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二章 秘宝「ジェタクの果印」
37話 そして俺は歴史的な発見を成し遂げた
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逸話と言うのは後世の人の納得によって生まれるものだ。「あの男なら水の上を歩けそうだ」とか、「あの人は水の上を歩けるほど特別な存在だったのだ」と、後世の人が納得して、その話を語り継いでいく。
おそらく、ジェタク師のおしっこに神通力があったことは、当時の人なら誰でも知っていたのだろう。ジェタク師は占いの内容を決して人に言わなかったというが、おしっこに神通力があることは誰もが知っていた。
だから、ジェタク師が立ち小便をしたまま決して乾かない土地という逸話が生まれたのだ。
だが、実際にジェタク師がやっていたのは、サザエを拾ってきて、それにおしっこをかけること。
「×××年、カ・ツ・カ・?」
巻貝の渦にできた文様は、自然の物ではなく、ジェタク師が占いに際して書きつけたものだった。
何が、何にとは、書かれていない。だが、ジェタク師には分かっていたのだろう。青に変色すれば、イエス。×××年、にその人は勝つ。赤に変色すれば、ノー。その人はそれに勝つことができない。
「サザエおしっこ占い」だ。
驚いたことに、×××年、この国は魔王マーグナアとの大戦を迎えている。その結果、この国は歴史的な大勝を収めた。
「貴様!! 早くその村に連れていけ!!」
普段はほとんど外に出ないというコフネさんが、怒ったような顔をして、ずんずん山道を歩いていた。王都の外に出るのは、子どものとき以来だという。
コフネさんはミーノの村を回り、彼らが家に溜めていたサザエの貝殻を法外な値段で買い取った。
「×××年、シ・ヌ・カ・?」
「×××年、フ・ル・カ・?」
恐ろしいことに、×××年には確かに当時の国王が死んで、×××年には大量の隕石が王都を襲った。歴史の振り返ることができる俺たちが、こじつけをしているだけかもしれないが、ジェタク師の占いは当たっていた。
「ジェタク師は……ほんとうにこの世のすべてを占ったのかもしれないな」
コフネさんは怯えた目をしていた。サザエはあぜ道からも、川の中からも見つかった。
「まったく……。人間の営みというものは恐ろしいよ……」
コフネさんはそうも言っていた。
ミーノの村の人たちは、「ジェタクの果印」を砕いて、薬として飲んでいた。それも、気軽に飲める万能薬として、毎日飲むのが当たり前だという村人もいた。
それが五百年も続いたのだから、「ジェタクの果印」の半分は失われたと言う。それでも今も畑を掘れば、迷惑なほど出てくるそうだ。
「土地は一応、その村人のものだからな。発掘を名目に、作物を引っこ抜いたり、穴を掘ったりできないよ」
何人かの村人は土地の空け渡しに応じているが、ほとんどの村人にとって、そこは自分たちの大事な畑なのだ。
「貴様は、どうやってその仕組みを発見したんだ?」
コフネさんは悔しそうにしていた。
歴史上最大の占い師に関しては、かなり研究が進められていたという。何十年もかけて数々の冒険者が文献をあたって、政治史に登場するジェタクの姿が分かってきたところだった。
だが、ジェタクの果印に関しては情報の少なさもあり、研究が遅れていたという。
それを何にも知らない俺が、偶然発見したのだ。
本職の人には申し訳ない……。
「ハアっ? 幼女のおしっこが見たくて、幼女に立ち小便をさせた!?」
「そうは言ってないですよ!! たまたまおしっこが漏れそうだったから、貝の近くでしてもらったんです!!」
「ケツから酒を飲むわ、幼女のしっこだまりに飛び込むわ、お前は本当にろくでもない男だな」
コフネさんはウジムシを見るような目で俺を見た。
「いえ、そういうわけじゃ……」
俺の噂はどんどん悪くなっていく。
「ところで一応、サブクエストを達成しましたよ? これだけの発見をしたんだが、もう一気にシルバーランクまであがってもいいはずですよね?」
「バカ。どんな発見をしようと、サブクエストはメインクエスト達成の一週間後までだ……。だが、まあ、正直スゴい発見だよ」
コフネさんはそう言って俺の肩をもんでくれた。
「ヤグラくーんっ!!」
村に戻ると、ミーノが俺の胸に飛び込んできた。
「聞きましたよ!! ヤグラ君の名前が歴史に残るんですってね?」
「あ、ああ。まあな……」
「スゴいじゃないですか!! やっぱりヤグラ君は最強にして天才の冒険者です!!」
彼女の笑顔が眩しすぎる。
最強にして天才の冒険者か……。俺まだ星砂集めしか達成してないんだけどなあ……。
第二話 秘宝「ジェタクの果印」(終)
おそらく、ジェタク師のおしっこに神通力があったことは、当時の人なら誰でも知っていたのだろう。ジェタク師は占いの内容を決して人に言わなかったというが、おしっこに神通力があることは誰もが知っていた。
だから、ジェタク師が立ち小便をしたまま決して乾かない土地という逸話が生まれたのだ。
だが、実際にジェタク師がやっていたのは、サザエを拾ってきて、それにおしっこをかけること。
「×××年、カ・ツ・カ・?」
巻貝の渦にできた文様は、自然の物ではなく、ジェタク師が占いに際して書きつけたものだった。
何が、何にとは、書かれていない。だが、ジェタク師には分かっていたのだろう。青に変色すれば、イエス。×××年、にその人は勝つ。赤に変色すれば、ノー。その人はそれに勝つことができない。
「サザエおしっこ占い」だ。
驚いたことに、×××年、この国は魔王マーグナアとの大戦を迎えている。その結果、この国は歴史的な大勝を収めた。
「貴様!! 早くその村に連れていけ!!」
普段はほとんど外に出ないというコフネさんが、怒ったような顔をして、ずんずん山道を歩いていた。王都の外に出るのは、子どものとき以来だという。
コフネさんはミーノの村を回り、彼らが家に溜めていたサザエの貝殻を法外な値段で買い取った。
「×××年、シ・ヌ・カ・?」
「×××年、フ・ル・カ・?」
恐ろしいことに、×××年には確かに当時の国王が死んで、×××年には大量の隕石が王都を襲った。歴史の振り返ることができる俺たちが、こじつけをしているだけかもしれないが、ジェタク師の占いは当たっていた。
「ジェタク師は……ほんとうにこの世のすべてを占ったのかもしれないな」
コフネさんは怯えた目をしていた。サザエはあぜ道からも、川の中からも見つかった。
「まったく……。人間の営みというものは恐ろしいよ……」
コフネさんはそうも言っていた。
ミーノの村の人たちは、「ジェタクの果印」を砕いて、薬として飲んでいた。それも、気軽に飲める万能薬として、毎日飲むのが当たり前だという村人もいた。
それが五百年も続いたのだから、「ジェタクの果印」の半分は失われたと言う。それでも今も畑を掘れば、迷惑なほど出てくるそうだ。
「土地は一応、その村人のものだからな。発掘を名目に、作物を引っこ抜いたり、穴を掘ったりできないよ」
何人かの村人は土地の空け渡しに応じているが、ほとんどの村人にとって、そこは自分たちの大事な畑なのだ。
「貴様は、どうやってその仕組みを発見したんだ?」
コフネさんは悔しそうにしていた。
歴史上最大の占い師に関しては、かなり研究が進められていたという。何十年もかけて数々の冒険者が文献をあたって、政治史に登場するジェタクの姿が分かってきたところだった。
だが、ジェタクの果印に関しては情報の少なさもあり、研究が遅れていたという。
それを何にも知らない俺が、偶然発見したのだ。
本職の人には申し訳ない……。
「ハアっ? 幼女のおしっこが見たくて、幼女に立ち小便をさせた!?」
「そうは言ってないですよ!! たまたまおしっこが漏れそうだったから、貝の近くでしてもらったんです!!」
「ケツから酒を飲むわ、幼女のしっこだまりに飛び込むわ、お前は本当にろくでもない男だな」
コフネさんはウジムシを見るような目で俺を見た。
「いえ、そういうわけじゃ……」
俺の噂はどんどん悪くなっていく。
「ところで一応、サブクエストを達成しましたよ? これだけの発見をしたんだが、もう一気にシルバーランクまであがってもいいはずですよね?」
「バカ。どんな発見をしようと、サブクエストはメインクエスト達成の一週間後までだ……。だが、まあ、正直スゴい発見だよ」
コフネさんはそう言って俺の肩をもんでくれた。
「ヤグラくーんっ!!」
村に戻ると、ミーノが俺の胸に飛び込んできた。
「聞きましたよ!! ヤグラ君の名前が歴史に残るんですってね?」
「あ、ああ。まあな……」
「スゴいじゃないですか!! やっぱりヤグラ君は最強にして天才の冒険者です!!」
彼女の笑顔が眩しすぎる。
最強にして天才の冒険者か……。俺まだ星砂集めしか達成してないんだけどなあ……。
第二話 秘宝「ジェタクの果印」(終)
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