最強幼女は惰眠を求む! 〜神々のお節介で幼女になったが、悠々自適な自堕落ライフを送りたい〜

フウ

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第1章 深淵の試練編

08話 鳥がいました

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 ほんと、ムカムカします。
 俺の心配をするくらいなら、罵声を吐きながら死んでくれた方が良かったです。

 誰かに身の心配をされたのは両親以外で一体いつ以来でしょうか。
 それがわからなくなる、くらいには久しかったですね。

「ん?  あれはアラクネですか」

 1匹のアラクネが俺のマップに引っかかった。
 どうやら向こうも俺の存在を感知したようで、一直線に俺の方に向かって来る。

「やっぱり、この階層まで来ると敵の感知範囲も馬鹿みたいに広いですね。
 普通この距離で気付きますか?」

 今こちらに向かって来ているアラクネとの距離はまだ数百メートルはある。
 発見した時は直線距離にして1キロ程はあったと思う。

 と言うか今更ですけど、この迷宮広すぎませんか?
 階を下がる度に広くなって行ってますし、もし最下層に近づいたら一体どれ程の面積が……考えるのを放棄しましょう。
 それがいいですね。

 まぁ取り敢えず、あれだけの距離があって俺の存在に気づくなんて異常ですよ、異常。
 もう絶対に普通じゃ無いですよね。

 俺ですか?
 俺には〝世界地図〟という神スキルがあるじゃないですか嫌だな。
 スキルが凄いだけであって俺はいたって普通ですからね。

「全く、どうなっているんだか」

 こんな無駄口を叩いている間にもアラクネは、かなりのスピードで俺の方に向かって来ている。
 時速で言うと60キロぐらい出てるんじゃないですか?  あれ。

「そろそろ視認できる距離の筈なのですが……見当たりませんね」

 もう、アラクネとの距離は100メートルを切っているにも関わらず、視認する事ができない。
 一体どう言うことですかね、これは。

 勿論、明るさは関係ない。
 俺には、この迷宮に追放されて初期に購入した夜目スキルがありますからね。

「痛っ!」

 右肩に鋭い痛みが走る。
 そこには白い槍が突き刺さっていた。

「まさか……」

 肩に刺さっている白い槍は、よく見ると白い糸で構成されている。
 つまり、この槍はアラクネの糸で作られたものだと言う事。
 そして、この斜めに刺さっている弾道から逆算すると……

「上か!」

 頭上を見上げると、そこには白く巨大な蜘蛛の巣が出来上がっており、その中心に巣の主が紅く爛々と輝く瞳でこちらをジッと見下ろしていた。


 ・種族:アラクネ
 ・年齢:???
 ・レベル:690

 ・ステータス
 生命力:95000
 魔力 :54000
 力  :116000
 敏捷 :115000
 体力 :80600

 スキル:「闇魔法LV10」「暗黒魔法LV3」「夜目」「高速治癒LV2」「魔力自動回復LV2」「操糸術LV9」「詠唱破棄LV6」

 称号:「蜘蛛女王」「蜘蛛を統べる者」


 お約束になっている、鑑定の結果がこれです。
 まず言わせてもらおう、いきなり強くなり過ぎじゃないですかねぇ!?

 まずレベルの上昇ぐあいが凄まじい。
 まぁ、こいつがこの階層でも特に上位の個体だと言う可能性も僅かばかりありますが……恐らくはこの階層では、これが平均でしょう。

 肩に突き刺さった槍は操糸術の権能ですね。
 そして何ですかあのステータス、いきなり伸びすぎでしょ、あれ。

 やっぱりこの階層まで来ると流石に高スペック、一筋縄では勝たせてもらえない。
 唯一の救いがダンジョンの面積が馬鹿みたいに広いせいで魔物達との遭遇率がそう高くないと言う事ですか。

 以前ヘルハウンドの群れに囲まれたのは例外と言える程、稀な事のようです。
 何せあれ以来、多対一の戦いは3回しか経験していません。

 129階層は気が遠くなるほど長い一本道で、壁がスケルトンなどの骨の魔物で出来ていると言う地獄。
 143階層では常に、魔物達が群れて来る。
 168階層ではアラクネに四方を囲われて糸で拘束されそうになるわ……アレは結構ヤバかったですね。

 まぁ、取り敢えずはその3回と最初のヘルハウンドの群れを合わせて4回しか多対一の戦闘は無かった訳です。


 閑話休題。


 今はこんなどうでもいい事を考えている余裕はありませんね。
 肩に刺さった槍にはアラクネの糸が付いている、つまりはこれで俺はあいつに捕らえられたと言う事だ。

 ハッキリ言って、かなりヤバイ。
 この槍のせいか上手く魔力を練ることが出来ません。
 魔力が無ければ魔法を使うことが出来ない。
 つまり、いつもの滅光魔法に頼ることができないと言う訳だ。

 それに加えて槍に繋がった糸を伝ってアラクネが近づいて来てますね。
 その顔には、餌を手に入れる事ができてご満悦な笑みを浮かべています。

「お前エサ、エサ殺す、エサ喰う」

 そう嗤うアラクネは勝利を確信したようにゆったりと俺に近づく。

「だから命取りになるんですよ」

 俺とアラクネの距離が1メートル程度になった時、俺は腕を一閃。
 手には腰に掛けてあった刀、所謂日本刀を握っている。

 その一閃は俺に突き刺さっていた槍ごとアラクネが足場にしていた糸を消し飛ばした。
 致命傷とまでは行かないまでも、それなりのダメージを与えることが出来たでしょう。

 確かに魔法を使うことは出来なかったが、魔法が使えないならば物理的に叩き潰せばいいだけです。

「俺が魔法だけの雑魚だとでも思いましたか?」

 こんな問いかけをしても意味はないことは理解できているが、それでもそう言う。
 俺を見るアラクネの顔には先程とは打って変わって余裕は無く、あるのは恐怖のみ。

「人間、エサ、エサ殺す、殺す?」

 ダメージを受けて動けずにいるアラクネはこうなっても、俺に恐怖を抱いても、それでもなお俺の事をエサとしてしか見ていない。

「やっぱりお前は魔物らしいですよ」

 アラクネに刀を振るった。
 その剣先はアラクネを袈裟懸けに走り、刀が触れた周囲が消滅させられ、アラクネの身体が2つに分かれた。

「本当に魔物らしい」

 あのヒュドラとは違って。
 やはり魔物はこうで無ければいけませんね。
 じゃないと、コイツらを殺しにくい。

 例え魔物でも俺のことを気遣ってくれるような奴を殺すのは心苦しいものですから。
 尤も、ここの魔物達が俺のことをエサとしか見ていない奴らだからこそ、俺はここまで生きて辿り着けた訳ですが。

「それにしても、こうして刀を持っているのに魔法しか能が無い雑魚と思われたのは心外ですね。
 これでも魔法と同じレベルで、刀も使えるんですけどね」


 名前:コウキ・イナミ
 種族:人間
 年齢:17歳
 レベル:760(589)
 二つ名:無し

 ステータス
 生命力:16700
 魔力 :386,000,000/386,000,000
 力  :21000
 敏捷 :22000
 体力 :20900

 スキル:「光魔法LV10」「神聖魔法LV8(up)」「闇魔法LV10(new)」「暗黒魔法LV6(new)」「滅光魔法」「刀術LV10(new)」「夜目」「魔力制御LV10(up)」「全魔法耐性LV10(new)」「魔力自動回復LV10(new)」「状態異常無効(new)」

 特殊スキル:「鑑定」

 ユニークスキル:「等価交換」「世界地図」「無限収納」「刀魔闘術(new)」

 称号:「転移者」


 最初のボス戦で対魔法特化のエルダーリッチと闘って危機感を覚えた。
 あの時は偶々、力技で押し切ることができたが……もしあの全魔法耐性や全魔法無効などのスキルを初日のドラゴンが持っていたら?

 間違いなく殺される。
 だから魔法以外の力を求め、そして編み出したのが、刀術スキルと魔法を合わせると言う手だ。
 しかし、それでは魔法を無効化されて意味がない。

 そこで〝等価交換〟の権能の1つであるオーダーメイドにより作り上げたのが、ユニークスキル〝刀魔闘術〟です。

 ユニークスキルと定義した事で、それは世界における概念の1つとなり。
 魔法でありながら物理でもあると判断されるようになりました。

 他にも耐性や無効化スキルには魔力に糸目をつけずに、つぎ込みました。
 いくらステータスが強かろうと状態異常には勝てないとわかりましたからね。

 それにしても、いくら知恵があると言っても所詮は魔物。
 龍や吸血鬼などの余程高位の存在になると永き時を生き、人間よりも高い知識を持つ個体もあるそうだが。
 アラクネ程度では、そこまでの知恵は無いと言う事ですか。

 因みに刀も〝等価交換〟で手に入れてますし、食料も当然〝等価交換〟で手に入れてます。
 もしかしなくても、このスキルが無ければ早々に死んでいましたね。
 あははっ、笑えませんね……

「先を急ぐとしましょう」

 どうやらこの階層ではアラクネなどの知恵のある魔物達が主に出てくるようです。
 知恵のある魔物は他の魔物と違い、さっきのアラクネのように奇襲や搦手なども使ってくるので対処が面倒なんですよね。

 そう言えば、初日に見たあの龍は一体どこにいるのでしょうか?
 あれ以来、ここまでかなりの階層を下ってきましたが一度も見かけないし、一体どうなっていることやら。

「……こんな事を考えるのはやめましょう、フラグが立っても嫌ですしね」



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 そんな事を思っていた時期が俺にもありました。
 あれから体感で一週間程度。
 知恵のある魔物達との激闘に次ぐ激闘を潜り抜け、やって参りましたボス部屋前!!

 フラグを立てたとか言ってすみませんでしたね!!
 なにも無かったですけど何か?

「本当にあの龍はどこに行ったのやら」

 いやいや、今は龍の事よりも目の前の事に集中しなければなりませんね。
 何せこれからボス戦が待ち受けている訳ですし。

「ここまで来たんだから、もう少し頑張りましょうか」

 そう自身に喝を入れてボス部屋の扉に手をかける。
 例のごとく扉が開き、扉が閉じる。

 そこには、龍と同じくらいの大きさの全長10メートル以上。
 翼を広げれば20メートルを超えるだろうと思われる赤い鳥が丸くなって眠っていた。

「ふぅ、フラグですか、ははっ……大物がきましたね」
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