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変身ヒーローと魔王の息子
束の間の休日
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休みと決めた日だったが、ベッドで寝ていても何となく落ち着かない。
だからといって特にすることがあるわけでもやりたいことがあるわけでもない。
趣味でもあればよかったんだが……。
そう言えば、いつだったか絵を描く夢を見たような……。
あれは俺の趣味だったのだろうか。
いや、そんなはずはない。
俺はデモンと戦うことで精一杯だった。
趣味を楽しむような時間はなかったはずだ。
「あの、ずっとそうしているなら会議に出席してもよかったのでは……」
ヨミがベッドでゴロゴロしてるだけの俺の顔を覗き込んできた。
「精神的に疲れてるのに、会議なんか出たら意味ないだろ。今日はもう何も考えないんだよ」
「リラックスしているようには見えませんでしたけど」
……ヨミのツッコミは的確だった。
何もしてないと逆にいろいろ考えてしまう。
「暇なら町に出ませんか? あまり部屋にこもっていると体に悪いですよ」
……なんだろう。デジャブというのかな。
誰かに同じようなことを言われた気がする。
妹? いや、違う。
ヨミだからこそ、そう感じたような……。
「どうかしましたか?」
「いや、何でもない。それじゃ、アスルも連れて行こう」
客間の隅でアスルは積み上げた本を一冊ずつ読んでいた。
すでに半分くらいを読み終えている。
「アスル、あまり暗いところで字を見てると目が悪くなるぞ」
「え? ああ、うん」
……あれ? また、だ。
今度は自分の言葉にデジャブを覚えた。
本当に疲れてるのかも知れないな。
このまま寝てしまうべきか。
「何? 兄ちゃん」
訝しげな表情を向けたアスルに反射的に答える。
「え? ああ、ヨミが町に出かけた方が気分転換になるって」
「姉ちゃんが? ああ、それならオレは良いよ。あまり邪魔したくないし」
「いや、アスルを邪魔だと思うことはないけど」
「兄ちゃん。そういう意味じゃないんだよ。ま、とにかくオレはこの魔道書で勉強したいから二人で行ってきなよ」
勉強と言われたら、それこそこっちが邪魔できない。
「ヨミ、アスルは勉強で忙しいって」
「え? あ、そうなんですか。それじゃ、邪魔しないように二人で出かけましょう」
そう言って俺たちは城の客間を出た。
特に当てがあるわけでもない。
城の正面から外に出る。
噴水が今日も鮮やかに日の光に照らされて輝いていた。
暑すぎず、寒くもない。
ギルドで手に入れた情報だと、この世界に四季はない。
一年中過ごしやすい環境のようだった。
噴水の向こう側では王国騎士団が木の剣と盾で訓練を行っていた。
全員ではない。
三組くらいだろうか。
今の王国騎士団は再編されて剣士が三人に魔道士が二人のチームを一つとして、必要に応じて何組かが部隊を組む。
訓練を指導しているものに見覚えがあったので、声をかけた。
「久しぶりだな。ディレック」
「おお、アキラ殿にヨミ殿。二人揃ってお出かけとは、デートですかな」
あまりに似合わないことをいうものだから、脱力して膝から崩れ落ちそうになったが、ヨミは当然「はい」と答えた。
……アスルの奴、そういう意味で邪魔したくないと言ったのか。
ここに至ってもその事に気がつかないほど馬鹿ではない。
だからといって、今さら戻ってアスルを連れてくるつもりはなかった。
「まあ、そういうことにしておこうか」
「え!?」
肯定したのに驚くとは、ヨミは珍しく顔を赤くさせていた。
「ハハハッ! さすがはアイレーリスの英雄だ。帝国が相手でもそのような余裕があるとは。……アキラ殿、昨日のエリーネ伯爵の言葉は響いた。我々がもっと強ければ、国の命運をアキラ殿に背負わせることもなかったと思う。代表戦の話、引き受けてくれてありがとう。もし次にそのような機会があったときは、アキラ殿に出番は与えないように努力を続けるつもりだ」
「それは頼もしい限りだな。帝国と決着を付けても、魔族との戦いが待っているって話だ。今の努力が役に立つときが必ず来るさ」
「ああ」
ディレックと固い握手を交わす。
「では、邪魔をしたな。デート、ゆっくりと楽しまれよ」
そう言って彼はまた訓練を続ける部下たちの指導に当たっていた。
「……あの、アキラ。デートだと認めるんですか?」
「あまり何度も聞くと恥ずかしくて否定したくなるから言うな」
「は、はい」
門を出て向かったのは中央の円形広場。
この辺りももうすっかり元通り。
戦争の爪痕なんてまったく残っていなかった。
そんなに昔のことじゃないのに、魔法による建築技術というのは、機械にも負けていない。
同じような服を着た子供たちが何人か集団になって歩いている。
鞄も同じようだ。
そう言えば、王都には学校があるんだった。
そこの生徒だろうか。
その中の一人、小学二年生くらいの男の子と目があった。
「あ! アイレーリスの英雄だ!」
大人たちは気づいてもさすがに取り囲んだりはしないが、子供たちは容赦なく俺たちを取り囲んだ。
「ねえねえ、“変身”して見せてよ」
「おねーさん、キレイだね」
「デートか? チューするのか?」
「バカ! きっと悪いヤツを探してパトロールしてるんだよ」
「それじゃ、変身して戦うんだ。すげー魔法だよな」
「変身する魔法なんて見たことない。だからあれは魔法じゃない」
「うるせーな。きっと新しい魔法なんだよ」
何人もの子供たちに囲まれて身動きが取れないうちに、今度は子供たち同時でケンカが始まりそうになった。
「よし、わかった。いいか、一回だけ見せてやる。そしたら満足しろよ」
俺はそう言って、本来はそこまで必要ないんだけど大げさにポーズを取って“変身”して見せた。
子供たちが一斉にキラキラした目を向ける。
それどころか、少し遠巻きに見ていた大人たちまで少し拍手してきた。
『……これでは、ヒーローショーのようですね』
AIの言葉通り、俺は子供たち全員と握手をしてその場を解放された。
変身を解除して飲食店街へ向かう。
「凄い人気でしたね」
「まあ、そういうもんだろ。変身ヒーローなんて……」
……これで今日、三度目だ。
デジャブに襲われる。
何なんだろう。
元々、俺の記憶はほとんど失われている。
覚えているのは博士に出会ってから。
それ以前の記憶がこの世界で呼び起こされている?
俺の過去に何か関係がある世界なのか?
そんなはずはない。
もし俺がこの世界に何か関わりがあるとしたら、魔法くらい使えてもいいはずだ。
「あの、やっぱり今日のアキラは変です。本当に大丈夫ですか? ベッドで休んでいた方がよかったのでしょうか……」
ヨミが心配そうな表情で覗き込んできた。
「悪いことばかりじゃないさ。それよりも、もうそろそろお昼の時間帯だし、この辺りは道も混雑するからはぐれないように気をつけろよ」
誤魔化しではなく、本当に失われた記憶が蘇ろうとしているなら、その方が俺にとっていいことであることは確かだった。
「それじゃ、腕を組んでもいいですか?」
小細工は必要なかった。ヨミもある意味レグルスと似たタイプだった。
俺の言葉に浮かれてまるで恋人のするようなことを求めてきた。
「あまりくっつきすぎるなよ」
そう注意すると、ヨミは忠実に言いつけを守るように腕を組むのではなく俺の右腕を掴んだ。
飲食店街には屋台もいくつか並んでる。
俺たちは歩きながら食べられる物を買って腹を満たした。
やはり、ここでもほとんどの人に俺がアイレーリスの英雄とやらであることは知られていて、かなりおまけをしてもらった。
次に向かったのは道を一本またいで西側にある商店街。
ヨミには武器や防具を与えたいと思っていたのだが、動きづらくなるからと言って拒絶された。
ヨミの戦闘スタイルは身体強化による格闘戦主体だから、わからなくもないが。
だけど、飛行艇を使ったときはそれ自体にあの闇を纏う魔法をかけることが出来たから、武器との相性も悪くないと思うんだよな、あの魔法は。
「あの、もし何かを買っていただけるのでしたら、アクセサリーが欲しいです」
道路から武器屋や防具屋のウィンドウに飾られているものを見ていたらヨミがそう言った。
「アクセサリー?」
魔法を補助するための道具か。
それならヨミにもぴったりだろう。
俺はヨミを連れて魔法道具の店に入った。
「……あの、ここは?」
「アクセサリーが欲しいんだろ? あの辺りに良さそうなものが並んでるぞ。ま、魔法の使えない俺にはよくわからないけど」
ヨミは一瞬だけ眉根を寄せた。
「……わざと、ではないんでしょうね」
と言ってため息をつくともういつものヨミに戻っていた。
何を言いたいのかよくわからなかったが、何かを間違えたことは確かなようだ。
それでも、ヨミは楽しげに物色していた。
やがて小さめのペンダントを手に取る。
透明なクリスタルがはめ込まれていた。
「そちらは魔力強化の魔法が込められたペンダントです。あの希少な魔物、ラミアのクリスタルを加工したものなので、効果は絶大です」
店主のおばさんが説明してくれた。
「あの、これって二つありますか?」
「ええ、ありますよ」
店主は同じものを二つ用意してカウンターに戻った。
俺はヨミを連れてカウンターに向かいながら耳打ちした。
「二つ買ってどうするんだ? アスルにもあげるつもりなのか?」
「いいえ。これは私とアキラのお揃いです」
「俺には魔力なんてないから意味はないんだけど」
「道具としてはそうでしょうけど、私と同じものを持つことに意味があるとは思えませんか?」
それは納得だ。そして、この店を選んだことが間違いだったこともわかった。
でもまあ、ヨミが選んだものを揃いで持つことに意味があるのだから、店はどこでもよかったのか。
ヨミがすぐに機嫌を取り戻したのも、大事なのはそこだと気付いたからだ。
「アイレーリスの英雄様が相手じゃ、値引きしてあげたいところだけど、ラミアのクリスタルはつい最近クリスタル屋から卸してもらった希少品なのでね。申し訳ないけど、負けられないんだわ」
ペンダントの価格は二つで金貨十枚。
「いや、商売なんだからそんなことで気を遣わなくていい」
「そうかい? それじゃ、魔法聖霊薬を一本おまけしておこうかねえ」
なんだかんだ言いつつも、魔法道具屋の店主はペンダントの他に小瓶を一つくれた。
「あ、そうそう。その魔法聖霊薬は特別製だから、魔力に余裕があるときは飲んじゃダメだよ。それと、出来れば後でそれを使った感想も聞かせてもらえると嬉しいねぇ」
と一言添えられた。
……ただのおまけじゃなくて、新しい製品の実験にされたのか?
取り敢えず、俺には意味がないからヨミかアスルに使わせよう。
「アキラ、どうですか?」
店を出るとヨミはさっそくペンダントを首から提げた。
小さめで目立たないが、確かなきらめきがスーツ姿のヨミに映える。
「似合ってると思うけど、身も蓋もないことを言えば、ヨミは美人だからどんな格好をしても似合うんだよ」
「え? あ、そ、そうですか……」
うつむき加減で顔が良く見えない。また何か間違えたんだろうか。
一応真面目に褒めたつもりだったんだけど。
「あの! アキラも、これを」
落ち込んではいないようだ。
突き出すように力強くペンダントを差し出した。
俺も同じように首から提げる。
……ま、俺にとっては普通のペンダントと変わらないな。
「ありがとうございます。このペンダント、一生の宝にします」
優しく抱きしめるようにヨミは胸のペンダントを握り締めた。
「そうか……喜んでくれたなら、よかったよ」
その後は特に目的もなくアイレーリスの王都を見て回った。
「あぁあ!」
馬車屋の前を通ったとき、間延びするような大きな声に呼び止められた。
「生きていたんですねえ、よかったですぅ」
トテトテと擬音が聞こえてきそうな程小走りに駆け寄ってきたのは、御者とはとても思えないほどおっとりとした女の子。
特徴的な長い金髪は軽くウェーブがかかっていた。
と言うことは、今日もお客さんは付かなかったんだろうな。
何しろ、アイレーリスで一番馬を速く走らせる御者のディルカは、その速さのせいで髪がボサボサになる。
髪型が整っていると言うことは、今日は一度も馬に乗っていないという証拠だった。
「生きていたって、一応俺たちがアイレーリスを救ったんだけど……」
「え? そうだったんですかぁ? アキラさんたちとはぐれてから、レッドウィングがいろんな騎士さんに追いかけられて楽しかったんですよぉ」
「そ、そうか……」
結構ディルカと馬も修羅場をくぐったらしい。とてもそうは見えないが。
「もし、また私たちを楽しませてくれるようなことがあったら、是非仲間に入れてくださいねぇ」
「そうだな。その時は頼む」
「はいぃ。今度は魔法も覚えましたから。きっと、一日くらいで国を越えることもできると思いますよぉ」
……それって、飛翔船より少し遅いくらいだぞ。
ってことは、とんでもないスピードで馬を走らせるって事だよな。
想像しただけで気持ち悪くなりそうだ。
客が付かないのも無理もない。
「ま、まあスピードを極めるのもほどほどにしておいたほうが良いと思うぞ。御者としての仕事を続けるつもりならな」
「はぃ? そんなことありませんよぉ。荷物を運ぶと皆さん喜んでくれますからぁ」
それはもはや御者と言うより配達屋だが、本人がそれでいいならもう何も言えることはない。
取り敢えず、無事が確認できたことはよかった。
何しろ、戦争の混乱で別れたままだったからな。
ディルカと別れて、町の散策を続けた。
日が傾き始めた頃、町の外れにあるギルドの前に来ていた。
「入らないんですか?」
「ジェシカともいろいろあったしな。代表戦とはいえ、また戦争に関わることもジェシカはよく思わないだろ」
このまま城に戻ろうとしたら急に扉が開けられた。
中から子供を二人連れてジェシカが出てくる。
あれ? あの子たち、今日の昼頃に中央の円形広場で会った子じゃ。
何事かと思って近づくとすぐにジェシカも俺たちに気がついた。
「アキラくん! 今、手は空いてる?」
「まあ、見ての通り」
「よかった……この時間になると立ち寄る冒険者が少ないから困ってたのよ」
「何かあったのか?」
「この子たちの友達が、町の外に出たんだって。今日習った魔法を魔物で試したいって」
「どこへ行った?」
事情を詳しく聞く時間が惜しい。必要な情報だけ求めた。
「西門から出たっていうから、たぶんスライムの生息地に向かったんじゃないかと」
「その辺りのスライムは俺が以前に倒しただろ」
「あのね、スライムなんて繁殖力が高いから、一回倒したくらいじゃ絶滅できるわけないでしょ」
「わかった。後のことは任せろ。ヨミ、行くぞ」
「はい!」
ヨミが返事をしたときには、すでにファイトギアフォームを展開していた。
「闇の神の名において、我が命ずる! 闇の力をその身に纏い、破壊する力を与えよ! ダーククロースアーマー!」
ヨミの体を闇が覆う。その中でただ一点。ペンダントだけが光り輝いていた。
俺の走りに、ヨミが何とか喰らいついてくる。
以前よりも身体強化能力が上がってる。
『どうやら、魔法道具の影響のようですね。魔力を余分に消費させることで効果を引き上げているようです』
AIが俺の疑問を解消させた。
程なくしてスライムの生息地が目に入る。
子供たちが固まっているのが見えた。
スライムが四方を取り囲んでいる。
火の魔法でスライムを攻撃しているようだが、倒すには至らない。
「グヘヘヘッ、ぬるいぜガキども。そんなんじゃ俺たちは倒せないなあ。安心しろよ、ガキは美味いからな。骨まで残らず喰ってやるよ」
スライムの下卑た笑い声に、子供たちは泣かなかった。
それよりも、次の魔法を用意している。
「無駄だというのがわからないのか? まずはそのお手々からいただこうか!」
口を大きく広げて子供の手を飲み込もうとする。
その横から思いきり殴りつけたら、スライムは形もなく粉々になってしまった。
……力が強すぎて、クリスタルごと破壊してしまったらしい。
「何だお前は!?」
「異世界を救った――」
「アイレーリスの英雄だ! お前たちなんか敵わないぞ!」
俺の言葉を遮って一番前でスライムと戦っていた少年が叫んだ。
「何だそりゃ? 俺の食事の邪魔をするなら、まとめて殺してやるよ!」
「は!」
やっと俺に追いついたヨミがスライムの後ろから回し蹴りを繰り出す。
「あ、ヨミ。力を入れすぎると」
クリスタルが粉々になると注意したときには、その通りになっていた。
この状況でも逃げずに襲いかかってきたスライムだけを倒し、俺たちは子供を連れ帰った。
出迎えた子供たちの親には凄く感謝されたが、もちろん子供たちはこってり親に絞られていた。
ちなみに、今回のも一応仕事として達成したことになってる。
依頼人は子供で、料金は銅貨二枚。
久しぶりに冒険者としての仕事をして、少しだけ気分が紛れたような気がした。
帰り道、ヨミは飲食店街を回っていたときのように俺の腕を掴んできた。
「……今日、凄く楽しかったです。でも、どうして……?」
「……妹と再会したら、元の世界に戻るのかも知れない。その前に、確かめておきたかったんだよ、たぶん……」
この世界で生きていくということ。
そして、俺の……。
いや、そっちの結論を出すのはまだ早いかな。
「そうですか。また、誘いますね。一回じゃわからないこともあると思います」
ヨミは全てを見透かしたような微笑みを浮かべていた。
だからといって特にすることがあるわけでもやりたいことがあるわけでもない。
趣味でもあればよかったんだが……。
そう言えば、いつだったか絵を描く夢を見たような……。
あれは俺の趣味だったのだろうか。
いや、そんなはずはない。
俺はデモンと戦うことで精一杯だった。
趣味を楽しむような時間はなかったはずだ。
「あの、ずっとそうしているなら会議に出席してもよかったのでは……」
ヨミがベッドでゴロゴロしてるだけの俺の顔を覗き込んできた。
「精神的に疲れてるのに、会議なんか出たら意味ないだろ。今日はもう何も考えないんだよ」
「リラックスしているようには見えませんでしたけど」
……ヨミのツッコミは的確だった。
何もしてないと逆にいろいろ考えてしまう。
「暇なら町に出ませんか? あまり部屋にこもっていると体に悪いですよ」
……なんだろう。デジャブというのかな。
誰かに同じようなことを言われた気がする。
妹? いや、違う。
ヨミだからこそ、そう感じたような……。
「どうかしましたか?」
「いや、何でもない。それじゃ、アスルも連れて行こう」
客間の隅でアスルは積み上げた本を一冊ずつ読んでいた。
すでに半分くらいを読み終えている。
「アスル、あまり暗いところで字を見てると目が悪くなるぞ」
「え? ああ、うん」
……あれ? また、だ。
今度は自分の言葉にデジャブを覚えた。
本当に疲れてるのかも知れないな。
このまま寝てしまうべきか。
「何? 兄ちゃん」
訝しげな表情を向けたアスルに反射的に答える。
「え? ああ、ヨミが町に出かけた方が気分転換になるって」
「姉ちゃんが? ああ、それならオレは良いよ。あまり邪魔したくないし」
「いや、アスルを邪魔だと思うことはないけど」
「兄ちゃん。そういう意味じゃないんだよ。ま、とにかくオレはこの魔道書で勉強したいから二人で行ってきなよ」
勉強と言われたら、それこそこっちが邪魔できない。
「ヨミ、アスルは勉強で忙しいって」
「え? あ、そうなんですか。それじゃ、邪魔しないように二人で出かけましょう」
そう言って俺たちは城の客間を出た。
特に当てがあるわけでもない。
城の正面から外に出る。
噴水が今日も鮮やかに日の光に照らされて輝いていた。
暑すぎず、寒くもない。
ギルドで手に入れた情報だと、この世界に四季はない。
一年中過ごしやすい環境のようだった。
噴水の向こう側では王国騎士団が木の剣と盾で訓練を行っていた。
全員ではない。
三組くらいだろうか。
今の王国騎士団は再編されて剣士が三人に魔道士が二人のチームを一つとして、必要に応じて何組かが部隊を組む。
訓練を指導しているものに見覚えがあったので、声をかけた。
「久しぶりだな。ディレック」
「おお、アキラ殿にヨミ殿。二人揃ってお出かけとは、デートですかな」
あまりに似合わないことをいうものだから、脱力して膝から崩れ落ちそうになったが、ヨミは当然「はい」と答えた。
……アスルの奴、そういう意味で邪魔したくないと言ったのか。
ここに至ってもその事に気がつかないほど馬鹿ではない。
だからといって、今さら戻ってアスルを連れてくるつもりはなかった。
「まあ、そういうことにしておこうか」
「え!?」
肯定したのに驚くとは、ヨミは珍しく顔を赤くさせていた。
「ハハハッ! さすがはアイレーリスの英雄だ。帝国が相手でもそのような余裕があるとは。……アキラ殿、昨日のエリーネ伯爵の言葉は響いた。我々がもっと強ければ、国の命運をアキラ殿に背負わせることもなかったと思う。代表戦の話、引き受けてくれてありがとう。もし次にそのような機会があったときは、アキラ殿に出番は与えないように努力を続けるつもりだ」
「それは頼もしい限りだな。帝国と決着を付けても、魔族との戦いが待っているって話だ。今の努力が役に立つときが必ず来るさ」
「ああ」
ディレックと固い握手を交わす。
「では、邪魔をしたな。デート、ゆっくりと楽しまれよ」
そう言って彼はまた訓練を続ける部下たちの指導に当たっていた。
「……あの、アキラ。デートだと認めるんですか?」
「あまり何度も聞くと恥ずかしくて否定したくなるから言うな」
「は、はい」
門を出て向かったのは中央の円形広場。
この辺りももうすっかり元通り。
戦争の爪痕なんてまったく残っていなかった。
そんなに昔のことじゃないのに、魔法による建築技術というのは、機械にも負けていない。
同じような服を着た子供たちが何人か集団になって歩いている。
鞄も同じようだ。
そう言えば、王都には学校があるんだった。
そこの生徒だろうか。
その中の一人、小学二年生くらいの男の子と目があった。
「あ! アイレーリスの英雄だ!」
大人たちは気づいてもさすがに取り囲んだりはしないが、子供たちは容赦なく俺たちを取り囲んだ。
「ねえねえ、“変身”して見せてよ」
「おねーさん、キレイだね」
「デートか? チューするのか?」
「バカ! きっと悪いヤツを探してパトロールしてるんだよ」
「それじゃ、変身して戦うんだ。すげー魔法だよな」
「変身する魔法なんて見たことない。だからあれは魔法じゃない」
「うるせーな。きっと新しい魔法なんだよ」
何人もの子供たちに囲まれて身動きが取れないうちに、今度は子供たち同時でケンカが始まりそうになった。
「よし、わかった。いいか、一回だけ見せてやる。そしたら満足しろよ」
俺はそう言って、本来はそこまで必要ないんだけど大げさにポーズを取って“変身”して見せた。
子供たちが一斉にキラキラした目を向ける。
それどころか、少し遠巻きに見ていた大人たちまで少し拍手してきた。
『……これでは、ヒーローショーのようですね』
AIの言葉通り、俺は子供たち全員と握手をしてその場を解放された。
変身を解除して飲食店街へ向かう。
「凄い人気でしたね」
「まあ、そういうもんだろ。変身ヒーローなんて……」
……これで今日、三度目だ。
デジャブに襲われる。
何なんだろう。
元々、俺の記憶はほとんど失われている。
覚えているのは博士に出会ってから。
それ以前の記憶がこの世界で呼び起こされている?
俺の過去に何か関係がある世界なのか?
そんなはずはない。
もし俺がこの世界に何か関わりがあるとしたら、魔法くらい使えてもいいはずだ。
「あの、やっぱり今日のアキラは変です。本当に大丈夫ですか? ベッドで休んでいた方がよかったのでしょうか……」
ヨミが心配そうな表情で覗き込んできた。
「悪いことばかりじゃないさ。それよりも、もうそろそろお昼の時間帯だし、この辺りは道も混雑するからはぐれないように気をつけろよ」
誤魔化しではなく、本当に失われた記憶が蘇ろうとしているなら、その方が俺にとっていいことであることは確かだった。
「それじゃ、腕を組んでもいいですか?」
小細工は必要なかった。ヨミもある意味レグルスと似たタイプだった。
俺の言葉に浮かれてまるで恋人のするようなことを求めてきた。
「あまりくっつきすぎるなよ」
そう注意すると、ヨミは忠実に言いつけを守るように腕を組むのではなく俺の右腕を掴んだ。
飲食店街には屋台もいくつか並んでる。
俺たちは歩きながら食べられる物を買って腹を満たした。
やはり、ここでもほとんどの人に俺がアイレーリスの英雄とやらであることは知られていて、かなりおまけをしてもらった。
次に向かったのは道を一本またいで西側にある商店街。
ヨミには武器や防具を与えたいと思っていたのだが、動きづらくなるからと言って拒絶された。
ヨミの戦闘スタイルは身体強化による格闘戦主体だから、わからなくもないが。
だけど、飛行艇を使ったときはそれ自体にあの闇を纏う魔法をかけることが出来たから、武器との相性も悪くないと思うんだよな、あの魔法は。
「あの、もし何かを買っていただけるのでしたら、アクセサリーが欲しいです」
道路から武器屋や防具屋のウィンドウに飾られているものを見ていたらヨミがそう言った。
「アクセサリー?」
魔法を補助するための道具か。
それならヨミにもぴったりだろう。
俺はヨミを連れて魔法道具の店に入った。
「……あの、ここは?」
「アクセサリーが欲しいんだろ? あの辺りに良さそうなものが並んでるぞ。ま、魔法の使えない俺にはよくわからないけど」
ヨミは一瞬だけ眉根を寄せた。
「……わざと、ではないんでしょうね」
と言ってため息をつくともういつものヨミに戻っていた。
何を言いたいのかよくわからなかったが、何かを間違えたことは確かなようだ。
それでも、ヨミは楽しげに物色していた。
やがて小さめのペンダントを手に取る。
透明なクリスタルがはめ込まれていた。
「そちらは魔力強化の魔法が込められたペンダントです。あの希少な魔物、ラミアのクリスタルを加工したものなので、効果は絶大です」
店主のおばさんが説明してくれた。
「あの、これって二つありますか?」
「ええ、ありますよ」
店主は同じものを二つ用意してカウンターに戻った。
俺はヨミを連れてカウンターに向かいながら耳打ちした。
「二つ買ってどうするんだ? アスルにもあげるつもりなのか?」
「いいえ。これは私とアキラのお揃いです」
「俺には魔力なんてないから意味はないんだけど」
「道具としてはそうでしょうけど、私と同じものを持つことに意味があるとは思えませんか?」
それは納得だ。そして、この店を選んだことが間違いだったこともわかった。
でもまあ、ヨミが選んだものを揃いで持つことに意味があるのだから、店はどこでもよかったのか。
ヨミがすぐに機嫌を取り戻したのも、大事なのはそこだと気付いたからだ。
「アイレーリスの英雄様が相手じゃ、値引きしてあげたいところだけど、ラミアのクリスタルはつい最近クリスタル屋から卸してもらった希少品なのでね。申し訳ないけど、負けられないんだわ」
ペンダントの価格は二つで金貨十枚。
「いや、商売なんだからそんなことで気を遣わなくていい」
「そうかい? それじゃ、魔法聖霊薬を一本おまけしておこうかねえ」
なんだかんだ言いつつも、魔法道具屋の店主はペンダントの他に小瓶を一つくれた。
「あ、そうそう。その魔法聖霊薬は特別製だから、魔力に余裕があるときは飲んじゃダメだよ。それと、出来れば後でそれを使った感想も聞かせてもらえると嬉しいねぇ」
と一言添えられた。
……ただのおまけじゃなくて、新しい製品の実験にされたのか?
取り敢えず、俺には意味がないからヨミかアスルに使わせよう。
「アキラ、どうですか?」
店を出るとヨミはさっそくペンダントを首から提げた。
小さめで目立たないが、確かなきらめきがスーツ姿のヨミに映える。
「似合ってると思うけど、身も蓋もないことを言えば、ヨミは美人だからどんな格好をしても似合うんだよ」
「え? あ、そ、そうですか……」
うつむき加減で顔が良く見えない。また何か間違えたんだろうか。
一応真面目に褒めたつもりだったんだけど。
「あの! アキラも、これを」
落ち込んではいないようだ。
突き出すように力強くペンダントを差し出した。
俺も同じように首から提げる。
……ま、俺にとっては普通のペンダントと変わらないな。
「ありがとうございます。このペンダント、一生の宝にします」
優しく抱きしめるようにヨミは胸のペンダントを握り締めた。
「そうか……喜んでくれたなら、よかったよ」
その後は特に目的もなくアイレーリスの王都を見て回った。
「あぁあ!」
馬車屋の前を通ったとき、間延びするような大きな声に呼び止められた。
「生きていたんですねえ、よかったですぅ」
トテトテと擬音が聞こえてきそうな程小走りに駆け寄ってきたのは、御者とはとても思えないほどおっとりとした女の子。
特徴的な長い金髪は軽くウェーブがかかっていた。
と言うことは、今日もお客さんは付かなかったんだろうな。
何しろ、アイレーリスで一番馬を速く走らせる御者のディルカは、その速さのせいで髪がボサボサになる。
髪型が整っていると言うことは、今日は一度も馬に乗っていないという証拠だった。
「生きていたって、一応俺たちがアイレーリスを救ったんだけど……」
「え? そうだったんですかぁ? アキラさんたちとはぐれてから、レッドウィングがいろんな騎士さんに追いかけられて楽しかったんですよぉ」
「そ、そうか……」
結構ディルカと馬も修羅場をくぐったらしい。とてもそうは見えないが。
「もし、また私たちを楽しませてくれるようなことがあったら、是非仲間に入れてくださいねぇ」
「そうだな。その時は頼む」
「はいぃ。今度は魔法も覚えましたから。きっと、一日くらいで国を越えることもできると思いますよぉ」
……それって、飛翔船より少し遅いくらいだぞ。
ってことは、とんでもないスピードで馬を走らせるって事だよな。
想像しただけで気持ち悪くなりそうだ。
客が付かないのも無理もない。
「ま、まあスピードを極めるのもほどほどにしておいたほうが良いと思うぞ。御者としての仕事を続けるつもりならな」
「はぃ? そんなことありませんよぉ。荷物を運ぶと皆さん喜んでくれますからぁ」
それはもはや御者と言うより配達屋だが、本人がそれでいいならもう何も言えることはない。
取り敢えず、無事が確認できたことはよかった。
何しろ、戦争の混乱で別れたままだったからな。
ディルカと別れて、町の散策を続けた。
日が傾き始めた頃、町の外れにあるギルドの前に来ていた。
「入らないんですか?」
「ジェシカともいろいろあったしな。代表戦とはいえ、また戦争に関わることもジェシカはよく思わないだろ」
このまま城に戻ろうとしたら急に扉が開けられた。
中から子供を二人連れてジェシカが出てくる。
あれ? あの子たち、今日の昼頃に中央の円形広場で会った子じゃ。
何事かと思って近づくとすぐにジェシカも俺たちに気がついた。
「アキラくん! 今、手は空いてる?」
「まあ、見ての通り」
「よかった……この時間になると立ち寄る冒険者が少ないから困ってたのよ」
「何かあったのか?」
「この子たちの友達が、町の外に出たんだって。今日習った魔法を魔物で試したいって」
「どこへ行った?」
事情を詳しく聞く時間が惜しい。必要な情報だけ求めた。
「西門から出たっていうから、たぶんスライムの生息地に向かったんじゃないかと」
「その辺りのスライムは俺が以前に倒しただろ」
「あのね、スライムなんて繁殖力が高いから、一回倒したくらいじゃ絶滅できるわけないでしょ」
「わかった。後のことは任せろ。ヨミ、行くぞ」
「はい!」
ヨミが返事をしたときには、すでにファイトギアフォームを展開していた。
「闇の神の名において、我が命ずる! 闇の力をその身に纏い、破壊する力を与えよ! ダーククロースアーマー!」
ヨミの体を闇が覆う。その中でただ一点。ペンダントだけが光り輝いていた。
俺の走りに、ヨミが何とか喰らいついてくる。
以前よりも身体強化能力が上がってる。
『どうやら、魔法道具の影響のようですね。魔力を余分に消費させることで効果を引き上げているようです』
AIが俺の疑問を解消させた。
程なくしてスライムの生息地が目に入る。
子供たちが固まっているのが見えた。
スライムが四方を取り囲んでいる。
火の魔法でスライムを攻撃しているようだが、倒すには至らない。
「グヘヘヘッ、ぬるいぜガキども。そんなんじゃ俺たちは倒せないなあ。安心しろよ、ガキは美味いからな。骨まで残らず喰ってやるよ」
スライムの下卑た笑い声に、子供たちは泣かなかった。
それよりも、次の魔法を用意している。
「無駄だというのがわからないのか? まずはそのお手々からいただこうか!」
口を大きく広げて子供の手を飲み込もうとする。
その横から思いきり殴りつけたら、スライムは形もなく粉々になってしまった。
……力が強すぎて、クリスタルごと破壊してしまったらしい。
「何だお前は!?」
「異世界を救った――」
「アイレーリスの英雄だ! お前たちなんか敵わないぞ!」
俺の言葉を遮って一番前でスライムと戦っていた少年が叫んだ。
「何だそりゃ? 俺の食事の邪魔をするなら、まとめて殺してやるよ!」
「は!」
やっと俺に追いついたヨミがスライムの後ろから回し蹴りを繰り出す。
「あ、ヨミ。力を入れすぎると」
クリスタルが粉々になると注意したときには、その通りになっていた。
この状況でも逃げずに襲いかかってきたスライムだけを倒し、俺たちは子供を連れ帰った。
出迎えた子供たちの親には凄く感謝されたが、もちろん子供たちはこってり親に絞られていた。
ちなみに、今回のも一応仕事として達成したことになってる。
依頼人は子供で、料金は銅貨二枚。
久しぶりに冒険者としての仕事をして、少しだけ気分が紛れたような気がした。
帰り道、ヨミは飲食店街を回っていたときのように俺の腕を掴んできた。
「……今日、凄く楽しかったです。でも、どうして……?」
「……妹と再会したら、元の世界に戻るのかも知れない。その前に、確かめておきたかったんだよ、たぶん……」
この世界で生きていくということ。
そして、俺の……。
いや、そっちの結論を出すのはまだ早いかな。
「そうですか。また、誘いますね。一回じゃわからないこともあると思います」
ヨミは全てを見透かしたような微笑みを浮かべていた。
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