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第一章 英雄の序曲
第32話「聖リリス帝国からの刺客1」
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村に戻った次の日、周囲の偵察をさせている神無月から緊急の報告が入った。聖リリス帝国の軍隊が村の外まで押し寄せて来ているらしい。
「如何なさいますか、魔王様? 雑魚共が降伏勧告をしていますが」
対応したのは神無月らしい。彼女と面と向かいながらも強気に来るということは、こちらの能力を探る力すら持たないということ。ステータスを偽られている可能性も少なからずあるものの、それほど警戒するべき相手でもなさそうだ。
「そうだな……」
さて、どう対応するか。できれば戦闘を避けていきたいが、面子はカルマ、フェンリス、神無月を初めとするメイドの面々。ボス面できる奴はいないから、威嚇して追い払うのは難しそうだ。
「カルマは紅茶タイムを楽しんでいていいぞ。フェンリスは付いて来て、後学に役立てて欲しい」
「了解したのじゃ、魔王様。フェンリス、万が一のことがあったら殺すからの?」
ほぼ雑魚と確定している相手なのに釘を刺すか。ひょっとして、俺って信用が無いのかな。そういえば最後に本気を出したのはあの時以来だから、5年くらい前か。
「大丈夫、魔王様がいれば安心だよ」
「流石はフェンリスだ!」
フェンリスだけが俺の癒しだ。思わず抱き締めてしまうと、心地よい毛並みの感触に心が穏やかになる。カルマの憎しみや嫉妬が混じっていそうな視線は痛かったが。
「……さて、充電も終わったところで行くか。フェンリスはそのままの格好で来てくれ」
「わかりました、魔王様」
フェンリスは人間と思われるように、アイヌ風の柄のポンチョを着て、両手足を覆うような服、帽子を被っている。これが可愛いのだ。キャスケットだかいう小さなつばの付いた柔らかい帽子。黒色にしてみたが、これほど似合うとは思わなかった。
「神無月は俺と一緒に、他のメイドたちは村の警備に戻って防衛戦の準備をして欲しい」
「畏まりました。長月、指揮は任せます」
「わかりました。行きますよ、葉月、文月」
長月はメイドのナンバー2として育成していたが、よく育ってくれていたようだ。魔王として嬉しい限りだ。戦闘特化型の3人がいれば遅れを取ることはないだろう。
村の外へ出て歩くこと数分、もう勝利を確信しているかのように無数の旗を並べた集団が見えてきた。
「さて、どんな奴かな……と」
一番奥で偉そうに踏ん反り返っている奴の能力を見る。推定レベルは10、ステータスとあのローブを見る限り、恐らく魔導師だろう。その後ろにはシスターが控えている。
俺たちの姿が見えたのだろう。その魔導師ではなく、厳つい顔をした兵士たちが歩み寄って来る。
「初めまして、俺はユウ。貴方たちは?」
「頭が高いぞ、雑魚が!」
極めて社交的に挨拶したというのに威嚇されるとは。余程見下されているに違いない。雑兵に舐められる魔王ってどうなのよ。
隣を見ると、神無月は拳を震わせている。この村に来た時、無意味に威嚇するなと命令したが何とか堪えてくれているようだ。
一方、フェンリスはというと、俺の後ろに隠れてしまった。そんなにこの兵士たちは恐ろしいだろうか。確かに顔は極めて悪いが。
「ま……魔王様……」
「はは、何だその魔王っていうのは」
兵士たちが大笑いする。色々と野次のようなものも飛んで来るが、余りにも言葉が汚くて聞き取れない。会話すら成立しないのかと困惑していると、奥から魔導師が出て来た。
「お前がリーダーか?」
「初めまして。俺がこいつらのリーダーのユウだ。ちょっとした事情があってな、魔王と呼ばれている。よろしく頼む」
手を差し出すも払い除けられ、更に失笑される。こいつも交渉は端から考えていないか。ま、いきなり軍隊を差し向けるんだ。話し合いに来たとは言わないだろうな。
「魔王を自称するならば、相応に強いのだろう? 少々相手してくれないか? 出でよ、ゾンビ共」
黒い魔法陣が展開されると同時に、地中から手が生えて次々と屍の体が出て来る。そのどれもが下級のゾンビで、推定レベルは3といったところだ。特殊能力は特に無く、つまるところ単なる雑魚の群れが出現する。
「これは面倒だな」
「は、そうだろうさ。さぁ、殺してやれ!」
この数を処理するには少々骨が折れそうだ。魔法で一気に焼き尽くしても良いんだけど、
「フェンリス。この場はお前に譲ろう。遊んで来るといい」
「え……ですが、その……良いんですか?」
ここはフェンリスに譲ることにする。神無月でも良いんだけど、きっと一瞬で戦闘が終わっちゃうだろうからな。
「は、そんな小娘に頼ろうなど雑魚の思想だな。さぁ、食ってしまえ!」
ゾンビたちが土石流のようにやって来る。あれに掴みかかられたら服の洗濯が大変そうだ。悪臭がこびりついて、体も念入りに洗わないといけなくなる。
「そう考えると神無月の方が良いのか? でも……ここは豪快にやってくれるフェンリスの方が適任だよな」
「魔王様……わかりました、行きます!」
千切っては投げ、食い殺す姿を見せ付ければ誰も傷付けずに戦闘が終わるはず。そう思っていた時期が俺にもあった。
「如何なさいますか、魔王様? 雑魚共が降伏勧告をしていますが」
対応したのは神無月らしい。彼女と面と向かいながらも強気に来るということは、こちらの能力を探る力すら持たないということ。ステータスを偽られている可能性も少なからずあるものの、それほど警戒するべき相手でもなさそうだ。
「そうだな……」
さて、どう対応するか。できれば戦闘を避けていきたいが、面子はカルマ、フェンリス、神無月を初めとするメイドの面々。ボス面できる奴はいないから、威嚇して追い払うのは難しそうだ。
「カルマは紅茶タイムを楽しんでいていいぞ。フェンリスは付いて来て、後学に役立てて欲しい」
「了解したのじゃ、魔王様。フェンリス、万が一のことがあったら殺すからの?」
ほぼ雑魚と確定している相手なのに釘を刺すか。ひょっとして、俺って信用が無いのかな。そういえば最後に本気を出したのはあの時以来だから、5年くらい前か。
「大丈夫、魔王様がいれば安心だよ」
「流石はフェンリスだ!」
フェンリスだけが俺の癒しだ。思わず抱き締めてしまうと、心地よい毛並みの感触に心が穏やかになる。カルマの憎しみや嫉妬が混じっていそうな視線は痛かったが。
「……さて、充電も終わったところで行くか。フェンリスはそのままの格好で来てくれ」
「わかりました、魔王様」
フェンリスは人間と思われるように、アイヌ風の柄のポンチョを着て、両手足を覆うような服、帽子を被っている。これが可愛いのだ。キャスケットだかいう小さなつばの付いた柔らかい帽子。黒色にしてみたが、これほど似合うとは思わなかった。
「神無月は俺と一緒に、他のメイドたちは村の警備に戻って防衛戦の準備をして欲しい」
「畏まりました。長月、指揮は任せます」
「わかりました。行きますよ、葉月、文月」
長月はメイドのナンバー2として育成していたが、よく育ってくれていたようだ。魔王として嬉しい限りだ。戦闘特化型の3人がいれば遅れを取ることはないだろう。
村の外へ出て歩くこと数分、もう勝利を確信しているかのように無数の旗を並べた集団が見えてきた。
「さて、どんな奴かな……と」
一番奥で偉そうに踏ん反り返っている奴の能力を見る。推定レベルは10、ステータスとあのローブを見る限り、恐らく魔導師だろう。その後ろにはシスターが控えている。
俺たちの姿が見えたのだろう。その魔導師ではなく、厳つい顔をした兵士たちが歩み寄って来る。
「初めまして、俺はユウ。貴方たちは?」
「頭が高いぞ、雑魚が!」
極めて社交的に挨拶したというのに威嚇されるとは。余程見下されているに違いない。雑兵に舐められる魔王ってどうなのよ。
隣を見ると、神無月は拳を震わせている。この村に来た時、無意味に威嚇するなと命令したが何とか堪えてくれているようだ。
一方、フェンリスはというと、俺の後ろに隠れてしまった。そんなにこの兵士たちは恐ろしいだろうか。確かに顔は極めて悪いが。
「ま……魔王様……」
「はは、何だその魔王っていうのは」
兵士たちが大笑いする。色々と野次のようなものも飛んで来るが、余りにも言葉が汚くて聞き取れない。会話すら成立しないのかと困惑していると、奥から魔導師が出て来た。
「お前がリーダーか?」
「初めまして。俺がこいつらのリーダーのユウだ。ちょっとした事情があってな、魔王と呼ばれている。よろしく頼む」
手を差し出すも払い除けられ、更に失笑される。こいつも交渉は端から考えていないか。ま、いきなり軍隊を差し向けるんだ。話し合いに来たとは言わないだろうな。
「魔王を自称するならば、相応に強いのだろう? 少々相手してくれないか? 出でよ、ゾンビ共」
黒い魔法陣が展開されると同時に、地中から手が生えて次々と屍の体が出て来る。そのどれもが下級のゾンビで、推定レベルは3といったところだ。特殊能力は特に無く、つまるところ単なる雑魚の群れが出現する。
「これは面倒だな」
「は、そうだろうさ。さぁ、殺してやれ!」
この数を処理するには少々骨が折れそうだ。魔法で一気に焼き尽くしても良いんだけど、
「フェンリス。この場はお前に譲ろう。遊んで来るといい」
「え……ですが、その……良いんですか?」
ここはフェンリスに譲ることにする。神無月でも良いんだけど、きっと一瞬で戦闘が終わっちゃうだろうからな。
「は、そんな小娘に頼ろうなど雑魚の思想だな。さぁ、食ってしまえ!」
ゾンビたちが土石流のようにやって来る。あれに掴みかかられたら服の洗濯が大変そうだ。悪臭がこびりついて、体も念入りに洗わないといけなくなる。
「そう考えると神無月の方が良いのか? でも……ここは豪快にやってくれるフェンリスの方が適任だよな」
「魔王様……わかりました、行きます!」
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