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第10章 アレサレム戦争編
144話 帝国十剣
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それは突然起こった。
大国、小国と多くの国の主要都市で起こったそれに、人々は驚愕に慄く事になる。
多くの人々が行き交うアレサレム王国の王都でもそれは起こった。
王都の上空に突如として映し出される、2人の人物が映る巨大な映像。
『私はネルウァクス帝国が皇帝、ウェスル・エル・ネルウァクス』
『どうも、フェーニル王国国王のイヴァル・フォン・フェーニルです』
そんな2人の挨拶から始まり、語られる衝撃の事実。
そして、パリンッとガラスが砕けるような音が鳴り響くと同時に映像は霧散し、一瞬の静寂が舞い降りる。
しかしそれも一瞬の事、次の瞬間には凄まじいまでの喧騒に包まれる。
その情報は商人達などによって瞬く間に拡散され、王侯貴族などの上流階層のみならず、一般人にも広く認知される事になる。
世界最強の大国、ネルウァクス帝国との開戦。
ネルウァクス帝国・フェーニル王国・アフィール教国・サンリオン魔導国の4カ国による宣戦布告。
そして、その4カ国によって結ばれた〝対魔教団同盟〟の名と共に。
*
勇者率いるアレサレム王国軍が奪取した砦と、新たに建造されたネルウァクス帝国の砦。
未だ戦いは始まっていないが、両軍が睨み合う最前線。
ネルウァクス帝国に新造された城のような堅牢な要塞の屋上にて、突如映し出された映像に慌てふためく王国兵の姿を数名の人物が眺める。
「あははっ、派手にやってるね」
「フフフ、ルーミエル様、こう言うのお好きそうですからね」
ネルウァクス帝国が誇る最高戦力たる十剣。
その中でも頂点に位置する一ノ剣・ユリウスと次席たるニノ剣・アスティーナ。
「そうだね。
それに、嫌そうな顔を浮かべる陛下が簡単に想像できるよ」
「確かに……ルーミエル様に言われて嫌々映像を撮られる姿が目に浮かびますね」
「あれ? もしかして俺っち邪魔だったかな?」
何やら楽しげに話し始めた2人に、おどけたようにそう言うのは六ノ剣・ネロ。
「ほらね、だから邪魔だって言ったじゃん!
ネロ君、今蚊帳の外だよ?」
「そんなハッキリ言われたら、流石の俺っちも傷つくよ!?」
背後からの八ノ剣・フィールの言葉を受けて、わざとらしく四つん這いになって項垂れるネロ。
「まぁまぁ、そう落ち込まないで。
下で、アレンさんとエルガーさんが呼んでたよ?」
「げっ、まさか……俺っち、ちょっと用事を」
「おっ、こんな所にいたのか!」
その言葉に、ブリキ人形のように振り向くと。
そこには、酒瓶を片手に持つ大男、九ノ剣・エルガーの姿。
「いやー、実は俺っち用事が……」
「用事なんていつでも出来るだろ?
それよりも今は飲むぞ! なんたって戦前だからなぁっ!!」
「そ、そうだ!
クレス、クレス君がいるでしょ!?」
「あっ、クレス君なら既に潰れてダウンしてるよ?」
「そう言うこったぁ。
ほら、行くぞ!!」
「ちょっ、誰か俺っちを助けて!?」
悲痛な悲鳴も虚しく、エルガーによって連行されて行くネロ。
「あはは、皆んな元気だね」
「戦前ですからね。
では、私も戻ります。
クレスがダウンしたとか、ちょっと聞き捨てならない言葉もありましたし」
「そ、そう。
まぁ、程々にね」
ニッコリと笑うアスティーナだが、その目は全く笑っておらず、ユリウスは苦笑いを浮かべて見送り……
「本当、皆んな元気だね」
すぐさま聞こえて来る、アスティーナが飲んだくれ達をシメているだろう騒音。
そんな騒ぎを心地よく思いながらも、ユリウスは静かに、鋭く敵を見据える。
「さてと、そろそろ皆んなを仲裁しないとね。
反撃は派手に行くとしよう」
立ち上がり、踵を返して歩き出した彼の顔には好戦的な笑みが浮かんでいた。
大国、小国と多くの国の主要都市で起こったそれに、人々は驚愕に慄く事になる。
多くの人々が行き交うアレサレム王国の王都でもそれは起こった。
王都の上空に突如として映し出される、2人の人物が映る巨大な映像。
『私はネルウァクス帝国が皇帝、ウェスル・エル・ネルウァクス』
『どうも、フェーニル王国国王のイヴァル・フォン・フェーニルです』
そんな2人の挨拶から始まり、語られる衝撃の事実。
そして、パリンッとガラスが砕けるような音が鳴り響くと同時に映像は霧散し、一瞬の静寂が舞い降りる。
しかしそれも一瞬の事、次の瞬間には凄まじいまでの喧騒に包まれる。
その情報は商人達などによって瞬く間に拡散され、王侯貴族などの上流階層のみならず、一般人にも広く認知される事になる。
世界最強の大国、ネルウァクス帝国との開戦。
ネルウァクス帝国・フェーニル王国・アフィール教国・サンリオン魔導国の4カ国による宣戦布告。
そして、その4カ国によって結ばれた〝対魔教団同盟〟の名と共に。
*
勇者率いるアレサレム王国軍が奪取した砦と、新たに建造されたネルウァクス帝国の砦。
未だ戦いは始まっていないが、両軍が睨み合う最前線。
ネルウァクス帝国に新造された城のような堅牢な要塞の屋上にて、突如映し出された映像に慌てふためく王国兵の姿を数名の人物が眺める。
「あははっ、派手にやってるね」
「フフフ、ルーミエル様、こう言うのお好きそうですからね」
ネルウァクス帝国が誇る最高戦力たる十剣。
その中でも頂点に位置する一ノ剣・ユリウスと次席たるニノ剣・アスティーナ。
「そうだね。
それに、嫌そうな顔を浮かべる陛下が簡単に想像できるよ」
「確かに……ルーミエル様に言われて嫌々映像を撮られる姿が目に浮かびますね」
「あれ? もしかして俺っち邪魔だったかな?」
何やら楽しげに話し始めた2人に、おどけたようにそう言うのは六ノ剣・ネロ。
「ほらね、だから邪魔だって言ったじゃん!
ネロ君、今蚊帳の外だよ?」
「そんなハッキリ言われたら、流石の俺っちも傷つくよ!?」
背後からの八ノ剣・フィールの言葉を受けて、わざとらしく四つん這いになって項垂れるネロ。
「まぁまぁ、そう落ち込まないで。
下で、アレンさんとエルガーさんが呼んでたよ?」
「げっ、まさか……俺っち、ちょっと用事を」
「おっ、こんな所にいたのか!」
その言葉に、ブリキ人形のように振り向くと。
そこには、酒瓶を片手に持つ大男、九ノ剣・エルガーの姿。
「いやー、実は俺っち用事が……」
「用事なんていつでも出来るだろ?
それよりも今は飲むぞ! なんたって戦前だからなぁっ!!」
「そ、そうだ!
クレス、クレス君がいるでしょ!?」
「あっ、クレス君なら既に潰れてダウンしてるよ?」
「そう言うこったぁ。
ほら、行くぞ!!」
「ちょっ、誰か俺っちを助けて!?」
悲痛な悲鳴も虚しく、エルガーによって連行されて行くネロ。
「あはは、皆んな元気だね」
「戦前ですからね。
では、私も戻ります。
クレスがダウンしたとか、ちょっと聞き捨てならない言葉もありましたし」
「そ、そう。
まぁ、程々にね」
ニッコリと笑うアスティーナだが、その目は全く笑っておらず、ユリウスは苦笑いを浮かべて見送り……
「本当、皆んな元気だね」
すぐさま聞こえて来る、アスティーナが飲んだくれ達をシメているだろう騒音。
そんな騒ぎを心地よく思いながらも、ユリウスは静かに、鋭く敵を見据える。
「さてと、そろそろ皆んなを仲裁しないとね。
反撃は派手に行くとしよう」
立ち上がり、踵を返して歩き出した彼の顔には好戦的な笑みが浮かんでいた。
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