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乙女ゲームに転生しました
私、もしかして転生した?!?!
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この世界にきたのは、いつだったけ。
ちょうど一年前くらいのことなのに、
まるで遠い昔のように感じる。
「メロディーちゃん!おはよーっ!」
『あっ、…おはよう』
この日は確かに、いつもと違っていた。
クラスメイト達が、
満面の笑みを浮かべて朝から挨拶をしてきたのだ。
普段は用事のあるときしか声を掛けてこないどころかフル無視して空気のように扱い、ほんと暗いよね~などとコソコソ私の陰口を言っているような連中だ。
絶対何かあるに違いない。
正直、嫌がらせされるよりも恐怖を感じた。
みんなで何か企んでいて、
悪いことでも起こるのではないか、
用心しなくてはと気を張っていた。
まさかある日、目覚めたら乙女ゲームの世界に転生していた…!?なんて全く嘘みたいなことが私の身に起きるとは夢にも思わなかったけど…
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ぴちゃん。ぴちゃん。何かが落ちる音がする。
まどろみの中にいた私は、冷たい物が触れる感覚がして、うっすらと瞼を上げた。
その瞬間、
「冷たあああ!」
凍えるほど冷たい水をぶっかけられた。
薄暗い静かな空間に、悲鳴に近い甲高い声が響き渡る。
「ようやく目を覚ましたようだね」
真っ先に目に飛び込んできたのは
ソファに行儀悪く横たわっているフードの男。
男の顔はよく見えないが、突き刺さるような視線を感じる。
「ここどこ…」
見上げた天井は殺風景だった。
髪からポタ…ポタ…と落ちるしずくの音だけが耳をこだまする。
濡れた頬を拭おうとすると、右手からジャラッと音が聞こえた。
え?
勢いよく下にも視線を移すと、頑丈な拘束具をが足にも…。
何度か必死に手と足を動かしてみたが、びくともしない。
「その格好からしてキミ、貴族のお嬢様だろ?捕まったからには、どうなるかわかってるんだろうね?」
じわじわと背筋が凍るような恐怖感が襲ってきた。
状況が飲み込めない…
捕まった?貴族のお嬢様って私が?
「敵対している国の城中に忍び込んだことがバレたら、スパイ容疑で確実に死刑だよね。キミも一族もおしまいだよ。」
わずかにすき間から射し込む月の光に照らされて、怪しく光る緑色の目と視線が合った。
その吸い込まれそうな瞳にぞくっとする。
「だが、僕は捕まえて死刑になんてしない。キミには重要な役目を果たしてもらわないといけないからね。」
この人は敵か味方、どっちなのだろう。
「キミにはこの国の第一王子であるアルファン王子のためにも協力してもらうよ」
アルファン王子…?
その名前を耳にした瞬間、全身に電流が走った。
弾かれたように拘束された体を起こし、
辺りをきょろきょろ見渡す。
いや、もしかしてこの状況はわたし…
ここ数年で流行り出した異世界転生というものをしてしまったのでは…
頬っぺたをつねって現実に戻ろうとしたが痛い。ん?もう一度…あれれ?痛いぞ
「あああ…あの、ここは何という国ですか?」
その問いかけに、静かな低い声が返って来た。
「スリーリニア王国だが」
「まさか…まさか、まさか…」
【破滅プリンス】の舞台となる国の名前と全く同じじゃない!!!
アルファン様のいる世界に転生したなんて、全く嘘みたいなことが私の身に起きたって言うの?!
興奮で全身が震える。
(これは…現実なの?)
気がつくと、男は緑色の目を細めていた。
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