三色の楽譜 全5話

當宮秀樹

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五「スピリチュアル小説 宮内」

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五「スピリチュアル小説 宮内」

 三人は今日もビアガーデンにやってきた。 森田が会場内の空席を探していると、
一人のにやけた婦人が目にとまった。 先ほど別れた宮内が笑顔で手を振っていた。

 宮内が「お待ちしてました」

 森田は「お待ちしてたって?」

 「はい、来る予感。 フフ…」

 四人はまた乾杯した。

 大越が「わたし、今聞いたんですけど、宮内さんは小説を書いてるんですか?」

 「お聞きになりましたか……わたしも不思議なんですけど書いてます」

 「その書き方が独特とかって」

 「ええ、一般的にはチャネリングっていうんでしょうね、たぶん
パラレルワールドの執筆してる自分なんでしょうかね、その自分と重なってるみたい」

 森田が「チャネリングってどんな感じですか?」

 「チャネリングという言葉はよそよそしいというか、私は好きでないの、
ただ現状表現する言葉が見あたらないので使ってますけど、普通に閃くだけですけど」

 「よくチャネリングする人って、呼吸を整えたり、合唱したり、
水晶を凝視したり独特のパフォーマンスしますよね?」

 「他の方は存じませんけど、私は普通です。 ただ頭に圧迫感を感じたりする
場合がありますけど、無くても普通に繋がります。ただし、
パソコンの前に座りキーボードに手を置くという条件付きですけど」

 大越が「そうですよね、パフォーマンスなんてそんなに必要ないですよね」

 「そう思います、それぞれのタイプがあるのかもしれませんけど? 
因みに、あの三人はそんなパフォーマンスしませんけどね、
というか彼らにはそんなの必要ありません」

 「必要がないというと?」

 「わざわざ自分を見せつける、信じ込ませるという必要性を感じないと思います。 
いま大越さんがいった『パフォーマンスなんてそんなに必要ない』ということばそのものです。 
彼らはその類ではありません」

 大越が「小説の中で特にお気に入りのものあります?」

 「小説自体には特にというものはありませんが、登場人物のキャラには入れ込みがあります」

 森田が「具体的に聞いても良いですか?」

 「片乳のエバ、猫のアマテル、請負小説家Hisae、京子、動物と会話が出来るピリカ、
哲学者の花子、女子高生マリやアヤミとシゲミなど基本的に風変わりな女性キャラが好きなのね……
特殊な個性や能力を持った人間が」

 森田が「私もそのキャラみんな好きです。 
片乳のエバさんもHisaeさんも最高です。 
Sizuちゃん登場シーンの二人のやりとりなんか最高です」

 大越が「森ちゃん楽しそうね、私も戻ったらさっそく拝見します。 
で、何と検索すれば? キーワードは?」

 「Gooのブログで・・・ファイかな? スピリチュアル小説? 
ごめんなさい、わたし自分のブログにアップはするけど、
私自身で検索することないので……森田さんは?」

 「私もリンクしてて、今はお気に入りに登録してるから?」

 大越は「わかりました。 やってみますすぐ見つかるでしょう」

それから四人は小一時間ほどビールを飲んだ。

森田が「そろそろフライトの時間です」

別れ際、宮内は「みなさんに素敵な明日が待ってますように」

三人は飛行場へ向かった。


SANGA 二〇一七年秋号編集会議

 大越が「秋号の特集を多少変更します。 
各々能力者ひとりを紹介する。 
但し記事の内容にかかわらず誌面はふたページでお願い。 
そして新たな提案なんですが、宮内さんという札幌在住の女性と取材で知り合ったの。 
彼女は悟りを開いた三人と知り合い酒を交わしたことがある女性なの……

因みに私はこういう仕事をしていてまだ、悟りを開いた人に会ったことないの、
でも、彼女は三人の覚者と知り合いなの。 
その話しをしてるうちにこの方の経歴や考え方や行動が、すごく魅力的に感じてきたの。 
当然、私も森ちゃんも彼女の話しと雰囲気に引き込まれたわけなんだけど、
で、ひととおり取材を終えて別れの挨拶して別れたの。 

別れた直後、森ちゃんから宮内さんがチャネリングで小説を書いていて、ブログで
紹介していると聞かされたのね。 
それを知ってたら聴き方がまた違うのにって、森ちゃんを叱ったんだけど、
もう別れた後なのよ……はなしはそこで終わって、
帰路の途中食事をしに入った店で彼女と偶然また会ったの。

さっそく執筆の仕方など、私の聞きたかった質問をぶっつけたの、もうフライトまで
あまり時間もないし半ば強引に、彼女曰く一種のチャネリングで小説を書いてると言うのね、
それが結構興味ある内容だったの、時間がなかったからその場は簡単な質問で終わったけど。

 東京に戻ってからそのブログを読んだのね、内容は確かに面白い、
ただ文章がとっても、ど素人さんで、風景など描写が全然なってない。 
唯一心理描写が独特の視点なの、般的には理解しにくいかもしれないけど。 
でも、見る人が見たら的確に的をついていると解るはず。

まっ、その話しは置いといて、頭に彼女の特集を組んでみたいの、
小説の紹介ではなく、いち主婦が、精神世界と俗世との狭間でどう考え生きているのか?
なぜに小説の執筆をしているのか? 読者に紹介してみたいの」

これが私の提案よ、みんなの意見を聞きたい。

THE END
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