太陽の烙印、見えざる滄海(未完)

よん

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introduction

expose

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 頭に浮かぶは豊満な肌色メロン・ワンペアのみ。
 不覚にも魅惑のおっぱい魔法にかかってしまったオレは、夢遊病患者の如くフラフラと路地裏へ向かう。
 そんな腑抜け状態のオレを目覚めさせたのは、頬に一筋の涙が伝うエリスのポツリとこぼした一言だった。

「……駆逐してやる」

「え……?」
「ハークは渡さない」
「オ、オイ、エリス……オマエ何言っ」「削ぐぞっ!」

 尋常じゃないその目つきに身震いしたオレは、慌ててエリスの前に立ち塞がった。
 
「待てよ! 削ぐってどうやって? 得物もないのに」
「うるさい、ハークが悪いんだ! 結局、男はみんな巨乳メロンズがいいんじゃないかっ!」
「か、神に誓ってそんなことはない……と思うよ」
「最後、声が小さいっ! あー、屈辱だよっ! ボクがこんなにハークを想ってるのに、あんな乳首の生えたお尻ごときにアッサリ負けるなんてさっ!」
「そんなことないって!」
「そんなことあるのっ! 冷静に考えなよ? あの女の体臭、馬のウ○コそのものなんだよっ! じゃあ、ボクの存在はそれ以下なのっ? 馬鹿なのっ? 死ぬのっ?」
「何で死ぬんだよ? だから誤解だって。……じゃあ、エリスも一緒に見せてもらおうじゃないか」
「ハァ? 巨乳メロンズなんて見たくもないよっ! あんな乳首付きお尻を見るためだけに大事なお金を払おうとする最低モッコリ野郎めっ! 100tハンマーがあれば、今すぐエロハークに天誅を下せるのにっ!」

 そんなモンなくても、さっき殴ったじゃんか。

「いや、別に見せるのがって確定したワケじゃないし。それにさ、あのひとは『貸してくれ』って言ってんだからいずれ返すって意味だろ?」
「そんなの金貸しに借りたらいいじゃんっ! ボク達はこれから未知なる冒険に旅立とうとしてる何の後ろ盾もない弱者なんだよっ? あんなどこの馬の糞ともわからない女に付き合ってる余裕なんてないんだからねっ」
「正論だが”糞”じゃなく”骨”な? まあ、その方がしっくりくるけど」

 オレ達が言い争ってる間に、渦中の人物は既に路地裏へと消えている。
 そこから伸びる”馬糞メロン”の右手が”カモーン”と招く。

「ほらっ、あのいやらしい手つきを見なよっ? きっとの見返りにお金全部取られちゃうんだからっ!」
「……PAFUPAFU?」
「そう、ぱふぱふ!」
「??? 何だよ、それ?」
「せ、説明しづらいけど……女の武器ってトコだねっ」
「女の武器か。じゃあ、エ」「うるさいうるさいうるさ――いっ!!! ぱふぱふできない女も世の中にいるんだよっ!!! これもエリスの分っ!」

 真っ赤な顔したエリスのグー、アゲイン。
 理不尽だ……。PAFUPAFUの意味もわからないのに、そのPAFUPAFUが原因で殴られるなんて。

「わかったよ。名も知らない女のためにこれ以上のダメージを食らうなんてゴメンだ。オマエの言う通り、金は貸さないよ」
「――っ! ハークお兄ちゃん、わかってくれたんだねっ?」

 そろそろ呼び名を統一してくれ。

「だけど、このままシカトして置き去りするのもやっぱりできない。今からキッパリ断ってくる。だからオマエも来い」
「ふわっ!? ちょ、ちょっと待ってよっ!」

 強引にエリスの手首を掴んで”馬糞メロン”の元へと歩く。
 いつもオマエの言いなりになると思うなよ!



「来タアルナ。……何ダ、”赤イ貧乳”モ金ヲ出スアルノネ?」
「だから、ボクはジャアじゃないってっ! はっきり言うっ、気に入らんな!」
「オ互イ様ダガ、ツイデアル。”赤イ貧乳”ニモ見セテヤルノナ」
「待って! オレ達はアナタのおっぱ……いや、”いいもん”を見る積もりはないし、お金だって1ラントも出せません。それに、アナタがお金を必要とする目的も聞いてないし」

 それ以前に、この女性の名前すら知らないんだが。

「……」

 沈黙の最中、この薄暗がりに黒いフェイスベール……見える筈もないのに、フッと笑ったのがわかる。

「アターシャノ仲間、救イ出スノニ大金ガイルアルノナ」
「……本当だとしたら美談ですね?」
「オヤオヤ、信用デキナイアルナ?」
「当ったり前じゃんっ! おっぱい晒してお金貰おうとする最低女なんてさっ!」
「……ハァ?」

  銀髪のまっすぐロングを掻き分けて、形のよい耳を露出する”馬糞メロン”。

「オパーイ? ナルホド、アターシャノオパーイ金ニナルアルノナ。ソレモイイアルガ……」
「よくないよっ! 畜生っ、ボクだって……ボクだって……」

 コンプレックス剥き出しのエリスはこの際ほっとこう。
 気になるのは、女のその言い方だ。
 どうやら”いいもん”とは、その豊満なバストではない模様……。少し残念。

「金ヲ投資シテモ損ナイアルノネ。アターシャト一緒ニイルト、二人ノ御役ニ立ツアルゾヨ?」
「さっきも言ったけど、お金は出せない。まして名も名乗らない相手にはね」

 今度は間違いなく笑った。……アハハハと、高らかな笑い声がしたから。

「ソウダッタアルカナ? 失礼シタアルノネ。……イイヨ、コッチカラ金ハ要求シナイ。”イイモン”見テカラ、二人デ判断スルノナ」

 彼女は胸元じゃなく、モスグリーンのヘッドバンドに手をかける。

……ま、まさかッ!?


「アターシャノ名ハ”せりすな”」


 烙印が……ないッ!

「ア、アンタ……魔女ウィッチなのっ?」
「違ウアルナ」

 セリスナと名乗った女は青いパッチリ瞳で呆然となるオレ達を捉えている。

「アターシャは亜人間デミ・ヒューマン……薬草師ハーバリストアルゾ」



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