最強幼女は惰眠を求む! 〜神々のお節介で幼女になったが、悠々自適な自堕落ライフを送りたい〜

フウ

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第3章 帝国ギルド編

38話 危うく大惨事でしたよ!

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 目の前に広がるは惨状。
 種族として最強の生物であるはずの竜の骸が、紙くずの様に折り重なって横たわる異様な光景。
 まさか、コレールがこれ程までに乱獲してくるとは思っていませんでした。

「多くても100体程だと思っていたのに、まさかのその倍……流石はコレールですね」

「お褒めに預かり光栄です」

 誇らし気に微笑むコレールさん。
 ちょっと、あの岩山周辺の生態系を破壊してしまったかも知れませんね……

 けどまぁ、あの場所にいる竜の力があの程度なら最高の狩場。
 金のなる木ならぬ、金のなる竜ですからね。
 いずれ大量の冒険者さん達が殺到して、狩り尽くされていた事でしょう。

「あ、あの、コレールさん、これって……」

 綺麗な顔を驚愕に染め上げたエメルさんがコレールに詰め寄る。
 余程困惑しているのか、普段はクールビューティなエメルさんからは考えられない行動です!!

 コレールの顔まで僅か数センチの所まで接近し、その大人の胸をコレールの腕に押し当ててしまっています。

 むぅ、あれが大人の魅力と言うやつですか。
 それに比べて僕は……

 あれ?  なぜ僕はこんな事を?
 つい先日まで男だったのに……これも身体に引っ張られている影響でしょうか?

 それよりも、エメルさんは一体いつまでコレールにくっついているのでしょうか?
 僕の体感時間で、既に0.5秒もの間コレールに胸を押し当てていますよ!
 コレールは僕の眷属なのに……

「全て依頼にあった火竜の死体です」

 僕の視線に気づいたのか、コレールがスッとさり気なくエメルさんを引き離す。
 紳士ですね。

 しかし、当のエメルさんはそれどころじゃ無い様で、『ギルドマスターを呼んできますっ!』と言って走り去ってしまいました。

「あっ、そう言えば、僕が仕留めた火竜を出していませんでした……」

 どうしましょう?  出来れば一体でも多くの火竜を売って、それなりの資金を手に入れておきたいのですが。

「エメルさんがお戻りになられましたら、お出しすればよろしいかと」

「う~ん、そうですね」

 それにしても、何故態々ギルドマスターを呼びに言ったのでしょう?
 もしかして、何かマズイ事をしてしまったのでしょうか?
 はっ!?  もしや、僕の正体がバレてしまっていたんじゃ……

「一体何事だと言うのだね?」

 まさかの事態に再び縮こまっていると、解体場の入り口からそんな声が聞こえて来ました。

「と、取り敢えず、早く来てくださいっ!」

 そして間髪入れずに、エメルさんがそんな声と共にギルドマスター……ギルクスさんと共に解体場に戻って来ました。

 因みに、しっかりとギルドマスターの名前は覚えていましたからね!
 解析なんて断じて使って無いですから!!

 でも、やっぱりギルドマスターさんって怖い。
 何故か正体を看破された事で、ちょっとしたトラウマになっている可能性が大ですね。

 なんと言っても、自分で言うのも何ですが僕は、極度の人見知り。
 あの時はノリと勢いで乗り切れましたが……

 突然武器を持った人に囲まれるあの状況……追放された時を彷彿とさせる、あの状況がちょっとしたトラウマになるのは仕方無いです。

「な、何だ、これは……!?」

 僕のトラウマとなったギルドマスターはと言うと……解体場の入り口で、唖然と口を開けて驚愕を顕に叫びました。

「ギルドマスターは何を言っているのでしょうか?
 どこからどう見ても火竜だと思うのですが……」

「こう言っては何ですが、あの方は既にご高齢なので耄碌しているのかと」

 いつに無く辛辣ですね。
 コレールがギルドマスターを嫌っている事が顕著です。

「そんな言い方は失礼ですよ」

「申し訳ありませんお嬢様。
 ですが、あの方は以前お嬢様を侮辱したのです。
 許される事ではありません」

 む、そう言われてしまうと、弱いですね。
 コレールが僕の事を思ってくれている事がわかる分、何も言え無くなるじゃないですか……

「コレールはずるい言い方をしますね。
 けど、ありがとうござます」

 恥ずかしくて、聞き取れるかどうかと言う程の小さな声になってしまいましたが……まぁ良しとしましょう。

 だって、現状僕はコレールに対して怒っている訳ですしね!

 けどまぁ、あのテンプレ強奪事件も、僕を思ってくれてのことですし。
 そう考えるとコレールを責める事はできませんね。

 今になって、良く考えると僕の八つ当たりですし……よし、あとでコレールにはしっかりと謝りましょう。

「これ程の数の火竜を討伐したのは貴殿だとお聞きしたが、本当ですかな?」

 近づいて来たギルドマスターがコレールに話しかけて来ます……あれ?
 先日僕と話した時って、こんな話し方でしたっけ?

 う~ん、おかしいですね。
 僕の記憶ではもっと高圧的で偉そうな話し方だったはずですが。

「いかにも、これを討伐したのは私だが?」

 いつもであれば、コレールは圧倒的格下の人間相手でも敬語で話します。
 コレールの敬語が崩れる時は、怒っていて黒龍としての素が出ている時。

 つまり、今のコレールは機嫌がかなり悪い事になります……大事にならなければいいのですが。

「左様でしたか。
 私は冒険者ギルド・ネルウァクス帝国帝都にてギルドマスターをしております、ギルクスと申します」

「それで、ギルドマスターが私に何の用だ?」

「いえ、火竜を数100体討伐してきた冒険者が居ると聞いたもので。
 最初に何をバカな事をと思ったのですが……いやはや素晴らしい。
 これ程までの実力があるのであれば、今すぐにでも本部に掛け合いSランク冒険者に認定させて頂きます」

「余計な事はしないで貰いたい。
 私はこの火竜を全て買い取ってくれるのであればそれでいい」

「何を仰いますか!
 Sランク冒険者ともなれば伯爵位と同等の発言力と権力を持つのですよ!」

 ハッスルする初老のお爺さん……これって誰得でしょうか?
 それにしても、何故こんなにもコレールを昇格させたがるのでしょうか?

「くどい。
 余計な事はするなと言っているのだ」

「な、何故です!?
 貴殿であれば、先日目撃された神獣供にも太刀打ち出来るでしょうにっ!
 せめて、理由をお聞かせ下さい」

 ん?  あぁ、わかりました。
 ギルドマスターのこの目、地球にいた頃に何度も見た欲に歪んだ醜い目です。

 推測ですが。
 Sランク冒険者を育て上げたとなれば、このギルドマスターにも箔がつき冒険者ギルド内でも一目置かれるのでしょう。

 しかも、その冒険者を使って神獣討伐を通じて帝国上層部と繋がりを持てるし、恩を売る事が出来るかもしれない。

 Sランク冒険者を育て上げ、自身が育てた冒険者が救国の英雄となれば、その立役者として評価される。
 この人の頭の中には、自らが得られるであろう栄光と富しか無いのでしょうね。

「私は……いえ我々は、お嬢様と共にランクを上げて行きたいのです」

 まさかそんな事を思っていてくれたとは思いませんでした。
 ますます後で謝る必要がありそうですね。

「お嬢様……?」

 コレールの言葉を受けて初めて僕の存在に気づいたようですね。
 ギルドマスターの呆けた様な目と視線が合いました。

「少し待って頂きたい!
 貴殿はこの様な小娘の為ににSランクへの昇格を辞退すると仰るのですかっ!?」

 僕を見てギルドマスターがそう口走ったその瞬間。
 解体場の空気が一瞬にして凍り付きました。

「小娘、だと?
 貴様の様な下等生物が、本来であればお姿を目にする事すら烏滸がましいと言うのに。
 お嬢様に向かって……小娘と言ったのか?」

 コレールは静かに、しかし確かな怒りを宿してギルドマスターを鋭く睨みつける。
 魔力や殺気などは一切出てい無いにも関わらず、コレールの発する重圧にギルドマスターが息を飲む。

 ま、マズイです!  このままでは、帝都が大惨事になりかねません!!
 ギルドマスターの登場で一気に注目を受け、今や他の冒険者達というギャラリーが大勢いるこの状況で僕にできる事は………

 さり気なく、ちょこっとコレールの服の裾を引っ張る事しか出来ません!!
 この状況下で大声を出して仲裁するとか、もはや勇者の所業です!
 僕には荷が重すぎです、そんな事は何処ぞの勇者達にお任せします。
 餅は餅屋ってやつです。

 しかし、裾を引っ張った事によって僕の意図が伝わったのか、コレールから発せられていた重圧が綺麗に消え去りました。
 ふぅ、危うく大惨事でしたよ!

「取り敢えず、私は今ランクを上げるつもりは無い。
 この火竜を買い取ってくれるのであればそれでいい」

「……は、はい。
 し、しかし、これ程の量となれば1日では精算できませんので、1週間後にもう一度来ていただけますでしょうか?」

 先程までコレールに睨まれていたギルドマスターでは無く、エメルさんがそう答えてくれました。

「わかりました。
 では、また1週間後に来させて頂きます」

 1週間後ですか、結構かかりますね。
 まぁ、どうにかなった事ですし、帰るとしましょうか……

「あっ、そうでした。
 あの、エメルさん」

「はい、なんでしょうか?  ルーミエルちゃん」

 絶賛人見知り発動でエメルさんに声をかけると、ニッコリと優しい微笑みを浮かべて対応してくれました。

「これも、お願いします」

 これ?  と不思議そうに首を傾げるエメルさんに頷きを返し。
〝無限収納〟から火竜の死体を1つ取り出して火竜の山の上に置きました。

「えっ?」

 エメルさんが目を丸くしていますけど……何かを聞かれる前に、退散するとしましょう。

「コレール、帰りましょうか」

「かしこまりました、お嬢様」

 唖然とするエメルさん達を残して、僕達はコレールの転移でその場を後にした。
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