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二章 秘宝「ジェタクの果印」
29話 まったく食事をするのも大変だ
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俺は全身筋肉痛になりながらも、なんとかミーノの村についた。
「ありがとうございます。ヤグラ君、良かったら泊まっていきませんか?」
「良いのか?」
「今から王都に戻るのは大変でしょう? それにここからだと明日も早くから果印を探すことができます」
「そうだな。泊めてもらえると正直助かるよ」
全身の筋肉が悲鳴を上げていた。ただ立っているだけのことが重労働で、ここから王都までが、途方もない道のりに思えるのだ。
ここはミーノの言葉に甘えさせてもらおう。
「今日飲んだアキモモのお茶があるでしょう? その実がちょうど熟れてきて、そろそろ食べごろなんです。もし、食べれそうなのがあったら、あとで一緒に食べましょうね。とっても美味しいですから」
腹痛もいくらかマシになったのだろう。ミーノの声にハリが戻っていた。
「ただいまー」
「おかえりー」
ミーノが扉を開けると、中から幼い子どもがかけてきた。男の子と女の子だった。
「お姉ちゃんコイツだれ?」
男の方が俺を指さす。
「こら、ムゥくん、コイツとか言わないんですよ! こちらはお姉ちゃんの冒険者仲間のヤグラ君です」
「ふーん、お姉ちゃんって最強の冒険者なんでしょ?」
ムゥくんと言われた子がミーノを見た。
「え、そ、そうですよ。お姉ちゃんは最強の冒険者なんです」
家では弟たちにそう言って聞かせているのだろう。困ったように笑いながら、ミーノはちらりと俺の反応をうかがった。
「じゃあ、こんなへなちょこじゃなくてさ、もっと強そうな人と組めばいいじゃん!!」
コイツ……、クソガキだ……。
「こら!! ヤグラ君になんてこと言うんですか」
「だって、全然強そうじゃないんだもん!! おっちゃん、なんで三角巾なんかしてるんだ?」
ムゥが俺の三角巾をぐいぐい引っ張る。
「やめろ!!」
俺は慌てて三角巾を手で押さえた。ガキのくせに目の付け所が良すぎる……。この下だけは生涯誰にも見せられないのだ。
「なんか怪しいぞ? お前、盗賊だろ。そんな格好してるのは盗賊以外いないんだからな」
「違げえよ!! やめろって言ってるだろ」
「盗賊じゃないなら、顔を見せてくれてもいいじゃん。そんなんだったら、うちには泊めてやらないぞ!!」
「誰が何と言おうとこの下だけは見せられないんだ!!」
俺はムゥの手を掴んで、三角巾から遠ざける。
「ムゥやめなさい!!」
ミーノがムゥを後ろから抱きかかえる。
「お姉ちゃんはこいつに騙されてるぞ!!」
ムゥはミーノの腕の中で暴れまわった。
ムゥはその後ミーノにこっぴどく叱られて、ようやく大人しくなった。家の奥ではミーノの両親が晩ご飯の準備をしていて、両親と合わせて五人で晩ご飯を食べた。
「すみません……俺の晩御飯なんですけど、なんか入れ物に入れて置いといてもらえませんか?」
俺は失礼を承知で言った。
「どうしてですか?」
ミーノのお母さんが怪訝な顔をしている。
「すみません……。俺は人前では絶対にご飯を食べないようにしているんです。いや、むしろ食べられないというか……」
返答に困っていると、ミーノが意外な形で助け舟を出してくれた。
「もうお母さんったら、そんなことも分からないんですか? ご飯を食べている間は隙ができるでしょう? 一流の冒険者であるヤグラ君は人前で決して隙を見せないのです」
もっともらしい理由で、ナイスなフォローだと思ったが、ミーノは大きな勘違いをしていた。確かに、隙は見せられない。俺みたいな弱い人間が隙を見せたら、一瞬でやられてしまうのだ。しかし、世の中には隙よりも見せられないものがあるのだ。例えば、顔についたケツの穴とか……。
「あら、そうなんですか。分かりました。それならあとでゆっくり食べてくださいね」
ミーノのお母さんは俺のご飯に木のふたをしてくれた。
まったく食事をするのも大変だ!
「ありがとうございます。ヤグラ君、良かったら泊まっていきませんか?」
「良いのか?」
「今から王都に戻るのは大変でしょう? それにここからだと明日も早くから果印を探すことができます」
「そうだな。泊めてもらえると正直助かるよ」
全身の筋肉が悲鳴を上げていた。ただ立っているだけのことが重労働で、ここから王都までが、途方もない道のりに思えるのだ。
ここはミーノの言葉に甘えさせてもらおう。
「今日飲んだアキモモのお茶があるでしょう? その実がちょうど熟れてきて、そろそろ食べごろなんです。もし、食べれそうなのがあったら、あとで一緒に食べましょうね。とっても美味しいですから」
腹痛もいくらかマシになったのだろう。ミーノの声にハリが戻っていた。
「ただいまー」
「おかえりー」
ミーノが扉を開けると、中から幼い子どもがかけてきた。男の子と女の子だった。
「お姉ちゃんコイツだれ?」
男の方が俺を指さす。
「こら、ムゥくん、コイツとか言わないんですよ! こちらはお姉ちゃんの冒険者仲間のヤグラ君です」
「ふーん、お姉ちゃんって最強の冒険者なんでしょ?」
ムゥくんと言われた子がミーノを見た。
「え、そ、そうですよ。お姉ちゃんは最強の冒険者なんです」
家では弟たちにそう言って聞かせているのだろう。困ったように笑いながら、ミーノはちらりと俺の反応をうかがった。
「じゃあ、こんなへなちょこじゃなくてさ、もっと強そうな人と組めばいいじゃん!!」
コイツ……、クソガキだ……。
「こら!! ヤグラ君になんてこと言うんですか」
「だって、全然強そうじゃないんだもん!! おっちゃん、なんで三角巾なんかしてるんだ?」
ムゥが俺の三角巾をぐいぐい引っ張る。
「やめろ!!」
俺は慌てて三角巾を手で押さえた。ガキのくせに目の付け所が良すぎる……。この下だけは生涯誰にも見せられないのだ。
「なんか怪しいぞ? お前、盗賊だろ。そんな格好してるのは盗賊以外いないんだからな」
「違げえよ!! やめろって言ってるだろ」
「盗賊じゃないなら、顔を見せてくれてもいいじゃん。そんなんだったら、うちには泊めてやらないぞ!!」
「誰が何と言おうとこの下だけは見せられないんだ!!」
俺はムゥの手を掴んで、三角巾から遠ざける。
「ムゥやめなさい!!」
ミーノがムゥを後ろから抱きかかえる。
「お姉ちゃんはこいつに騙されてるぞ!!」
ムゥはミーノの腕の中で暴れまわった。
ムゥはその後ミーノにこっぴどく叱られて、ようやく大人しくなった。家の奥ではミーノの両親が晩ご飯の準備をしていて、両親と合わせて五人で晩ご飯を食べた。
「すみません……俺の晩御飯なんですけど、なんか入れ物に入れて置いといてもらえませんか?」
俺は失礼を承知で言った。
「どうしてですか?」
ミーノのお母さんが怪訝な顔をしている。
「すみません……。俺は人前では絶対にご飯を食べないようにしているんです。いや、むしろ食べられないというか……」
返答に困っていると、ミーノが意外な形で助け舟を出してくれた。
「もうお母さんったら、そんなことも分からないんですか? ご飯を食べている間は隙ができるでしょう? 一流の冒険者であるヤグラ君は人前で決して隙を見せないのです」
もっともらしい理由で、ナイスなフォローだと思ったが、ミーノは大きな勘違いをしていた。確かに、隙は見せられない。俺みたいな弱い人間が隙を見せたら、一瞬でやられてしまうのだ。しかし、世の中には隙よりも見せられないものがあるのだ。例えば、顔についたケツの穴とか……。
「あら、そうなんですか。分かりました。それならあとでゆっくり食べてくださいね」
ミーノのお母さんは俺のご飯に木のふたをしてくれた。
まったく食事をするのも大変だ!
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