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第1章 深淵の試練編
06話 初の死闘です
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あの後、襲いかかって来た魔物を何匹か始末して遂に辿り着いた下階層への道。
そこは、異世界ダンジョンでお馴染みの階段では無く傾斜の低い坂道になっています。
その坂も大した距離はなく、夜目のスキルで暗闇を見通せるようになったこの目で見る事ができる程度の距離で下の階層が見えていました。
もうこの際、ハッキリと言っちゃいますけど。
このダンジョンはラノベに出てくるダンジョンのように階層ごとに風景が変わったりは全く無い。
同じ風景が延々と続いているだけでした、はい。
出てくる魔物達にも大した差はなく。
最初に殺した犬型魔物であるヘルハウンド、体長2メートル程度のとにかくキモい鳥であるガルーダ、これまた2メートル程の猿みたいなカクエンの三体のみ。
まぁ初日に見た、あのドラゴンが何処かにいるはずなので他の奴が居ないとも限りませんけど。
俺が確認したのはこの3種のみと言う訳です。
ちなみに鑑定でヘルハウンドと言う名前が発覚した際。
最初に戦う魔物がゴブリンやスライムと言ったテンプレは守らないのに、出てくる魔物の名前はメジャーと言うテンプレについて理不尽だと1人愚痴をこぼした事は記憶に新しいですね。
閑話休題。
話を戻しましょう。
何故今こんな事を言っているかと言うと、変わり映えの無かったダンジョンに遂に変化があったからに他なりません。
階層を下ること10階層目、110階層から111階層目への道に真っ黒な巨大な扉がありました。
こんな、あからさまな扉はダンジョン定番のボス部屋でしょう。
しかし、この扉に辿り着いてふと思った事があります。
ここに来るまでの間レベリングも兼ねて出来るだけマッピングしながら来たつもりです。
しかし道中あのドラゴンを目にする事はありませんでした。
初日に見たあのドラゴン、アイツの強さは直近10階層の強さを逸脱しています。
明らかに、こんな低層にいる存在じゃありません。
にも関わらず、初日に遭遇してしまった。
この事から、ここ以外にも下階層への道はあるのではないかと、思い至った訳です。
尤も、散々探し回ったけど結局見つからなかったんですけどね、これが。
と言うわけで、あのドラゴンの事は気にせずにレッツ・ボスバトル! と行くとしましょう。
これまたファンタジーな事に、真っ黒の扉に手を当てると、力を込めた訳でもなく独りでに〝ゴゴゴォォ〟と重厚な音を響かせながら開いて行く。
中はまさに真っ暗。
しかし、夜目スキルを持っている俺には問題無く見通せます。
そこに見える景色はただの部屋。
何も無い50メートル四方程度の広さの部屋が見えるだけです。
扉を開けた瞬間に攻撃されると言う事もありませんし。
もしかして八大迷宮って言っても、意外とイージーモードなのかもしれませんね。
ボス部屋の中に入ると、これまた独りでに扉が閉じていき、バタンと音を立てながら扉が閉まった瞬間、部屋の中が光に満たされ。
何処から現れたのか漆黒のマントを羽織った骸骨が、赤く光る瞳孔を虚空に向けながら宙に浮いています。
またまた出ました、ファンタジー演出!!
いいですね、テンプレはやはり守ってこそ意味がある。
しかし! いくらテンプレ展開とは言え迷宮に追放はどうかと思いますけど。
種族:エルダーリッチ
年齢:???
レベル:600
ステータス
生命力:165000
魔力 :250000
力 :5000
敏捷 :115000
体力 :6700
スキル:「闇魔法LV10」「暗黒魔法LV5」「夜目」「高速治癒LV5」「魔力自動回復LV5」「全魔法耐性LV5」「詠唱破棄LV5」
称号:「不死王」「110階ボス」
ここに来るまでの間に身につけた、敵を見つけたら鑑定を掛ける、と言う俺の戦闘でのいつものパターンで見えたこのステータス。
強い、それも圧倒的に……
これまでに出てきた魔物達の平均レベルは200程度。
そんな状況だったのが一気に倍以上になり、ステータスも十万越えが多数ありと。
エルダーリッチと言う魔法特化イメージそのままに、まさに魔法戦闘に特化しているステータス構成をしていますね。
これは厄介な相手になる事、間違い無しでしょう。
しかし、スキル構成には隙も多い。
例えば全魔法耐性は確かに厄介ですが、物理攻撃に対する耐性が一切ない。
これだけで、かなりの隙と言えるのだが……残念な事に俺の戦闘手段は魔法重視だと言う事が問題ですね。
このままでは勝てるかどうか微妙と言ったところでしょう。
こうしてボス部屋に入って数十秒が経っている訳ですが。
未だにエルダーリッチが攻撃してこないと言う事を考慮すると……ある一定の距離に近づかなければ。
あるいは、こちらから攻撃を仕掛けるまでは向こうから攻撃がしてくる事はないと言う事でしょうか?
もしそうなら、ありがたい限りですね。
尤も、ここは未だに最下層までの十分の一と言う程度の位置。
これから先もこうとは限りませんから、注意は必要ですが……
取り敢えず先制攻撃をさせてもらいましょう。
と言う事で、滅光魔法を発動する。
小手調べ、なんて無駄な事はせず。
魔力を100万程度注ぎ込んだホーリーを収束させ極細のレーザーのようにして放つ。
チュン、と言う音を成して放たれた極細の光はエルダーリッチの周囲に現れた透明な壁を一瞬で貫通し、エルダーさんに直撃した。
そして光はそのままエルダーさんを貫き滅する……事は無かった。
確かにエルダーさんの骨の身体が赤くなり僅かばかり溶けているのは見て取れ、ダメージが入っている事は確実。
しかし、それだけです。
致命傷には程遠い。
今まで十万も魔力を込めて放ったら射線上の全てを消し去った滅光魔法を……それも10倍100万の魔力を注ぎ込んだにも関わらずこの程度とは……
「やりますね」
そんな言葉とともに軽く口角が上がるのを自覚する。
ハッキリ言って、これで決着がつかなかった事はかなりのピンチなのですが。
今の俺に滅光魔法以上の威力を誇る攻撃手段は無い。
しかも、今以上の魔力を込めると制御しきれずに不発したり暴発したりする。
それでも、勝機が限り無く遠ざかったと言うのに口角がつり上がったのは、それだけ俺が戦いを楽しみにしていたと言う事でしょう。
俺そんなバトルジャンキーのつもりは一切無いんですけどね……
これまでの戦いと言えば、有無を言わせずに先手必殺の滅光魔法で勝負がついていました。
しかし、それはでは戦闘とは言わない。
言うなれば暗殺みたいなものでしょう。
だからか、俺は心の何処かで闘いを望んでいたのでしょう。
お返しと言わんばかりにエルダーさんが、闇魔法で作られた真っ黒な球体を自身の周りに幾つも浮かべて一斉に放つ。
そして放ったところからまた球体が現れると言う中々の鬼畜ループ。
しかし、その程度なら対抗手段は幾らでもあります。
初弾を避けたところで滅光魔法を半球状に広げる。
これが犬、もといヘルハウンドの群れに襲われて以来、俺が多用している広範囲殲滅魔法ホーリーフィールド。
ホーリーフィールドを発動した瞬間、俺に向かって飛んで来ていた黒い球が消滅する。
更にこの魔法の恐ろしいところは、魔力を注ぎ続ける事により持続する事ができると言う点。
本来全てを消し去るホーリーを360度隙間無く、長時間放つ事ができるのです!!
滅光魔法を完全に無効化できるのなら、俺に勝機は存在しなかったでしょう。
しかし、さっきの収束砲で完全に無効化する事が出来ない事は確認済み。
つまり、このままホーリーフィールドを喰らい続ければ、あのエルダーさんの敗北は必至と言うわけです。
凄まじい勢いで魔力が削られて行ってますが……エルダーさんが消滅する方が早い。
「俺の勝ちでっ! 何がっ!?」
視界が真っ暗に塗り潰される。
平衡感覚は崩壊し、音は消え、感覚が麻痺し、嗅覚が無くなる。
一体何が起こっている!?
「ぐふぉっ!」
狂っていた全ての五感が戻ると同時に襲って来る、壮絶な痛みと衝撃。
何が起こったのか理解出来ない!
吹き飛ばされ、倒れた身体を起こすと同時に目の前に迫る幾つもの黒い球。
「っ!!」
瞬間的に張り巡らせたホーリーでなんとか相殺し、吹き飛ばされ転がる勢いを利用して地面に手を突き身を起こす。
「クソッ!」
思わずそう悪態が漏れる。
今のは一体何だ!?
「っ!」
徐々に再び五感が失われて行く。
その感覚をハッキリと理解は出来るが、抗うことが出来ない。
「くっそぉぉ」
しかし二度もみすみす、同じ手を喰らう訳には行かない。
完全に五感が失われる前に全力で自身の周りにホーリーを纏うように展開。
そして訪れる激しい衝撃、そして五感の回復。
さっき程のダメージは無いが、全くダメージ無い訳でも無い。
あの黒い球によって剥がされたであろうホーリーを張り直し、何とかエルダーさんの猛攻を凌ぎながらステータスを確認する。
「やっぱりか……」
そこに表示されていたのは状態が混沌となったステータス。
恐らくエルダーリッチの暗黒魔法の効果。
たぶん、次あの状態になったら持ち堪えられない。
魔力の残量もあと僅か三分の一以下……
これは俺の慢心が招いた状況。
あれだけ油断はしないと決めていたはずなのに、ここまで順調に来たせいか知らず知らずの間に気が緩んでいた。
結果、攻撃が決まって慢心し、油断を生んでしまった。
「自業自得ですよね。
俺も結局は、あのヘルハウンド達と同じと言う訳ですか」
エルダーリッチから膨大な魔力が発せられ、黒い球よりも更に深い暗黒の魔力が迸る。
そして獲物へと、俺へと向けられたエルダーリッチの手に暗黒の魔力が収束して行く。
「けど……」
そして放たれる死、暗黒のレーザーが一直線に迫り来る……
ゴヴォォォォォォオ
凄まじい衝突音が鳴り響き、暗黒と滅光が対峙する。
「……簡単に諦める様な性格していませんよ、俺は」
ありったけだ。
ありったけの魔力をこの一撃に込める。
「100万以上の魔力は制御出来ない?
知るか! 出来ないじゃなくやるんだよっ!!」
【スキル「魔力制御」を獲得しました!
「魔力制御」のレベルが上がりました!】
勢いを増した滅光が暗黒を飲み込み、エルダーリッチをも飲み込むが……
まだ足りない、この程度ではアイツを殺すことは出来ない。
もっとだ、もっと魔力を!!
【「魔力制御」のレベルが上がりました!
更に「魔力制御」のレベルが上がりました!】
唸る様に迸る魔力の奔流が滅光に注ぎ込まれた一瞬。
全てが終わった。
エルダーリッチは断末魔を上げる事すら許されず一瞬で消滅し、滅光の光も消える。
後に残るのは破壊された部屋の壁が崩れ、パラパラと石と石が当たる音だけが刹那を支配した。
「勝った……」
その静寂を破る勝者の声。
その声に気力がない事が闘いの全容を物語っていた。
「っ! 流石に空っぽですね」
魔力が底を尽きたからか目眩がし思わず膝をつく。
そして訪れるアナウンス。
【レベルが上がりました
LV502→LV589
「滅光魔法・滅光結界」を獲得しました!
「滅光魔法・滅砲」を獲得しました!】
レベルが上昇した事によって魔力が回復し目眩は治まったが、生命力までは回復しない。
「何とか勝てましたが、課題はいっぱいですね……」
そして俺は人知れず、ふぅ、と生き残った安堵からか、はたまた課題の多さに対してか、ため息を漏らした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
110階層ボス撃破時ステータス
名前:コウキ・イナミ
種族:人間
年齢:17歳
レベル:589(345)
二つ名:無し
ステータス
生命力:9600
魔力 :307,000,000/307,000,000
力 :13200
敏捷 :13000
体力 :13300
スキル:「光魔法LV10」「神聖魔法LV4(up)」「滅光魔法」「夜目」「魔力制御LV4(new)」
特殊スキル:「鑑定」
ユニークスキル:「等価交換」「世界地図」「無限収納」
称号:「転移者」
そこは、異世界ダンジョンでお馴染みの階段では無く傾斜の低い坂道になっています。
その坂も大した距離はなく、夜目のスキルで暗闇を見通せるようになったこの目で見る事ができる程度の距離で下の階層が見えていました。
もうこの際、ハッキリと言っちゃいますけど。
このダンジョンはラノベに出てくるダンジョンのように階層ごとに風景が変わったりは全く無い。
同じ風景が延々と続いているだけでした、はい。
出てくる魔物達にも大した差はなく。
最初に殺した犬型魔物であるヘルハウンド、体長2メートル程度のとにかくキモい鳥であるガルーダ、これまた2メートル程の猿みたいなカクエンの三体のみ。
まぁ初日に見た、あのドラゴンが何処かにいるはずなので他の奴が居ないとも限りませんけど。
俺が確認したのはこの3種のみと言う訳です。
ちなみに鑑定でヘルハウンドと言う名前が発覚した際。
最初に戦う魔物がゴブリンやスライムと言ったテンプレは守らないのに、出てくる魔物の名前はメジャーと言うテンプレについて理不尽だと1人愚痴をこぼした事は記憶に新しいですね。
閑話休題。
話を戻しましょう。
何故今こんな事を言っているかと言うと、変わり映えの無かったダンジョンに遂に変化があったからに他なりません。
階層を下ること10階層目、110階層から111階層目への道に真っ黒な巨大な扉がありました。
こんな、あからさまな扉はダンジョン定番のボス部屋でしょう。
しかし、この扉に辿り着いてふと思った事があります。
ここに来るまでの間レベリングも兼ねて出来るだけマッピングしながら来たつもりです。
しかし道中あのドラゴンを目にする事はありませんでした。
初日に見たあのドラゴン、アイツの強さは直近10階層の強さを逸脱しています。
明らかに、こんな低層にいる存在じゃありません。
にも関わらず、初日に遭遇してしまった。
この事から、ここ以外にも下階層への道はあるのではないかと、思い至った訳です。
尤も、散々探し回ったけど結局見つからなかったんですけどね、これが。
と言うわけで、あのドラゴンの事は気にせずにレッツ・ボスバトル! と行くとしましょう。
これまたファンタジーな事に、真っ黒の扉に手を当てると、力を込めた訳でもなく独りでに〝ゴゴゴォォ〟と重厚な音を響かせながら開いて行く。
中はまさに真っ暗。
しかし、夜目スキルを持っている俺には問題無く見通せます。
そこに見える景色はただの部屋。
何も無い50メートル四方程度の広さの部屋が見えるだけです。
扉を開けた瞬間に攻撃されると言う事もありませんし。
もしかして八大迷宮って言っても、意外とイージーモードなのかもしれませんね。
ボス部屋の中に入ると、これまた独りでに扉が閉じていき、バタンと音を立てながら扉が閉まった瞬間、部屋の中が光に満たされ。
何処から現れたのか漆黒のマントを羽織った骸骨が、赤く光る瞳孔を虚空に向けながら宙に浮いています。
またまた出ました、ファンタジー演出!!
いいですね、テンプレはやはり守ってこそ意味がある。
しかし! いくらテンプレ展開とは言え迷宮に追放はどうかと思いますけど。
種族:エルダーリッチ
年齢:???
レベル:600
ステータス
生命力:165000
魔力 :250000
力 :5000
敏捷 :115000
体力 :6700
スキル:「闇魔法LV10」「暗黒魔法LV5」「夜目」「高速治癒LV5」「魔力自動回復LV5」「全魔法耐性LV5」「詠唱破棄LV5」
称号:「不死王」「110階ボス」
ここに来るまでの間に身につけた、敵を見つけたら鑑定を掛ける、と言う俺の戦闘でのいつものパターンで見えたこのステータス。
強い、それも圧倒的に……
これまでに出てきた魔物達の平均レベルは200程度。
そんな状況だったのが一気に倍以上になり、ステータスも十万越えが多数ありと。
エルダーリッチと言う魔法特化イメージそのままに、まさに魔法戦闘に特化しているステータス構成をしていますね。
これは厄介な相手になる事、間違い無しでしょう。
しかし、スキル構成には隙も多い。
例えば全魔法耐性は確かに厄介ですが、物理攻撃に対する耐性が一切ない。
これだけで、かなりの隙と言えるのだが……残念な事に俺の戦闘手段は魔法重視だと言う事が問題ですね。
このままでは勝てるかどうか微妙と言ったところでしょう。
こうしてボス部屋に入って数十秒が経っている訳ですが。
未だにエルダーリッチが攻撃してこないと言う事を考慮すると……ある一定の距離に近づかなければ。
あるいは、こちらから攻撃を仕掛けるまでは向こうから攻撃がしてくる事はないと言う事でしょうか?
もしそうなら、ありがたい限りですね。
尤も、ここは未だに最下層までの十分の一と言う程度の位置。
これから先もこうとは限りませんから、注意は必要ですが……
取り敢えず先制攻撃をさせてもらいましょう。
と言う事で、滅光魔法を発動する。
小手調べ、なんて無駄な事はせず。
魔力を100万程度注ぎ込んだホーリーを収束させ極細のレーザーのようにして放つ。
チュン、と言う音を成して放たれた極細の光はエルダーリッチの周囲に現れた透明な壁を一瞬で貫通し、エルダーさんに直撃した。
そして光はそのままエルダーさんを貫き滅する……事は無かった。
確かにエルダーさんの骨の身体が赤くなり僅かばかり溶けているのは見て取れ、ダメージが入っている事は確実。
しかし、それだけです。
致命傷には程遠い。
今まで十万も魔力を込めて放ったら射線上の全てを消し去った滅光魔法を……それも10倍100万の魔力を注ぎ込んだにも関わらずこの程度とは……
「やりますね」
そんな言葉とともに軽く口角が上がるのを自覚する。
ハッキリ言って、これで決着がつかなかった事はかなりのピンチなのですが。
今の俺に滅光魔法以上の威力を誇る攻撃手段は無い。
しかも、今以上の魔力を込めると制御しきれずに不発したり暴発したりする。
それでも、勝機が限り無く遠ざかったと言うのに口角がつり上がったのは、それだけ俺が戦いを楽しみにしていたと言う事でしょう。
俺そんなバトルジャンキーのつもりは一切無いんですけどね……
これまでの戦いと言えば、有無を言わせずに先手必殺の滅光魔法で勝負がついていました。
しかし、それはでは戦闘とは言わない。
言うなれば暗殺みたいなものでしょう。
だからか、俺は心の何処かで闘いを望んでいたのでしょう。
お返しと言わんばかりにエルダーさんが、闇魔法で作られた真っ黒な球体を自身の周りに幾つも浮かべて一斉に放つ。
そして放ったところからまた球体が現れると言う中々の鬼畜ループ。
しかし、その程度なら対抗手段は幾らでもあります。
初弾を避けたところで滅光魔法を半球状に広げる。
これが犬、もといヘルハウンドの群れに襲われて以来、俺が多用している広範囲殲滅魔法ホーリーフィールド。
ホーリーフィールドを発動した瞬間、俺に向かって飛んで来ていた黒い球が消滅する。
更にこの魔法の恐ろしいところは、魔力を注ぎ続ける事により持続する事ができると言う点。
本来全てを消し去るホーリーを360度隙間無く、長時間放つ事ができるのです!!
滅光魔法を完全に無効化できるのなら、俺に勝機は存在しなかったでしょう。
しかし、さっきの収束砲で完全に無効化する事が出来ない事は確認済み。
つまり、このままホーリーフィールドを喰らい続ければ、あのエルダーさんの敗北は必至と言うわけです。
凄まじい勢いで魔力が削られて行ってますが……エルダーさんが消滅する方が早い。
「俺の勝ちでっ! 何がっ!?」
視界が真っ暗に塗り潰される。
平衡感覚は崩壊し、音は消え、感覚が麻痺し、嗅覚が無くなる。
一体何が起こっている!?
「ぐふぉっ!」
狂っていた全ての五感が戻ると同時に襲って来る、壮絶な痛みと衝撃。
何が起こったのか理解出来ない!
吹き飛ばされ、倒れた身体を起こすと同時に目の前に迫る幾つもの黒い球。
「っ!!」
瞬間的に張り巡らせたホーリーでなんとか相殺し、吹き飛ばされ転がる勢いを利用して地面に手を突き身を起こす。
「クソッ!」
思わずそう悪態が漏れる。
今のは一体何だ!?
「っ!」
徐々に再び五感が失われて行く。
その感覚をハッキリと理解は出来るが、抗うことが出来ない。
「くっそぉぉ」
しかし二度もみすみす、同じ手を喰らう訳には行かない。
完全に五感が失われる前に全力で自身の周りにホーリーを纏うように展開。
そして訪れる激しい衝撃、そして五感の回復。
さっき程のダメージは無いが、全くダメージ無い訳でも無い。
あの黒い球によって剥がされたであろうホーリーを張り直し、何とかエルダーさんの猛攻を凌ぎながらステータスを確認する。
「やっぱりか……」
そこに表示されていたのは状態が混沌となったステータス。
恐らくエルダーリッチの暗黒魔法の効果。
たぶん、次あの状態になったら持ち堪えられない。
魔力の残量もあと僅か三分の一以下……
これは俺の慢心が招いた状況。
あれだけ油断はしないと決めていたはずなのに、ここまで順調に来たせいか知らず知らずの間に気が緩んでいた。
結果、攻撃が決まって慢心し、油断を生んでしまった。
「自業自得ですよね。
俺も結局は、あのヘルハウンド達と同じと言う訳ですか」
エルダーリッチから膨大な魔力が発せられ、黒い球よりも更に深い暗黒の魔力が迸る。
そして獲物へと、俺へと向けられたエルダーリッチの手に暗黒の魔力が収束して行く。
「けど……」
そして放たれる死、暗黒のレーザーが一直線に迫り来る……
ゴヴォォォォォォオ
凄まじい衝突音が鳴り響き、暗黒と滅光が対峙する。
「……簡単に諦める様な性格していませんよ、俺は」
ありったけだ。
ありったけの魔力をこの一撃に込める。
「100万以上の魔力は制御出来ない?
知るか! 出来ないじゃなくやるんだよっ!!」
【スキル「魔力制御」を獲得しました!
「魔力制御」のレベルが上がりました!】
勢いを増した滅光が暗黒を飲み込み、エルダーリッチをも飲み込むが……
まだ足りない、この程度ではアイツを殺すことは出来ない。
もっとだ、もっと魔力を!!
【「魔力制御」のレベルが上がりました!
更に「魔力制御」のレベルが上がりました!】
唸る様に迸る魔力の奔流が滅光に注ぎ込まれた一瞬。
全てが終わった。
エルダーリッチは断末魔を上げる事すら許されず一瞬で消滅し、滅光の光も消える。
後に残るのは破壊された部屋の壁が崩れ、パラパラと石と石が当たる音だけが刹那を支配した。
「勝った……」
その静寂を破る勝者の声。
その声に気力がない事が闘いの全容を物語っていた。
「っ! 流石に空っぽですね」
魔力が底を尽きたからか目眩がし思わず膝をつく。
そして訪れるアナウンス。
【レベルが上がりました
LV502→LV589
「滅光魔法・滅光結界」を獲得しました!
「滅光魔法・滅砲」を獲得しました!】
レベルが上昇した事によって魔力が回復し目眩は治まったが、生命力までは回復しない。
「何とか勝てましたが、課題はいっぱいですね……」
そして俺は人知れず、ふぅ、と生き残った安堵からか、はたまた課題の多さに対してか、ため息を漏らした。
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110階層ボス撃破時ステータス
名前:コウキ・イナミ
種族:人間
年齢:17歳
レベル:589(345)
二つ名:無し
ステータス
生命力:9600
魔力 :307,000,000/307,000,000
力 :13200
敏捷 :13000
体力 :13300
スキル:「光魔法LV10」「神聖魔法LV4(up)」「滅光魔法」「夜目」「魔力制御LV4(new)」
特殊スキル:「鑑定」
ユニークスキル:「等価交換」「世界地図」「無限収納」
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スーはペットとして飼われているレベル2のスライムだ。この世界のスライムはレベル2までしか存在しない。それなのにスーは偶然にもワイバーンを食べてレベルアップをしてしまう。スーはこの世界で唯一のレベル2を超えた存在となり、スライムではあり得ない能力を身に付けてしまう。体力や攻撃力は勿論、知能も高くなった。だから自我やプライドも出てきたのだが、自分がペットだということを嫌がるどころか誇りとしている。なんならご主人様LOVEが加速してしまった。そんなスーを飼っているティナは、ひょんなことから王立魔法学園に入学することになってしまう。『違いますっ。私は学園に入学するために来たんじゃありません。下働きとして働くために来たんです!』『はぁ? 俺が従魔だってぇ、馬鹿にするなっ! 俺はご主人様に愛されているペットなんだっ。そこいらの野良と一緒にするんじゃねぇ!』最高レベルのテイマーだと勘違いされてしまうティナと、自分の持てる全ての能力をもって、大好きなご主人様のために頑張る最強スライムスーの物語。他サイトにも投稿しています。
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
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絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
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この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
俺は善人にはなれない
気衒い
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とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。
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