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35~39 Side 秋斗 04話
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「ちょっと風呂に入ってくるね」
そう言って立ち上がる。
「あ、はい。ごゆっくり」
「翠葉ちゃんは身体を冷やさないようにね? 寒かったら布団に入ること」
それだけ言い残してバスルームへ行く。
後ろ手にドアを閉め、盛大なため息をひとつ。
俺、勃ってるよ……。
自分の股間に目をやり、「あーあ……」と小さく漏らす。
部屋が暗くて助かった。
そりゃ禁欲生活長いしさ、こんな雰囲気のいいところで好きな子が腕の中にいればね……。
健全たる成年男子には当たり前な現象でしょう。
「でも……コレ、彼女に当たってたと思うんだけど……」
不自然に思われないよう、できるだけ早く彼女から離れたつもりだけれど、彼女は何も気づかなかっただろうか。
昼間に抱きしめたときにも思った。
彼女が気にするように、俺もまた彼女の香りを気にしている。
妖艶さとはかけ離れたそれは、俺にはとても新鮮な香りで、弱く香るからこそもっと――と近づきたくなる。
バスタブに湯を張りながらそんなことを考え、さらには男の欲をきれいサッパリ吐き出す。
上下水道完備に感謝感激雨あられ。
湯にあたりながら、腕におさまる彼女を思い出していた。
それは自然と藤山での出来事を思い出させる。
もっとキスの甘さを教え込めば良かっただろうか。
恥ずかしいから、と俺には抱っこされず葵につれてこられたとき、お仕置きと称してキス攻めにした。
あのときの彼女は、恥ずかしさからくる火照り以外の何かを感じていたはずだ。
それがなんなのかわからなくて、怖くなって泣いたのだと思ったけれど、実際のところはバングルを通して自分の心拍が人に知られてしまうことを恥ずかしがっていたらしい。
あのとき、恥ずかしさだけではなく、快感まで教えてしまえば良かっただろうか。
彼女からキスをせがまれるほどに、何度も何度も繰り返し教え込めば良かっただろうか――
そんなバカなことまで考えてしまう。
あのころ、彼女の体調はとても不安定だった。そんな彼女にするようなことではない。それこそ、非道な人間と言われてしまう。
それに、雅の件もあった。
彼女は俺を振るつもりでデートに来ていた。わかってたんだ、そんなこと……。
けれど、前日は手さえ握れなかった彼女があんなにも思いつめた顔をして、どうしても手をつなぎたいと言った。それをクリアすれば、「少し甘えてもいいですか?」と自ら俺に身を寄せた。
これで期待しない男はいないだろう。
抑えきれなくなった俺は、彼女が初めてであろうディープキスをした。
それであんな反応を見せられたら――そのあとの期待をしてもおかしくはないと思う。
すべてが覆って、彼女は俺を受けて入れてくれるんじゃないかと思ったんだ。
バスタブに浸かり、携帯を発信させる。
こんなとき、生活防水対応の携帯は便利だ。
『何かありましたか?』
かけたのは若槻の携帯。
「いや、ただいま頭冷やすべく入浴中」
冷やすべきは俺のムスコであり、彼女に何か起きたときの連絡先は昇さんだ。
『あんちゃん、この人またわけのわかんないこと言ってんだけど』
『は? だって今、そこに翠葉いるだろうに……』
『頭冷やすべく入浴中とかほざいてる』
「で、若槻と蒼樹は何してた?」
それとなく話をずらしたつもりだった。
『え? そりゃ、夜に男ふたりそろえばそれなりの話しかしないですよ。ほら、昔秋斗さんとしてたような……』
墓穴掘った……。
「何、蒼樹ってそういう話するタイプ!?」
『これ、スピーカーにしてもいいですか?』
「ぜひともそう願いたい」
若槻が事前の話を蒼樹にすると、
『あぁ……なんていうか、先輩とはしたくないですね』
「ほぉ……妙にきっぱりと言うじゃん」
『そりゃそうですよ。女専用の携帯を持っている時点で自分の主観とは違いすぎて話す気すら起きませんって』
返す言葉もございません……。
「それを言うなら若槻だって変わらないだろ?」
『でも、唯は遊びは遊びで派手だったみたいですけど、俺、こいつの本命知ってますから』
さらりと返されて困惑する。
ここへ来る前、若槻がそんな話をしていたけど、俺はその話の中身を知らない。
『嘘ですよ、先輩が想像してるようなえぐい話はしてません。部屋の照明について話してました」
蒼樹の軽やかな笑い声が聞こえてくる。
『で? 秋斗さんは何がどうして頭冷やし中なのか知りたいですね』
『それは俺も知りたいです』
携帯から聞こえるふたりの声が大きくなった気がする。
『さっき少しだけ心拍が上がったんですよねぇ……。先輩、何やらかしました?』
蒼樹に訊かれてドキリとする。
「抱きしめてキスしました」
『キスだあああああっ!?』
若槻がご立腹の声をあげる。
『先輩、キスって……』
ドスの利いた蒼樹の声に、
「頭のてっぺんにね」
補足すると、ふたつのため息が聞こえてきた。
『それごときで頭冷やし中?』
若槻に突っ込まれ、乾いた笑いと共にカミングアウト。
「彼女がかわいすぎて勃っちゃいました。それを気づかれたくなくて、風呂に入ってくると言い訳中」
『ぶっ……あははははははっっっ!』
豪快に笑ってくれるなぁ……。
こっちは意外と必死だというのに。
『はぁ、よくぞそれを翠葉に見せないでくれました』
蒼樹のシスコンは今も健在。
「でもさ、うちの学校の性教育を受けるのに、こんな予備知識もなくて大丈夫? 俺はそっちの方が心配だよ」
『確かに……人体模型にゴムをつける実習がありますからね』
苦い笑いが返される。
「そうそう。模型として勃ってないやつもあるけど、ゴムかぶせるテストの方は大きくなってるやつを使うからね」
あの子、どんな顔をして装着するんだろうか……。
そんなことを考えれば、また自分の一物が熱を帯び始める。
俺は十代のガキか――
そう言って立ち上がる。
「あ、はい。ごゆっくり」
「翠葉ちゃんは身体を冷やさないようにね? 寒かったら布団に入ること」
それだけ言い残してバスルームへ行く。
後ろ手にドアを閉め、盛大なため息をひとつ。
俺、勃ってるよ……。
自分の股間に目をやり、「あーあ……」と小さく漏らす。
部屋が暗くて助かった。
そりゃ禁欲生活長いしさ、こんな雰囲気のいいところで好きな子が腕の中にいればね……。
健全たる成年男子には当たり前な現象でしょう。
「でも……コレ、彼女に当たってたと思うんだけど……」
不自然に思われないよう、できるだけ早く彼女から離れたつもりだけれど、彼女は何も気づかなかっただろうか。
昼間に抱きしめたときにも思った。
彼女が気にするように、俺もまた彼女の香りを気にしている。
妖艶さとはかけ離れたそれは、俺にはとても新鮮な香りで、弱く香るからこそもっと――と近づきたくなる。
バスタブに湯を張りながらそんなことを考え、さらには男の欲をきれいサッパリ吐き出す。
上下水道完備に感謝感激雨あられ。
湯にあたりながら、腕におさまる彼女を思い出していた。
それは自然と藤山での出来事を思い出させる。
もっとキスの甘さを教え込めば良かっただろうか。
恥ずかしいから、と俺には抱っこされず葵につれてこられたとき、お仕置きと称してキス攻めにした。
あのときの彼女は、恥ずかしさからくる火照り以外の何かを感じていたはずだ。
それがなんなのかわからなくて、怖くなって泣いたのだと思ったけれど、実際のところはバングルを通して自分の心拍が人に知られてしまうことを恥ずかしがっていたらしい。
あのとき、恥ずかしさだけではなく、快感まで教えてしまえば良かっただろうか。
彼女からキスをせがまれるほどに、何度も何度も繰り返し教え込めば良かっただろうか――
そんなバカなことまで考えてしまう。
あのころ、彼女の体調はとても不安定だった。そんな彼女にするようなことではない。それこそ、非道な人間と言われてしまう。
それに、雅の件もあった。
彼女は俺を振るつもりでデートに来ていた。わかってたんだ、そんなこと……。
けれど、前日は手さえ握れなかった彼女があんなにも思いつめた顔をして、どうしても手をつなぎたいと言った。それをクリアすれば、「少し甘えてもいいですか?」と自ら俺に身を寄せた。
これで期待しない男はいないだろう。
抑えきれなくなった俺は、彼女が初めてであろうディープキスをした。
それであんな反応を見せられたら――そのあとの期待をしてもおかしくはないと思う。
すべてが覆って、彼女は俺を受けて入れてくれるんじゃないかと思ったんだ。
バスタブに浸かり、携帯を発信させる。
こんなとき、生活防水対応の携帯は便利だ。
『何かありましたか?』
かけたのは若槻の携帯。
「いや、ただいま頭冷やすべく入浴中」
冷やすべきは俺のムスコであり、彼女に何か起きたときの連絡先は昇さんだ。
『あんちゃん、この人またわけのわかんないこと言ってんだけど』
『は? だって今、そこに翠葉いるだろうに……』
『頭冷やすべく入浴中とかほざいてる』
「で、若槻と蒼樹は何してた?」
それとなく話をずらしたつもりだった。
『え? そりゃ、夜に男ふたりそろえばそれなりの話しかしないですよ。ほら、昔秋斗さんとしてたような……』
墓穴掘った……。
「何、蒼樹ってそういう話するタイプ!?」
『これ、スピーカーにしてもいいですか?』
「ぜひともそう願いたい」
若槻が事前の話を蒼樹にすると、
『あぁ……なんていうか、先輩とはしたくないですね』
「ほぉ……妙にきっぱりと言うじゃん」
『そりゃそうですよ。女専用の携帯を持っている時点で自分の主観とは違いすぎて話す気すら起きませんって』
返す言葉もございません……。
「それを言うなら若槻だって変わらないだろ?」
『でも、唯は遊びは遊びで派手だったみたいですけど、俺、こいつの本命知ってますから』
さらりと返されて困惑する。
ここへ来る前、若槻がそんな話をしていたけど、俺はその話の中身を知らない。
『嘘ですよ、先輩が想像してるようなえぐい話はしてません。部屋の照明について話してました」
蒼樹の軽やかな笑い声が聞こえてくる。
『で? 秋斗さんは何がどうして頭冷やし中なのか知りたいですね』
『それは俺も知りたいです』
携帯から聞こえるふたりの声が大きくなった気がする。
『さっき少しだけ心拍が上がったんですよねぇ……。先輩、何やらかしました?』
蒼樹に訊かれてドキリとする。
「抱きしめてキスしました」
『キスだあああああっ!?』
若槻がご立腹の声をあげる。
『先輩、キスって……』
ドスの利いた蒼樹の声に、
「頭のてっぺんにね」
補足すると、ふたつのため息が聞こえてきた。
『それごときで頭冷やし中?』
若槻に突っ込まれ、乾いた笑いと共にカミングアウト。
「彼女がかわいすぎて勃っちゃいました。それを気づかれたくなくて、風呂に入ってくると言い訳中」
『ぶっ……あははははははっっっ!』
豪快に笑ってくれるなぁ……。
こっちは意外と必死だというのに。
『はぁ、よくぞそれを翠葉に見せないでくれました』
蒼樹のシスコンは今も健在。
「でもさ、うちの学校の性教育を受けるのに、こんな予備知識もなくて大丈夫? 俺はそっちの方が心配だよ」
『確かに……人体模型にゴムをつける実習がありますからね』
苦い笑いが返される。
「そうそう。模型として勃ってないやつもあるけど、ゴムかぶせるテストの方は大きくなってるやつを使うからね」
あの子、どんな顔をして装着するんだろうか……。
そんなことを考えれば、また自分の一物が熱を帯び始める。
俺は十代のガキか――
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