結婚は人間の世界のとすこし違うダニよ。 私達は魂の結合を意味するの。 
だから結婚すると二つの魂が一つに重なり合って新しい一つの存在になるダニ。 
それが私達の結婚の意味ダニ……」 

「なんかステキですね。 ありがとうございます」

このような形でミルキーはいつも質問攻めであった。 そんなある日ミルキーが京子の所にやって来た。 

「京子さん、そろそろミルキーは二風谷に戻る時期が来たみたいダニ。 
これからは本格的に北海道内の自然界の浄めの旅に出なさいと長老さんに指示されたダニ」 

「ここを拠点に出来ないのかい?」  

「二風谷には特別な場所があって浄めの旅で、下がってきた波動を調整してくれる
特別の場所があるダニね。 だから二風谷を拠点にするのが都合が良いダニ」 

「そうかい。こっちの都合ばかりいえないよね。 じゃ、みんな集めてミルキーの送別会しようかね」  

「京子さん、ミルキーはこのまま二風谷へ帰ります。 シリパの会の皆さんに会うと別れが辛くなる…… ダニ」

「……そうかい、またおいでよ。 いつでもあんたは大歓迎さ。 
楽しい日々を一緒に過ごさせてもらったわ、ありがとうございます。 
立派なシャーマンになってね」  

京子の目から涙が溢れてきた。 ミルキーは手を振りながらゆっくりと消えていった。
メメちゃんちょっと来て京子が云った。

「実は今朝ミルキーがきて……」事の次第を話した。 

「だから会員さんにミルキーからくれぐれも宜しくと伝えてね……」

「そうですか。 解りました皆さん残念がるわね、私も寂しいです」

ミルキーとの別れから数ヶ月が過ぎ、ミルキーの事を語る人も少なくなった。 
 
ある時ママが呟いた「あ~あ、こんな空白の時間にはミルキーちゃん最高よね。 
色んな話題提供してくれたわ。 特に動物の意識とか自然の摂理の話しなんて楽しかった」 

メメも「そうですね。 今まで人間サイドだけの考えで、とくに動物学者さんなんて
語ってたけど、実際にミルキーさんの話しと大きく違うところ多かったわね。 勉強になった」 

「そう、動物はオーラを視て感じてるなんて絶対に学者さんなんて解らないわよね……」  

「今頃、お浄めの旅であっちこっち飛び回ってるのかしらね」  

二人は宙を見つめていた。

「ごめんください」訪問者があった。 

「ハイ」メメが応対した。 

「あの~う。 私はオイマツと申しますがこちらにミルキーさんという
妖精さんが居ると聞いて来たんですけど……?」 

「ミルキーとは非物質の存在でして、誰でも視えると云うものではありません。 
それに今は帰郷しましたがなにかありましたか?」  

「そうですか。 実は私の家の納戸に小人さんが数人住んでるみたいなんです。 
私は見えないですけど気配と話し声を感じるんですね、それでこちらにもそういう方がいると
聞いたのでお邪魔しました」  

「そうですか。 それでミルキーさんにご相談というのは?」 

「はい、何故我が家なのか? 何か要求ごとがあるのか通訳っていうんですか? 
その子達の声を聞いて欲しいと思って訪問させていただいた次第なんです」  

「そうですか。 チョット待って下さい」メメはママの顔を見た。 

ママが「今言った事情でミルキーは日高に帰郷したんですよね、もしよかったら私で良ければ、
その小人さんに話し聞いてみましょうか?」 

「えっ、お願い出来るんですか?」 

「断言は出来ないですけど、試す価値はあると思います。 
わたしミルキーという妖精とコンタクト取れてましたから試す価値はあります」  

「はい。ではお願いします」 

「それでは深呼吸を三回して私の手を取ってその情景を心に思い浮かべて下さい」

「ここで、ですか?」

ママが「あの世界は時間や距離がないんです。 いつも今なんですね」

オイマツはママの手を取って思い浮かべた。 ママはその納戸に飛んだ。 
するとそこには6人の妖精がいた。 

「こんにちわ、私はマチコといいます。 この家の方があなた達が何の目的でこの
納戸にいるのか教えてほしいと私の所に相談に来たの、それで私がここに来ました。 
事情を聞かせてもらえませんか?」

マチコママは単刀直入に聞いた。  

「私達は白老町のコタンから来た妖精ダニ。 ここの子供さんにレイトくんという
私達の知り合いがいるんです。 ここに生まれる前は私達の仲間だったダニ。 
今度は人間として生まれるから、生まれた時には是非遊びに来てねっていわれました。 
明日がレイトくんが誕生して三年目なんです。 
それが過ぎると私達の意識が伝わりずらくなるので最後の誕生祝いの儀式を何日間かやってました。 
それも明日で終了です。 驚かして申し訳ありませんダニ。 明日になったら帰ります」

ママは戻ってきた「オイマツさん、もう少し私に時間くれますか?」 

「?ハイ、かまいませんけど」再びママはオイマツの手を握り集中した。
 
そこは白老のアイヌコタン「オイマツさん、ここは白老にあるアイヌのコタンです。 
この集落の湖の奥まった所を意識してくれますか?」 

「はい、小さな人たち数人が花から蜜のようなもの? を集めてます」 

「あの人達はここの妖精達。 そこにオイマツさんの知ってる人がいますか?」 

「あの黒い毛皮のベストを着た妖精さんってたぶん、私……? 見覚えあります」

「よく思い出してください……」

「たぶん私です。 その横にいる髭の人が主人です」

「そうですか。 そのご主人が今のあなたの息子さんのレイトくんなんですよ」 

ふたりは戻りマチコママが「いまのビジョンで息子さんとの縁が解りましたか?」 

「はい、夫婦でした……」

「それは大いにあり得る事です。 不思議でも何でもありません。 
お宅の納戸にいる妖精達はレイトくん誕生の祝いの儀式を数日掛けてしていたようですね、
レイト君が生まれる前の彼らとの約束みたいですよ。 明日には終って帰るみたいです。 
ご迷惑掛けたこと詫びてました」  

「そうでしたか、ありがとうございました」 

狐につままれたように半信半疑でオイマツは帰っていった。

「ちょっとサービスし過ぎたかしら? 聞くよりも視た方が早いと思ってサービスしちゃったわよ。 
余計な知識がない人の方がトリップするの楽ね。 

それと妖精も人間に転生するんだと解ったわよ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【完結短編】ある公爵令嬢の結婚前日

のま
ファンタジー
クラリスはもうすぐ結婚式を控えた公爵令嬢。 ある日から人生が変わっていったことを思い出しながら自宅での最後のお茶会を楽しむ。

令嬢失格な私なので

あんど もあ
ファンタジー
貴族の令息令嬢が学ぶ王都学園。 そこのカースト最下位と思われている寮生の中でも、最も令嬢らしからぬディアナ。 しかしその正体は……。

冷遇妃マリアベルの監視報告書

Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。 第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。 そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。 王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。 (小説家になろう様にも投稿しています)

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

余命半年の僕は、君を英雄にするために「裏切り者」の汚名を着る

深渡 ケイ
ファンタジー
魔力を持たない少年アルトは、ある日、残酷な未来を知ってしまう。 最愛の幼馴染であり「勇者」であるレナが、半年後に味方の裏切りによって惨殺される未来を。 未来を変える代償として、半年で全身が石化して死ぬ呪いを受けたアルトは、残された命をかけた孤独な決断を下す。 「僕が最悪の裏切り者となって、彼女を救う礎になろう」 卓越した頭脳で、冷徹な「悪の参謀」を演じるアルト。彼の真意を知らないレナは、彼を軽蔑し、やがて憎悪の刃を向ける。 石化していく体に走る激痛と、愛する人に憎まれる絶望。それでも彼は、仮面の下で血の涙を流しながら、彼女を英雄にするための完璧なシナリオを紡ぎ続ける。 これは、誰よりも彼女の幸せを願った少年が、世界一の嫌われ者として死んでいく、至高の献身の物語。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

処理中です...