小説家HisaeとSizu 全10作

當宮秀樹

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1「チャネリング小説家」

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1「チャネリング小説家」

 私は、請負小説家Hisae、但しこれは表の顔、実はもうひとつ仕事やってるの……
なにか聞きたいでしょ……?

えっ、別に聞かなくていいですって?

なんで…… 興味ないの?

どっちでもいい

ねぇ、そんなこといわないで聞くだけ聞いてみたら?

う~ん! やっぱ、どちらでもいい……

そこまで言われたら話さないわけにいかないわね……

だから、どっちでもいい……

いや、話すから。 話させてちょうだい。 聞いてちょうだい。

だから、どっちでもいいですって、Hisaeさんしつこい

わかった、お願い聞いてやって下さい。

じゃぁどうぞ

私は、裏の仕事もしてるの。

それさっき聞いた

あっ、わかったごめん。 話しには勢いというか話し始めが肝心だからそこんところよろしく…… 
その裏の仕事とはチャネリング小説なの。 
チャネリング小説っていうのは私の造語なんだけど小説請負人っていうのは依頼者の
要望にそって書くのが原則。 チャネリング小説は、チャネリングして執筆するの。 

どう?

そのまんまでしょっ!

まぁ、まぁそう焦らないで聞いてちょうだい。

焦ってないけど

そうよね…… わかった。 ゴメン説明する。 依頼者がやってみたい職業や、思い描いた
人生など心にあるものはパラレル。ワールドの自分が既にやっている場合が多いの。
それを、私がパラレルの依頼者にチャネリングして人生や生き方を小説として書くの。

それがHisae流チャネリング小説。 だからフィクションなんだけど本当は
パラレル・ワールドではノンフィクションなの。 わかる?

?わからないけど

う~~ん、架空の小説として書いてるけど、本当は実話なのよ。 別世界のもうひとりの自分の
生活を忠実に書いてるから。

その辺がわかりにくい

う~ パラレル・ワールドってわかるよね? その別世界の依頼者の事を小説風に私が書くの。

どういう風に?

チャネリング。

長い人生をチャネリングするって大変では?
 
気を遣っていただいてありがとう。 でも、チャネリングっていうのは基本的に時間が存在しないもの。 
全てが瞬間たえず今しかないの。 
パラレの自分の性格はどんなんかな?と思った瞬間、刹那的に性格がわかる。 
時間が存在しないってそういうことなの。 
いつも今しかないの、時間だけじゃなく当然距離も存在しない。

それがチャネリングの世界なの。 もっというと、チャネリングという概念も本当は無い。
チャネリングをするという私と、される相手とはチャネリングをした段階で二元性から
一元性に統一されてしまうのね、だからチャネリングという相対性の概念は本来無いの。
それは究極だけどでもそれが真実なの。 わかってもらえた?

めんどうくさい

そっかぁ、忘れてちょうだい。 早い話が、依頼者のもうひとつの世界の依頼者に重なって、
その人の人生を小説にするの。

それ、わかりやすい。

……Hisaeは沈黙した。

あのね、名前はいえないけどこんな依頼があったのよ。 聞く?

聞きたい

そうこなくっちゃ…… 今度は素直ね。 じゃぁ話す。


 Sさんという方から一通のメールが届いたの。
 
「Hisaeさんのブログ見ました。 私も依頼したいのですがチョット普通と違うので、
先に確認したいと思いメールを差し上げました。 私のパラレルセルフの小説を書いて欲しいんです。 
パラレルの私は何をやってるのかものすごく興味があるんです。 とても知りたいです」

そういう文面だったのね。 私も初めての仕事だったから正直不安だったの。 
私に出来るんだろうかって…… で、こんなメールを返したの。
パラレルの小説は正直、経験ありません。 でも挑戦してみたい気持ちはあります。 
もしよろしければSさんの写真と自分がなってみたい職業なり表現したい自分を感じてみて下さい。 
まとまったら簡単な文章にしてメール下さい。 

Sさんのパラレル・セルフにチャネリングして私が実際に視てきます。 
それをあらすじにしてメール返信しますから、それでよければご依頼ください。  

追伸 写真は私が依頼者にリアルに重なる為、重要なアイテムです。 
出来れば添付して下さい。 ってね。 

そしたら返信があったの。

「内容は子供の頃から芸術が好きで、自分でも色々な作品を作っていました。 
でも実際は現実の生活に追われ芸術とは遠い世界におります。 
なのでパラレセルフにそれを職業としてやってる自分がいたら是非、チャネリングして欲しいのです」

そこまでいわれたら、私もチョット本気になっちゃってさ! 
行きつけの美容室に行ってカットしてもらい、風呂入って身を清め、
パソコンの前に座って写真に集中してみた。
五分くらい集中したら、視えた! もう一人のSさんが。 
Sさんに送ったあらすじをそのまま伝えます。

あらすじ
 ここは長崎県佐世保市、主人公Sは子供の頃から手先が器用。 
高校在学中、美術部所属のSはある作品を文部科学省主催のアートコンクールに応募しました。 
作品は人間の潜在意識から湧出してくるワクワク感をイメージした木の3次元造形と
絵の二次元的平面空間を融合させた作品。 
これが文部科学大臣賞に入選。 
それを期に将来芸術の分野で働こうと意を決し上京。 
美大では絵に描いたような貧しい生活。

同じ大学生でも綺麗な服を着て遊びほうけてる、お嬢様やお坊ちゃん生徒と違い、
Sは少ない仕送りで質素な生活をし、アルバイトで稼いだ少ないお金で
アクリルペンやその他諸々、芸術に必要な工具や材料を工面するという極貧生活を続けた。

彼女が大学を卒業し就職したのは某大手デザイン会社。 
入社前から大手の会社は企業受けする仕事専門になるから、
自分の目指すものとは違うという事は承知の上で入社。

父母に世話になった手前、だが入社はしてみたがやはり納得いかず三年で依願退社してしまう。 
自分の目指す世界を突き詰めてみたい一心からの行動だった。 
退社してからは出来るだけ出費を抑えた生活が五年ほど続いた。 
生活は苦しかったが楽しく充実した日々。 
結果、その五年間が今後の基礎をつくる事に繫がることになる。 
ある時、御茶ノ水駅前のカフェでコーヒーを飲んでいたら男性から突然声を掛けられた。

「君、Sさんだよね」

その声の主は以前勤めていた大手会社の同僚。 話しから彼は規格デザイン室のチーフに抜擢され、
ひとつの大きなプロジェクトを任されているとのこと。 
そしてSの独創的な発想を認めていた彼はそのプロジェクトに使うデザインを発注してきた。 
そのデザインが採用になれば今後も継続して取引したいという申し出である。

その後、仕事は成功をおさめ、その会社から引き続き仕事が入るようになり、
やがて全てが順調に運び日本はおろかアメリカからもオファーが入るようになり、
原宿にアトリエを設け夢が叶う事となった。 順風満帆の日々が十年ほど続いた。 
そんなある日Sのもとに一通のメールが舞い込んだ。

「拝啓 S様 私は以前からSさんの作品のファンです。 
あなたの斬新で革新的なデザインを楽しく拝見しております。 
私事で恐縮ですが先日主治医から癌の告知を受け、余命三ヶ月から半年との診断を下されました。 
そこでSさんへの仕事の依頼なんですが、私のお墓の制作をお任せしたくメールいたしました」

Sにとって墓のデザインは初めてだった。 
そこからSの人生が一変する出来事に出くわすことになる。 以上                        
                       

 Hisaeは話しを止めた。 

まっ、こんなあらすじを提出したわけよ

そんな細かいことまでわかるの?

そこまではわからない。 わかるのはSのパラレルセルフの一人に、
長崎生まれで高校時代になんかの作品展で賞をもらい、それが切掛けで上京。 
初めに勤めた会社を辞めて独立しまあまあ成功した。 
この辺までと、その心の動きはわかるの。 
あと具体的にはピンポイントでチャネリングしないとわからない。 
チャネリング能力の限界ってやつかもね。 
パラレル小説ではそこに脚色しないと作品にはならないの。 
音楽でもアレンジが欠かせないでしょ? 同じ理屈。

いくら私でも他人のパラレル・ワールドを映画やTVドラマを見るように
ハッキリとは表現出来ないわ。 そのまま書いたんじゃ全然味気ないし、
だから私のような人間が必要なのね……きっと。 
霊界を視たり、ガイドやハイアーセルフとの会話なんて本当に素朴よ。

こう思ったとか、ああだろう、なんて人間的な言葉遣いや感情移入なんて無いから。 
聞いたら答えるけど答え方は簡単明瞭。 だろうとか、かも知れないとか、
そう思う、なんていう曖昧な言い回しはしないないもの。

チャネリングは電話での会話とそこがまったく違う。 早い話し要点だけなの。 
TVに出るような事細かに話す霊能者さんって、事実を大げさに脚色してるかデタラメかもよ…… 
あるいは力ある制作ディレクターからの指示ね。 早い話し、やらせかも。 

これはここだけの話しよ。目に見えない世界を操る人はインチキか
狂言者か妄想癖人間が多いの。 残念だけどそれが現実。 
くれぐれも他言しないでね。

Hisaeさんはどうなの? 

当然、狂言者って言われたら反論できないよ。 だって実証出来ないもの。 
だから霊能者やチャネラーって一色単にされるのほんとうは苦手なのよ。

じゃぁ何て呼ぶかって?

……うんっ? 感応能力者かな? 人間ラジオか人間チューナーかしら? 
なんでもいいけどね。 話し長くなったけどわかってもらえたの?

わかりました。 デタラメって事でしょ?

てめぇぶっ飛ばす! 顔貸せ! とっとと表に出ろオラ!

ふと我に返りHisaeは心落ち着けた。

で……? あいつ誰? 何処から入ってきたの? なに? 
今の? もしかして私は病気か? 気持ち悪いから風呂入って寝ようと。

南無阿弥陀仏・南無妙法蓮華教・南無大師遍照金剛・アーメンソーメン、
チャーシューメンってね…… チョッチ古いか…… アハハ

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