魔王と配下の英雄譚(修正版)

るちぇ。

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第一章 英雄の序曲

第44話「血塗られた魔導兵器5」

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 ここの長がいる部屋はすぐにわかった。その場所、日本の城でいう天守閣に位置する部屋に突入すると、震えた手で剣を握り締める中年の男が立っていた。相当に金使いが荒いのだろう。身に付けている物は大小様々な宝石ばかりで、下品な程に光り輝いている。

「お……お前たち……! ここをどこと弁えている!? 族長ウガンダ様の治める要所だぞ!?」
「それくらいわかっているさ。だからここに来た。その命を頂戴するために」
「ふざけるな! 俺はこんなところで終わる器じゃないんだよ! そうだ、金をやろう。な、だから俺を見逃せ。いくら欲しい? 何ならこの屋敷ごとくれてやるぞ!」

 その金や屋敷だって、どうやって入手したか怪しいところだ。それに、恐らく姑息な手段で手に入れた金をそういう風に使うなど、どれだけ心が荒めばそういう発想が出て来るのか。

「それは当然の戦利品だ。お前を殺して奪っても同じこと」
「ま……待て! それならば聖天騎士団への入隊はどうだ? お前たちほどの実力があれば……!」

 苛立ちを隠せないでいると、カルマが前に出てくれる。

「魔王様、御心をしっかりと保って欲しいのじゃ。あのような生ごみに反応してはならぬ」
「カルマ……あぁ、済まない。ここは任せてもいいか?」
「ワシは魔王様のためにあるものじゃよ」

 言われて気が付いたが、また自分でも驚くほど醜い感情が沸き上がっていた。これでは皆のまとめ役として失格だ。それでもカルマは俺に、屈託のない笑顔で嬉しいことを言ってくれた。それがどうしようもなく嬉しい。

「ま……待て、待ってくれ! なら美女をあてがおう! この辺り一番の女を……!」
「……魔王様に女を? ここに美女がいるというのに、そんな命乞いが通用すると思うたか!? 下水道の泥水で生ごみを全身パックしたようなモンスターには死がお似合いじゃ!」

 その直後に、流れるような毒舌はできれば聞きたくなかったな。ま、もう何も言うまい。

「そ……そんな! 何でも差し出します! だからどうか、命だけは! 命だけはどうか!」
「ほぉ、それは良いことを聞いたのじゃ。ちょっとばかし調教が好きな変態かつ害悪でホモという神ですら全力でノーと言うような害悪植物の餌になって貰おうかの」

 本当は最後まで任せたかったが、これ以上聞いているとアザレアが不憫になってきそうだ。ここらでまとめておくとするか。

「よし、こいつはアザレアに送ることにしよう。お前には情報を洗い浚い吐いて貰う。安心しろ、命までは取らない」

 カルマのお蔭で余り信用はないようだけど、命までは取らないと言ったから幾分か安心したようだ。喚き散らすのを止めて大人しくなった。

「なんて、黙っていられる訳がないだろうが!」

 そう見えたのも束の間、短刀を握り締めて俺目がけて突っ込んで来た。

「魔王様、ちょっと失礼します」

 だが、フェンリスはただちに手刀でそれを弾き飛ばした。更に腹へ蹴りを入れ、壁に叩き付ける。

「もう少しやりますか?」
「いや……いい。もう無駄だとわかったはずだ。頼みの戦力も奇襲も効かないこと、よくわかってくれただろう」

 これで一件落着、そう思っていた。だが突然、奴の頭が無くなって壁に風穴が空いたのである。

「な……! どこからだ!?」
「魔王様、あそこです!」

 肉眼では見えない。ファントム・シーカーを放つと、30キロ離れた所に女性の騎士が立っていた。ピンク色の長髪が風で揺られ、その様はまるで獲物を狙うライオンのように見える。その手には弓が握られていた。

「まさか……あそこから射抜いたのか!?」

 女性の騎士は美しい顔立ちだったが、人形のように一切表情を変えることなく、俺のファントム・シーカーを全て射る。そしてそのまま反転すると走り去って行った。

「魔王様、追うかのう?」
「いや……罠の可能性もある。何よりこれだけの腕だ。相応にやれる奴かもしれない」

 焦りは禁物だ。俺たちはドミニオンズにおいて最強だったが、この世界では通用しない可能性があることを忘れてはならない。特に、魔装具、いやこの世界では魔導兵器か。その重要な機密を知ってしまった以上、敵も本腰を入れてくるだろう。

「ここを落としたことで満足しよう。一度戻るぞ」

 まずは情報が欲しい。アデルに聞いてみるとしよう。まずはそれからだ。
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みんなの感想(2件)

yuuki
2017.02.04 yuuki

ダブってる

解除
watapon
2017.01.31 watapon

なんかオーバーロードに似てますね笑

個人的に魔王系主人公好きなので頑張ってください!!

解除

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