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変身ヒーローと魔王の息子
歴史と伝承の信憑性
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ギルド世界本部の建物は一つの城のようであり、一つの町のようでもある。
基本的な構造は城に近い。
中央の城塞に建物がいくつも付け足されている。
そこには明確に区分けがされていない。
建物の中から中央の城塞に繋がる廊下もあるし、外側にも通路がある。
だから、中から向かえば部屋のようにしか見えないが、外からだと建物のようにしか見えない。
ここはあえて部屋と表現しておくが、世界本部の部屋には町のような区画もあった。
武器や防具や道具を売る部屋。
服や日用品を売る部屋。
食料を売る部屋や食事を売る部屋。
そして、俺たちが止まったのは宿泊するための部屋だ。
もちろん、ギルドもある。
そこは世界中のギルドと魔法水晶を使って連携しているらしく、全ての依頼が集約されていた。
だから、ここのギルドで仕事をしている人は町のギルドのように数人ではなく数十人に及ぶ。
冒険者であれば、ここで仕事を受けることも可能だ。
もっとも、飛翔船でもなければ簡単な仕事はここで引き受けたところで他の冒険者に奪われてしまうだろうが。
ただ、拠点として必要な機能は全て揃っているので便利ではあった。
そのせいか、クランスの言っていたように冒険者もそれなりに訪れてくる。
町の機能を利用するものが大半だった。
こんなへんぴなところに目立つ建物を立てて魔物とかに襲われるんじゃないかという心配もあったが、ここを拠点に活動している冒険者もいるし、この建物の構造的に防衛機能も十分あると思う。
ギルドで仕事をしている人たちも、元々は冒険者だから一人一人の戦闘能力もあるだろう。
実際に生活してみて、妙な安心感もあった。
俺たちは朝の七時には起きて部屋の炊事場で顔を洗い、朝食を作る。
最初は食事を売るところ――つまりは食堂のような部屋で食べていたのだが、それよりも自炊した方が安いしヨミが料理を作りたがった。
ヨミの料理というと、どうしても野宿をしていたときのサバイバルなものを思い出すが、いつのまにか見たことのあるような料理も作れるようになっていた。
どこで覚えたのか聞いたら、今までの経験から作り方は何となくわかるじゃないですかと言われたときは、ヨミの天才ぶりは魔法に関してだけではないのだと驚かされた。
朝食を終えて向かうのは最上階の書庫。
最初に通されたからギルドマスターの部屋かと思っていたが、あそこは書庫だった。
クランスの部屋はこの城塞都市の十階にある。その階層にはギルドの機能もあった。
ただ、冒険者の利便性も考慮して一階にもギルドの機能はある。そちらは、出張所のような扱いらしいから全ての機能を備えているわけではないようだが。
俺たちの寝泊まりしてるのが七階で、最上階が十二階。
毎日そこまで階段を往復しているわけではない。
宿泊用の部屋の鍵はそれ自体が魔法道具だった。このことは教えてもらったわけじゃなくて、ヨミが気付いたことだった。
そして、この城塞都市には各階層ごとに魔法陣の部屋がある。
グライオフでの魔法によるエレベーターにも驚かされたが、ここはそれよりもさらに凄い魔法を体験させてもらった。
魔法陣の部屋で魔法道具の鍵の力を発動させると、部屋に入った者たちは別の魔法陣の部屋へ転送できる。
超能力のテレポートと同じだ。
この技術って、飛翔船よりもよっぽど有用性のある魔法だと思ったら、この建物の中でしか確立されていない魔法技術だと教えられた。
ギルドの職員が利便性を追求してできたもので、外のギルドとも行き来が出来るか試したらしいが結果はもちろん推して知るべし。
魔法でテレポートできるなら帝国にだって余裕で侵入できると思った俺の思惑は、簡単に否定された。
取り敢えず、今日も書庫の本を漁る。
ちなみに、ヨミやアスルも本を読んでいるが、その内容は俺の読んでいるものとはまったく関係がなかった。
ヨミはこの世界の料理についての本を、アスルは魔法に関する本を読んでいる。
とやかく言うつもりはないが、特に俺の手伝いをするつもりはないようだった。
まあ、俺も内容のほとんどはAIに記録させてるだけだから自分の知識にしているわけじゃない。
おまけにそう言うデータ収集をしているので、ヨミやアスルが俺に興味のある本を読んで覚えてくれたところで意味はない。
同じように時間を共有し共同生活をしているが、やっていることはバラバラだった。
今日はこの世界の歴史についての本をAIに記録させていた。
「君たちも飽きずによく通うな」
ちょうど三冊目を記録し終えたところでクランスが声をかけてきた。
この建物には多くの人がいる。
町のような区画やギルドで仕事をする人。そして、冒険者。
ものを仕入れる業者も出入りしているから日中はどこにいてもそれなりに人の気配がある。
そんな中で、唯一この書庫だけは訪れる人が限られていた。
具体的に言えば、この一週間で書庫を訪れたのは俺たちとギルドマスターのクランスだけだった。
「それは俺のセリフじゃないのか? ここにある本はほとんど目を通してるんだろう? クランスこそ来る意味があるのか?」
「あるさ」
そう言ったきり本棚に向かって行った。
この世界に関する知識は増えてきたと思うが、今一番の謎はクランスだった。
彼に関してだけは本をいくら読んでみたところで答えは出ない。
それは直接聞くか、俺が調べるしかないんだろう。
今のままでは、俺の疑問に全て答えてくれる気はしないけど。
ちなみに、この世界の歴史についてだが――。
まとめてしまえばやはり進化論なんかではなかった。
この世界では神が人間を創りだしたとされている。
人間と魔物、エルフと魔族、妖精と精霊と天使と動植物によって構成された世界。
世界も含めて全てを創りだしたのが神様らしい。
この辺りはまあ、科学の発達した俺の世界ですら創造論が存在するのだから魔法文明世界のこの異世界ではそれくらいは想定の範囲内ってところだ。
気になるのは、魔物も魔族も神に創られた側に並べられているところ。
この世界の神は敵対する存在まで創りだしたことになっている。
人間の歴史の解釈では、それは人間の成長を促すために神が与えた試練だと言うことになっているが……。
案の定、千年ほど前に戦争が起こっている。
人間とエルフ、魔物と魔族の間で始まった戦争は、やがて世界を混沌へ陥れ、それを収めるために天使が降臨した。
その時に魔族は魔界と呼ばれる大陸へ封印されたと言うことだった。
そして、エルフはその戦争を境に姿を消した。
滅びたという証拠も記載もないが、この千年一度も姿を見たものが現れないところを考えれば、そう言うことなんだろう。
問題は、だ。
最初から人間と魔物や魔族が戦ったわけではなかったところ。
人間の残した記録を元に書かれた本だから人間の主張しか書かれていないが、エルフは人間を支配下に置こうとしたらしい。
その当時の人間にとって、魔物や魔族よりもエルフの方が敵だったと言うことになる。
よくよく考えれば、魔物や魔族は人間をエサとしか捉えていない。
そういう意味では対等な意味合いでの敵ではないんだよな。
人間にとっても魔物や魔族は害獣と同じような扱いでしかない。
エルフというのはどのような存在なのか。
当然、ここにはエルフに関する記述のある本も多数存在した。
それによると、美しい外見と高い魔力と長い生命力を持った少数種族。長い耳と金色の瞳が特徴的らしい。
特徴に多少の差異は見られるが、外見以外の部分は魔族とそっくりだ。
いや、美しい外見ってだけならそこすら魔族と共通している。
彼らがなぜ人間を支配しようとして対立することになったのか、それはもちろん人間側の話なので推測に過ぎず参考にすらならないと思った。
ちなみに、天使の介入による戦争終結後、魔法技術の進歩によって人間の世界は多くの土地を切り拓き、人を増やし国が出来ていった。
その中でも歴史が長いのがアイレーリスと今現在は帝国と呼ばれるようになった元ミスラスタス共和国。
アイレーリスはエルフとの戦争において最前線で戦ったらしい。
あの複合戦略魔法はその時の名残なのだろうか。
そう考えればつじつまは合うか。
逆に帝国は魔族との戦いにおける最前線だったと言うことなのかな。
その辺りは詳しくはわからなかった。
国の位置関係を考えれば想像は出来るが、帝国にはギルドがないから帝国の歴史について書かれた本はここには集められていない。
これが大まかなこの世界の歴史だった。
もちろん、そんな大昔のことだけじゃなくて、人間の国が増えていった後、人間の国同士での争いがいくつも起こり、その影響で国境や国際的なルールが作られていった過程もデータとしては記録できた。
ただ、それは俺が求めている情報とは違う気がした。
ここまでがこの世界の歴史だとするなら、一つどうしても腑に落ちない点がある。
『伝説の武器と魔王の争いがどこにも記述されていませんね』
歴史書を記録していて一番最初にその事に気がついたのはAIだった。
この世界には考古学者はいない。それらは全て冒険者が担っている。
彼らが過去の記録をどうやって得たのか、そして今日に残された歴史書がどのような裏付けによって書かれたのか、それを知る術はない。
ここに収められた本の全てがただの創作である可能性は、俺には否定できないと言うこと。
それを踏まえた上で、歴史書の中には伝説の武器は登場しなかった。
伝説の武器や魔王に関する記述は歴史書ではなく、世界各地に伝わる伝承の中に登場する。
それらをまとめた本を見ると、どれもがわかりやすい英雄譚のようだった。
大昔に起こった戦争では、天使が介入するまでは世界は混乱していたようだし、その中で伝承に残るような戦いもあったのだろうか。
その辺りはタイムマシンのようなものでも使って確認できなければ確かなことはわからないと思った。
ただ、伝説の武器は存在したし魔王も同じ。
それが事実であることだけは間違いない。
伝承を鵜呑みにするなら人間にとって魔王は倒さなければならない敵だ。
だが、歴史書に照らして考えるなら、そもそもそちらでは魔王も伝説の武器も登場していない。
クランスが魔王は脅威ではないと結論づけるには、まだ何か情報が不足しているように思える。
何しろ、ギルドマスターが命を懸けるほどそれを信じているのだから。
俺は本を閉じて、クランスのところへ向かった。
彼も俺たちと同じように床に座って本を読んでいた。
「クランス。少し、聞きたいことがあるんだけど、いいか?」
「構わないが、俺の質問にも答えてもらうぞ」
クランスはしおりも挟まずに本を閉じて立ち上がった。
もしかして、話しかけてくるのをずっと待っていたのか?
「わかった。一方的に情報を求めるつもりはない」
俺の答えに満足したように頷いてから聞きたいことを促してきた。
「歴史書と呼ばれる本の中には伝説の武器や魔王に関する記述はなかった。伝承と実際の歴史には齟齬があるのか? どちらが間違っているとか……」
「いきなり核心を突いてきたな。この一週間でどうやったらそこに辿り着くのか興味はあるが、質問に答えよう。歴史書に関しては集められるだけの情報を元に多角的な検証を進めた上で順序を整理して書かれたものだから概ね事実だと思っていい」
「それじゃ、伝承はただの作り話だってことか? でもそうなると、俺が見た伝説の剣に封印された魔王の説明が付かない」
「伝承にも事実が含まれている。ただし、それがいつ起こったことなのかは確認できない」
「え? 天使が介入する前の混沌とした世界で起こった話じゃないのか?」
「いや、正確な時は特定できていない」
「それでどうして事実が含まれているって……」
「ジェシカさんから聞いているだろう。我々はいくつか伝説の武器の所在を掴んでいると」
つまり、その証明に俺も一役買ったということか。
封印されていたせいで伝承こそ残っていなかったが、伝説の剣は存在した。
「伝承にも事実が含まれているなら逆に今度は魔王が人間を襲わない根拠が崩れると思う。伝承の中で魔王は人間を襲うしそれを止めるのが伝説の武器に選ばれた者の役割だった」
「そこは少し君の解釈は間違っていると思う。伝承には最初から伝説の武器の存在が明らかにされている。魔王が現れてから突然伝説の武器が現れるわけではない」
そうだったのか? 詳しい部分を全部AIに任せている弊害だな。
俺自身の知識ではないからその部分は確かめるしかない。
「ちょっと待ってもらえるか? その辺りのところをよく思い出す」
「…………」
クランスは頭に疑問符を浮かべているようだがその事を聞いては来なかった。
後で聞かれるかも知れないけど、AIのことを妖精と表現して呆れられなければいいが……。
取り敢えず、俺は小声でAIに確かめた。
『クランスの言うことは間違いではありませんよ。伝承では伝説の武器のことは最初から存在が明らかにされています。と言うより、それを巡って人間が争うことが多く描かれています。そして、これも一つのパターンというか様式美というか、最終的に伝説の武器に選ばれるのは争いに負けたものになるようです』
「それじゃ、そもそも伝承は伝説の武器がなければ始まらないということか」
『確かに、そのように見受けられますね。ですから、私にはクランスの考えを否定するだけの材料は見つけられませんでした』
伝説の武器が所在不明なら伝承は始まらない。魔王が脅威にならないと言うことはそう言うことなのか?
ギルドが所在を掴んでいるのは、伝承のようなことを未然に防ぐためだったのか?
クランスはこのことを知っていた?
一つの伝承を見ただけでは理解できない。
歴史と伝承を細かく照らし合わせてようやくおぼろげに見えてくる情報だ。
俺だってAIの検証がなければこんな短期間に結論を得ることはできなかったはずだ。
「クランスはこのことを知るためにギルドマスターになったのか?」
「いや、違う。俺の目的はすでに言っている通り、この世界に生まれた命を救うためにある。その目的に近づくために必要なことは何でもやっているだけだ」
「ってことは、問題は魔王じゃないってことだな」
「そうだ。伝説の武器こそが魔王の活動を活発化させる鍵となる」
俺たちが追うべきだったのは魔王ではなかった。
「でも、アスルは伝説の武器を破壊したと言った。それじゃダメなのか?」
「破壊された物がここにあるなら、それでよかったと思う。だが、あれは神の作り出したもの。破壊されただけではこの世界からはなくならない。それこそ、魔王の数が決して変わらないように」
「ギルドとして伝説の剣は探しているのか?」
「仕事として正式に依頼はしていない。むしろその事が明らかになれば新たな伝説が始まってしまうかも知れないからな」
所在が不明なら不明のままの方が都合がいいってことか。
誰かが見つけて、伝説の剣に選ばれるリスクとどちらが高いか。
しかし、伝説の武器にはゴーレムも一緒に存在するはずだから、ギルドならその情報も入ってくると考えていいのか。
それでも確実とは言えないし懸念も拭えない。
どうしてこの状況でもクランスは冷静なんだ。
「もし、伝説の剣に選ばれし者が現れたら? いや、それだけじゃない。ギルドは全ての伝説の武器の所在を把握しているわけじゃないんだろ。それらに選ばれるものが現れた時点でクランスの思惑は潰える気がするが」
「……魔王との戦いは避けられないものになるだろうな」
淡々とクランスは言う。それは、ほとんど死刑宣告と同じはずなのに。
「それじゃ、キャリーに命を捧げることになるな」
「構わないさ。そこまで事態が進んだら、俺も覚悟を決めるしかなくなるからな」
揺さぶりも効果無し。
彼には揺るぎない信念と覚悟がある。
「聞きたいことはこれで全てか?」
「……いや、俺はクランスのことも知りたい。あんたはどうしてそこまで自分の考えが正しいと信じて行動しているんだ?」
クランスは初めて考えるように目を閉じた。
その表情からは何を考えているのかは読み取れない。
腕組みをしてほんのわずかだけ首をかしげたような気がしたが、ゆっくりとまぶたを上げた。
「……運命を変えられるのは、誰だと思う?」
それが俺の質問に対する答えではないことだけは間違いなかった。
どんな意図を持って紡ぎ出された言葉なのかも理解できない。
ただ、無視してこっちの質問に答えるように言うこともできなかった。
基本的な構造は城に近い。
中央の城塞に建物がいくつも付け足されている。
そこには明確に区分けがされていない。
建物の中から中央の城塞に繋がる廊下もあるし、外側にも通路がある。
だから、中から向かえば部屋のようにしか見えないが、外からだと建物のようにしか見えない。
ここはあえて部屋と表現しておくが、世界本部の部屋には町のような区画もあった。
武器や防具や道具を売る部屋。
服や日用品を売る部屋。
食料を売る部屋や食事を売る部屋。
そして、俺たちが止まったのは宿泊するための部屋だ。
もちろん、ギルドもある。
そこは世界中のギルドと魔法水晶を使って連携しているらしく、全ての依頼が集約されていた。
だから、ここのギルドで仕事をしている人は町のギルドのように数人ではなく数十人に及ぶ。
冒険者であれば、ここで仕事を受けることも可能だ。
もっとも、飛翔船でもなければ簡単な仕事はここで引き受けたところで他の冒険者に奪われてしまうだろうが。
ただ、拠点として必要な機能は全て揃っているので便利ではあった。
そのせいか、クランスの言っていたように冒険者もそれなりに訪れてくる。
町の機能を利用するものが大半だった。
こんなへんぴなところに目立つ建物を立てて魔物とかに襲われるんじゃないかという心配もあったが、ここを拠点に活動している冒険者もいるし、この建物の構造的に防衛機能も十分あると思う。
ギルドで仕事をしている人たちも、元々は冒険者だから一人一人の戦闘能力もあるだろう。
実際に生活してみて、妙な安心感もあった。
俺たちは朝の七時には起きて部屋の炊事場で顔を洗い、朝食を作る。
最初は食事を売るところ――つまりは食堂のような部屋で食べていたのだが、それよりも自炊した方が安いしヨミが料理を作りたがった。
ヨミの料理というと、どうしても野宿をしていたときのサバイバルなものを思い出すが、いつのまにか見たことのあるような料理も作れるようになっていた。
どこで覚えたのか聞いたら、今までの経験から作り方は何となくわかるじゃないですかと言われたときは、ヨミの天才ぶりは魔法に関してだけではないのだと驚かされた。
朝食を終えて向かうのは最上階の書庫。
最初に通されたからギルドマスターの部屋かと思っていたが、あそこは書庫だった。
クランスの部屋はこの城塞都市の十階にある。その階層にはギルドの機能もあった。
ただ、冒険者の利便性も考慮して一階にもギルドの機能はある。そちらは、出張所のような扱いらしいから全ての機能を備えているわけではないようだが。
俺たちの寝泊まりしてるのが七階で、最上階が十二階。
毎日そこまで階段を往復しているわけではない。
宿泊用の部屋の鍵はそれ自体が魔法道具だった。このことは教えてもらったわけじゃなくて、ヨミが気付いたことだった。
そして、この城塞都市には各階層ごとに魔法陣の部屋がある。
グライオフでの魔法によるエレベーターにも驚かされたが、ここはそれよりもさらに凄い魔法を体験させてもらった。
魔法陣の部屋で魔法道具の鍵の力を発動させると、部屋に入った者たちは別の魔法陣の部屋へ転送できる。
超能力のテレポートと同じだ。
この技術って、飛翔船よりもよっぽど有用性のある魔法だと思ったら、この建物の中でしか確立されていない魔法技術だと教えられた。
ギルドの職員が利便性を追求してできたもので、外のギルドとも行き来が出来るか試したらしいが結果はもちろん推して知るべし。
魔法でテレポートできるなら帝国にだって余裕で侵入できると思った俺の思惑は、簡単に否定された。
取り敢えず、今日も書庫の本を漁る。
ちなみに、ヨミやアスルも本を読んでいるが、その内容は俺の読んでいるものとはまったく関係がなかった。
ヨミはこの世界の料理についての本を、アスルは魔法に関する本を読んでいる。
とやかく言うつもりはないが、特に俺の手伝いをするつもりはないようだった。
まあ、俺も内容のほとんどはAIに記録させてるだけだから自分の知識にしているわけじゃない。
おまけにそう言うデータ収集をしているので、ヨミやアスルが俺に興味のある本を読んで覚えてくれたところで意味はない。
同じように時間を共有し共同生活をしているが、やっていることはバラバラだった。
今日はこの世界の歴史についての本をAIに記録させていた。
「君たちも飽きずによく通うな」
ちょうど三冊目を記録し終えたところでクランスが声をかけてきた。
この建物には多くの人がいる。
町のような区画やギルドで仕事をする人。そして、冒険者。
ものを仕入れる業者も出入りしているから日中はどこにいてもそれなりに人の気配がある。
そんな中で、唯一この書庫だけは訪れる人が限られていた。
具体的に言えば、この一週間で書庫を訪れたのは俺たちとギルドマスターのクランスだけだった。
「それは俺のセリフじゃないのか? ここにある本はほとんど目を通してるんだろう? クランスこそ来る意味があるのか?」
「あるさ」
そう言ったきり本棚に向かって行った。
この世界に関する知識は増えてきたと思うが、今一番の謎はクランスだった。
彼に関してだけは本をいくら読んでみたところで答えは出ない。
それは直接聞くか、俺が調べるしかないんだろう。
今のままでは、俺の疑問に全て答えてくれる気はしないけど。
ちなみに、この世界の歴史についてだが――。
まとめてしまえばやはり進化論なんかではなかった。
この世界では神が人間を創りだしたとされている。
人間と魔物、エルフと魔族、妖精と精霊と天使と動植物によって構成された世界。
世界も含めて全てを創りだしたのが神様らしい。
この辺りはまあ、科学の発達した俺の世界ですら創造論が存在するのだから魔法文明世界のこの異世界ではそれくらいは想定の範囲内ってところだ。
気になるのは、魔物も魔族も神に創られた側に並べられているところ。
この世界の神は敵対する存在まで創りだしたことになっている。
人間の歴史の解釈では、それは人間の成長を促すために神が与えた試練だと言うことになっているが……。
案の定、千年ほど前に戦争が起こっている。
人間とエルフ、魔物と魔族の間で始まった戦争は、やがて世界を混沌へ陥れ、それを収めるために天使が降臨した。
その時に魔族は魔界と呼ばれる大陸へ封印されたと言うことだった。
そして、エルフはその戦争を境に姿を消した。
滅びたという証拠も記載もないが、この千年一度も姿を見たものが現れないところを考えれば、そう言うことなんだろう。
問題は、だ。
最初から人間と魔物や魔族が戦ったわけではなかったところ。
人間の残した記録を元に書かれた本だから人間の主張しか書かれていないが、エルフは人間を支配下に置こうとしたらしい。
その当時の人間にとって、魔物や魔族よりもエルフの方が敵だったと言うことになる。
よくよく考えれば、魔物や魔族は人間をエサとしか捉えていない。
そういう意味では対等な意味合いでの敵ではないんだよな。
人間にとっても魔物や魔族は害獣と同じような扱いでしかない。
エルフというのはどのような存在なのか。
当然、ここにはエルフに関する記述のある本も多数存在した。
それによると、美しい外見と高い魔力と長い生命力を持った少数種族。長い耳と金色の瞳が特徴的らしい。
特徴に多少の差異は見られるが、外見以外の部分は魔族とそっくりだ。
いや、美しい外見ってだけならそこすら魔族と共通している。
彼らがなぜ人間を支配しようとして対立することになったのか、それはもちろん人間側の話なので推測に過ぎず参考にすらならないと思った。
ちなみに、天使の介入による戦争終結後、魔法技術の進歩によって人間の世界は多くの土地を切り拓き、人を増やし国が出来ていった。
その中でも歴史が長いのがアイレーリスと今現在は帝国と呼ばれるようになった元ミスラスタス共和国。
アイレーリスはエルフとの戦争において最前線で戦ったらしい。
あの複合戦略魔法はその時の名残なのだろうか。
そう考えればつじつまは合うか。
逆に帝国は魔族との戦いにおける最前線だったと言うことなのかな。
その辺りは詳しくはわからなかった。
国の位置関係を考えれば想像は出来るが、帝国にはギルドがないから帝国の歴史について書かれた本はここには集められていない。
これが大まかなこの世界の歴史だった。
もちろん、そんな大昔のことだけじゃなくて、人間の国が増えていった後、人間の国同士での争いがいくつも起こり、その影響で国境や国際的なルールが作られていった過程もデータとしては記録できた。
ただ、それは俺が求めている情報とは違う気がした。
ここまでがこの世界の歴史だとするなら、一つどうしても腑に落ちない点がある。
『伝説の武器と魔王の争いがどこにも記述されていませんね』
歴史書を記録していて一番最初にその事に気がついたのはAIだった。
この世界には考古学者はいない。それらは全て冒険者が担っている。
彼らが過去の記録をどうやって得たのか、そして今日に残された歴史書がどのような裏付けによって書かれたのか、それを知る術はない。
ここに収められた本の全てがただの創作である可能性は、俺には否定できないと言うこと。
それを踏まえた上で、歴史書の中には伝説の武器は登場しなかった。
伝説の武器や魔王に関する記述は歴史書ではなく、世界各地に伝わる伝承の中に登場する。
それらをまとめた本を見ると、どれもがわかりやすい英雄譚のようだった。
大昔に起こった戦争では、天使が介入するまでは世界は混乱していたようだし、その中で伝承に残るような戦いもあったのだろうか。
その辺りはタイムマシンのようなものでも使って確認できなければ確かなことはわからないと思った。
ただ、伝説の武器は存在したし魔王も同じ。
それが事実であることだけは間違いない。
伝承を鵜呑みにするなら人間にとって魔王は倒さなければならない敵だ。
だが、歴史書に照らして考えるなら、そもそもそちらでは魔王も伝説の武器も登場していない。
クランスが魔王は脅威ではないと結論づけるには、まだ何か情報が不足しているように思える。
何しろ、ギルドマスターが命を懸けるほどそれを信じているのだから。
俺は本を閉じて、クランスのところへ向かった。
彼も俺たちと同じように床に座って本を読んでいた。
「クランス。少し、聞きたいことがあるんだけど、いいか?」
「構わないが、俺の質問にも答えてもらうぞ」
クランスはしおりも挟まずに本を閉じて立ち上がった。
もしかして、話しかけてくるのをずっと待っていたのか?
「わかった。一方的に情報を求めるつもりはない」
俺の答えに満足したように頷いてから聞きたいことを促してきた。
「歴史書と呼ばれる本の中には伝説の武器や魔王に関する記述はなかった。伝承と実際の歴史には齟齬があるのか? どちらが間違っているとか……」
「いきなり核心を突いてきたな。この一週間でどうやったらそこに辿り着くのか興味はあるが、質問に答えよう。歴史書に関しては集められるだけの情報を元に多角的な検証を進めた上で順序を整理して書かれたものだから概ね事実だと思っていい」
「それじゃ、伝承はただの作り話だってことか? でもそうなると、俺が見た伝説の剣に封印された魔王の説明が付かない」
「伝承にも事実が含まれている。ただし、それがいつ起こったことなのかは確認できない」
「え? 天使が介入する前の混沌とした世界で起こった話じゃないのか?」
「いや、正確な時は特定できていない」
「それでどうして事実が含まれているって……」
「ジェシカさんから聞いているだろう。我々はいくつか伝説の武器の所在を掴んでいると」
つまり、その証明に俺も一役買ったということか。
封印されていたせいで伝承こそ残っていなかったが、伝説の剣は存在した。
「伝承にも事実が含まれているなら逆に今度は魔王が人間を襲わない根拠が崩れると思う。伝承の中で魔王は人間を襲うしそれを止めるのが伝説の武器に選ばれた者の役割だった」
「そこは少し君の解釈は間違っていると思う。伝承には最初から伝説の武器の存在が明らかにされている。魔王が現れてから突然伝説の武器が現れるわけではない」
そうだったのか? 詳しい部分を全部AIに任せている弊害だな。
俺自身の知識ではないからその部分は確かめるしかない。
「ちょっと待ってもらえるか? その辺りのところをよく思い出す」
「…………」
クランスは頭に疑問符を浮かべているようだがその事を聞いては来なかった。
後で聞かれるかも知れないけど、AIのことを妖精と表現して呆れられなければいいが……。
取り敢えず、俺は小声でAIに確かめた。
『クランスの言うことは間違いではありませんよ。伝承では伝説の武器のことは最初から存在が明らかにされています。と言うより、それを巡って人間が争うことが多く描かれています。そして、これも一つのパターンというか様式美というか、最終的に伝説の武器に選ばれるのは争いに負けたものになるようです』
「それじゃ、そもそも伝承は伝説の武器がなければ始まらないということか」
『確かに、そのように見受けられますね。ですから、私にはクランスの考えを否定するだけの材料は見つけられませんでした』
伝説の武器が所在不明なら伝承は始まらない。魔王が脅威にならないと言うことはそう言うことなのか?
ギルドが所在を掴んでいるのは、伝承のようなことを未然に防ぐためだったのか?
クランスはこのことを知っていた?
一つの伝承を見ただけでは理解できない。
歴史と伝承を細かく照らし合わせてようやくおぼろげに見えてくる情報だ。
俺だってAIの検証がなければこんな短期間に結論を得ることはできなかったはずだ。
「クランスはこのことを知るためにギルドマスターになったのか?」
「いや、違う。俺の目的はすでに言っている通り、この世界に生まれた命を救うためにある。その目的に近づくために必要なことは何でもやっているだけだ」
「ってことは、問題は魔王じゃないってことだな」
「そうだ。伝説の武器こそが魔王の活動を活発化させる鍵となる」
俺たちが追うべきだったのは魔王ではなかった。
「でも、アスルは伝説の武器を破壊したと言った。それじゃダメなのか?」
「破壊された物がここにあるなら、それでよかったと思う。だが、あれは神の作り出したもの。破壊されただけではこの世界からはなくならない。それこそ、魔王の数が決して変わらないように」
「ギルドとして伝説の剣は探しているのか?」
「仕事として正式に依頼はしていない。むしろその事が明らかになれば新たな伝説が始まってしまうかも知れないからな」
所在が不明なら不明のままの方が都合がいいってことか。
誰かが見つけて、伝説の剣に選ばれるリスクとどちらが高いか。
しかし、伝説の武器にはゴーレムも一緒に存在するはずだから、ギルドならその情報も入ってくると考えていいのか。
それでも確実とは言えないし懸念も拭えない。
どうしてこの状況でもクランスは冷静なんだ。
「もし、伝説の剣に選ばれし者が現れたら? いや、それだけじゃない。ギルドは全ての伝説の武器の所在を把握しているわけじゃないんだろ。それらに選ばれるものが現れた時点でクランスの思惑は潰える気がするが」
「……魔王との戦いは避けられないものになるだろうな」
淡々とクランスは言う。それは、ほとんど死刑宣告と同じはずなのに。
「それじゃ、キャリーに命を捧げることになるな」
「構わないさ。そこまで事態が進んだら、俺も覚悟を決めるしかなくなるからな」
揺さぶりも効果無し。
彼には揺るぎない信念と覚悟がある。
「聞きたいことはこれで全てか?」
「……いや、俺はクランスのことも知りたい。あんたはどうしてそこまで自分の考えが正しいと信じて行動しているんだ?」
クランスは初めて考えるように目を閉じた。
その表情からは何を考えているのかは読み取れない。
腕組みをしてほんのわずかだけ首をかしげたような気がしたが、ゆっくりとまぶたを上げた。
「……運命を変えられるのは、誰だと思う?」
それが俺の質問に対する答えではないことだけは間違いなかった。
どんな意図を持って紡ぎ出された言葉なのかも理解できない。
ただ、無視してこっちの質問に答えるように言うこともできなかった。
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