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Chapter 9
⑦
しおりを挟む「そもそも、こんなに転勤が多いのも、あたしなんかと結婚しちゃったからだしね。なのに、今まで大地にかまけてて、妻らしいこと全然してこなかったもんね」
紗香は気弱に微笑んだ。もうかなり感情の昂りは収まってきたかな。
——なに言ってんだ。そんなこと、あるわきゃねえだろうよ。どうしてもおまえと結婚したいおれが、おまえを無理矢理かっ攫ったんじゃないか。それに、おれの子を産んでくれたばかりか、ほとんど一人で育てて社会人にしてくれた。
「凌牙さんにもこんなふうにグチったら、『サーヤの良さを、ダンナに再認識させればいい』って言ってくれたの」
——いやいやいや。再認識もなにも、初めからちゃんと「認識」してっから。
それで、紗香は大阪での生活に「潤い」と「癒し」を与えるため、季節を感じさせる小鉢などのテーブルウェアやムーディーな雰囲気を醸し出すアロマランプを買ったんだそうだ。
「真也さんは、接待や会食などで外食ばっかりだろうから、お料理がんばろうと思って。今のところは会社の健康診断で異常なしだけど、歳も歳だから」
——だから、なにか食べに行こうと言っても、うちでつくってたんだな。
さらに紗香は、かわいいルームウェアとその下に着けるさりげなくセクシーなランジェリーも用意した。
「あぁ、あの薄紫のブラとショーツだな?あれはおまえにすんごく似合ってて、すんげぇ煽られたぞ」
思わず口を挟むと、もの凄い目で睨まれた。
——どうやら、まだ早かったらしい。
「……アロマランプのオイルだって、イランイランにしたのよ」
なんと、催淫効果のある香油らしい。そういえば、中東のハーレムで香ってそうな、あのスパイシーでオリエンタルな匂いに誘われて、紗香を抱きたくなったんだったな。……あくまで「個人の感想」だが。
「それに……」
紗香が意を決したように言った。
「……エッチが変わったもの」
——はぁ⁉︎
「この前、いかがわしいホテルに連れて行かれたとき……」
ここで「ラブホ」と言わないところが、紗香の奥ゆかしさだ。
「……今までと、全然違ったもんっ」
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