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相手のことを
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大通りを抜け人気の少ないひっそりとしたところにあるカフェ。
そのカフェでは誰がくるのか
第1話
「ああ、今日も疲れたよ。マスター今日のオススメお願い。」
そう仕事の愚痴を漏らすのはこのsecret gardenの常連である俺、吉野 忠幸
愚痴を漏らすのは大概ここだけで、いつもは外回りから直帰なのだが最後の外回り場所で色々とありここにきてしまった。
「はい、今日はお車でお越しですか?」
「いや、歩き。だから大丈夫。」
「徒歩でも夜は足元が暗いはずです。吉野さんのペースに合わせて持て成させていただきます。」
そう言って和かにマスターはオススメの中でもアルコールが控えめな物を作り始めた。
ああ、やっぱりこの人は…
何故俺がここにきたのかわかっているようだった。今日は飲みに来たんじゃない。俺は誰かに聞いてほしくてきたんだ。
やっと当初の目的を確立させた忠幸。
「マスター、ありがとう。」
「いえ、こちらこそいつもありがとうございます。」
たぶんマスターは感謝の言葉の意味を違う意味で捉えていると思うけど俺は何故か無償に言いたくなった。
「今日さ、外回りだったんだ」
「寒い中お疲れ様です。」
「寒かったけど外回りも重要だから一件一件しっかり回っていたのにさ、あるところでつまづいたんだよ」
伊波はそれからグラスを片手に彼の話を聞くことにした
俺は今日3件の外回りがあったんだ。就職して2年目くらいになるかな、仕事のコツもわかってきて最後の一件は俺1人だったんだ。
俺は大役を任せられたんだと思ってたんだ。でも、これがいけなかったのかもしれないな。
「こんにちは。営業部の吉野です。店長いらっしゃいますでしょうか」
「あー、はい。今呼びますね~。」
学生と思われるアルバイトが間延びした返事を返す。
'あんまり、接客態度がなっていないな'
今まで見てきたところが完璧だったせいかアルバイトの返事に少し不満を持ちつつ店長を待っていた
1時間ほど待っていると店長が歩いてくるのが見えた
「営業部の吉野です。売上の方はどうでしょうか」
「ああ、順調ですよ」
店長は簡単な返事を返してきた
「今回の売り出しではトップでこの商品を出してますが売り上げはどうでしょうか」
吉野は意味が伝わってないと考え、言葉を変えて問いかけた
「まぁまぁですかね。」
また簡単な返事を返してくる
これは違う。意味が伝わってないわけじゃない。面倒だとおもっているのか、俺がきたことに不満なのか。
吉野の不満は一向に溜まっていくだけである
「そうですか。今後ともよろしくお願いします」
これ以上聞いても無駄だとわかり、今回の仕事ではデータを取るためだが棚を見れば一目瞭然で売れていることがわかるので挨拶を済ませ出口に向かう。
「そうだ。1つ良いですか。」
「はい、なんでしょうか」
「アルバイトですか?レジの人。接客態度が良くないと思います。きちんと指導してください」
「はい、すいません」
まともに聞いてもらった感じはしないが言っておくだけマシだな。
そのまま外回りを終わらせ上司と連絡を取る。
「どうだった」
「はい、売れているそうです。もう少しこちらの店舗にも回した方が良いと思います」
「わかった。時間も遅いから直帰してくれ」
上司との連絡を終え、思い出すのは最後の一件。
あの態度はなんなんだ。売れているなら売れていると言えば良いだろう!
吉野は心の中で憤慨していた。
一件のことをマスターに話し終えるとちょうどマスターはドリンクを差し出してきた。
「ジンバックです。爽やかな味わいで甘いく飲みやすい印象があります。」
伊波は話の区切りにジンバックを差し出した。
吉野はまだ飲んだことのないドリンクに対し少し好奇心が湧いた。
「吉野さんは営業部として仕事をとても頑張っていらっしゃるように見えます。」
少しずつ飲んでいる吉野に話を聞いた伊波は伝える。
「そんな吉野さんだったら今度は相手のことを考えてみませんか?」
「相手のことを?」
「はい、例えば先輩と回っていた時とご自分1人の時を比べてみるのです。時間帯、場所、その方の心情などを比較してみてはいかがでしょうか?」
吉野は伊波の言葉がイマイチ理解できず今日はそのままお開きとなった。
吉野は帰り道で
マスターもあの人達と同じ考えなのか。比較つってもなー
不満をまたもや持ちながら帰宅したのであった。
それからまた数週間後今回は先輩と一緒にあの店舗を訪れていた。今日またあのアルバイトと店長である
「佐々木店長お疲れ様です」
「ああ、お疲れ様です」
「この前の売り出し御苦労様です。売り上げ1番でしたよ!」
先輩は店長ににこやかに伝えていた、その言葉に店長は
「いや、まだまだだな。もっと活気強くしなくてはいけないからな」
「これからもお願いします!」
先輩は店長に労いの言葉を告げ、先輩は何か買うものがあるから先に行ってろと言われたので車に向かう。
ここの店長は高みを目指していたんだな。当たり前の売り上げではなく人よりも違う方向で見ていたんだ。
吉野は自分の考え方に疑問を覚えながら車にのった。
少しすると先輩がきた。
何か買った様子はない。
「やっぱりここはすげーな」
独り言のように先輩は言葉を漏らす
俺は「え?」と聞き返す
「しらねぇのか?ここの売り上げは店舗の中でも1番だ、それにここは元々そこそこの店舗だったんだ。でもそれを変えたのは20年前に店長になった佐々木店長だ」
俺は吃驚して返事を返すのを忘れていた
ここら辺では1番だと思っていたのが店舗1番だったのだ。自分の推測を上回る真実だった。
そして尚且つ佐々木店長がついたこの20年の間で1番になったのだ。
「そういえば、何か買うんじゃなかったんですか?」
先ほどから突っ掛かっていた疑問を問う
「ああ、アルバイトに差し入れだよ」
「アルバイトにですか?」
「そうに決まってるだろ。あのアルバイトの日は必ずカードの受理が多いし、店長に聞いてみてもあいつはカードの会員案内が1番うまいって話だ。そして、尚且つ売り出しの案内がうまい。」
あのアルバイトがそんなに実績のあるものだとは思わなかった。俺は過去の自分の考えを変えるべきだと思った。
「売り出しの商品については事前に調べているみたいだしな。そこらの社員と張りあえるかそれ以上に仕事をするし、なにより信念を持ってる」
先輩はあいつこのまま社員にならね~かな~と言いながら車を出す。
「そういえばこの前の外回り最後にここきたんだってな。」
「ああ、はい。道順的にはその方がいいと思ったので」
先輩はため息をつきダメだな~。と言った
「ここはこの時間帯1番混むんだよ。お客さんの案内に手を抜く店じゃないんだ。だから混む時間帯に行ってもあの人たち困るんだよ。混む時間帯とかちゃんと把握しておけ」
「はい」
俺は今までの考え方ではダメだと思った。この時マスターのことを思い出した。
相手のことを考えてみませんか?
相手のことを考えて…自分以外の相手を考えて行動できていたらこんなこともなかったんだろう。
このことをマスターに話したいと思いバーに行くと、マスターは
「いい経験となったのでしょうね。吉野さんはこれからもっと良い営業になりそうです。」
と、とても自分のことのように嬉しそうに言った。
そんなマスターに俺は
「ありがとう」とはっきり大きな声で告げた。
いつか言ったであろう言葉でもこれには違う意味がある。その意味を汲み取ったのかマスターは
「どういたしまして」
とにこやかに返してきた。
そのカフェでは誰がくるのか
第1話
「ああ、今日も疲れたよ。マスター今日のオススメお願い。」
そう仕事の愚痴を漏らすのはこのsecret gardenの常連である俺、吉野 忠幸
愚痴を漏らすのは大概ここだけで、いつもは外回りから直帰なのだが最後の外回り場所で色々とありここにきてしまった。
「はい、今日はお車でお越しですか?」
「いや、歩き。だから大丈夫。」
「徒歩でも夜は足元が暗いはずです。吉野さんのペースに合わせて持て成させていただきます。」
そう言って和かにマスターはオススメの中でもアルコールが控えめな物を作り始めた。
ああ、やっぱりこの人は…
何故俺がここにきたのかわかっているようだった。今日は飲みに来たんじゃない。俺は誰かに聞いてほしくてきたんだ。
やっと当初の目的を確立させた忠幸。
「マスター、ありがとう。」
「いえ、こちらこそいつもありがとうございます。」
たぶんマスターは感謝の言葉の意味を違う意味で捉えていると思うけど俺は何故か無償に言いたくなった。
「今日さ、外回りだったんだ」
「寒い中お疲れ様です。」
「寒かったけど外回りも重要だから一件一件しっかり回っていたのにさ、あるところでつまづいたんだよ」
伊波はそれからグラスを片手に彼の話を聞くことにした
俺は今日3件の外回りがあったんだ。就職して2年目くらいになるかな、仕事のコツもわかってきて最後の一件は俺1人だったんだ。
俺は大役を任せられたんだと思ってたんだ。でも、これがいけなかったのかもしれないな。
「こんにちは。営業部の吉野です。店長いらっしゃいますでしょうか」
「あー、はい。今呼びますね~。」
学生と思われるアルバイトが間延びした返事を返す。
'あんまり、接客態度がなっていないな'
今まで見てきたところが完璧だったせいかアルバイトの返事に少し不満を持ちつつ店長を待っていた
1時間ほど待っていると店長が歩いてくるのが見えた
「営業部の吉野です。売上の方はどうでしょうか」
「ああ、順調ですよ」
店長は簡単な返事を返してきた
「今回の売り出しではトップでこの商品を出してますが売り上げはどうでしょうか」
吉野は意味が伝わってないと考え、言葉を変えて問いかけた
「まぁまぁですかね。」
また簡単な返事を返してくる
これは違う。意味が伝わってないわけじゃない。面倒だとおもっているのか、俺がきたことに不満なのか。
吉野の不満は一向に溜まっていくだけである
「そうですか。今後ともよろしくお願いします」
これ以上聞いても無駄だとわかり、今回の仕事ではデータを取るためだが棚を見れば一目瞭然で売れていることがわかるので挨拶を済ませ出口に向かう。
「そうだ。1つ良いですか。」
「はい、なんでしょうか」
「アルバイトですか?レジの人。接客態度が良くないと思います。きちんと指導してください」
「はい、すいません」
まともに聞いてもらった感じはしないが言っておくだけマシだな。
そのまま外回りを終わらせ上司と連絡を取る。
「どうだった」
「はい、売れているそうです。もう少しこちらの店舗にも回した方が良いと思います」
「わかった。時間も遅いから直帰してくれ」
上司との連絡を終え、思い出すのは最後の一件。
あの態度はなんなんだ。売れているなら売れていると言えば良いだろう!
吉野は心の中で憤慨していた。
一件のことをマスターに話し終えるとちょうどマスターはドリンクを差し出してきた。
「ジンバックです。爽やかな味わいで甘いく飲みやすい印象があります。」
伊波は話の区切りにジンバックを差し出した。
吉野はまだ飲んだことのないドリンクに対し少し好奇心が湧いた。
「吉野さんは営業部として仕事をとても頑張っていらっしゃるように見えます。」
少しずつ飲んでいる吉野に話を聞いた伊波は伝える。
「そんな吉野さんだったら今度は相手のことを考えてみませんか?」
「相手のことを?」
「はい、例えば先輩と回っていた時とご自分1人の時を比べてみるのです。時間帯、場所、その方の心情などを比較してみてはいかがでしょうか?」
吉野は伊波の言葉がイマイチ理解できず今日はそのままお開きとなった。
吉野は帰り道で
マスターもあの人達と同じ考えなのか。比較つってもなー
不満をまたもや持ちながら帰宅したのであった。
それからまた数週間後今回は先輩と一緒にあの店舗を訪れていた。今日またあのアルバイトと店長である
「佐々木店長お疲れ様です」
「ああ、お疲れ様です」
「この前の売り出し御苦労様です。売り上げ1番でしたよ!」
先輩は店長ににこやかに伝えていた、その言葉に店長は
「いや、まだまだだな。もっと活気強くしなくてはいけないからな」
「これからもお願いします!」
先輩は店長に労いの言葉を告げ、先輩は何か買うものがあるから先に行ってろと言われたので車に向かう。
ここの店長は高みを目指していたんだな。当たり前の売り上げではなく人よりも違う方向で見ていたんだ。
吉野は自分の考え方に疑問を覚えながら車にのった。
少しすると先輩がきた。
何か買った様子はない。
「やっぱりここはすげーな」
独り言のように先輩は言葉を漏らす
俺は「え?」と聞き返す
「しらねぇのか?ここの売り上げは店舗の中でも1番だ、それにここは元々そこそこの店舗だったんだ。でもそれを変えたのは20年前に店長になった佐々木店長だ」
俺は吃驚して返事を返すのを忘れていた
ここら辺では1番だと思っていたのが店舗1番だったのだ。自分の推測を上回る真実だった。
そして尚且つ佐々木店長がついたこの20年の間で1番になったのだ。
「そういえば、何か買うんじゃなかったんですか?」
先ほどから突っ掛かっていた疑問を問う
「ああ、アルバイトに差し入れだよ」
「アルバイトにですか?」
「そうに決まってるだろ。あのアルバイトの日は必ずカードの受理が多いし、店長に聞いてみてもあいつはカードの会員案内が1番うまいって話だ。そして、尚且つ売り出しの案内がうまい。」
あのアルバイトがそんなに実績のあるものだとは思わなかった。俺は過去の自分の考えを変えるべきだと思った。
「売り出しの商品については事前に調べているみたいだしな。そこらの社員と張りあえるかそれ以上に仕事をするし、なにより信念を持ってる」
先輩はあいつこのまま社員にならね~かな~と言いながら車を出す。
「そういえばこの前の外回り最後にここきたんだってな。」
「ああ、はい。道順的にはその方がいいと思ったので」
先輩はため息をつきダメだな~。と言った
「ここはこの時間帯1番混むんだよ。お客さんの案内に手を抜く店じゃないんだ。だから混む時間帯に行ってもあの人たち困るんだよ。混む時間帯とかちゃんと把握しておけ」
「はい」
俺は今までの考え方ではダメだと思った。この時マスターのことを思い出した。
相手のことを考えてみませんか?
相手のことを考えて…自分以外の相手を考えて行動できていたらこんなこともなかったんだろう。
このことをマスターに話したいと思いバーに行くと、マスターは
「いい経験となったのでしょうね。吉野さんはこれからもっと良い営業になりそうです。」
と、とても自分のことのように嬉しそうに言った。
そんなマスターに俺は
「ありがとう」とはっきり大きな声で告げた。
いつか言ったであろう言葉でもこれには違う意味がある。その意味を汲み取ったのかマスターは
「どういたしまして」
とにこやかに返してきた。
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