147 / 375
第10章 アレサレム戦争編
147話 十剣 VS 勇者 〝邂逅〟
しおりを挟む
4倍もの圧倒的とも言える数の差を誇っておきながら、王国軍が帝国軍に押されているその姿は、目していた誰しもが形容し難い感情を抱く光景と言える。
王国兵と帝国兵の実力、連携の差は確かにある。
しかし、それだけでは決して説明のつかない現実でもあった。
そんな理解し難い状況の原因を最も正確に実感しているのは、最前線で帝国兵と対峙する王国兵達に他ならない。
「くそっ、どうなってやがるっ!?」
そして、その奇異な現象は、若き将軍によって限界を超えて高まった王国軍の士気を徐々に削ぎ、恐怖が蓄積されて行く。
そして……
「こ、この化け物共めぇっ!!」
1人の若い兵士、今回が初陣だろうと思われる青年の叫び声によって、王国軍の膨れ上がった恐怖の感情がついに……爆発した。
4倍の兵数差を誇る王国軍が帝国軍に押し返された理由。
それは、攻撃が通じない事。
個々の実力差はあろうとも所詮は多勢に無勢、多人数に周囲を囲まれてトドメを刺される事だろう。
しかし、何故かそのトドメが届かない。
比喩でもなんでもなく、致命傷に至るであろう一撃は突如として現れる結界に弾かれるのだ。
王国兵の不幸はそれだけに止まらない。
致命傷に至らない攻撃でも、ダメージを蓄積させれば帝国兵を無力化する事は可能だ。
しかし、それすらも僅かな時間と共に回復されてしまう。
どれだけ攻撃しても倒れる事なく立ち上がってくる。
まさしくゾンビパニックと言える状況に、4倍もの数で波状攻撃を仕掛けた王国軍は敗北を喫した。
攻撃の壁。
その一部が崩れてしまえば、個々の力、軍隊の連携そして異常な回復力を備える帝国軍に抗う術もなく、一気に王国軍は瓦解した。
情勢は変わった。
その事はこの場にいた誰もが理解した、だからこそ彼らが動く。
今やアレサレム王国のシンボルであり、最高戦力となった勇者達が。
「ここからは、俺たちが戦わせてもらうとしよう」
最前線のど真ん中。
何処からとも無くそんな声が聞こえた瞬間、王国軍の眼前に迫った帝国の兵士たちが地面に倒れ伏す。
乱戦の渦中に突如として姿を現したのは、17人の勇者達。
そして、その先頭に立つのはこの状況を作り出している勇者達のリーダー、稲垣 涼太。
「ゆ、勇者様達だ!」
「これで我らに敗北は無いぞっ!!」
戦場に姿を見せた勇者達に。
そして地に這いつくばる帝国兵の姿に、絶望に染まっていた王国兵達の顔に笑顔が浮かぶ。
「王国軍の皆さんは一度、砦まで撤退して体勢を整えて下さい。
殿は俺達が務めます」
「で、ですが、それでは皆様が……」
稲垣の出した指示に、偶然近くにいた第二軍団の指揮官が問い返す。
「心配はいりません。
私達は大丈夫です」
「そうです。
帝国の十剣は2人で1万の軍勢を相手取ったんです、我々も負けていられませんしね」
そんな指揮官に雛森 茜と鈴木 賢弥の2人は余裕のある笑みを見せる。
いや、2人だけで無く。
この場にいる勇者17人、全員が余裕を含んだ笑顔を浮かべる。
「それに、十剣はもう既に限界でしょう。
いくら帝国軍と言えど一兵卒程度、私達の敵ではありません」
「まっ、そう言う訳だから。
気にせずに撤退してくれて良いよ?」
双葉姉妹のその言葉は勇者達全員の考えでもあった。
十剣と言う自分達と同等かそれ以上の脅威を欠いた、今の帝国軍など自分達の敵では無いと。
「ははは……皆んなに全部言われちゃったね。
けどまぁ、十剣を欠いた帝国軍に遅れを取るつもりは……」
「それは心外だね」
他の者達に言いたい事を言われてしまい苦笑いを浮かべる稲垣の言葉を、1人の男の声が遮った。
勇者達17人全員が、弾かれたように背後を振り向くと、そこには……
「帝国軍が何を欠いたと?」
ニッコリと微笑みを浮かべる金髪碧目の青年が、4人の人物と共に立っていた。
「あ、貴方は……?」
そう聞いておいて、稲垣は自身の表情が引きつっている事を自覚する。
青年と共に立つ2人は、先ほど王国兵1万を葬り去った赤髪の男と薄い青髪の美女に他ならない。
それが意味する事はただ一つ、即ち……
「おっと、これは失礼。
これでも結構顔が知れている方でしてね、自惚れていたようです。
初めまして、私の名はユリウス。
皇帝陛下より帝国十剣、一ノ剣が剣聖の称号を授かっている者です」
王国兵と帝国兵の実力、連携の差は確かにある。
しかし、それだけでは決して説明のつかない現実でもあった。
そんな理解し難い状況の原因を最も正確に実感しているのは、最前線で帝国兵と対峙する王国兵達に他ならない。
「くそっ、どうなってやがるっ!?」
そして、その奇異な現象は、若き将軍によって限界を超えて高まった王国軍の士気を徐々に削ぎ、恐怖が蓄積されて行く。
そして……
「こ、この化け物共めぇっ!!」
1人の若い兵士、今回が初陣だろうと思われる青年の叫び声によって、王国軍の膨れ上がった恐怖の感情がついに……爆発した。
4倍の兵数差を誇る王国軍が帝国軍に押し返された理由。
それは、攻撃が通じない事。
個々の実力差はあろうとも所詮は多勢に無勢、多人数に周囲を囲まれてトドメを刺される事だろう。
しかし、何故かそのトドメが届かない。
比喩でもなんでもなく、致命傷に至るであろう一撃は突如として現れる結界に弾かれるのだ。
王国兵の不幸はそれだけに止まらない。
致命傷に至らない攻撃でも、ダメージを蓄積させれば帝国兵を無力化する事は可能だ。
しかし、それすらも僅かな時間と共に回復されてしまう。
どれだけ攻撃しても倒れる事なく立ち上がってくる。
まさしくゾンビパニックと言える状況に、4倍もの数で波状攻撃を仕掛けた王国軍は敗北を喫した。
攻撃の壁。
その一部が崩れてしまえば、個々の力、軍隊の連携そして異常な回復力を備える帝国軍に抗う術もなく、一気に王国軍は瓦解した。
情勢は変わった。
その事はこの場にいた誰もが理解した、だからこそ彼らが動く。
今やアレサレム王国のシンボルであり、最高戦力となった勇者達が。
「ここからは、俺たちが戦わせてもらうとしよう」
最前線のど真ん中。
何処からとも無くそんな声が聞こえた瞬間、王国軍の眼前に迫った帝国の兵士たちが地面に倒れ伏す。
乱戦の渦中に突如として姿を現したのは、17人の勇者達。
そして、その先頭に立つのはこの状況を作り出している勇者達のリーダー、稲垣 涼太。
「ゆ、勇者様達だ!」
「これで我らに敗北は無いぞっ!!」
戦場に姿を見せた勇者達に。
そして地に這いつくばる帝国兵の姿に、絶望に染まっていた王国兵達の顔に笑顔が浮かぶ。
「王国軍の皆さんは一度、砦まで撤退して体勢を整えて下さい。
殿は俺達が務めます」
「で、ですが、それでは皆様が……」
稲垣の出した指示に、偶然近くにいた第二軍団の指揮官が問い返す。
「心配はいりません。
私達は大丈夫です」
「そうです。
帝国の十剣は2人で1万の軍勢を相手取ったんです、我々も負けていられませんしね」
そんな指揮官に雛森 茜と鈴木 賢弥の2人は余裕のある笑みを見せる。
いや、2人だけで無く。
この場にいる勇者17人、全員が余裕を含んだ笑顔を浮かべる。
「それに、十剣はもう既に限界でしょう。
いくら帝国軍と言えど一兵卒程度、私達の敵ではありません」
「まっ、そう言う訳だから。
気にせずに撤退してくれて良いよ?」
双葉姉妹のその言葉は勇者達全員の考えでもあった。
十剣と言う自分達と同等かそれ以上の脅威を欠いた、今の帝国軍など自分達の敵では無いと。
「ははは……皆んなに全部言われちゃったね。
けどまぁ、十剣を欠いた帝国軍に遅れを取るつもりは……」
「それは心外だね」
他の者達に言いたい事を言われてしまい苦笑いを浮かべる稲垣の言葉を、1人の男の声が遮った。
勇者達17人全員が、弾かれたように背後を振り向くと、そこには……
「帝国軍が何を欠いたと?」
ニッコリと微笑みを浮かべる金髪碧目の青年が、4人の人物と共に立っていた。
「あ、貴方は……?」
そう聞いておいて、稲垣は自身の表情が引きつっている事を自覚する。
青年と共に立つ2人は、先ほど王国兵1万を葬り去った赤髪の男と薄い青髪の美女に他ならない。
それが意味する事はただ一つ、即ち……
「おっと、これは失礼。
これでも結構顔が知れている方でしてね、自惚れていたようです。
初めまして、私の名はユリウス。
皇帝陛下より帝国十剣、一ノ剣が剣聖の称号を授かっている者です」
20
あなたにおすすめの小説
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
最強スライムはぺットであって従魔ではない。ご主人様に仇なす奴は万死に値する。
棚から現ナマ
ファンタジー
スーはペットとして飼われているレベル2のスライムだ。この世界のスライムはレベル2までしか存在しない。それなのにスーは偶然にもワイバーンを食べてレベルアップをしてしまう。スーはこの世界で唯一のレベル2を超えた存在となり、スライムではあり得ない能力を身に付けてしまう。体力や攻撃力は勿論、知能も高くなった。だから自我やプライドも出てきたのだが、自分がペットだということを嫌がるどころか誇りとしている。なんならご主人様LOVEが加速してしまった。そんなスーを飼っているティナは、ひょんなことから王立魔法学園に入学することになってしまう。『違いますっ。私は学園に入学するために来たんじゃありません。下働きとして働くために来たんです!』『はぁ? 俺が従魔だってぇ、馬鹿にするなっ! 俺はご主人様に愛されているペットなんだっ。そこいらの野良と一緒にするんじゃねぇ!』最高レベルのテイマーだと勘違いされてしまうティナと、自分の持てる全ての能力をもって、大好きなご主人様のために頑張る最強スライムスーの物語。他サイトにも投稿しています。
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる