199 / 375
第12章 深淵の決戦編
199話 静かな怒り
しおりを挟む
突然の乱入者。
ハスルートを挟み、オルグイユ達と対峙する形で空に浮かぶ謎の美女が放つ強者の気配。
一目で只者では無いと分かるその存在感に十剣達は後退り、オルグイユとアヴァリスは油断なく鋭い視線で睨みつける。
そしてメルヴィーは乱入者を排除しようとして……動きを止めた。
「ふふふ、動かない方が賢明よ?」
乱入者である美女はクスリと微笑みを浮かべる。
メルヴィー達を捕らえる様に展開される複雑な積層魔法陣。
十剣達は驚愕に目を見開く。
自分達ならまだしも、超越者たるオルグイユ達が魔法陣に気付く事が出来なったと言う事実。
そして、それを容易くやってのけた美女の実力に……
「この程度で私達を始末出来るとでも?」
しかし、オルグイユ達は動じ無い。
ルーミエルの眷属である4人に動揺は一切無く、鋭い面持ちで敵を見据える。
「勿論、思って無いわ。
でも、一瞬の隙を作る事は出来るでしょう?」
「そう言えば、昔から貴女はこの様な小細工が得意でしたね」
「ふふふ、貴女こそその減らず口は相変わらずのようね。
それにしても久しぶりね、十万年ぶりかしら? 」
美女は楽し気に、ニヤリと口角を吊り上げる。
「また会えて嬉しいわ、始祖吸血鬼さん」
その笑みを受けて、オルグイユの顔が不愉快そうに僅かに歪んだ。
「けれど、おかしいわねぇ。
あの時、確かに始祖吸血鬼さんは仕留めたと思ったのだけれど?」
「あの時、と言うと。
醜い魔王の側近を始末した直後に挟み撃ちを仕掛けて来たアレの事でしょうか?」
「そうよ、あの時の貴女は間抜けだったわよねぇ」
「残念ですが、あの程度で私を殺す事は不可能です。
あの時は奇襲を許してしまいましたが……2度目はありませんよ、リーリス」
オルグイユの忌々し気な視線を浴びて美女……リーリスは愉悦に顔を歪める。
「ふふふ、確かに始祖吸血鬼、九尾、リヴァイアサンの3人に加え超越者に至った原種吸血鬼が相手では勝ち目は無いわね。
でも……」
パチンッと、指を打ち鳴らす乾いた音が鳴り……
「この子達がどうなっても良いのかしら?」
ピチャっ、と地面に滴る血が弾ける音が静まり返った空間に響き渡った。
「「「っ!?」」」
その光景を見て十剣達が唖然と目を見開き、オルグイユ達ですら目を見開く。
「ふふふ、貴女達、今あの時と同じ様な間抜けな顔よ?」
リーリスの背後に現れたのは、黒い光によって拘束され、空中に吊るされた2人。
身体中の生傷から血を流し、滴る血が地面を打つ。
尻尾はだらんと垂れ下がり、身に纏うメイド服は裂けて赤く滲む。
そこにあったのは、凄惨な拷問を受けた様な姿となった双子。
意識を失い力無く吊るされたノアとシアの姿だった。
「貴女達が少しでも動くと……」
ヒュンッ!
空気を裂く様な音が響き、ノアとシアの頬に血が浮かぶ。
「っ……」
アヴァリスはその光景を前に苦虫を噛み潰したように顔を歪め、握り締めた手から赤い血が滴り落ちた。
「良い顔だわぁ!」
オルグイユ達から膨れ上がる殺気を浴びて、リーリスは心底楽し気に笑みを浮かべる。
「じゃあ、ハスルートは連れてっ!」
その瞬間、言い知れぬ重圧が舞い降りた。
それはまるで、戦場で大神を前にした時の様な圧倒的な重圧。
その重圧を放つのは、ゆっくりと無言で歩みを進める白い幼女。
自身と同等の強さを誇るオルグイユ達すらも凌駕するその重圧。
リーリスの笑顔が強張り、彼女の頬を一筋の汗が流れ落ちる。
「貴女は……誰、なの?」
紡がれる声が自然と震える。
そんなリーリスの言葉を受けて、白い幼女の歩みが止まる。
向けられた無機質な瞳。
赤く、宝石の様に美しいその瞳を見た瞬間、リーリスが抱いたのは絶対的な死。
「っ!?」
それは只の直感だった。
感じ取った死の恐怖からの咄嗟の判断が彼女の命を救う事になる。
リーリスは転移魔法を展開し……
ドチャっ
鮮血を撒き散らす、鈍い落下音が鳴り響いた。
「外しましたか」
鈴を転がす様な可憐な声が静寂が支配する空間に静かに紡がれる。
その美しくも何の感情も宿さ無い声に、彼女の正体を知っている十剣達ですら恐怖を抱き、体が震えた。
彼女の、ルーミエルの視線の先。
そこにリーリスとハスルートの姿は無く、切断されたリーリスの片腕だけが自らの血溜まりに沈んでいた。
ハスルートを挟み、オルグイユ達と対峙する形で空に浮かぶ謎の美女が放つ強者の気配。
一目で只者では無いと分かるその存在感に十剣達は後退り、オルグイユとアヴァリスは油断なく鋭い視線で睨みつける。
そしてメルヴィーは乱入者を排除しようとして……動きを止めた。
「ふふふ、動かない方が賢明よ?」
乱入者である美女はクスリと微笑みを浮かべる。
メルヴィー達を捕らえる様に展開される複雑な積層魔法陣。
十剣達は驚愕に目を見開く。
自分達ならまだしも、超越者たるオルグイユ達が魔法陣に気付く事が出来なったと言う事実。
そして、それを容易くやってのけた美女の実力に……
「この程度で私達を始末出来るとでも?」
しかし、オルグイユ達は動じ無い。
ルーミエルの眷属である4人に動揺は一切無く、鋭い面持ちで敵を見据える。
「勿論、思って無いわ。
でも、一瞬の隙を作る事は出来るでしょう?」
「そう言えば、昔から貴女はこの様な小細工が得意でしたね」
「ふふふ、貴女こそその減らず口は相変わらずのようね。
それにしても久しぶりね、十万年ぶりかしら? 」
美女は楽し気に、ニヤリと口角を吊り上げる。
「また会えて嬉しいわ、始祖吸血鬼さん」
その笑みを受けて、オルグイユの顔が不愉快そうに僅かに歪んだ。
「けれど、おかしいわねぇ。
あの時、確かに始祖吸血鬼さんは仕留めたと思ったのだけれど?」
「あの時、と言うと。
醜い魔王の側近を始末した直後に挟み撃ちを仕掛けて来たアレの事でしょうか?」
「そうよ、あの時の貴女は間抜けだったわよねぇ」
「残念ですが、あの程度で私を殺す事は不可能です。
あの時は奇襲を許してしまいましたが……2度目はありませんよ、リーリス」
オルグイユの忌々し気な視線を浴びて美女……リーリスは愉悦に顔を歪める。
「ふふふ、確かに始祖吸血鬼、九尾、リヴァイアサンの3人に加え超越者に至った原種吸血鬼が相手では勝ち目は無いわね。
でも……」
パチンッと、指を打ち鳴らす乾いた音が鳴り……
「この子達がどうなっても良いのかしら?」
ピチャっ、と地面に滴る血が弾ける音が静まり返った空間に響き渡った。
「「「っ!?」」」
その光景を見て十剣達が唖然と目を見開き、オルグイユ達ですら目を見開く。
「ふふふ、貴女達、今あの時と同じ様な間抜けな顔よ?」
リーリスの背後に現れたのは、黒い光によって拘束され、空中に吊るされた2人。
身体中の生傷から血を流し、滴る血が地面を打つ。
尻尾はだらんと垂れ下がり、身に纏うメイド服は裂けて赤く滲む。
そこにあったのは、凄惨な拷問を受けた様な姿となった双子。
意識を失い力無く吊るされたノアとシアの姿だった。
「貴女達が少しでも動くと……」
ヒュンッ!
空気を裂く様な音が響き、ノアとシアの頬に血が浮かぶ。
「っ……」
アヴァリスはその光景を前に苦虫を噛み潰したように顔を歪め、握り締めた手から赤い血が滴り落ちた。
「良い顔だわぁ!」
オルグイユ達から膨れ上がる殺気を浴びて、リーリスは心底楽し気に笑みを浮かべる。
「じゃあ、ハスルートは連れてっ!」
その瞬間、言い知れぬ重圧が舞い降りた。
それはまるで、戦場で大神を前にした時の様な圧倒的な重圧。
その重圧を放つのは、ゆっくりと無言で歩みを進める白い幼女。
自身と同等の強さを誇るオルグイユ達すらも凌駕するその重圧。
リーリスの笑顔が強張り、彼女の頬を一筋の汗が流れ落ちる。
「貴女は……誰、なの?」
紡がれる声が自然と震える。
そんなリーリスの言葉を受けて、白い幼女の歩みが止まる。
向けられた無機質な瞳。
赤く、宝石の様に美しいその瞳を見た瞬間、リーリスが抱いたのは絶対的な死。
「っ!?」
それは只の直感だった。
感じ取った死の恐怖からの咄嗟の判断が彼女の命を救う事になる。
リーリスは転移魔法を展開し……
ドチャっ
鮮血を撒き散らす、鈍い落下音が鳴り響いた。
「外しましたか」
鈴を転がす様な可憐な声が静寂が支配する空間に静かに紡がれる。
その美しくも何の感情も宿さ無い声に、彼女の正体を知っている十剣達ですら恐怖を抱き、体が震えた。
彼女の、ルーミエルの視線の先。
そこにリーリスとハスルートの姿は無く、切断されたリーリスの片腕だけが自らの血溜まりに沈んでいた。
20
あなたにおすすめの小説
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
最強スライムはぺットであって従魔ではない。ご主人様に仇なす奴は万死に値する。
棚から現ナマ
ファンタジー
スーはペットとして飼われているレベル2のスライムだ。この世界のスライムはレベル2までしか存在しない。それなのにスーは偶然にもワイバーンを食べてレベルアップをしてしまう。スーはこの世界で唯一のレベル2を超えた存在となり、スライムではあり得ない能力を身に付けてしまう。体力や攻撃力は勿論、知能も高くなった。だから自我やプライドも出てきたのだが、自分がペットだということを嫌がるどころか誇りとしている。なんならご主人様LOVEが加速してしまった。そんなスーを飼っているティナは、ひょんなことから王立魔法学園に入学することになってしまう。『違いますっ。私は学園に入学するために来たんじゃありません。下働きとして働くために来たんです!』『はぁ? 俺が従魔だってぇ、馬鹿にするなっ! 俺はご主人様に愛されているペットなんだっ。そこいらの野良と一緒にするんじゃねぇ!』最高レベルのテイマーだと勘違いされてしまうティナと、自分の持てる全ての能力をもって、大好きなご主人様のために頑張る最強スライムスーの物語。他サイトにも投稿しています。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる