最強幼女は惰眠を求む! 〜神々のお節介で幼女になったが、悠々自適な自堕落ライフを送りたい〜

フウ

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第5章 瀑水の試練編

66話 ビーチバレーは難しいです

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「ルーミエル様、いきますよ!」

 オルグイユのそんな言葉と共に緩やかなボールが僕に向かって綺麗な放物線を描きます。

 僕たちは現在ビーチの浅瀬にてボールを使っての遊びに興じています。

 産まれてこのかた一度もやった事はありませんが、これはそう!
 これこそが、俗に言うビーチバレーと言うものに違いありません!

「むぅ、なかなかに難しいですね」

 オルグイユからのボールをあらぬ方向へて飛ばしてしまいました。

「お気になさらないで下さい。
 他の皆様は勿論、この私ですら難しいのですから」

 そう言ってメルヴィーが慰めてくれますが。
 僕としてはビーチバレーがこれ程に難しい遊びだとは思いもしませんでした。

「あぁ、メルヴィーの言う通りこのゲームはそれなりに難しいな!」

「えぇ、確かに。
 ですが、これはいい訓練にもなります」

 リュグズールはそう言って豪快に笑い、アヴァリスはそんな彼女に微笑みを浮かべて同意しました。

「しかし、ビーチに来てまでルーミエル様にこの様な苦行を強いることになってしまうなんて……」

「っ!?」

 オルグイユの言葉を受けてメルヴィーまで泣き出しそうな顔になってしまいました。

「そんな悲しそうな顔をしないで下さい。
 アヴァリスの言う様に良い訓練になりますし。
 これはこれで、難易度が高くて楽しいですよ?」

「ル、ルーミエル様っ!」

「あぁ!なんて尊いのでしょうか!?」

 何故かわかりませんが、オルグイユとメルヴィーが向かい合い。
 互いに胸の前で両手を組んで天を仰ぎ出してしまいました。

 うーん、意味がわかりませんが。
 取り敢えず、2人が楽しそうにしているのであればそれで良しとしましょう。

 商談と言う目的があるとは言え、これは慰安旅行みたいなものですからね。
 皆んなには楽しんでもらわないと困ります。

「しかし、このビーチバレーと言う遊びは奥深い。
 これは訓練に取り入れるのも良いかもしれません」

 神妙な顔つきで呟くコレール。
 今の一瞬で倒れ伏した女性が少なくとも10数人……流石ですね、コレール。

 しかし、ビーチバレーを訓練に取り入れている部隊は、世界広しと言えど1つ足りとも存在しないでしょう。

「コレール、確かに僕たちにとってはそれなりの難易度ですが。
 他の人達にとってはその限りではないと思いますよ。
 何せ、僕たちが手こずっているのは手加減の具合ですからね」

 このビニールで出来たボールは少し力を入れ過ぎるとすぐに壊れてしまいます。
 一番最初、思いっ切り打った瞬間に……

 パァッン!

 ビニールのボールから出るはずもない、銃声の様な音を立てながら爆散してしまいましたからね。

 あれには、流石の僕もちょっとビックリしてしまいました。
 無論ビーチ中の注目を集めたのは言うまでもありません。

「ですが、普通はあの様な事は起こらないハズですよ」

「そうなのですか?」

 心底驚いた様子で聞いてくるコレール。
 完璧無欠の超絶執事なのに何気に抜けているところがありますね……

 けどまぁ、コレールは神獣と呼ばれる全ての龍の頂点に立つ存在。
 龍は魔物の上位にあたる幻獣と呼ばれ。
 経験の少ない若い龍でも、その圧倒的なスペックは普通の人では太刀打ちできません。

 その若い龍を軽くあしらう古龍ですらコレールと比べると弱き存在。
 そんなコレールを基準に考えてはダメですよね。

「コレール、自身を基準に物事を考えてはいけませんよ。
 コレールは神獣と呼ばれる存在です。
 この世の中にはコレールより弱い存在の方が圧倒的に多いのですから」

「流石でございます。
 この不肖コレール、お嬢様の叡智に感服です」

「全く、コレールは大袈裟ですね。
 しかし、褒められるのは純粋に嬉しいです。
 ありがとうございます」

「ルーミエルお嬢様、ボールを取ってきましたよ」

 コレールと話している間に、どうやらアヴァリスがボールを取ってきてくれた様です。

「うーん、2人はまだ戻って来ていませんか……では、僕たちだけで遊んでいましょうか」

 未だに日の下で祈りを捧げている2人の吸血鬼を尻目に、再びバレーボールを始めました。






「きゃあっ!!」

 楽しそうな声が充満していたビーチに女性の悲鳴が響く。
 突然、砂浜から100メートルも離れていない海上にバカでかい水柱が立ち昇りました。

 普通ビーチで起こる事のない異常事態に悲鳴をあげるのも仕方無い事でしょうが。
 本当の理由は他にあります。

 現在このビーチに悲鳴が充満している理由。
 それは、水柱のすぐ隣に姿を見せ、長い首をもたげてこちらを見ている海竜。

 龍よりも格下である竜とは言え、最高位と言ってもいい魔物です。
 あの海竜が暴れれば、このビーチにある人々は勿論、フェーニル王国にも甚大な被害が出るでしょう。

「うーん、どうにか穏便に済ませられないでしょうか?」

「私が話をして来ましょ」


 ドカァーン!!


 コレールの言葉は、そんな爆音によって掻き消された。

「はっはっはぁ!!
 おい見たかよ、今の!」

「あぁ、今のを喰らえばどんな奴だってひとたまりもねぇ」

「あぁ、いくら竜と言っても所詮は雑魚だったな」

 人々が我先にとビーチから逃げる中。
 フード付きのコートを纏う、明らかにビーチにくる格好ではない3人組が楽しそうに騒ぐ。

「どうやら、今のは彼らの仕業な様ですね」

「チッ、余計な事を……」

 コレールが珍しく悪態をついていますが、それも分かります。
 あの人達が手を出さなければ穏便に事がついたものを……

「しかし、あの人達何処かで見たことがあるような気がしますね」

 《グオォォォッ!!》

 咆哮。

 それは海竜にとってはただの威嚇に過ぎない行為。
 とは言え、竜の咆哮はそれだけで下位の魔物を服従させるだけの物理的な力を持つ。
 彼らもその咆哮を受けて無事では済まなかったようで、少しフラつきました。

 まぁ、竜の咆哮を受けて少しフラつく程度ならば、彼らの実力は本物でしょう。
 今ので彼らの正体にあたりをつけることができました。

「アレは」

「ええ、どうやら彼らが勇者のようです」

 僕たちの視線の先には、3人の着ているアレサレム王国の紋章が入ったコートが靡くていました。
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