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Chapter 7
⑧
しおりを挟む「……どうやら、あなた、わたしのことを『心配』してくれてるみたいね?うちの社長、有名な『遊び人』だもんね。」
礼子はさもおかしそうに声をあげて笑った。
「ご…ごめんなさい」
麻琴は失礼なことが表情に出てしまったと思って謝った。
そして、気まずさを紛らわすために、目の前にセットされたアイスペールから地球のようなまん丸の氷を取り出してバ◯ラのグラスに入れ、ボ◯モアをとくとくとく…と注いだ。
——ちょっと吞まなきゃ、やってらんないわ。
「いいのよ。あなたがそう思うのも無理ないわ。……たぶん、恭介もそうでしょうね」
礼子は、ふっ、と笑った。
「あなた、先刻『三十四歳になる』って言ってたわよね?三十五歳超えたら、あっという間よ?……わたし、来年で四〇歳になるの」
とてもそうは見えないが、礼子は恭介と同い歳だからそうなのだ。
「これから子どもを産むとなると、正真正銘……リミット間際なのよねぇ」
いくら医学が進歩したからとはいえ、高齢になればなるほど、妊娠しづらくなってさまざまなリスクの確率が上がるのは、今も昔も変わらない。
「ねぇ、知ってる?『諸説あり』だけど、子宮が第一子出産に適してる年齢は十八歳なんですって。なんでも、産んでからの回復力が断然違うらしいわよ?わたしなんか、それから二〇年以上も経っちゃったわよー」
そう言って、礼子は自虐的に嗤う。
「そういえば、従姉妹が第一子を二〇代で、第三子を三〇代で産んだんですけど、『体力が回復しにくくてさ、産んだあとのしんどさが全然違うんだよー、麻琴ちゃん』って言っていましたね」
麻琴は、従姉妹の七海が言っていたことを思い出した。
「さすがに、十八歳で第一子を産むのは早すぎますが、せめて二〇代のうちには産んでおくべきだったかしら、とは思っています」
「あら、あなたもなの?わたしも、今となっては二〇代の頃に一人くらい産んどけばよかったって、ちょっと後悔してるの。……でも、そうなると恭介とデキ婚して、そのあと確実に離婚してたでしょうけどね」
——恭介さんとは、たとえ結婚して子どもがいてもダメだった、ってことか……
「それに——だれの精子でもいいってわけじゃないのよねぇ。ねぇ、あなた、優秀な男だったら、精子バンクからでも大丈夫な派?」
「だ、大丈夫じゃないですよっ!」
——そんな派なんて、あっても入りたくないわっ!
「結婚したからって、夫婦がいつまでもなかよくやっていけるとは限らないとは思っていますが、やっぱり子どもは『愛しあった』結果として生まれてきてほしいです」
「……わたしもそう思うんだけどもね」
礼子はふーっと息を吐く。
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