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第一部 藪家荘の中で
その1 子供の声
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「ママ」
それは、泡が弾けるような小さな儚い声。そこに宿る感情を正確に知ることは難しい。
甘えなのか、悲しみなのか、怒りなのか、苦痛なのか、それとも断末魔の悲鳴なのか。その小さな呼びかけは、窓の外の鳥の声にかきけされた。
チュチュン。ジジッ。
雀が屋根から飛び立つ気配で、由紀子は跳ね起きる。その時点で顔は濡れており、口からは荒く息が漏れていた。押しつぶされそうな思いは後悔でもあり懺悔の念でもあり、なによりも――由紀子は片手で目を抑えて嗚咽した――恐怖なのだった。
(わたしは、この記憶から生涯逃れることはできない)
古く立派なベッドの上にしつらえたのは、大型のホームセンターで入手した安価品の布団セットである。その軽い掛布団の上で、由紀子はつっぷし、しばらくの間動かなかった。
頭の中ではぐるぐると思い出したくもないことが巡った。ああ、生きている。今日も自分は息をしている。無意識に下腹部を触れる癖は未だ抜けない。
やっと長々と息をつきながら顔をあげ、ティッシュで洟を拭きながら、由紀子は思い出した。
そうか。今日は。
**
三年前のこの日、由紀子は流産した。
妊娠していることに気づかないまま離婚し、まもなく恐ろしい事実に由紀子は気付いた。生理が来ないことと、独特の倦怠感が暗示することは一つしかなかった。嘘であってほしいと願いながら検査薬を使った。濃いラインが現れた。突き動かされるようにして、その日のうちに産婦人科に行った。まちがいなく由紀子の胎内には子供がいた。
やっとの思いで逃げるように縁を切った正幸に、この件で連絡する気には到底なれなかった。
連絡したところで正幸が養育費を払うとは思えない。そんな経済力は彼にはないだろうから。
なにより恐ろしいのは、腹の子のことで切れた縁を戻そうとするかのように、正幸がなんらかの理屈をつけてーー由紀子ぉ、なぁー、頼むよ、なぁー、由紀子ぉ・・・・・・ーー自分の元を追ってくるのではないかということだった。
独り身になり、お金はないけれど、もう慢性的にのしかかる恐怖や、生理的な嫌悪を感じることなく生きてゆけるのだという安堵は、胎内に正幸の子が宿っていることで儚く壊れた。
由紀子はまだ、この子供を宿すことになったきっかけに覚えがあった。思い出したくもないことだった。合意のうえのことではなく、むしろ、あのことが離婚に至る最後通牒となった。三年経った今でも、由紀子の左の乳房には一文字の古い切り痕が残る。手首のえぐれたような紫の内出血痕は、流石に今はもう見えないが、由紀子は未だにビニールひもを見るのが嫌だった。だから、引っ越しの時も、荷物をまとめるために、ビニールひもは一切使わなかった。
妊娠していることを考えただけで、ぐうっと喉がしめあげられる感覚が蘇りおぞけが走った。太い親指の跡はとっくの昔に消えていても、恐怖と苦痛の感覚は時々蘇っては由紀子を苦しめた。
あの時、宿った命。
それを思うと、到底、腹の子を愛しむ気にはなれなかった。
それでも一秒ごとに胎児は育ち、まだ外見に全く現れないうちから存在を主張する。
人によっては全く気付かない妊娠超初期でありながら、由紀子は敏感に自分の異変を知った。体の中に異物があるという不快感は、全身に恐ろしい倦怠感をもたらし、食べ物に対する嫌悪感をもたらした。ごく早いうちから由紀子は酷い悪阻にかかった。やっとのことで食べてはもどすことを繰り返した。
(いや、あれは悪阻ではなかったのかもしれない)
職場にはいつ伝えるべきか。そのことも由紀子を苦しめた。
老人ホームの介護現場に勤める身として、身重の体でいつまでもトランスや入浴介助や夜勤を続けるわけにはいかない。かといって、気軽に妊娠を告げることもできなかった。
職場にはつい最近、離婚したことを伝えたばかりだ。苗字も大井から坂東に戻った。離婚手続き関係で何度か有給を使い、現場には迷惑をかけている。そのうえで今、懐妊を伝えたら間違いなく激しいブーイングに晒されるだろう。由紀子はそれが辛かった。
「えーっ、妊娠っ、誰の子ぉ」
から始まり、それが元の夫の正幸の子であることを告げたら、疑い深そうに由紀子を眺めながら
「えー、それっていつできた子ぉ、本当にぃ、どうするの、で、連絡とかしたの」
と、根掘り葉掘り聞きたがる、同僚の年配連中のことを思っただけでクラクラと眩暈がしそうだった。
体の不調を隠しながら、一日、また一日と仕事に出てくる由紀子の異変に、ただ一人だけ気づいた同僚がいた。
「ね、ゆっちゃん。あなたさ、勘違いだったら申し訳ないんだけど、もしかしたら」
(堀田さん)
もちのように白い肌、ふっくらとした体格の堀田雅代。由紀子が入社した時に指導に当たってくれた職員で、それ以後も良き先輩として導いてくれた。定年間近の貫禄を誇りながらも、日常の業務はきちんとこなす雅代。利用者一人一人の様子に機敏に気づく小さな優しい目。雅代の目は、まだ誰も気づかない由紀子の異変を鋭く見抜いた。
「違いますよ」
と、由紀子は必死になって言い、そして、どうして本当のことを打ち明けなかったのかと激しく後悔したものだ。
その数日後に、あっけなく妊娠は終了した。激痛と大量の出血は、由紀子にとっては朗報のはずだった。産婦人科に行き、後の処理を施され、由紀子の体は再び由紀子だけのものに戻った。
薄いピンクの壁紙が貼られた産婦人科の通路を歩きながら、由紀子は下腹部に手を置いた。もうこの子宮は空。ここに眠るものはもうない。
産婦人科の外は晩秋の嵐で、冷たい雨が窓を叩いていた。窓の向こうでは紅葉が進みすぎて茶色くなった葉が庭木にしがみ付いて揺れていた。窓が風に、ごとんごとんと打たれる音は物寂しかった。
その時由紀子の脳裏には、窓際で音を立てて揺れ続ける、籐で編んだ昔風の愛らしい、空っぽの揺り籠がまざまざと浮かんだ。それは、何故かとても切ない妄想で、あれほど苛まれた心配の種から解放されたというのに、由紀子はわけもわからず泣いた。
**
「ママ」
泡のはじけるような、悲鳴のような小さな声を、由紀子は聞いた。
それは、妊娠があっけなく終了した瞬間だったと思う。こらえきれない腹痛に青ざめ、壁にもたれかかった瞬間、耳元で呟く声を、確かに由紀子は聞いた。
ママ、わたしのママ。
ここにいたい、ここにいたいよ。
しかしその悲鳴は一瞬のうちにかきけされ、子宮から大量の赤いものが下に降りて、たちまち命は終焉を迎えた。
流れ落ちる熱い赤の中には生命の残渣が溶けているはずだが、トイレにかけこんだ由紀子は、そのえげつない赤い色をあっというまに水に流した。絶叫のような激しい音を立てて水洗は便器をまたたくまに洗浄し、一瞬後、そこにはもう、僅かな間でも胎内に宿った命の片りんは、まるで見えなくなっていた。
**
母を求める小さな声を、由紀子はそれから幾度となく聞いた。
夢の中で。あるいは、働いている最中に耳元で。
はっと我にかえり振り向くが、そこに子供がいるはずもなかった。おそるおそる下腹部に手を当てても、そこは空虚なゆりかごに過ぎなかった。けれども、やはり、何度も子供の声は由紀子を呼んだ。
(許しては、もらえないのかもしれない)
心を病み、療養期間をもらって、この藪家荘に入ったが、声はここまで自分を追ってくる。
服薬している効果か、しばらく聴かなかったはずなのに、藪家荘に来てから、むしろ再び蘇ってきているような。
「ごめんね、ごめんね、ずっと着いてきたいのなら、それでもいいよ」
この空のゆりかごは、もう誰も使うことがない。
由紀子はしばらく蹲っていたが、再び雀の気配を感じ、ようやく朝の支度に起き出したのだった。
今日は、この家の管理会社の人の訪問があるはずだ。古い上に、長い間無人だったこの家のことを、管理会社の方で気にかけてくれている。
そろそろホールに置き去りのままの荷物を整理しなくては、と、由紀子は思った。
それは、泡が弾けるような小さな儚い声。そこに宿る感情を正確に知ることは難しい。
甘えなのか、悲しみなのか、怒りなのか、苦痛なのか、それとも断末魔の悲鳴なのか。その小さな呼びかけは、窓の外の鳥の声にかきけされた。
チュチュン。ジジッ。
雀が屋根から飛び立つ気配で、由紀子は跳ね起きる。その時点で顔は濡れており、口からは荒く息が漏れていた。押しつぶされそうな思いは後悔でもあり懺悔の念でもあり、なによりも――由紀子は片手で目を抑えて嗚咽した――恐怖なのだった。
(わたしは、この記憶から生涯逃れることはできない)
古く立派なベッドの上にしつらえたのは、大型のホームセンターで入手した安価品の布団セットである。その軽い掛布団の上で、由紀子はつっぷし、しばらくの間動かなかった。
頭の中ではぐるぐると思い出したくもないことが巡った。ああ、生きている。今日も自分は息をしている。無意識に下腹部を触れる癖は未だ抜けない。
やっと長々と息をつきながら顔をあげ、ティッシュで洟を拭きながら、由紀子は思い出した。
そうか。今日は。
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三年前のこの日、由紀子は流産した。
妊娠していることに気づかないまま離婚し、まもなく恐ろしい事実に由紀子は気付いた。生理が来ないことと、独特の倦怠感が暗示することは一つしかなかった。嘘であってほしいと願いながら検査薬を使った。濃いラインが現れた。突き動かされるようにして、その日のうちに産婦人科に行った。まちがいなく由紀子の胎内には子供がいた。
やっとの思いで逃げるように縁を切った正幸に、この件で連絡する気には到底なれなかった。
連絡したところで正幸が養育費を払うとは思えない。そんな経済力は彼にはないだろうから。
なにより恐ろしいのは、腹の子のことで切れた縁を戻そうとするかのように、正幸がなんらかの理屈をつけてーー由紀子ぉ、なぁー、頼むよ、なぁー、由紀子ぉ・・・・・・ーー自分の元を追ってくるのではないかということだった。
独り身になり、お金はないけれど、もう慢性的にのしかかる恐怖や、生理的な嫌悪を感じることなく生きてゆけるのだという安堵は、胎内に正幸の子が宿っていることで儚く壊れた。
由紀子はまだ、この子供を宿すことになったきっかけに覚えがあった。思い出したくもないことだった。合意のうえのことではなく、むしろ、あのことが離婚に至る最後通牒となった。三年経った今でも、由紀子の左の乳房には一文字の古い切り痕が残る。手首のえぐれたような紫の内出血痕は、流石に今はもう見えないが、由紀子は未だにビニールひもを見るのが嫌だった。だから、引っ越しの時も、荷物をまとめるために、ビニールひもは一切使わなかった。
妊娠していることを考えただけで、ぐうっと喉がしめあげられる感覚が蘇りおぞけが走った。太い親指の跡はとっくの昔に消えていても、恐怖と苦痛の感覚は時々蘇っては由紀子を苦しめた。
あの時、宿った命。
それを思うと、到底、腹の子を愛しむ気にはなれなかった。
それでも一秒ごとに胎児は育ち、まだ外見に全く現れないうちから存在を主張する。
人によっては全く気付かない妊娠超初期でありながら、由紀子は敏感に自分の異変を知った。体の中に異物があるという不快感は、全身に恐ろしい倦怠感をもたらし、食べ物に対する嫌悪感をもたらした。ごく早いうちから由紀子は酷い悪阻にかかった。やっとのことで食べてはもどすことを繰り返した。
(いや、あれは悪阻ではなかったのかもしれない)
職場にはいつ伝えるべきか。そのことも由紀子を苦しめた。
老人ホームの介護現場に勤める身として、身重の体でいつまでもトランスや入浴介助や夜勤を続けるわけにはいかない。かといって、気軽に妊娠を告げることもできなかった。
職場にはつい最近、離婚したことを伝えたばかりだ。苗字も大井から坂東に戻った。離婚手続き関係で何度か有給を使い、現場には迷惑をかけている。そのうえで今、懐妊を伝えたら間違いなく激しいブーイングに晒されるだろう。由紀子はそれが辛かった。
「えーっ、妊娠っ、誰の子ぉ」
から始まり、それが元の夫の正幸の子であることを告げたら、疑い深そうに由紀子を眺めながら
「えー、それっていつできた子ぉ、本当にぃ、どうするの、で、連絡とかしたの」
と、根掘り葉掘り聞きたがる、同僚の年配連中のことを思っただけでクラクラと眩暈がしそうだった。
体の不調を隠しながら、一日、また一日と仕事に出てくる由紀子の異変に、ただ一人だけ気づいた同僚がいた。
「ね、ゆっちゃん。あなたさ、勘違いだったら申し訳ないんだけど、もしかしたら」
(堀田さん)
もちのように白い肌、ふっくらとした体格の堀田雅代。由紀子が入社した時に指導に当たってくれた職員で、それ以後も良き先輩として導いてくれた。定年間近の貫禄を誇りながらも、日常の業務はきちんとこなす雅代。利用者一人一人の様子に機敏に気づく小さな優しい目。雅代の目は、まだ誰も気づかない由紀子の異変を鋭く見抜いた。
「違いますよ」
と、由紀子は必死になって言い、そして、どうして本当のことを打ち明けなかったのかと激しく後悔したものだ。
その数日後に、あっけなく妊娠は終了した。激痛と大量の出血は、由紀子にとっては朗報のはずだった。産婦人科に行き、後の処理を施され、由紀子の体は再び由紀子だけのものに戻った。
薄いピンクの壁紙が貼られた産婦人科の通路を歩きながら、由紀子は下腹部に手を置いた。もうこの子宮は空。ここに眠るものはもうない。
産婦人科の外は晩秋の嵐で、冷たい雨が窓を叩いていた。窓の向こうでは紅葉が進みすぎて茶色くなった葉が庭木にしがみ付いて揺れていた。窓が風に、ごとんごとんと打たれる音は物寂しかった。
その時由紀子の脳裏には、窓際で音を立てて揺れ続ける、籐で編んだ昔風の愛らしい、空っぽの揺り籠がまざまざと浮かんだ。それは、何故かとても切ない妄想で、あれほど苛まれた心配の種から解放されたというのに、由紀子はわけもわからず泣いた。
**
「ママ」
泡のはじけるような、悲鳴のような小さな声を、由紀子は聞いた。
それは、妊娠があっけなく終了した瞬間だったと思う。こらえきれない腹痛に青ざめ、壁にもたれかかった瞬間、耳元で呟く声を、確かに由紀子は聞いた。
ママ、わたしのママ。
ここにいたい、ここにいたいよ。
しかしその悲鳴は一瞬のうちにかきけされ、子宮から大量の赤いものが下に降りて、たちまち命は終焉を迎えた。
流れ落ちる熱い赤の中には生命の残渣が溶けているはずだが、トイレにかけこんだ由紀子は、そのえげつない赤い色をあっというまに水に流した。絶叫のような激しい音を立てて水洗は便器をまたたくまに洗浄し、一瞬後、そこにはもう、僅かな間でも胎内に宿った命の片りんは、まるで見えなくなっていた。
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母を求める小さな声を、由紀子はそれから幾度となく聞いた。
夢の中で。あるいは、働いている最中に耳元で。
はっと我にかえり振り向くが、そこに子供がいるはずもなかった。おそるおそる下腹部に手を当てても、そこは空虚なゆりかごに過ぎなかった。けれども、やはり、何度も子供の声は由紀子を呼んだ。
(許しては、もらえないのかもしれない)
心を病み、療養期間をもらって、この藪家荘に入ったが、声はここまで自分を追ってくる。
服薬している効果か、しばらく聴かなかったはずなのに、藪家荘に来てから、むしろ再び蘇ってきているような。
「ごめんね、ごめんね、ずっと着いてきたいのなら、それでもいいよ」
この空のゆりかごは、もう誰も使うことがない。
由紀子はしばらく蹲っていたが、再び雀の気配を感じ、ようやく朝の支度に起き出したのだった。
今日は、この家の管理会社の人の訪問があるはずだ。古い上に、長い間無人だったこの家のことを、管理会社の方で気にかけてくれている。
そろそろホールに置き去りのままの荷物を整理しなくては、と、由紀子は思った。
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