異世界列車囚人輸送

先川(あくと)

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5章 運ばれゆく罪人

12、これからは俺がじいさんとバディを組む

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 どんッと一発の銃声が響いた。

 ぐらぐら・ウィリーは避ける隙はもちろんのこと、後悔する時間さえ与えなかった。

 膝を引きずった兵士は恐らく、ぐらぐら・ウィリーがホルスターに手をやったのを見た瞬間には、もう地獄と天国の岐路に立っていただろう。
 ぐらぐら・ウィリーは膝を引きずった兵士の額を撃ち抜いていた。
 膝を引きずった兵士は胡乱な目つきをしたまま後方に倒れた。

 確認するまでもなく、彼はもう死んでいた。

 討伐隊の面々はすぐさま銃を構え、銃口をぐらぐら・ウィリーの方に向けた。

「あんたらだって見てただろう。先に撃ってきたのはあいつだ」
 ぐらぐら・ウィリーはすばやく撃鉄を起こした。
「銃を寄こせ!」
「わしはあんたらを殺すつもりはない! あいつが撃ってきたから撃ち返しただけだ。わしはおぬしらを敵に回すつもりはないんだ」

「仲間を撃っておいて、そんな理屈が通ると思うのか?」

 シノが感情のない声で言う。

「あんたらがわしに復讐をするというのなら、最初の一発はどう正当化するんだ?」

「とにかく銃を寄こすんだ」

「この銃はあんたらを撃つために持っているんじゃない。だから、あんたらに取り上げられる言われはないんだ」

 ぐらぐら・ウィリーは緊張した眼差しで五人を見渡し、誰か一人でも引き金を引く奴があれば、もうどうにでもなれと玉砕するつもりだった。

「どうしますか? 隊長」

「先に一線を越えたのはうちの隊だに」
 レナがいい、ジョーがそれに頷いた。

「私たちが争うべきではないわ。こんなときに……。シノ、どうするの?」

 ジョーはシノの方を見た。

 シノはぐらぐら・ウィリーの腕前を高く評価していた。
 酒浸りではある者の粘り強い男で、一度食らいついた獲物は死ぬまで離さない。頑固を超えて偏執的なところのある男だ。

 ぐらぐら・ウィリーは先ほど全員の目の前で早打ちの腕前を証明して見せた。もし仮にこの場で撃ち合いになれば、数の上では負けるはずはないが、こちらも無傷では済まされないだろう。

「今のはうちの隊に落ち度があった。とりあえずあの腕を治療してやろう」
 シノは言って銃の撃鉄を倒した。

「それが済んだら、このじいさんはどこかで下ろしましょう。どうせ酔っ払って使い物にならないんだ」
 デュアメルが言った。

「そうはいかんぞ。わしはベルナードまでトウセキを送り届けて、報酬を貰う義務がある」
「俺たちが無事届けてやるよ。龍鉱石も、ギルドに提出するように言っておく。あんたは報酬だけもらうといい」

「いいや、そうはいかん。お前たちがしくじるようなら、わしはあの男を撃ち殺す」

「好きにさせてやれ。これからは俺がじいさんとバディを組む」

 シノは全員に銃を下ろすよう命じた。
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