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13「狸小路」
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13「狸小路」
マチコママがふたりに差入れを持って狸小路に遊びに来た。
シリパに「最近シリパの会への質問で二〇一二年問題を取り上げた質問が多いのね。
京子ちゃんの所にはそういう類の質問は無い?」
「私の所は相変わらず恋愛問題が多いけど、ケンタのところは未来にトリップさせてるから
半信半疑かそれ系の質問が多いみたい」
「でも、未来はたえず変わってるから下手な説明できないしママも言葉選ぶわよ」
シリパが「そ、そこなのよ。 パラレル的にいうと未来は必ず分裂するから、
自分がどこを選択するかで結構違ってくるしね。 曖昧な答え方も出来ないわ」
「だから私は一応の見解を出そうと思ってるの。 未来については大きく二つに分離されると思う。
今いえるのはその事だけってね。 京子ちゃんはどう思う?」
「そうね、それが今の段階では無難な答えかもね」
京子は家に帰ってからママとの会話をケンタに説明した。
「まあ、それだけ現状は不確かだからそういういい方がベストかもね。
神の感覚だと百年の時間的誤差は許容範囲。 だから予言は外れることが多いし難しい。
そのことが解ってるから本当の覚者は日時を克明にしたがらないのもうなずけるよ」
狸小路の京子のところにリョウゼンが初めて尋ねて来た。
「きょ、きょ、京子ちゃん、なに、なにやってらの?」
「リョウ? リョウゼンなの? あんた久しぶりね元気?」
「あっ、はい」
「そう、で、今日はどうしたの? ひとりなの?
こんな夜にリョウゼンの来るところじゃないよ、ここは……」
「……」リョウゼンは黙ってしまった。
「リョウゼンどうした?」京子は優しい口調で言った。
「こ、これ」リョウゼンはポケットから一枚の絵を出し開いてそっと差し出した。
「な~に? これ」未来都市を背景にした二人の人間と犬を描いた挿絵。
「なに? リョウゼンはこんな世界を観てみたいのかい?」
「はい」
途中でリョウゼンの雰囲気に何かを察知した。
「チョット待ってね」京子は携帯でマチコママに連絡を取った。
最近、会員の誰かともめたらしくしく、それ以来リョウゼンは会に顔を出さなくなったという。
「お前さあ、シリパの会でもめたんだって? どうしたの?」
リョウゼンは耳を両手で塞ぎ座り込んだ。
これ以上、外からの情報は拒否するというリョウゼンの表現のひとつだった。
「もういい。 わかったからさちょっと私の話を聞いて!」
「はい聞きますです。 です」
「未来に行くのもいいけど、この絵と少し違うかも知れないよ。 わかった?」
「はい、です~ぅ」
「お前はサザエさんとこのタラちゃんか」
KENに事情を話し二人の身体の京子に管理を頼みトリップした。
ここは五百年後の札幌。 リョウゼンの思い描いた世界とは大きく違っていた。
雑誌にあるSFの世界は透明のドームがあり、未来型の車が空中を飛ぶ世界が
リョウゼンの頭の世界であった。 リョウゼンは何か考えていた。
京子が「リョウゼンどうしたの? なに考えてるの?」
「そうですよね。これが現実ですよね」リョウゼンの言葉使いが変わっていた。
京子は思い出した。 トリップした世界ではリョウゼンの意識は一般人の感覚だったことを。
リョウゼンは夢に描いた世界と違ったことにショックを覚えていた。
「そうですよね、現実はこんなものですよね」悲壮感があった。
京子が「どうせならこのままの世界を描いたら? そして未来は精神的な文明で
理にかなった世界は実際こうなってます。 みたいなお手本を描いたらどう?
未来人はビックリするわよ。 五百年も前にこんな絵を描いた人間がいるってね」
「面白いですね。さすが京子ちゃんです」
ほどなくして二人は戻ってきた。
京子は「リョウゼン、今日は楽しかったわね。 マチコママも心配してたわよ。
ちゃんと会に顔出しなさい」
「あ、あ、ありがとう…… バイバイです」
会の話になるとうつむくリョウゼンだった。
「気をつけて帰りなよ、お休みリョウゼン」
リョウゼンは後ろ向きのまま手を振った。 相変わらずのリョウゼンに京子は微笑んだ。
ひと月程経ち再びリョウゼンが京子の前に顔を出した。
「リョウゼンいらっしゃい。 今日はどうした?」
画板から八枚の作品を取り出した「こ、こ、これっ!」
「おっ! 作品出来たのかい? どれ、見せてね」
目をやった瞬間京子は絶句した。
そして「KEN! 来て!」大きな声で叫んでいた。 京子の声が狸小路に響きわたった。
「どうかしたシリパ? 大きな声出して」
「KENごめんね。 これ、この絵見てよ!」
「おう、リョウゼン来てたのかい?」
京子が差し出した絵を見たKENは息を呑んだ。
「……これ、リョウゼンが画いたの?」
絵は八枚有り一枚の絵に七つの世界が描かれており、それが七部構成になっていて
一枚一枚しっかりしたストーリー。 計四九枚の世界が緻密に描かれていた。
最後の八枚目には地球が変わる直前の絵が描かれていた。
この絵は実際を観てきた人間にしか描けない絵であった。
絵の価値を知る人間はこの三人だけだった。
シリパがリョウゼンに「リョウゼンはもうひとりだけでトリップ出来るんだね。 頑張ったね」
リョウゼンは満面の笑みを浮かべうなずいた。
KENが「それにしても完璧な絵だ。僕の観た通りの世界。 あの世界をカメラで撮ったようだ」
京子が「リョウゼン、この絵はリョウゼンが大きくなるまでお母さんに封印してもらいなさい」
「ふういん? わ、わ、わかりませんです」
京子は母親に手紙を書いた『この絵は今、世に出す絵ではないと思います。
この作品は社会的に影響を与え兼ねません。 それだけ今のリョウゼン君の絵は、
一作品一作品が注目を集めます。 因みに、この絵は約五百年後の世界まで見事に描かれています。
我々夫婦とほか数名が垣間見てきた未来の世界と寸分違わず一致しております。
リョウゼン君が大きくなるまで封印をお奨めいたします。
生意気なこと言ってすみません。 京子』
そう走り書きをし母親へ渡すように言った。
「リョウゼン、どうせ描くなら昔の東京、江戸っていうけどそっちの方がみんなは喜ぶかもね」
「む、む、昔の東京ですか?」
「そう、昔よ。頭はチョンマゲで着物を着て刀持ってる時代。
日本の皆は好きだから沢山の人が喜ぶと思うけどどう?」
「き、き、京子ちゃんと行った京都とかですか?」
「そう。あれは京都だけど、今の東京を昔は江戸っていうの。
日本の中心なのよ。 面白いリョウゼンくん解りましたか?」
「はい、解りました」そういってリョウゼンは帰って行った。
ふたりを観ていたKENが「彼は天才だね。 あそこまで正確に描けるなんて思わなかった。
久々にビックリした」
「私も以前からあの子の絵は見ていたけど、今回のは特別だったわよ。
だ って一枚の絵で十年ごとのドラマを七回トリップしてひとつの絵に見事に納めちゃうんだもの。
それも七枚で約五百年分よ、最後の一枚は視点が宇宙空間から未来の地球を観たものだった、
完璧に出来上がっていたわ。 もしかしたら昔のミケランジェロやダビンチの絵を世に先んじて見た心境?」
「でも五百年後の人は解ると思うけど、今の人が解るかどうか?」KENは遠くを見ていた。
KENのところにもしだいに常連が増え、路上での限界が出始めた。
「ねえケンタ、これから冬になるし、トリップして帰ったら客と二人とも冷たくなって震えてるよ」
「そうだね。 札幌の屋外では僕のやってることは限界があるかも。 小さな店舗でも借りる?」
「でも、それならシリパの会と同じくなるよね。 かといって宗教色は絶対イヤだし」
寒冷地ならではの課題が生まれた。 結局、二人は一戸建てに引越し、そこで看板を上げて再スタートした。
会員ナンバーの一番がリョウゼン。
THE END
マチコママがふたりに差入れを持って狸小路に遊びに来た。
シリパに「最近シリパの会への質問で二〇一二年問題を取り上げた質問が多いのね。
京子ちゃんの所にはそういう類の質問は無い?」
「私の所は相変わらず恋愛問題が多いけど、ケンタのところは未来にトリップさせてるから
半信半疑かそれ系の質問が多いみたい」
「でも、未来はたえず変わってるから下手な説明できないしママも言葉選ぶわよ」
シリパが「そ、そこなのよ。 パラレル的にいうと未来は必ず分裂するから、
自分がどこを選択するかで結構違ってくるしね。 曖昧な答え方も出来ないわ」
「だから私は一応の見解を出そうと思ってるの。 未来については大きく二つに分離されると思う。
今いえるのはその事だけってね。 京子ちゃんはどう思う?」
「そうね、それが今の段階では無難な答えかもね」
京子は家に帰ってからママとの会話をケンタに説明した。
「まあ、それだけ現状は不確かだからそういういい方がベストかもね。
神の感覚だと百年の時間的誤差は許容範囲。 だから予言は外れることが多いし難しい。
そのことが解ってるから本当の覚者は日時を克明にしたがらないのもうなずけるよ」
狸小路の京子のところにリョウゼンが初めて尋ねて来た。
「きょ、きょ、京子ちゃん、なに、なにやってらの?」
「リョウ? リョウゼンなの? あんた久しぶりね元気?」
「あっ、はい」
「そう、で、今日はどうしたの? ひとりなの?
こんな夜にリョウゼンの来るところじゃないよ、ここは……」
「……」リョウゼンは黙ってしまった。
「リョウゼンどうした?」京子は優しい口調で言った。
「こ、これ」リョウゼンはポケットから一枚の絵を出し開いてそっと差し出した。
「な~に? これ」未来都市を背景にした二人の人間と犬を描いた挿絵。
「なに? リョウゼンはこんな世界を観てみたいのかい?」
「はい」
途中でリョウゼンの雰囲気に何かを察知した。
「チョット待ってね」京子は携帯でマチコママに連絡を取った。
最近、会員の誰かともめたらしくしく、それ以来リョウゼンは会に顔を出さなくなったという。
「お前さあ、シリパの会でもめたんだって? どうしたの?」
リョウゼンは耳を両手で塞ぎ座り込んだ。
これ以上、外からの情報は拒否するというリョウゼンの表現のひとつだった。
「もういい。 わかったからさちょっと私の話を聞いて!」
「はい聞きますです。 です」
「未来に行くのもいいけど、この絵と少し違うかも知れないよ。 わかった?」
「はい、です~ぅ」
「お前はサザエさんとこのタラちゃんか」
KENに事情を話し二人の身体の京子に管理を頼みトリップした。
ここは五百年後の札幌。 リョウゼンの思い描いた世界とは大きく違っていた。
雑誌にあるSFの世界は透明のドームがあり、未来型の車が空中を飛ぶ世界が
リョウゼンの頭の世界であった。 リョウゼンは何か考えていた。
京子が「リョウゼンどうしたの? なに考えてるの?」
「そうですよね。これが現実ですよね」リョウゼンの言葉使いが変わっていた。
京子は思い出した。 トリップした世界ではリョウゼンの意識は一般人の感覚だったことを。
リョウゼンは夢に描いた世界と違ったことにショックを覚えていた。
「そうですよね、現実はこんなものですよね」悲壮感があった。
京子が「どうせならこのままの世界を描いたら? そして未来は精神的な文明で
理にかなった世界は実際こうなってます。 みたいなお手本を描いたらどう?
未来人はビックリするわよ。 五百年も前にこんな絵を描いた人間がいるってね」
「面白いですね。さすが京子ちゃんです」
ほどなくして二人は戻ってきた。
京子は「リョウゼン、今日は楽しかったわね。 マチコママも心配してたわよ。
ちゃんと会に顔出しなさい」
「あ、あ、ありがとう…… バイバイです」
会の話になるとうつむくリョウゼンだった。
「気をつけて帰りなよ、お休みリョウゼン」
リョウゼンは後ろ向きのまま手を振った。 相変わらずのリョウゼンに京子は微笑んだ。
ひと月程経ち再びリョウゼンが京子の前に顔を出した。
「リョウゼンいらっしゃい。 今日はどうした?」
画板から八枚の作品を取り出した「こ、こ、これっ!」
「おっ! 作品出来たのかい? どれ、見せてね」
目をやった瞬間京子は絶句した。
そして「KEN! 来て!」大きな声で叫んでいた。 京子の声が狸小路に響きわたった。
「どうかしたシリパ? 大きな声出して」
「KENごめんね。 これ、この絵見てよ!」
「おう、リョウゼン来てたのかい?」
京子が差し出した絵を見たKENは息を呑んだ。
「……これ、リョウゼンが画いたの?」
絵は八枚有り一枚の絵に七つの世界が描かれており、それが七部構成になっていて
一枚一枚しっかりしたストーリー。 計四九枚の世界が緻密に描かれていた。
最後の八枚目には地球が変わる直前の絵が描かれていた。
この絵は実際を観てきた人間にしか描けない絵であった。
絵の価値を知る人間はこの三人だけだった。
シリパがリョウゼンに「リョウゼンはもうひとりだけでトリップ出来るんだね。 頑張ったね」
リョウゼンは満面の笑みを浮かべうなずいた。
KENが「それにしても完璧な絵だ。僕の観た通りの世界。 あの世界をカメラで撮ったようだ」
京子が「リョウゼン、この絵はリョウゼンが大きくなるまでお母さんに封印してもらいなさい」
「ふういん? わ、わ、わかりませんです」
京子は母親に手紙を書いた『この絵は今、世に出す絵ではないと思います。
この作品は社会的に影響を与え兼ねません。 それだけ今のリョウゼン君の絵は、
一作品一作品が注目を集めます。 因みに、この絵は約五百年後の世界まで見事に描かれています。
我々夫婦とほか数名が垣間見てきた未来の世界と寸分違わず一致しております。
リョウゼン君が大きくなるまで封印をお奨めいたします。
生意気なこと言ってすみません。 京子』
そう走り書きをし母親へ渡すように言った。
「リョウゼン、どうせ描くなら昔の東京、江戸っていうけどそっちの方がみんなは喜ぶかもね」
「む、む、昔の東京ですか?」
「そう、昔よ。頭はチョンマゲで着物を着て刀持ってる時代。
日本の皆は好きだから沢山の人が喜ぶと思うけどどう?」
「き、き、京子ちゃんと行った京都とかですか?」
「そう。あれは京都だけど、今の東京を昔は江戸っていうの。
日本の中心なのよ。 面白いリョウゼンくん解りましたか?」
「はい、解りました」そういってリョウゼンは帰って行った。
ふたりを観ていたKENが「彼は天才だね。 あそこまで正確に描けるなんて思わなかった。
久々にビックリした」
「私も以前からあの子の絵は見ていたけど、今回のは特別だったわよ。
だ って一枚の絵で十年ごとのドラマを七回トリップしてひとつの絵に見事に納めちゃうんだもの。
それも七枚で約五百年分よ、最後の一枚は視点が宇宙空間から未来の地球を観たものだった、
完璧に出来上がっていたわ。 もしかしたら昔のミケランジェロやダビンチの絵を世に先んじて見た心境?」
「でも五百年後の人は解ると思うけど、今の人が解るかどうか?」KENは遠くを見ていた。
KENのところにもしだいに常連が増え、路上での限界が出始めた。
「ねえケンタ、これから冬になるし、トリップして帰ったら客と二人とも冷たくなって震えてるよ」
「そうだね。 札幌の屋外では僕のやってることは限界があるかも。 小さな店舗でも借りる?」
「でも、それならシリパの会と同じくなるよね。 かといって宗教色は絶対イヤだし」
寒冷地ならではの課題が生まれた。 結局、二人は一戸建てに引越し、そこで看板を上げて再スタートした。
会員ナンバーの一番がリョウゼン。
THE END
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