ティッシュが足んない ~などとサキュバスの息子のムスコが意味不明な供述をしており~

よん

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第6章  ダンジョンが足んない

ダンジョンが足んない 5

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 声が聞こえる。

「やっと会えたわ、レイチェフの息子に。ずっとオマエのこと狙ってたのよ」
 
 いかにも、年上の女の声だ。
 テレビとかで観る醜い魔女を暗闇の中で勝手にイメージする。

「き、来ましたね……」
 
 どもってる場合じゃない。ここは余裕をかまさないと本当に僕の童貞喰われちまう!

「よくこんなところにノコノコと。この屋敷は魔王サタンの娘――レイチェフの屋敷ですよ?」
「わかってるわよ。ワタシ先に言ったじゃない。それにおかしな日本語だこと。”屋敷”を二度も使うなんて」

 何で魔界のサキュバスに母国語の誤りを指摘されなきゃいけないんだ。

「別におかしくないでしょう? 『隣の客はよく柿食う客だ』……ヘンですか?」

 フッと息が漏れる音。
 ……笑われてる?

「まあいい。オマエがそう思うんならそうなんだろう。オマエん中ではな」

 キイイィィィィィィィ――ッ!!! 何か悔しいッ!!!

 早く何か言い返そうッ!

「ここは退散した方が身のためですよ? レイチェフの息子がわざわざリップアーマーを解除してサキュバスを誘い出す……こんなの見え見えの罠じゃないですか?」
「ならば、オマエはおとりだと言うのか?」
「そうなりますね」
「では囮をいただいてから退散しようっと」
「ちょ、ちょっと待ってくださいッ! 少しは危機感持たないと! 今すぐ帰らないと大変なことになりますよ?」
「へえ? どう大変なの?」
「僕の母さん――レイチェフのみならず、サタンが黙っちゃいません!」
「サタンと面識はあるの?」

 うッ! そんなモンねーよ! 

「あ、ありますよッ! あるに決まってるじゃないですか! 僕の祖父なんだから」
「どんな顔? ワタシ見たことないんだけど。……渋メン?」
「い、いかつい顔です」
「漠然としすぎ。何に似てるの?」
「え、ええ、えーっと……は、般若はんにゃの面に!」
「ありゃ女の顔よ。オマエさ、ハーフ・インキュバスの分際で魔王サタンをディスってんの? それが世に言う厨二病ってヤツなんだ?」
「ち、違いますよ! それだけ美系だってことです!」
「たった今、サタンはいかついって言ったばかりじゃない」
「いかつい美系なんです!」

 何の話をしてるんだ! サタンの顔なんてどうでもいい!

「とりあえずお帰り下さい。僕はもう寝ます」
「そうはいかないわ。般若の面に用はないけど、オマエの天狗の面には用があるんだから」
「……サキュバスがそんなひどい下ネタ言うんですか?」
「いいでしょ? これから下品なコトいっぱいするんだから」
「し、しませんよッ! 僕はあなたを拒絶する! キスしなかったらどんな夢魔でも追い返すことができるんでしょ?」
「ええ、できるわよ」

 闇の中で気配を感じる。
 徐々に距離を詰められてる!

「だからと言って、オマエにそれができるとは思えないけど。……実際にこのワタシの姿を見てもそう言えるのかしら?」

 自信満々のサキュバスがそう言い終えると同時に、部屋がパッと明るくなった。

 ……ド、ドキドキすんなよな! 

 そうだよ、こんな淫乱悪魔、追い返しちゃえッ!


 明るさにだんだん目が慣れてくる。
 言え、言っちゃえ! 「帰れ」って! オマエなんかティッシュ以下のクソビッチ……


「…………」




 脳がとろけた。



 金髪のドーリーロングに色っぽいアイメイク、小悪魔っぽい(リアルに悪魔だけど)セクシーな笑みを浮かべた、その超グラマーなボディを包む…………紺のスク水だとおッ?????
 
 な、何その超萌えギャップッ!!! 

 ゼッケンに”1ねん1くみ さっきゅん”のギャル文字まで!
 凝ってるうぅ……って馬鹿か僕はッ!!!!


 




 勃ってんじゃねーよ……。







 望海ちゃん、覗くなら今だぞ?



 しこしこどころか、童貞喪失の瞬間まで見られんぞ?



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