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5章 運ばれゆく罪人
11、仲間割れ
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討伐隊は我が物顔で腹を食い漁るアントンを押しのけ、よだれくりの兵士の死体を回収した。それからぐらぐら・ウィリーを問い詰め、彼が居眠りをしていたことを白状させた。
「ぶっ殺してやる!!」
膝を引きずった兵士は激昂した。
デュアメルは術式小銃を構えたまま檻の監視をしていたし、レナとジョーは目を伏せて黙りこくっていた。
シノはよだれくりの兵士のポケットを探り、彼の遺品を確認していた。
シノはよだれくりの兵士のポケットから、故郷の写真と思しき写真を見つけると、彼がつけていた功労勲章の略綬と一緒に袋に入れた。
前の戦争で授与された勲章は、この兵士の誇りだった。
恐らく、正規の勲章も彼の部屋に飾ってあるだろうが、彼が目にすることが多かったのはきっとこの略綬の方だっただろう。
ベルナードの王宮に戻ったのち、同郷の者にそれを託すつもりだった。
「ああ、確かにわしは眠ってしまったさ! だが、それがどうだというんじゃ」
ぐらぐら・ウィリーは開き直って言った。
「なんだと?」
膝を引きずった兵士は顔を真っ赤にしていた。
「間違いを犯したのはこの男だ。わしを起こしてから対処していれば、少なくとも誰にも気付かれずにブタに食い漁られることはなかった」
「そんな言い訳が通じると思ってるのか?」
「事実、そうだろう。うたた寝をしていたのはわしの落ち度じゃ。しかし、わしが起きているかどうかも確認せず、檻をあけて一人で中に入ったんだぞ。軽率な行動には違いない」
「ふざけるな! 死んだ者に責任をなすりつけるつもりか?」
「第一、わしはお前さんらとは違う。鉄道会社からは龍鉱石を護送しろとしか言われておらん。わしはあの獣人を殺して腹を裂いて、龍鉱石を取り出したって一向にかまわんのだ。それを生かしたまま裁判を受けさせるなどと、つまらないことにこだわっているのは、あんたらの方だろう。あんたらの甘さがあの男を殺したんだ」
「お前、本気で言ってるのか?」
「わしの方がいい迷惑じゃ。この男が縛り首になるのを待って、絞首台で腹を裂いて石を取り出すなんてのはな」
「それとこれとは話が別だろ」
「分からんようだな。あんたらのせいであの男は死んだと言っておるんだ。わしのせいじゃない」
膝を引きずった兵士は頬をぶるぶると震えさせた。
彼は乱暴な仕草で膝にもたれさせていた銃を構えた。
それは全く無駄のない動きで、発作的というべきか、本人でも自分が何をしようとしているのか分かっていないようだった。
膝を引きずった兵士はそのままぐらぐら・ウィリーを撃った。
鋭い銃声がした。
銃弾は二の腕に直撃した。腕はウミヘビのように宙を泳ぎ、血しぶきをあげてのたうち回った。
持っていた酒瓶ははるか後方に跳ね飛ばされた。
「撃ったな?」
ぐらぐら・ウィリーは肩をさすり、痛みをこらえていた。
「この場合は誰のせいになる? 引き金を引いた俺のせいか? それとも俺たちを侮辱したあんたのせいか?」
ぐらぐら・ウィリーは答えなかった。
ぐらぐら・ウィリーは黙ったまま左腕に指をあて、傷の具合を確かめた。
弾は完全に貫通しており、破けたシャツの裾から沸き立つように血が溢れてくる。
ぐらぐら・ウィリーは指先についた血を親指でこすりつけるように広げ、ぺろりと舐めて笑った。
しわくちゃの顔はアルコールのせいで腐った樹皮のような色をしていた。
ぐらぐら・ウィリーは無事な方の手でホルスターから術式拳銃を引き抜くと、血まみれの拳で叩くようにして撃鉄を起こした。
「やめろおおおおおおおおお!」
デュアメルが叫んだ。
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