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Chapter 1
⑤
しおりを挟む実は、ボーナスが出るために考えるのだ。美容整形に「乳輪縮小手術」というのがあって——もちろん、執刀医の腕にもよるが——目立った手術痕もなく小さくできるというのだ。手術費用は三〇万円ほどかかるらしい。
「えっ、きみ、なに言ってんの?」
彼はそう言ったかと思うと、カウンターの上に置いていたスマホを手にして、タップとスワイプを繰り返した。
「ほら、いつまでも突っ伏してないで、これ見て」
仕方なく顔を上げると、彼のスマホが突きつけられた。
そこにはIカップと謳われたAV嬢——今は「セクシー女優」っていうんだっけ?——がご自慢の「爆乳」を見せてにっこりと微笑んでいた。
「おれは医者じゃないから、専門的なことはわからないけどさ。この子は典型的な思春期乳腺肥大症っていう疾患なんだ。本人は気づいていないだろうけどね。だから、もしきみのおっぱいがこんなふうなら、むしろ治療のために手術することは賛成だよ」
——えっ、そんな疾患があるの?
さらに今度は、思春期乳腺肥大症についての症例が載ったサイトを見せられた。
わたしも医師ではないから専門的なことにはお手上げだが、要するに十代の思春期にさしかかった時期に、何らかの原因によってエストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンが過剰に分泌され、乳房が異常に肥大する疾患らしい。
患者は一様に、乳房は肥大し過ぎて瓢箪のように長く垂れ下がり、先端の乳輪もまた肥大し——女性の掌くらいありそうだ——乳房の重みに耐えきれず真下を向いている。
「……さすがに、こんなふうにはなってないな」
わたしはぽつり、とつぶやいた。
「じゃあ、先刻も言ったけど『パフィーニップル』かもしれない。手術なんてする必要ないよ、勿体ない」
「ねぇ……その『パフィーニップル』って、なに?」
「『puffy』はまぁるく膨らんだ感じ、『nipple』は乳頭のことさ。つまり、ぷっくりと膨らんだ乳輪のことだよ。おれは、おっぱいが大きくなるのに比例して乳首や乳輪も大きくなることは、自然なことだと思うけどね。むしろ小さいままの方が、豊胸手術でも受けたんじゃね?って思ってしまうけどな」
そして、彼はまたタップとスワイプを繰り返し、
「海外ではさ、思わずしゃぶりつきたくなる、とか言ってすんげぇファンがいるんだぜ。アメリカの「PLAYB◯Y」誌のプレイメイトなんかにも見かけるよ」
と言って、わたしにスマホを見せる。
「ほら……こんな感じのおっぱい」
トップレスの白人のプレイメイトが、ビッグスマイルで形の良い豊かなおっぱいを突き出していた。ピンクがかった淡いベージュの乳首も乳輪も大きい。こりっとした乳首がつん、と勃ち上がっているのに対して、ぷっくりした乳輪はおっぱいの膨らみのような弾力で、ふわっふわっに見える。
「ああぁっ、そうそう!……まさに、こんな感じっ」
そして、たぶんこの彼女も、なにも「刺激」を与えられなくても乳首が勃ってるのがデフォルトで、ノーブラで着衣すると、勃ち上がったポッチが周囲にまるわかりになるんじゃないのかな?
だけど、日本では羞恥極まる「ポッチ」が海外ではあたりまえ、というか……男たちから魅力的だと「好意的」に捉えてもらえると聞く。だから、ノーブラで出歩くことに頓着しないのはもちろん、人工的なポッチを貼って「盛る」女さえいるそうだ。
「えっ、ほんと⁉︎」
彼の表情がぱっと華やいだ。
「実はおれ、画像では見たことあるけど、実際に目の前で見たことはないんだ」
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