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狂気の晩餐
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あれからどれくらい経っただろうか。
最初の数か月、僕は逃げ出し、誰も来なさそうな木の傍で、じっと座り込んだまま居た。
誰も傷つけたく無かったからだ。
アンデッドと言う特性故か、疲労が存在しない僕の体は幾らでも座っていることが出来た。
だけど、人が僕を死体と見間違えて墓を作ろうとしていたので逃げ出した。
そして、ただ座っているだけではこの世界に来た意味がないと僕は思い、幾つかの実験を行うことにした。
先ず一つ、自信の身体能力だ。
走る力は、分かりやすく言えば豹より速かった。
しかも疲労が存在しないので幾らでも走り続けられる。
その際に体が耐えられなくて足がもげたが(結構簡単にくっついた)。
二つ目、筋力だ。
大体500キロ位の荷物を片手で持つことが出来るらしい。
勿論永遠に。
三つ目…これはかなり難航したが、この世界がゲームか否かと言うことだ。
正確に言えば『ここはゲームっぽい世界か否か』だ。
色々試したが、僕は偶然気付いたことがあった。
意識しないと分からないが、何故か自分のステータスが感じ取れる。
HPはどれくらいある、とかどんなスキルを所有しているか、とかだ。
結果、肉を喰えば体の筋肉や皮膚などが再生し、さらに能力値が一時的に大幅上昇する【生の渇望】、武器を上手く使いこなし、属性攻撃への耐性を高める【騎士の矜恃】、そして最後に【&%*#@-+@】と言う詳細不明の、合計三つのパッシブスキルが存在しているのが分かった。
どうやら、僕がゴブリンの肉を貪ってしまった理由は【生の渇望】に寄るものが大きいらしい。
しかし、ゲームっぽい世界かどうかについては情報が足りなさすぎる。
自分のスキルが分かったところで、それが妄想じゃ無いなんて事はわからないのだから。
───と言うわけで、僕はそこら辺を歩いていたホブゴブリンを倒すことにした。
先ずは自分のスキルが本当かどうかを確かめなければならない。
歩いていたゴブリン──身長が高いので、恐らくホブゴブリンだろう──の目の前に立ち塞がり、剣を構える。
僕を見たそいつは、獲物でも見つけたと思ったのか、にやりと下卑た笑みを浮かべて棍棒で殴り付けてきたのだ。
「(さあ発動しろ、僕のスキル……【騎士の矜恃】ッ!!!)」
───ホブゴブリンの棍棒が僕の顔に吸い込まれるようにヒットする───
「ごはぁぁぁあ!?」
え?普通に当たったよ?
自動迎撃とかでは無いらしい。
気を取り直して剣を構えると、今度は自分から斬りかかった。
負けじと相手も棍棒を振り下ろすが、僕は紙一重でかわすとがらんどうの脇腹目掛けて剣を突き立てた。
深々と剣が突き刺さり、横へ引くと血が吹き出した。
ごくりと唾を咽下する。
ぐらりと後ろへ倒れ込むホブゴブリン。
彼はピクピクと数回痙攣を起こすと、それきり動くことは無かった。
「(旨そうだ…)」
ふと浮かんできた考えを振り払う。
そう言えば、以前から数日に一回、やたらと肉が食べたくなる事があった。
もしかしたらスキルのバッドステータスか種族の特性かもしれない。
「……」
倒れたホブゴブリンの腸を見ると、唾が溢れてくるような感覚を覚えた。
「(別に、一口位、良いよな?)」
腸を両手で掴み、恐る恐る口へ運んだ。
「─────」
えもいわれぬ高揚感、舌の上で弾ける旨み。
内臓はまるで蕩けるような食感で、飲み下すと痺れるような心地好さが指の先まで迸った。
「─────」
もう一口、もう一口。
頭が痺れる。
舌が痺れる。
全身を駆け巡る甘露な電流。
腕を噛み千切り、目を抉り出し、その血と脳漿を啜った。
「───あぁ…うまい。」
気が付けば、そいつの体は既に消え、僕の足元には何かの骨が散らばっていた。
──生き物を自分の快楽のため殺し喰らった事に、僕は何の感慨も抱くことは無かった──
最初の数か月、僕は逃げ出し、誰も来なさそうな木の傍で、じっと座り込んだまま居た。
誰も傷つけたく無かったからだ。
アンデッドと言う特性故か、疲労が存在しない僕の体は幾らでも座っていることが出来た。
だけど、人が僕を死体と見間違えて墓を作ろうとしていたので逃げ出した。
そして、ただ座っているだけではこの世界に来た意味がないと僕は思い、幾つかの実験を行うことにした。
先ず一つ、自信の身体能力だ。
走る力は、分かりやすく言えば豹より速かった。
しかも疲労が存在しないので幾らでも走り続けられる。
その際に体が耐えられなくて足がもげたが(結構簡単にくっついた)。
二つ目、筋力だ。
大体500キロ位の荷物を片手で持つことが出来るらしい。
勿論永遠に。
三つ目…これはかなり難航したが、この世界がゲームか否かと言うことだ。
正確に言えば『ここはゲームっぽい世界か否か』だ。
色々試したが、僕は偶然気付いたことがあった。
意識しないと分からないが、何故か自分のステータスが感じ取れる。
HPはどれくらいある、とかどんなスキルを所有しているか、とかだ。
結果、肉を喰えば体の筋肉や皮膚などが再生し、さらに能力値が一時的に大幅上昇する【生の渇望】、武器を上手く使いこなし、属性攻撃への耐性を高める【騎士の矜恃】、そして最後に【&%*#@-+@】と言う詳細不明の、合計三つのパッシブスキルが存在しているのが分かった。
どうやら、僕がゴブリンの肉を貪ってしまった理由は【生の渇望】に寄るものが大きいらしい。
しかし、ゲームっぽい世界かどうかについては情報が足りなさすぎる。
自分のスキルが分かったところで、それが妄想じゃ無いなんて事はわからないのだから。
───と言うわけで、僕はそこら辺を歩いていたホブゴブリンを倒すことにした。
先ずは自分のスキルが本当かどうかを確かめなければならない。
歩いていたゴブリン──身長が高いので、恐らくホブゴブリンだろう──の目の前に立ち塞がり、剣を構える。
僕を見たそいつは、獲物でも見つけたと思ったのか、にやりと下卑た笑みを浮かべて棍棒で殴り付けてきたのだ。
「(さあ発動しろ、僕のスキル……【騎士の矜恃】ッ!!!)」
───ホブゴブリンの棍棒が僕の顔に吸い込まれるようにヒットする───
「ごはぁぁぁあ!?」
え?普通に当たったよ?
自動迎撃とかでは無いらしい。
気を取り直して剣を構えると、今度は自分から斬りかかった。
負けじと相手も棍棒を振り下ろすが、僕は紙一重でかわすとがらんどうの脇腹目掛けて剣を突き立てた。
深々と剣が突き刺さり、横へ引くと血が吹き出した。
ごくりと唾を咽下する。
ぐらりと後ろへ倒れ込むホブゴブリン。
彼はピクピクと数回痙攣を起こすと、それきり動くことは無かった。
「(旨そうだ…)」
ふと浮かんできた考えを振り払う。
そう言えば、以前から数日に一回、やたらと肉が食べたくなる事があった。
もしかしたらスキルのバッドステータスか種族の特性かもしれない。
「……」
倒れたホブゴブリンの腸を見ると、唾が溢れてくるような感覚を覚えた。
「(別に、一口位、良いよな?)」
腸を両手で掴み、恐る恐る口へ運んだ。
「─────」
えもいわれぬ高揚感、舌の上で弾ける旨み。
内臓はまるで蕩けるような食感で、飲み下すと痺れるような心地好さが指の先まで迸った。
「─────」
もう一口、もう一口。
頭が痺れる。
舌が痺れる。
全身を駆け巡る甘露な電流。
腕を噛み千切り、目を抉り出し、その血と脳漿を啜った。
「───あぁ…うまい。」
気が付けば、そいつの体は既に消え、僕の足元には何かの骨が散らばっていた。
──生き物を自分の快楽のため殺し喰らった事に、僕は何の感慨も抱くことは無かった──
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